俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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気苦労が絶えず……

 

秋乃side

 

 

秋乃「ふぅ………本当に、呆れる程の才ですね。」

 

陽乃「比企谷君の事?」

 

秋乃「えぇ、そうよ。夜十神さんに電話してる事を予測してたみたいです。それにその後、接触禁止の事でも隼人君が何食わぬ顔で接触して来るだろうとも言っていました。」

 

陽乃「まぁ隼人ならやりかねないね。」

 

秋乃「そこで陽乃、貴女に比企谷さんから依頼です。」

 

陽乃「?私に?」

 

 

私は比企谷さんから言われた事をそのまま陽乃に伝えました。陽乃も少し神妙な顔つきになりました。そうなるのも無理はありません、報告はするがどうするかは陽乃次第などと不明瞭な事を言ったのですから。

 

 

陽乃「お母さん、どういう事だと思う?」

 

秋乃「……意図が読めませんね。こんな事は初めてですから。ただ最後に彼は、貴女の性格を考えればタダで済むとは思えない、とも言っていました。」

 

陽乃「………」

 

 

これはどう汲めばいいのか分からない内容ですね。しかし比企谷さんの方から報告してくるというのであれば、その日の事を記録しておいた方が良いかもしれませんね。

 

 

秋乃「陽乃、もしも比企谷さんから報告があったらメモを取るようにしなさい。その日の分を忘れた、なんて事は許しません。」

 

陽乃「うん、分かった。」

 

秋乃「さて、そろそろ葉山さんの方も終わったでしょうか?」

 

 

ーーー通話中ーーー

 

 

秋乃「通話中……随分と長いですね。」

 

陽乃「相手は夜十神さんだから長引いてるのかも。きっと向こうも何か言ってきてるんじゃない?」

 

秋乃「……葉山さんからの連絡を待ちましょう。不在着信で電話してきた事に気付くでしょうから。」

 

 

ーーー数十分後ーーー

 

 

♪〜♪〜

 

 

秋乃「っ!……葉山さんですね。もしもし、雪ノ下です。」

 

葉山父『雪ノ下社長、葉山です。申し訳ございません、電話中だったもので。』

 

秋乃「いえ、そうだろうと思っておりました。」

 

葉山父『それで、どうかされましたか?この後は比企谷さんにお電話する所なのですが………』

 

秋乃「はい、その事で葉山さんにご連絡をさせて頂きました。比企谷さんに結果を要求されましたので、先に言っておきました。なので葉山さんからのお電話は不要になりました。」

 

葉山父『成る程……』

 

秋乃「そして私達の懸念していた罰の甘さで比企谷さんから提案がありましたので、勝手ではありますがそれを受けました。」

 

葉山父『いえいえ、本来ならば我々が決めなければならない事でしたから。それで、その内容というのはどんなものでしょう?』

 

秋乃「雪ノ下建設が半額の1250万円の建設費を受け持つ事になりましたが、その2割の250万円を隼人君に借金として課す事です。期限は設けずにとの事ですが。」

 

葉山父『そうですか、分かりました。隼人にはキッチリと支払わせますので。』

 

秋乃「隼人君の肩を持つわけではありませんが、それなりに高額です。大丈夫ですか?」

 

葉山父『えぇ、これも身から出た錆、自業自得というヤツです。寧ろこの程度で済んで良かったというものです。』

 

秋乃「そうですか……それとこれは隼人君にも関係しているのですが、少し線引きが微妙な所なのでお教えしておきます。」

 

葉山父『はい、何でしょう?』

 

秋乃「比企谷さんから言われた事なのですが、接触禁止になっても隼人君の事だから何食わぬ顔で接触して来るだろうと言っていました。そしてその後に彼から娘の陽乃に接触してきた事を連絡すると言ったのですが、その後の対応は陽乃に任せるとの事でした。」

 

葉山父『……それはどういう意図で?』

 

秋乃「分かりません。なのでこれは陽乃に一任するつもりです。匙加減も何もかも。」

 

葉山父『分かりました。借金については私から息子に説明します。今の話については内密にしておきますので。』

 

秋乃「お願いしますね。そちらの方は大丈夫でしたか?随分と長くお話されていたようですが?」

 

葉山父『えぇ、まぁ………静かなお声でお叱りを受けました。返す言葉も無かったとしか言えませんね。息子がした事とはいえ、堪えますね。』

 

秋乃「そうでしたか。」

 

葉山父『私の方から異を唱える事なんて出来ませんからね、電話越しではありますが謝罪をするだけでしたよ。』

 

 

葉山さんの苦労が目に浮かびますね。しかしこの後は私も夜十神さんにお電話をするのですが、少しだけ心配になってきましたね。

 

 

秋乃「心労お察しします。」

 

葉山父『ありがとうございます。雪ノ下社長もこの後の夜十神さんへのお電話、頑張って下さい。励ましにもならない言葉ですが。』

 

秋乃「ありがとうございます。では失礼します。」

 

陽乃「夜十神さんからは何もなかったのかな?」

 

秋乃「お話を聞く限りではそのようですね。」

 

陽乃「けど、比企谷君が先で良かったかもね。先に夜十神さんに掛けてたら、何か言われてたと思うし。内容は分からないけど。」

 

秋乃「そうね………」

 

陽乃「私が言えた事じゃないけど、お母さん大丈夫?すっごい疲れてるように見えるけど。」

 

秋乃「まさか1日でこんな事になるなんて誰も思わないもの。はぁ………ため息もつきたくなるわ。」

 

 

陽乃(お母さんのため息なんて滅多に聞く事ないもんなぁ。それだけ気持ち的にも参ってるのかも………けど私がなんか言った所でどうしようもないしなぁ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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