俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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呆気なき裁判

 

 

八幡side

 

 

ーーー裁判所ーーー

 

 

八幡「まさか1年も経たない内に此処に来るなんて思いもしませんでしたよ、俺。」

 

御影「そうだね、僕も同じ気持ちだよ。今度の裁判では被告が喚き散らさない事を祈るよ。」

 

八幡「すっごいみっともなかったですしね、見てる側からしてみると。あんなにも滑稽なんだって思いましたよ。」

 

石嵜「あら、早いわね。」

 

御影「やぁエルナ、こんにちは。君も証人側の立場で参加するんだったね。」

 

石嵜「私は弁護士の資格なんてないもの、それは専門の人に任せるわよ。それに向こうが屁理屈立てて来ようものなら、恥ずかしい思いをしてもらうだけよ。証拠なんて全部弁護士に渡してあるんだから。そうでしょ御影?」

 

御影「まぁね。あのボイスレコーダーの音声は聞いたけど、アレで言い逃れをできるとは思えないしね。寧ろ嘘を言ったら罪が重くなっちゃう気もするしね。まぁそれはそれで構わないけど。」

 

 

おじさん、その可能性はないですよ。俺も色々と準備はしてきていますので。

 

 

八幡「けどおじさんはあの家から有り金全部取る気なんですよね?」

 

御影「あ、バレてた?」

 

八幡「そりゃ分かりますよ。おじさんが意味もなく俺の家族の家の建築費を払うわけ無いじゃないですか。業績不振が続いていたとはいえ、向こうも元は有名企業ですからお金はあるでしょうしね。」

 

御影「なんか八幡君が知らない間に頭のキレが良くなってる気がするんだけど?」

 

 

いや、全然普通ですって。普通の高校生です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裁判長「これより、裁判を開始する!」

 

宰安「………」ギロッ

 

泰納父「………」

 

 

うわぁ〜見られてる………お前からそんな熱い視線送られても、ちっとも嬉しくねぇ。早くその鬱陶しい視線をどっかに逸らしてくれませんかね?

 

そして被告側の弁護人が答弁を始めた。なんかもうメチャメチャだった。事の始まり……つまり接触は学校からなのだが、向こうは言いがかりをつけてきたと言ったのだ。そしてあの火事の事も自分達に身に覚えは無いと、誰かと間違えているのだと言った。家を焼かれて錯乱した所を標的にしたのだろうと供述した。いや、意味分からん。それで逃げ切れると思ってんのか?

 

 

裁判長「では次、原告側の答弁。」

 

弁護士「はい。始まりは被告側と同じく総武高校の校門前です。しかしこちら側からは言いがかりをしておらず、寧ろ向こう側から見下すような、蔑むような、そして自分自身を誇示するような口調で話しかけてきた様子との事です。その時はそれ程長い時間拘束はされていなかったようです。そしてその翌日の放課後、比企谷八幡さんの自宅が全焼するという事件が発生しました。犯人を被告側の泰納宰安だと確信していたので、当自宅に乗り込んで逮捕に及んだというのが一連の流れになります。そして此処からは証拠と共に説明させて頂きます。」

 

 

証拠というのは俺と石嵜さんが家に乗り込んだ時にずっと録音してたボイスレコーダーの事だ。奴は8〜9割の事実をあの場で話してくれたからな、これでアイツが弁護士に言わせてた事の殆どが嘘だっていうのが分かるだろう。だってアイツの顔、真っ青だし。

 

 

弁護士「との事ですので、先程の被告人の弁護士が述べられていた答弁の殆どが嘘だと主張します。」

 

宰安「さ、裁判長!発言よろしいでしょうか!?」

 

裁判長「………許可する。」

 

宰安「ありがとうございます。先程学校にも被害があったと述べられておりましたが、あれは私の知るところではありません。何せ私は総武高校に行った事はあれども、中には入った事は1度も「入った事はなくても、人を利用したりはしてただろ?」っ!!?」

 

八幡「すみません、裁判長。横から突然失礼しました。しかし我慢ならないので発言の許可を。」

 

裁判長「許可する。」

 

八幡「ありがとうございます。では、これをお聞きください。」ピッ

 

八幡『で?お前の依頼主は?』

 

『や、泰納宰安、です……』

 

八幡『依頼の内容は?』

 

『え、えっと……比企谷八幡と夜十神姉妹の様子を伺う事、です。』

 

八幡『他に指示された事は?』

 

『学校の教室に夜十神の情報を書くのと、3人の様子を逐一報告する事、です………』ピッ

 

八幡「今のは僕個人が証拠として今日持ってきた物です。きっと言い逃れをするだろうと思いましたので。質問していたのが自分で、答えていたのが被告人の協力者もとい利用されていた人物、という背景になっています。自分からは以上となります。」

 

裁判長「………被告、何かあるかな?」

 

宰安「……何も、ありません。」

 

 

もう逃げられないと悟ったのか、奴は顔を俯かせたまま動かなかった。多分、俺がこの証拠を持ってくるとは思わなかったのだろう。それにしても、今回のは意外とアッサリ終わって良かった気がする。被害は1番デカいけど、関わる日が少ないのは俺としてもありがたい。

 

それからも裁判は進み、こちら側と向こう側の要求をそれぞれ言ったのちに判決だ。まぁこっちが負けるなんて天地がひっくり返ってもないだろう。

 

 

 


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