俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

26 / 300
雪乃の心情

 

 

雪乃side

 

 

今日から文化祭実行委員が活動する日になっているわ。今は過去の資料を調べてどのくらいの費用が掛かるのかを再計算しているわ。勿論これは私だけではないわ。記録雑務の皆にも協力してやってもらっているわ………比企谷君もその中に居るのだけれど、彼が部活に月曜日以外来なくなってからは少しだけギスギスしたような雰囲気が続いているわ。由比ヶ浜さんもそれには気がついているようだけれど、流石にあの時の事を思い返してしまうと、戻ってきて欲しいなんて言えないわ。月曜日に来てくれているだけでも感謝しなければならない。

 

 

けれど彼も言っていたわ。本当に悪いと思っているのなら、私達が壊した分を直してみろと。だから少しでも彼の信頼を回復しなければならないと考えているわ。だから………

 

 

雪乃「比企谷君、この予算の資料なのだけれど、今って見れるかしら?」

 

八幡「……あぁ、今開いてる。それがどうした?」

 

雪乃「少し確認して欲しい部分があるの。だから少しだけ時間を貰えないかしら?」

 

八幡「分かった、その場所教えてくれ。」

 

 

この機会を逃すわけには行かないわ。失った分は取り戻していかないといけないものね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから文化祭の準備は滞り無く進み、スローガン決めに移る事になったわ。今のペースなら余裕もあるから、クラスの出し物にも参加してもいいと許可もしている。けど今日はスローガンを決める為、全員に集まって貰ったわ。

 

 

雪乃「では、会議を始めます。本日の議題は城廻先輩から連絡があった通り、文化祭のスローガンについてです。今出されている案をボードに書いていきます。」

 

 

『友情・努力・勝利』

 

『面白い!面白過ぎる!〜潮風の音が聞こえます 総武高校文化祭〜』

 

『一意専心』

 

『ONE FOR ALL』

 

『☆絆〜ともに助け合う文化祭〜』

 

 

雪乃「他に案はありませんか?」

 

めぐり「案って程の事でもないんだけど、皆でさ思いついた単語を継ぎ足していくのはどう?少し面白いスローガンになるかもよ♪」

 

雪乃「………成る程、では皆さん各自で何か単語を考えてみて下さい。文化祭に相応しくないような単語はNGでお願いします。」

 

 

八幡(それって俺に言ってるのか?)

 

 

そう指示を出した後、私もそれなりにウケそうな単語を書いて、皆の顔が上がるのを待った。そして集計した結果、音符や地域の方言を混ぜた言葉が少し面白いと思ったので、それを皆の前で相談した上で採用。そして決まったスローガンが………

 

 

『千葉の名物、踊りと祭り!同じ阿呆なら踊らにゃ ♫Sing a Song♪』

 

 

これになったわ。何だか出されていた案とは全く違う感じになったけれど、悪くは無いわね。むしろ固さが抜けたと感じるわ。緩さが大幅に出てしまっているような感じもするけれど。

 

 

雪乃「では、今日の委員会を終了します。お疲れ様でした。」

 

「終わった〜。」

 

「今日はスローガン決めだけだったでしょ?早くクラスのところに行こっ!」

 

「明日からまた書類漬けかぁ〜。」

 

「やるしかねぇでしょ。」

 

めぐり「雪ノ下さんお疲れ!良い司会だったよ〜♪流石は………ううん、雪ノ下さんなら当然だね。」

 

 

城廻先輩はきっと、私に姉さんの面影を見ているのだと思うわ。途中で撤回したけれど、今の3年生にとって姉さんはそれだけ凄い存在とも言えるのだと思うわ。

 

 

雪乃「ありがとうございます。では、私も失礼します。」

 

めぐり「うん、お疲れ〜♪」

 

 

けれど私は姉さんじゃないわ。周りに分からせるつもりはないけれど、これだけはハッキリしておかないといけないわね。

 

あら、比企谷君………

 

 

八幡「………」ポチポチ

 

 

携帯を操作しているという事は、内容は夜十神さんかしら?けどこの会議室もそろそろ閉めないといけないわ。

 

 

雪乃「比企谷君、会議室を閉めるわよ。」

 

八幡「ん、分かった。すぐ出る。」

 

 

比企谷君はすぐに携帯をポケットにしまうと会議室から足早に出た。それから私は鍵を締めて職員室に向かう。その際、行く方向が同じだから彼と横並びになっているわ。

 

 

雪乃「さっきの、夜十神さんとかしら?」

 

八幡「ん?あぁ、まぁな。何で分かった?」

 

雪乃「貴方が携帯を操作するのって、私にはそれくらいしか分からないから。」

 

八幡「そうか……この後に会う予定だ。」

 

雪乃「そうなの……それにしても、今日はリュックで来てるのね?いつもは学校指定のバックなのに。」

 

八幡「よく見てるんだな。」

 

雪乃「いつも肩に下げているのを見れば分かる事じゃない。それに大抵の生徒がそうよ。」

 

八幡「まぁ、そうだな……予定が気になるのか?」

 

雪乃「いいえ、聞き出したりなんてしないわ。私は貴方の信頼を取り戻したいだけだもの。」

 

八幡「………あぁーそんな話もしたな。」

 

雪乃「貴方から言ったんでしょう?もしかして忘れていたの?」

 

八幡「いや、どうでも良すぎて。」

 

 

……まぁ、今の比企谷君の私達に対する評価はそんな所でしょう。無理もないわ。

 

 

雪乃「じゃあ私は鍵を戻してから帰るわ。」

 

八幡「そうか……「比企谷君。」ん、何だ?」

 

雪乃「………また明日。」

 

八幡「………おう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。