俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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社長の社内見学

 

 

秋乃side

 

 

この間、陽乃に言われた通りに街へと出掛けている最中ですが、車から眺める街並みと歩きで眺める街並みというのは、とても違って見えるものなのですね。気が付きませんでした。それにしても、これから私は何をすれば良いのでしょうか?一応、スケジュールは立ててきましたが、特段したいというわけでもありません。困りましたね………

 

 

秋乃「休日の過ごし方というのは難しいですね。」

 

 

………今の一言、ひょっとすると私は充分に休息を取れていない事の証拠なのでは?これでは下の人達に示しがつきませんね、今日くらいはしっかりと自分の身体を休めなくてはなりませんね。

 

 

紫苑「あら、貴女は雪ノ下建設社長の………」

 

秋乃「……失礼ですが、貴女は?」

 

紫苑「あぁごめんなさい、私達は初対面でしたね。先日は夫がお世話になりました。夜十神御影の妻、紫苑と申します。」

 

秋乃「っ!夜十神さんの奥様でしたか、これは失礼致しました。」

 

紫苑「いえ、通りかかっただけですので。雪ノ下さんは何を?街歩きですか?」

 

秋乃「娘から身体を休めろと言われたもので。休んでいないように見られてたようです………お恥ずかしい限りです。」

 

紫苑「そうですか。」

 

秋乃「夜十神さんは何をされていたのですか?」

 

紫苑「私は仕事ですが、街歩きも兼ねてですね。白紙が足りなくなったので、近くのお店で買いに行ったのとついでに色々街を観ていた所です。」

 

秋乃「副社長自ら、ですか?」

 

紫苑「ふふふっ、疑問に思われるのも当然だと思われます。ですがこれは私と御影の趣味のようなものです。自分の足で歩き、自分の手で触り、自分の目で目利きし、自分の耳で聞き、自分の鼻で嗅ぎ分け、自分の口で味わい、自分の感覚で決める。そうやって私達は……私達夫婦は取引や契約を行なっていますので。」

 

 

………全て自分を使っているなんて、凄いです。

 

 

秋乃「素晴らしい考え方ですね。私にはとても真似出来ません。」

 

紫苑「それが当たり前です、誰も自らを実験台に使おうとはしないものです。」

 

秋乃「………そうですね。」

 

紫苑「もし……雪ノ下さんは今、何をしたら良いか分からないと言ったように見えますが?」

 

秋乃「お恥ずかしながらその通りです。街へ来たはいいものの、路頭に迷っている最中でして……」

 

紫苑「でしたら、我が社に来ませんか?分からずに行動するよりかは退屈せずに済むと思いますよ、どうでしょう?」

 

 

あの世界規模の大企業、【Nigh-Ten・Group】の会社に入れるお誘いを頂けるなんて。しかしよろしいのでしょうか?私は今プライベートなのですが。

 

 

紫苑「お気遣いなら無用ですよ。御影からは貴女がどういう人物なのか、聞いております。それを聞いて判断したので。」

 

秋乃「………では、お言葉に甘えさせて頂いてもよろしいですか?」

 

紫苑「えぇ、勿論です。こちらへ。」

 

 

またと無い機会です。しっかりと勉強させて頂きましょう。学べるものが多くある筈です。

 

 

ーーー【Nigh-Ten・Group】・本社ーーー

 

 

 

秋乃「……壮観、ですね。」

 

紫苑「ありがとうございます。」

 

「あっ、副社長!お疲れ様です!そちらの方は?」

 

紫苑「その事で少しいいかしら?見学者用の名札を1つくれる?この人を案内したいから。」

 

「えっと、どちら様ですか?」

 

紫苑「雪ノ下建設社長の雪ノ下さんよ。」

 

「雪ノ下建設!?大変失礼致しましたっ!」

 

秋乃「いえ、こちらこそ急で申し訳ございません。お手間をお掛けして。」

 

 

ーーー廊下ーーー

 

 

秋乃「中はこのようになっているのですか……」

 

紫苑「驚かれましたか?」

 

秋乃「他部署の様子が見られるようになっているのですね。それに間隔も近いように感じます。」

 

紫苑「常に連携を取っている部署同士の間隔は近くするようにしているのです。そうした方が何かあった時に時間を使いませんから。」

 

 

ーーー社長室ーーー

 

 

紫苑「社長、只今戻りました。」

 

御影『紫苑、今は僕しか居ないから普通に喋っていいよ。』

 

紫苑「いえ、私の方にお客様が居ます。」

 

御影『え“っ!?あっ……んんっ!どうぞ。』

 

 

………すみません、夜十神さん。

 

 

紫苑「失礼致します。」

 

秋乃「失礼致します。」

 

御影「おぉ、雪ノ下さんではありませんか。ようこそ我が社へ。」

 

秋乃「急に来てしまい申し訳ございません。」

 

御影「いえいえ、きっと副社長からのお誘いなのでしょう、ゆっくりしていってください。大したおもてなしも出来ませんが。」

 

 

何も言っていないのに紫苑さんがお誘いしたと分かるなんて………

 

 

紫苑「社長、次の交渉部の出張なのですが、今度は四国の愛媛県になっていますが、日程はどうされますか?」

 

御影「そうだね……1週間にしようか。その間でお土産になりそうな所を攻めようか。6日間………いや、5日間は交渉期間に使って残りの2日はいつも通り自由にしよう。」

 

紫苑「分かりました。ではそのように伝えます。」

 

 

じ、自由?

 

 

御影「あぁすみません、お客人なのに放っておいたままにしてしまって………」

 

秋乃「いえ、お構いなく作業を続けて下さい。それと差し支えなければ教えて頂きたいのですが、先程の交渉で最後に仰っていた自由とはどういう意味なのでしょう?」

 

御影「文字通りですよ?1週間の内5日間は交渉の期間として設けて、残りの2日間は自由にさせてるんです。遊ぶも良し、寝るも良し、観光するも良し、全て任せてます。まぁ使ってる費用は自費になりますけどね。」

 

 

ですが移動費は出るのですから、実質旅行に近いのでは?仕事を終えれば残りは自由………これがこの会社の強みなのでしょうか?

 

 

 

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