俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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無料食堂、再び!

 

 

秋乃side

 

 

御影「えっと……これが今月から引き入れる品のリストだから検印押してから商品局に回して、こっちは来月から仕掛ける予定のリストだから情報局に回して、さっきの四国に行く人達の人を決めて経費も渡さないとね。後は売店の品物も少し変えないとね。そっちの方はどう?」

 

紫苑「既に進めています。2月に入る頃には完了している筈です。それから社長、アメリカ支部からの連絡で社長が現在保持しているカリフォルニア州にある屋敷を当支部で販売している物品を催促する為に使用したいとの事ですが、如何致しますか?」

 

御影「構わないよ。ただしこう伝えておいて。『使うからには必ず利益を出す事。』ってね、お願いしてもいいかい?」

 

紫苑「かしこまりました。後程通信局にて報告しておきます。それと別件ですが………」

 

 

………この2人の作業量、異常だわ。私でもこれ程の量の作業はしていないっていうのに、このお2人は淡々と当然かのように。これが世界で名を轟かせているあの【Nigh-Ten・Group】なのね………

 

 

♪〜♪〜

 

 

秋乃「?」

 

御影「おや、もうこんな時間かぁ〜。さて、雪ノ下さんも見ているだけで退屈だったでしょう?我が社の食堂へご案内しますよ。今の音楽は午前の業務終了の合図と共にお昼の食事と休憩の時間という意味の音楽です。」

 

秋乃「そのようなシステムを取り入れているのですか………」

 

紫苑「はい。なのでこの時間に筆を取るのはいつの間にかご法度になっているのです。誰が決めたのかは分かりませんが。」

 

 

ーーー食堂ーーー

 

 

秋乃「………広いのですね。」

 

御影「1つの階を丸々専用の階にしてますからね、此処に居る間は誰もが息抜きをしていますよ。さて、今日は何かなぁ〜?」

 

 

献立も決まっているのでしょうか?

 

 

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今日の献立

 

 

・四季の仕出し弁当(手まり寿司)

 

・ビーフストロガノフ

 

・魚介たっぷりペスカトーレ

 

・本格派ピエロギ

 

・4種のキッシュタルト

 

 

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秋乃「これは……日本では見慣れない名前の品ばかりですね。」

 

御影「当社で仕入れたは良いものの、残念ながら余ってしまった食材はこうして有効活用しているのです。なのでお好きな物をお選びください。」

 

秋乃「しかし夜十神さん、こちらには値段が書かれていませんが……それに券売機のような物も無ければ表のような物もございません。一体どのようにして購入するのでしょうか?」

 

御影「先程も言いましたが、余ってしまった食材で調理をしておりますので、ここでの食事は無料という事になっているのですよ。我が社最大の自慢とも言えるポイントの1つですね。」

 

秋乃「無料っ!?………失礼しました、取り乱しました。しかし何故?」

 

御影「我々のお金で買ったのに、それを社員から貰うなんて変なお話でしょう?なのでこういうサービスも行っているというわけですよ。休みの日にも会社に来て昼食を、なんて人も居るくらいですからね。やって成功という事でしょう。」

 

 

成功の一言では済まされない事です………先程の出張に行った際の最終日の自由行動から始め、この食堂での昼食の無料提供、これだけのサービスをしているなんて思いもしませんでした。

 

 

紫苑「という訳ですので、遠慮する必要はありません。何になさいますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

御影「今の雪ノ下さんのイメージにぴったりですね、仕出し弁当は。」

 

秋乃「あの中で1番魅力を感じましたので。」

 

紫苑「それに、普段はこんな手の込んだ物食べないでしょうしね。手まり寿司なんてそんなに食べる品ではありませんからね。」

 

秋乃「えぇ、なのでこの機会にと思いました。」

 

紫苑「では、我々も頂きましょう。」

 

 

ではお1つ………っ!

 

 

秋乃「美味しい………」

 

御影「そうでしょう?この会社で調理をして下さっている方々の腕は確かですよ。世界各地の料理を作れるんですからね。やり方は少し変則的ではあれども、その地域の特徴は消さずに仕上げる事が出来るのですから。」

 

秋乃「成る程………」

 

御影「胃袋から落とすとはよく言ったものです。おかげで買った食材も無駄になりませんし、社員も満足して笑顔で食べてくれます。これこそ持ちつ持たれつの関係だと思いませんか?」

 

紫苑「一方的に持たせてるように感じるけど?」

 

御影「………そこは内緒にしといてよ。」

 

 

いえ、夜十神社長の言う通りだと思います。こんな会社があると知れば真っ先に飛びつく筈です。私の会社でも取り入れたいくらいですが、生憎とこの会社と我が社では行っているサービスのカテゴリーが違いますので不可能でしょう。しかし、出張後の自由ならば可能性は………

 

 

秋乃「いえ、夜十神社長の手腕は素晴らしいと思います。私だけでなく、殆どの方がこのような事は思い付かないでしょう。お見事としか申し上げられません。」

 

御影「いえいえ、ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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