俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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姉妹の会話と母の感謝

 

 

雪乃side

 

 

こんなにも長い間、姉さんと一緒に過ごしたのはいつ以来かしら?小学生の頃くらいよね、それ以降は家でしか会えなかったけれど、段々と疎遠になっていったものね。会う事はあっても素っ気ない会話だとか、姉さんからの見透かされているような、揶揄われているような会話ばかりだったものね。

 

けれど今日の姉さんはいつもの姉さんと違って少しだけ調子が狂うけれど、懐かしさも感じるわ。昔の優しかった頃の姉さんを見ているような気がして。

 

 

陽乃「?どうかしたの雪乃ちゃん?お姉ちゃんの顔を見ちゃってさ〜。」

 

雪乃「別に何でもないわ。ただ、昔の姉さんを見ているようで懐かしく思っていただけよ。」

 

陽乃「昔の私かぁ〜……もうあんまり覚えてないなぁ。雪乃ちゃんの事なら分かるのになぁ〜。」

 

雪乃「あら、奇遇ね。私も昔の姉さんの事ならよく知ってるわよ。」

 

陽乃「そうみたいだね。まっ、腹の中を探ろうなんて考えてないから安心してよ。それに、私だってこんな風に息抜き出来るのも久々だしね〜。」

 

雪乃「やっぱり母さんが居ないから?」

 

陽乃「それもあるかもね〜。最近は特に忙しそうにしてたからピリピリしてたし。まぁ無理もないけどね、あの【Nigh-Ten・Group】と関わりを持てたんだからさ。何としても友好な関係を築きたいんだろうね。見てて分かるよ。」

 

雪乃「そうなのね……」

 

 

母さんも忙しくしているのね………ここ数年顔を合わせていないけれど、大丈夫かしら?

 

 

陽乃「お母さんが心配?」

 

雪乃「母親だもの、心配にもなるわ。」

 

陽乃「励ましてあげて、って言いたい所だけど、雪乃ちゃんも苦手意識があるみたいだから無理にとは言わないよ。」

 

雪乃「えぇ、助かるわ。」

 

陽乃「けど!偶には帰って来なよ?私達だって雪乃ちゃんの事、心配してないわけじゃないんだからね?探せば居るとは思うけど、高校生の女の子が1人暮らしなんて心配でしかないんだから。」

 

雪乃「……えぇ、分かったわ。」

 

 

………なら次の春休みにでも1度だけ帰ってみようかしら?短い間なら良いわよね?

 

 

雪乃sideout

 

秋乃side

 

 

秋乃「夜十神社長、副社長、今回はとても有意義な時間を過ごす事ができました。お時間を割いて頂きありがとうございました。」

 

御影「いえいえ、元々副社長が雪ノ下社長をお誘いしたのですから、我々に感謝を述べる必要なんてありませんよ。寧ろ謝らなければならない方ですから。貴重な休日を、こうして私達の為に使わせてしまっているのですから。」

 

秋乃「いえ、とんでもありません。それに……娘達との事もご相談に乗って下さいましたから、とても感謝しております。では、私はお暇させて頂きます。」

 

御影「えぇ、道中お気を付けて。副社長、送って差し上げて。」

 

紫苑「はい、かしこまりました。」

 

 

ーーー会社・出入口ーーー

 

 

紫苑「今日は私の我儘に付き合わせてしまってすみませんでした。」

 

秋乃「いえいえ、とても良い時間を過ごせました。謝罪の言葉は必要ありません。」

 

紫苑「そう言って頂けると嬉しいです。」

 

 

ブロロロロッ

 

 

紫苑「ちょうど来たみたいね。」

 

秋乃「?」

 

「お待たせ致しました夜十神副社長、並びに雪ノ下建設社長様。お車の準備が出来ました。」

 

紫苑「お帰りの際はこちらをお使いください。行き先は伝えてありますので。」

 

秋乃「よろしいのですか?」

 

紫苑「勿論です。それに………」

 

秋乃「?」

 

紫苑「私、こう見えても人を見る目は旦那の次に自信があります。雪ノ下さんが思うような、ギスギスとした関係にはならないと思いますよ?」

 

秋乃「っ!」

 

 

まさか………見透かされていた?

 

 

紫苑「ふふふっ、今日お誘いしたお詫びの品もご用意してありますので。では。」

 

秋乃「………」

 

 

………成る程、これが【Nigh-Ten・Group】のトップという事ですか。

 

 

秋乃「敵う気がしませんね、全く………それでは、よろしくお願いします。」

 

「かしこまりました。」

 

 

秋乃sideout

 

陽乃side

 

 

陽乃「ふぅ〜ん、じゃあ比企谷君はいっつも夜十神ちゃん達が作ってるお弁当を食べてるんだ?しかもそのお弁当箱が重箱なんだって?」

 

雪乃「えぇ、それを囲いながら食べているのを見た事があるわ。それに、あの3人が自覚しているかどうかは分からないけれど、周囲に人を近づかせないような雰囲気もあるのよ。きっとそれが世間でいうATフィールドって言うものだと思うのだけれど、どういう意味なのかしら?」

 

陽乃「ATフィールドっていうのはアニメ用語なんだけど、現代社会では簡単に言うと話しかけるな〜とかそういう意味かな。」

 

雪乃「そうだったのね……けれど他のもあるように見えたのよね。それは比企谷君と夜十神柊さんからだったわね………あれは私でも分かるわ、甘い雰囲気って言うのよね。」

 

陽乃「2人は学校でもラブラブなんだ〜比企谷君ったら見た目によらず見せつけるんだね〜。」

 

雪乃「どちらかと言えば、夜十神さんが甘えてくるのを比企谷君が受け入れている、と言えば正確かしらね。見る側が恥ずかしくなりそうなくらいだもの。」

 

 

ワォ………大胆だね。

 

 

陽乃「そうなんだぁ〜。あっ、ならさ「陽乃様、雪乃様、奥様が………お母様がお帰りになられました!!」………え?」

 

 

…………………………嘘?

 

 

 

 

 


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