俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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不器用な親子

 

 

陽乃side

 

 

嘘でしょ!?何でこんなに早く帰って来ちゃったの!?まだ時間に余裕あり過ぎなんだけど!?今日のスケジュールは?もしかしてすっ飛ばして帰って来ちゃったの!?嫌になっちゃったの!?

 

 

雪乃「はぁ……姉さん、こうなったら諦めて会うしかないわよ。」

 

陽乃「雪乃ちゃん……いいの?」

 

雪乃「えぇ、それに会うのだって久しぶりだから。顔くらい合わせないと。」

 

 

雪乃ちゃん、立派になって………

 

 

陽乃「うん、分かった。じゃあ色々とお片付けしちゃおうか。」

 

「それには及びません、陽乃様。それは私達がやっておきますのでお寛ぎを。」

 

 

うん、お母さんが来るのに寛ぐとか無理。

 

 

ーーー数分後ーーー

 

 

ガチャッ

 

 

秋乃「ただいま戻りました………雪乃も帰っていたのね、お帰りなさい。それからごめんなさいね陽乃、折角貴女が作ってくれた予定だけど、色々あって無くなってしまったわ。」

 

陽乃「いいよいいよ、ただの予定なんだからさ。お母さんのしたいようにしたら良いって。」

 

秋乃「そう言ってくれると嬉しいわ。雪乃も会うのは久しぶりね、夏休み以来かしら?」

 

雪乃「え、えぇ……久しぶり、母さん。」

 

秋乃「そうね、折角家に帰ったのだからゆっくりして行きなさい。此処は貴女の家でもあるのだから。」

 

雪乃/陽乃「………(誰?)」

 

 

雪乃(こ、これがあの母さん?有無を言わせない威圧も無ければ、最近の事も聞いてきたりもしないわ……それに何だか目つきも鋭くないというか、柔らかくなっている?)

 

 

なんかお母さんが別人なんだけど………嘘、ホントにお母さんなの?出かける前と全然違うんだけど。何があったの?何があったらこんなになっちゃうの?カウンセリングでも受けたの?

 

 

秋乃(夜十神さんからは、あまり質問するのも意味はないからと言われたから、それとなく返しはしたけれど、この反応は何かしら?気にしても仕方ないわ、次に移りましょう。)

 

 

秋乃「雪乃が帰って来たという事は……何かしていたのですか?」

 

陽乃「そ、そうなんだよ〜!だって1月3日は雪乃ちゃんの誕生日でしょう?だからお祝いとプレゼントをあげようと思ってたんだ〜!」

 

秋乃「あら、そうだったのね。陽乃、私にも声を掛けてくれれば良かったのに。娘の誕生日ならお祝いをするのは当然の事よ?」

 

陽乃「あははは、だってお母さんならすぐパーティーとか出しそうじゃん?」

 

秋乃「それは雪乃の希望に沿って行います。望んでもいないのにパーティーでお祝いなんてさせられるわけがないでしょう?」

 

陽乃「それもそっか!あはは、ごめんねお母さん。最近のお母さん見てると相談とかし辛くてさ〜。」

 

秋乃「今度からはお願いしますね?」

 

陽乃「うん、分かった。(………うえぇぇぇ!?)」

 

 

なんかもう全ッッッ然違う!!!私の、ていうか私達の知ってるお母さんじゃない!!何この良母!?優しいから逆に違和感凄いんだけど!?

 

 

雪乃「あの……母さん、少しいいかしら?」

 

秋乃「何かしら?」

 

雪乃「その……何かあったの?」

 

 

ええぇぇ!?雪乃ちゃんそれ聞いちゃうの!?

 

 

雪乃「何だか私の知ってる母さんとかけ離れ過ぎていて、私達は困惑しているのよ。姉さんの様子を見ていてもそれは分かるわ。お出かけした時に何かあったの?」

 

陽乃「雪乃ちゃんの言う通りだよ、お母さんお出掛け中に何かあった?」

 

秋乃「やはり家族だからかもしれないわね。実は今日、夜十神さんの会社を見学させてもらったのよ。それはもうとても立派な会社だったわ。」

 

陽乃「えぇ!?もしかして、【Nigh-Ten・Group】にお邪魔していたの!?」

 

秋乃「えぇ、社長や副社長からは色々なお話を聞かせてもらいました。その中でも副社長の紫苑さんからは『娘達との接し方』について、とても有意義なお話をさせて頂きました。それに習って私も今、少しだけそうしてみたのですが………違和感があるようね。」

 

雪乃「まぁ……そうね、棘の無い母さんなんて久しぶりに見たもの。」

 

秋乃「棘、ですか……いつもの私はそのように見えていたのですね。これはお邪魔してお話を聞いておいて正解でした。」

 

雪乃「あっ、別にいつもというわけでは「いいのよ、分かっているわ。これまでの事が殆ど裏目に出ていたからこんな事になったというのも事実だもの。少し恥ずかしいわ。」……母さん。」

 

 

こんなお母さん、初めて見るかも………

 

 

秋乃「雪乃、陽乃、今更ではあるけど、これまでごめんなさいね。貴女達の為にと思って来たけど、それが壁になっているとは気が付かなかったわ。」

 

雪乃/陽乃「………」

 

秋乃「我儘を言うようだけど、この先からは家族としてもっと仲良くしてくれると私は嬉しいわ。」

 

陽乃「……もう、お母さんからそんなお願いされたんじゃ、受けるしかないよ。ねっ、雪乃ちゃん?」

 

雪乃「勿論よ、姉さん。私も今まで母さんは苦手だったわ。けれど、今は違う。いきなりは無理だと思うけれど、努力するわ。」

 

秋乃「………ありがとう、2人共。」

 

 

どうなるかと思ったけど、心配は無かったみたい。それどころかその逆だったね。それにしても夜十神さん達ってホント何者なんだろう?あのお母さんをこんな風に変えられちゃうなんて………

 

 

 

 

 

 

 


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