八幡side
家の完成が近づいて来たからか、柊と涼風がソワソワする事が増えて来たこの頃。それに追加されるように俺への密着度も増している。それは昼休みの事なのだが、普段なら普通に弁当を食べる。それが今となっては、柊が俺の座ってる椅子の半分に座るという暴挙に出たのだ。『少しズレてくれる?』の一言から始まったのだが、それが起爆剤になってしまったのだ。
涼風も椅子を近づけてくっついて来るし、2人共平気であーんをして来る。おかげで前までは感じなかった視線が、少し増えた気がするのは気のせいではないだろう。最近少しずつ周りも慣れてくれたのかと思った矢先にコレだよ?頼むよお2人さん、こういうのは帰ってからにしてくれよ。
八幡「んで、お2人さん?君達はいつになったら俺を離してくれるのかな?コレじゃあ身動き取れなくて困るんだけど?」
柊「………八幡君成分の補充。」ギュー‼︎
涼風「お姉様と同じです……///」ギュー‼︎
八幡「出たよ八幡君成分……なぁ、最近出るようになったソレ、何とかできないのか?」
柊「そんなの簡単だよ。八幡君が私達に色々してくれれば良いんだよ♪」
八幡「今この状況はダメなのか?俺は今、姉妹2人にとんでもなく密着されながら抱き着かれてるんだけど?」
涼風「八幡さん、よく言うではありませんか?力を使うのと使われるでは違うのです。もしこれが八幡さんからしてくれたのであれば、きっと結果は違っていたでしょう………」
え、遠回しにこうなったのは俺のせいにされてる?
柊「八幡君からしてくれるのはあまり無いから効果が抜群なの!」
八幡「あぁ、そうっすか………まぁそれは良いとして、離してはくれないのか?」
柊/涼風「ダメ(です)。」」
八幡「ええぇ………」
さっきからこの調子だ。どうやら俺が2人に色々と仕掛けないと意味が無いらしい………面倒な成分だよ、本当に。誰が作ったんだよ……目の前に居る2人しか居ないよな。
八幡「じゃあもういいとして、2人に質問する。この行動、これからも続ける予定ですか?」
柊「うん、勿論♪」
涼風「私もお姉様と一緒、と言いたいところですが、八幡さんのご迷惑になる事はしたくありません。なのでどちらとも言えません。」
八幡「一応どちらもする予定、と………さて、そういう事なら家に帰る準備を進めないとな。」
涼風「っ!?ど、どうしてですか!?」
八幡「いや普通そうなるだろ、流石にこれだけくっつかれると少し鬱陶しいの。もうちょっと節度を守ってくれ。するなとは言わないが、流石にこの1週間ずっとはやり過ぎだ。」
柊「で、でも八幡君が遠くに〜………」
八幡「行かないから、居るから。こうやってくっつくのは少し控えて欲しい。皆からの視線もあるが、なんか束縛されてるようで少しな………」
柊「うぅ……分かった、我慢する。でも家でなら良いんだよね!?」
八幡「あぁ、それなら構わない。」
涼風「お姉様、少しやり過ぎたのかもしれません。ここは私達が引くべきです。」
うん、やりすぎの範囲はもうとっくに超えてたよ?自重して欲しいの範囲だったのは明らかだったぞ?あっ、腕を離してくれた。
八幡「どうもありがとう。コレお礼ね。」ナデナデ
柊「んっ………ねぇ涼風、私達って今までとんでもない見落としをしていたのかもしれないね♡」トロ~ン
涼風「は、はい……お姉様。八幡さんからのナデナデ、とても良いです♡」トロ~ン
八幡「これが欲しいのなら、やり過ぎには注意してくれ。いいな?」
柊「うん、分かった。」
涼風「はい、分かりました。」
この時、クラスメイトはこう思っていたという。
「あの時の比企谷は躾をする飼い主で、2人はそれに従う犬みたいな感じだった。」
「言う事を聞かせる飼い主と、従順に従うペット見たいな?そんな風だったよ。」
「頭撫でられてる時、なんか夜十神さん達から尻尾と耳が生えていたように見えた………」
と殆どの生徒が同じように証言している。このやり取りは後に【比企谷調教事変】と呼ばれるようになった。
八幡「はい、終わり。」
柊「ありがとう八幡君♪過充電で一杯だよ〜。」
八幡「やらない方がよかったか?」
柊「ううん、そんな事ないよ♪」
涼風「はい、とても気持ち良かったです……///」
柊「だよね〜。これからもして欲しいなぁ〜って思っちゃったよ。」
八幡「して欲しければ、それなりの距離感と節度を守るように。それさえ守ってあげれば提供して差し上げましょう。」
柊「因みにサービスは?」
八幡「……学校では無し。家に帰ったらとりあえずなんか考える方向で。」
柊「この条約は締結されました。」
八幡「よろしくな。」
柊「こちらこそ。」
涼風「八幡さん、お姉様?今のやり取りは一体なんなのでしょうか?」
柊「遊びっぽくなっちゃってたけど、これからの行動についての誓約……みたいな?」
涼風「成る程………では今言った事を守れば八幡さんからも支援を頂ける、と言うことで間違いありませんね、お姉様?」
柊「うん、そういう事♪」
八幡「一応言っておくぞ、やり過ぎ注意な。」