俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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毒はやがて自身に回る

 

 

八幡side

 

 

ピーンポーンパーンポーン

 

 

『全教職員に通達します!3-A組の比企谷八幡君を捜索して下さい!校長先生からの通達です!繰り返します、3-A組の比企谷八幡君を捜索して下さい!』

 

 

………校内、放送かよ。チキショウ、こうなったらコイツ等が、逃げ、ちまう………

 

 

葉山「教師達が何で比企谷を?」

 

「ちょっと、どうすんですか先輩?教師達コイツの事を探してるみたいですけど?」

 

葉山「………おい、何をしたんだ?」

 

八幡「知る、かよ………俺が聞きてぇくらいだ。」

 

葉山「………フンッ、どうせ大した事じゃないだろう。それよりも………」

 

 

ドゴッ!!

 

 

八幡「うぐっ!!」

 

葉山「クズが………お前さえ居なければこんな事にはならなかったんだ!!」グリグリ

 

八幡「ぐっ、があぁぁ……」

 

葉山「少しでも俺の痛みが分かったか?」

 

八幡「…なん、だよ。爪楊枝でも刺した、のか?」

 

葉山「っ!!このっ!!!」

 

 

ドゴッ!!ドガッ!!ドスッ!!

 

 

葉山「はぁはぁ……ふぅ、どうだい?」

 

八幡「ゲホッ、ゴホッ!はぁ……はぁ……汚ねぇ唾、飛ばすんじゃ、ねぇよ………臭ぇんだよ。」

 

葉山「まだ分からないようだね!!」

 

 

その後も俺は葉山から一方的に暴力を振るわれていた。さっきまで俺に暴力を振っていた連中は遠巻きで俺達を見ていた。

 

 

「先輩!流石にもう行きましょうって!もしかしたらここに向かってるかもしれないんスよ!?」

 

葉山「はぁはぁはぁ………」

 

八幡「が、あぁ………」

 

葉山「全然物足りないけど、今日はこのくらいにしておくよ。忘れるなよ比企谷、俺はお前に復讐する!!お前が壊れるまでなっ!!!」

 

八幡「……壊れ、てる奴が……何言って、やがる………パスタ頭が………」

 

葉山「………そんなに壊されたいのなら、壊してあげるよ。」

 

「ちょっ、先輩!!」

 

「もう行きましょうって!!」

 

「もう限界ですよ!!」

 

葉山「思ったら君に次なんて必要ないな、今この場でトドメを刺した方が良いよね。」

 

八幡「はぁ……はぁ……」

 

葉山「いい様だね、君にお似合いだ。」

 

八幡「言ってろ、クズ……お前こそ、お似合いだ。無駄に背伸びして、バカやってる所がよ。」

 

葉山「減らず口だね、まずはその口から「そうはさせませんよ、葉山君。」っ!?誰だ!?」

 

茅ヶ崎「私に向かって誰だとは心外ですね?」

 

葉山「こ、校長先生!?」

 

茅ヶ崎「さて、どういう事か説明して頂きましょうか?してくれますね、葉山君?」

 

 

葉山(どうしてこんなに早く!?放送があったのはついさっきだぞ!?それなのにこの身体でどうやって!?)

 

 

茅ヶ崎「返事が聞こえませんが、説明はしてくれないのですか?残念ですね………では夜十神さん達から聞く事にしましょう。」

 

「「「………」」」

 

茅ヶ崎「あぁそれと、逃げられるなんて思わない事ですよ。君たちの顔と名前は既に把握しています。今この場からは逃げられても、私から逃げられるとは思わない事です。それに、逃げたところで手遅れでしょうからね。」

 

「ど、どういう事ですか?」

 

茅ヶ崎「入口を見れば分かりますよ。」

 

「「「………っ!!」」」

 

 

入口には教頭を始めとした厚木先生や鶴見先生といった、この学校をよく知る古参の教師が逃げ場を塞いでいた。

 

 

茅ヶ崎「逃げたければどうぞお好きに。その場合、取り押さえさせてもらいますが。さてと………鶴見先生、すぐに比企谷君の治療を。厚木先生は葉山君の様子を見ておいて下さい。もし何かするようであれば遠慮なく対処して下さい。いいですね?」

 

鶴見「はい!」

 

厚木「分かりました!」

 

 

2人は縄で繋がれている状態からすぐに解放された。そしてすぐに俺の方へと向かって来た。

 

 

柊「八幡君っ!!!」

 

涼風「八幡さんっ!!!」

 

八幡「………悪りぃ、カッコ、悪かったな。」

 

柊「そんな事ない!!私達の為に………ありがとう、本当に、ありがとう!」ポロポロ

 

涼風「八幡さんが助けてくださらなければ………どうなっていたか………」ポロポロ

 

茅ヶ崎「どうやら少し落ち着いてからの方がよろしいみたいですね。」

 

 

俺が応急処置を行っている間、次々と教師が屋上へとやって来た。そして次々と校長先生が指示を出していた。俺の家や2人の家、葉山の家、俺に暴力を振るった奴等の家への電話だったり、生徒の取り押さえや監視、そして警察への通報。

 

 

鶴見「随分と痛めつけられたのね………痣ばかりだわ、痛いと思うけど、我慢してね。」

 

八幡「はい。っ〜!」

 

 

俺が治療を受けている間も2人は俺に寄り添っていた。手を握ってくれるのは正直助かった。痛みを我慢するのに少しちょうど良かったからだ。顔も身体もあちこち蹴られたり殴られたりしたからな、何処も彼処も痛い………

 

 

茅ヶ崎「葉山君、私は君に説明をしてもらいたいのだが、それはできないのかな?」

 

葉山「そ、それは………」

 

茅ヶ崎「廊下での喧嘩もそうですが、この屋上での騒動はただの喧嘩ではありませんね?比企谷君が一方的にこんな傷だらけになるのはおかしいですからね。しっかりとした説明をしてくれますね?」

 

葉山「………」

 

茅ヶ崎「まただんまりですか………「あの、校長先生。」ん?君は夜十神涼風さん、でしたね?」

 

涼風「はい、私も断片ながらご説明させて頂きます。まずは「待て、涼風。」っ!は、八幡さん?」

 

八幡「これも、使え。」

 

 

俺は隠し持っていたボイスレコーダーを涼風に手渡した。

 

 

八幡「廊下の喧嘩の時からずっと録音してた。連中の会話も全部入ってる………先生、一応それを証拠にして下さい。」

 

葉山「っ!!?」

 

茅ヶ崎「………分かりました。では夜十神さん、ご説明をお願いします。」

 

 

………漸く、落ち着ける。


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