俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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保健室にて

 

 

柊side

 

 

先生達が来て事態が落ち着いてから数分後、私達は今保健室に居る。理由は……分かるよね?八幡君を楽な体勢にさせる為なのと、安静にさせる為だから。鶴見先生が治療してる時に見たけど、顔の怪我だけじゃなく身体のあちこちに痣が出来るほどの大怪我を負っていた。幸いなのは骨折レベルの重傷を負っていなかった事。けどすごく痛々しい姿になってる………

 

それと先生達は私達の親は勿論、今回関係している生徒の元に電話を掛けているらしくて、電話で説明すると同時に学校へ来て欲しいとの連絡も入れているみたい。でも当然だよね、それだけの事をしたんだもの。そして校舎内の駐車スペースにはパトカーが1台停まっている。今校長先生が相手をしているみたい。

 

それから、涼風が八幡君のボイスレコーダーと一緒に事件の事を話してたんだけど、葉山君は当然反論していた。でも、八幡君のボイスレコーダーには葉山君と八幡君の会話がバッチリと入っていたので、反論しても論破されて苦虫を噛み締めたような顔をしながら押し黙る事しか出来ないでいた。

 

 

ガラガラッ!

 

 

御影「八幡君、柊、涼風!!」

 

柊「お父さん……っ!」

 

御影「あぁ、無事で良かった………八幡君、事情はおおよそだが聞いたよ。身体を張って娘達を守ってくれて本当にありがとう!」

 

八幡「いえ、当然の事をしただけです。俺にとって替えの効かない2人ですから。」

 

涼風「八幡さん、動いてはダメです。お身体に障りますからそのままで。」

 

御影「涼風の言う通りだよ、そのままでいいから。楽にしてて。」

 

八幡「……はい。」

 

御影「にしても………まさかこんな暴挙に出るとは思わなかったよ。1度会ってみたいものだよ、その葉山君とやらにね。」

 

 

……お父さんが珍しく怒ってる。普段はこんな風に目付きが鋭くなる事なんて絶対にない。きっとそれだけ今日の事が許せないんだと思う。

 

 

秋乃「失礼致します……っ!夜十神さん、お先にいらしてたのですか。」

 

御影「義息子が心配だったものでしてね、雪ノ下さんもお早いですね。」

 

秋乃「いえ、当然の事です。それに………」

 

葉山父「………比企谷君、それに夜十神家の皆様、この度は愚息が誠に申し訳ございませんでした!!こんな価値の無い頭しか下げられませんが、伏して謝罪申し上げます!!」

 

 

葉山君の父親だ………きっと今日の事を聞いてものすごく責任を感じてるに違いないね。入って来るなりすぐに土下座だもん。けど無理もないよね、あれだけ約束をしてチャンスまでもらってたのに、全て無碍にしちゃったんだもんね。

 

 

御影「………八幡君、柊に涼風。」

 

八幡「……謝罪を受け入れます。それに頭を上げてください。葉山さんが頭を下げる必要なんてありませんよ。下げるのは今回こんな事をしでかした奴等だけで充分ですよ。」

 

柊「八幡君がそう言うなら、私も気にしません。」

 

涼風「私も同じです。」

 

御影「……これが彼等の意思みたいです。」

 

葉山父「………ありがとうございます。」

 

秋乃「私からも謝罪申し上げます。このような事になってしまった事、申し訳なく思っております。もっと比企谷さんにご忠告を申しておけば、このような事態は未然に防げたかもしれません。私の配慮不足もこの事態を招いてしまったものです。」

 

八幡「雪ノ下さんの謝罪も受け入れます。」

 

秋乃「寛大なお言葉、ありがとうございます。」

 

 

そしてそれから数分くらい、少しだけ話をしてからお父さん達は教室へと向かって行った。そこで保護者を集めて説明をするみたい。説明が終わったら一斉に保健室に保護者の人達が来そう………八幡君に暴力を振るった人達も連れて。

 

 

柊「八幡君、寝ててもいいよ?きっとお父さんと一緒に帰ると思うから、それまではゆっくりしてなよ。誰も起こしたりなんてしないから。」

 

涼風「お姉様の言う通りです。八幡さん、今の八幡さんは心身共に疲労困憊の状態なのですからお休み下さい。私達がずっとお側に居ますので。」

 

八幡「……悪いな、実を言うとかなり気を張っていてな。今も少しその状態だ………だから寝るのは無理そうだ。済まんな。」

 

柊「………じゃあさ、こんなのはどう?」

 

八幡「?」

 

 

私は八幡君と握っていた手を離して、頭に手を置いてそのまま撫でた。偶に涼風を撫でるようなやり方………は出来ないから何となく思いついたやり方で撫でてる。八幡君を撫でる事なんて普段無いから………撫で方勉強しないとっ!

 

 

八幡「………」ウトウト

 

柊「いいよ、目を閉じて。気を抜いても大丈夫だよ。今は私達しか居ないから。」

 

八幡「………」

 

涼風「………お眠りになりましたね。」

 

柊「うん。気を張っていたのは本当みたいだね。もうぐっすりだし、八幡君はこのまま起こさないでおこっか。」

 

涼風「はい。」

 

柊「涼風も眠っていいんだよ?疲れたでしょ?」

 

涼風「……いえ、私は結構です。お姉様は大丈夫なのですか?」

 

柊「うん、不思議とね………今はさ、八幡君が気になって仕方ないからさ。」

 

涼風「……はい、同じ気持ちです。」

 

 

今は八幡君を安心させてあげたいから、自分の事は後回しって気持ちなんだよね。でも良いよね?今の君はこんなに傷だらけなんだもん、自分よりも八幡君優先でも良いよね?

 

 

 


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