俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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慎重

 

 

葉山父side

 

 

秋乃「………大変な事になってしまいましたね、葉山さん。まさか隼人君がこんな事を実行するとは。もっと賢い子だと……いえ、これ以上は酷ですね。」

 

葉山父「いえ、雪ノ下さんの仰る通りです。アイツは………隼人はとんでもない事をしました。比企谷君からの情けを無碍にして、あまつさえ夜十神さんの御息女の誘拐だけでなく恩人への暴力沙汰を引き起こすなんて………」

 

秋乃「………比企谷さんはああ言っていましたが、心底ではどう思っているか分かりません。それよりも問題は………」

 

葉山父「はい、夜十神さんですね?」

 

秋乃「ただ立っているだけなのに、とてつもない怒気を感じました………下手な事を言えば首が絞まる所ではない程の雰囲気でした。」

 

葉山父「えぇ、私も感じました。それに今回の謝罪、比企谷君と御息女の許しの言葉を頂きはしましたが、夜十神さんからは何も頂いていません。これは暗に許すつもりはない、と捉えた方がいいでしょうね。」

 

秋乃「えぇ、その方がいいでしょう。その矛先が隼人君から我々に向いたら………」

 

葉山父「えぇ……考えたくもない事ですね。」

 

 

まさか半年も経たない内にこんな事が起きるなんて思わなかった。これならもっと監視をつけるべきだった………いや、今はやらなかった事を後悔しても意味はない。今後どうするのかを決めなくてはな………

 

 

葉山父side

 

陽乃side

 

 

陽乃「とまぁそういうわけで、今はお母さんとおじ様の2人で対談中。頭抱えてると思うよ、身内がこんな事をしでかしたんだからね。」

 

八幡『それは雪ノ下さんも同じなのでは?』

 

陽乃「まぁね………けどさ、君はどう思ってるの?学校ではお母さんやおじ様を許したみたいだけど、本音は?」

 

八幡『アレが本音ですよ、嘘偽りのない。俺が許せないのは葉山だけですから。柊や涼風をあんな目に遭わせた葉山だけは許しませんよ。まぁでも、俺が許したとしてもおじさん……御影さんが許しそうにありませんけどね。』

 

 

お母さんも言ってた、夜十神さんからは何も言葉を頂けなかったって。今ので確信に変わったよ、確かにこれは何が起こるか私にも分からないよ。

 

 

八幡『一応こっちでもおじさんにどうするのか聞いてはみますけど、あまり期待はしないでくださいね?俺もおじさんのあんな姿は見た事ありませんし、どんな返答が返って来るのかも予想つきませんので。』

 

陽乃「うん、分かった。あっ、その事ってお母さん達には………」

 

八幡『伏せておいた方がいいでしょうね。それを言って余計な反応や行動をされても困りますからね。俺達だけの話で。』

 

陽乃「そうだね。また隼人みたいにでしゃばられても困るだけじゃ済まされないしね。」

 

八幡『それじゃあ、もう切りますね。俺も休みたいので。』

 

陽乃「うん、ありがとうね。連絡寄越してくれて。身体を大事にね。」

 

 

………ふぅ。取り敢えず私は比企谷君からの連絡を待つしかないかなぁ。それまでは動かずに静かにしてよっと。きっとお母さんも慎重に行動するようにって言われるだろうし。

 

 

陽乃「さて、次は雪乃ちゃんに連絡かな。一応、伝えておいた方がいいだろうしね。」

 

 

陽乃sideout

 

八幡side

 

 

八幡「………それで、結局どうするんですか?」

 

御影「うん、僕も少し悩み中でね。それに気持ちの整理もできてないんだ。例え雪ノ下建設じゃないにしろ、それに深く関わっている人達の起こした事だからね。この前は前向きに友好関係を築こうとは思っていたけど、こうも連続で裏切られるとね………」

 

八幡「こう言ったらズルいと思われちゃいますけど、森崎の件のように収めるわけにはいかないんですか?いや、俺も森崎と同じで葉山を許すつもりなんてありませんけど、親はそんな人じゃないですから。」

 

御影「理屈では分かってるんだけどね………」

 

 

こりゃおじさんもかなり悩んでるみたいだ。まぁ雪ノ下建設と提携できなかったからといって、おじさんの会社にデメリットは今の所特に無い。そこだけを考えるのなら別に切っても構わないだろうが、おじさんの考えている事はどうやらそれだけではないらしい。

 

 

八幡「まぁでもおじさんの好きにしたら良いと思いますよ。向こうでもおじさんの出方次第みたいですしね。漸く関わりを持てた関係を切られたくないでしょうから、きっと必死になるとは思いますけど。」

 

御影「八幡君、君も意外と人を見てるよね。」

 

八幡「人間観察が趣味なので。」

 

御影「今の言葉、僕の祖父にそっくりだよ。祖父も『人っていうのはよぉく観察すれば、本性が見えるものだ。よぉく観察するんだぞ。だから俺の趣味は人間観察なんだ!』って豪語してたしね。」

 

八幡「流石、異端児って呼ばれてただけはありますね。俺そんな人に出会ったのかぁ………」

 

 

今思うだけでも不思議体験だよなぁ………もう2度と体験する事なんてないだろうけど。死者との対面なんて何度もあっていいもんじゃないだろうし。

 

 

御影「まぁ、僕も僕なりに考えてみるよ。八幡君も色々と相談相手になってくれると助かるよ。」

 

八幡「相談くらいならいいですよ。ただし、俺に決定権とか委ねるのやめて下さいね?」

 

御影「最初から釘を刺す辺り、八幡君も段々と駆け引きが上手になってきたよね。」

 

 

居候のように泊まりに来たり、3ヶ月も住んでたらこうもなりますよ。今もおじさんが家に持って帰って来てる仕事を偶に見てるんですから。

 

 

 

 

 

 


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