柊side
月日は流れて1ヶ月、とうとう八幡君達が元の家へと戻ってしまう時が来てしまった………私にとっては悪夢のような時間の始まりだった。え?今までの時間ってもしかして夢だったりしないの?現実?あっ、もしかしたらこれから始まるのが悪い夢の時間なんだよね!うん、そうに違いない!
涼風「お姉様、1人で百面相をしないで下さい。」
柊「何さ涼風ってばっ!私はこの日が来て欲しくないって思ってたのに、ついに来ちゃったんだよ!?私達がどれだけこの数日間、八幡君を説得し続けたと思ってるの!?」
涼風「お姉様、私はお姉様程しつこくした覚えはありませんが?」
御影「柊は食事中の時も八幡君を説得してたよね〜。『この家にずっと居て〜!』とか『卒業して住む所が決まるまで此処に居て〜!』とか色々言ってたよね。」
柊「私知ってるんだからね!涼風が八幡君に『行っちゃイヤです、此処に居て下さい。』って言ってたのと『私も八幡さんの家に住みます!』って言ってたの知ってるんだから!」
涼風「お、お姉様!?ど、何処でそれを!?」
柊「お父さんだって八幡君に会社のノウハウとかの知識を教えるのを口実に家に留めさせようとしてるの知ってるんだからね!」
御影「え!?あの話は僕の部屋でしてた筈なのにどうして柊が知ってるの!?」
八幡君に関しての事なら知らない事はないもん!八幡検定1級合格してるもん!
八幡「そういうお前が1番しつこいのは自覚あるのか?柊お姉様?」
柊「………だって八幡君に行って欲しくないんだもん。しょうがないじゃん………」
八幡「そうだとしても、これまで通り週末にはこっちに来るようにするから。毎週は無理でも「毎週、コレ絶対!」いや、それは無理だって……「毎週です!」いや、だからな?「八幡君、待ってるからね!」おじさんまでやめてもらえます?」
紫苑「はぁ………御影も貴女達も何してるのよ。」
八幡「まともなのはおばさんだけで「それじゃ八幡君は来てくれないわよ?断れないように誘わなきゃ。」……アンタが1番ダメなパターンだった。」
柊「八幡君、行っちゃヤダよぉ〜………」
八幡「大袈裟だな………今生の別れじゃないんだぞ。明日学校で会うだろうが。」
涼風「ではその間の時間はどうしろというのですか!?八幡さんと会えないその間は!?」
八幡「そんな事を俺に言われてもなぁ………兎に角、家に帰る事はもう決まって言ってたんだから、俺はもう行くからな。」
涼風「うぅ………」ウルウル
柊「くぅ〜ん………」ウルウル
八幡「そんな目で見るな。後柊、お前はいつから犬になった?明日学校までの辛抱だからそのくらい頑張れよ。」
そして八幡君達は私達の説得を何度も止めた後に家の方へと車を走らせて行ってしまった………
ーーー居間ーーー
御影「2人共、行ってしまったものは仕方ないんだから元気を出しなさい。前から言っていたんだからしょうがないだろう?」
紫苑「そう言って貴方も引き留めてたじゃない?」
御影「………だって行って欲しくなかったのは事実だったんだから仕方ないだろう。」
柊「お母さんももっと言ってくれればよかったのに………そしたら八幡君も「ならないわよ、そんな風には。」ぶぅ〜………」
紫苑「それにいいじゃない、八幡君にだって自由になる時間が必要よ。ずっとこの家に住んでた頃は2人が八幡君にベッタリだったじゃない。だから八幡君に少しは自由を与えなさい。自分の都合ばかり押し付けてたら、行き違いがあったりするわよ?」
むぅ〜………けどお母さんの言う事も一理ある。そうだよね、八幡君も1人になりたい時だってあるもんね。うん、少しは我慢しないといけないよね。
紫苑「そうね………今週と来週は泊まりに来させるのを控えさせましょうか。ゆっくりしてもらう為にもね。それでいい?」
柊「そんなことされたら私死んじゃう!!」
紫苑「死なないわよ。」
涼風「お母様、2週間は長過ぎます………」
紫苑「いいえ2週間よ。それに事が収まって漸く落ち着けるのよ?張り詰めた空気が漸く溶けたのだから、リフレッシュの時間も必要よ。」
お母さんの事が収まったっていうのは、気味の悪い幽霊とその他の8人の事。少し前に裁判が行われて結果が出たの。6人は少年院で2年懲役、その内の2人は前にも八幡君に危害を加えたとして刑務所で5年の懲役が決まった。そして気味の悪い幽霊だけど、反省の色無しと静粛の合図を聞かない、弁護士の証言の邪魔をする、八幡君の証言を何度も否定する等をして、暴行罪、誘拐罪、恐喝罪、殺人未遂、そして留置所の態度や裁判所での態度が重なりに重なって、八幡君を刺した人と同じで無期懲役の執行猶予無しになった。だからずっと刑務所の中で過ごす事になった。
しかもその人の投獄先は北海道の網走みたい。少年院の6人は県内にある所で、5年懲役の2人は宮城の刑務所に収監されるみたい。
柊「分かった、我慢する!ただし、お母さん達もこっそり会いに行くのは無しだからね!抜け駆け禁止!これが条件!!」
紫苑「貴女が1番やりそうだけどね。」
しないもん!!絶対に………し、しないもん!!