俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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過激な一家

 

涼風side

 

 

お父様とお母様がお見送りしている声が聞こえます……どうやら今日は素直に帰ったみたいですね。あの方ならきっと八幡さんの事を下に見るでしょう。それに人と自分を比べ過ぎるところもあります、それだけで決めつけてしまうのはやはりどうかと思います。

 

 

柊「行ったみたいね。」

 

涼風「はい、もう2度と来て欲しくありません。」

 

八幡「そこまでなのかよ………いや、さっきも話してたけどよ。」

 

 

ガチャッ

 

 

御影「はぁ〜やっと終わ……ってあれ、八幡君?今日はどうしたんだい?」

 

八幡「2人に誘われちゃいまして……すみません、2日連続でお邪魔してしまって。」

 

御影「そうかそうか!八幡君ならいつでも大歓迎だよ!ゆっくりしていくといいよ。それで、今日も泊まりなのかい?」

 

八幡「ご迷惑で「ないから大丈夫♪」……いや、俺は「お父様もそう言って下さいますから。」……それで、おじさんの意見は?」

 

御影「そんなの決まってるさ、2日だろうが1週間だろうが何日でも居てくれて構わないさ。昨日も言ったけど、君はもう僕達の家族なんだからね!」

 

 

流石はお父様です、その通りです!八幡さんが何日居ようと私達は全く迷惑ではありません!それどころか同棲だってしたいくらいなのですから!

 

 

紫苑「じゃあ八幡君も加えて、そろそろ晩御飯にしなきゃならないわね。宮間、今日のメニューは何かしら?」

 

宮間「本来であればいつもの食卓を囲おうと思っていたのですが、若様がいらっしゃいますので。」

 

八幡「いえ、普通の食卓でいいです。俺もこの家の普通の食卓を知りたいので。俺が来た時だけ特別っていうのも変でしょうし。」

 

柊「えぇ〜だって八幡君が来るんだよ?おもてなししたいじゃん!」

 

八幡「いや、その気持ちは嬉しいんだけどよ……毎食高級食材を見て食べてる俺の身にもなってくれ。分かってはいても気が引けてくるんだよ。」

 

宮間「成る程、分かりました。奥様、若様がこう仰られています故、予定通りのメニューにするよう具申致します。未来の義息子の意見を取り入れるというのも重要かと。」

 

 

八幡(まだ決まってねぇだろ、俺がこの2人のどちらかと結婚するなんてよ。え、決まってるの?いや、もしかしたら出会いがあるかもしれないだろ?)

 

 

柊(み、宮間さんってば大胆だなぁ///もう結婚前提で言っちゃってるし〜。えへへ、いつか私も八幡君の事を『旦那様』とか『あなた』っていうのかなぁ?えへへ、楽しみ♪)

 

 

紫苑「……そうね、そうしましょう。じゃあ宮間、料理人達にはいつも通りと伝えてちょうだい。それから私と夫には食後のコーヒーをお願いするわ。貴方達は?」

 

柊「私は要らないかなぁ。」

 

涼風「私は紅茶を。」

 

八幡「……俺はお茶で。」

 

宮間「かしこまりました。ではそのようにお伝えしておきます。では、私は失礼させて頂きます。」

 

 

宮間さんはきっと厨房の方々に今の事を伝えに行ったのでしょう。

 

 

御影「はぁ〜なんか疲れたなぁ〜。」

 

柊「その疲れってもしかしなくてもさっきの面談の事だよね?」

 

御影「うん。いやね、僕も伝えてるんだよ?柊と涼風には自分達の自由な恋愛と人生を送らせるって。だから婚約とかそういうのはやらないって。僕もそういうのは嫌いだしね。けど中々折れてくれなくてね………っていうよりも△△家の当主は理解してくれてるんだけど、その息子さんがねぇ〜………どうにも納得してくれないんだよ。」

 

涼風「お父様の会社に勤めているというだけでそんなにステータスになるのでしょうか?」

 

紫苑「まぁウチの会社もそれなりには有名だから。その中の上役に近い立場にもなればそう思えるようになるのも不思議じゃないわよ。特にその子供とかは、ね。」

 

 

………います、確かに。自分の力ではないのに、さも自分の力のように権力を傘にするような方が。まぁ、そのような人格の人物は全てお父様が解雇されていますが。

 

 

八幡「あの、俺って身を引いた方がいいんですか?」

 

柊「絶対にダメッ!!!!」

 

涼風「お気になさらないでください!!そして八幡さんが身を引く必要は何処にもございません!!」

 

紫苑「八幡君、貴方が身を引く必要はないわ。娘を助けてくれた子をどうして手放すような事をするのかしら?」

 

御影「それこそあり得ない話だね。君がこの家から身を引いたとしても、僕が君をスカウトしに来るからね。なんならこう言うよ?『ウチの会社に永久就職しに来ませんか?』ってね。」

 

八幡「………俺は今、夜十神家全員の必死な行動に驚いてますよ。」

 

 

当然です!!八幡さんを手放すなんて事、絶対にあり得ません!!

 

 

御影「八幡君、何か起きたらいつでも相談しに来なさい。もしそれがさっきの△△家だったら………即解雇させるから。」

 

柊/涼風「何なら今でも!!」

 

八幡「おい、過激過ぎる。過激過ぎるからやめなさい。その時になったら相談するから今から即解雇の考えは引っ込めなさい。」

 

 

いいえ、もしも八幡さんの事を蔑んだり、傷つけようものなら……それ相応の覚悟をしてもらいます。

 

 

 

 

 

 

 


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