御影side
八幡「以上が俺と柊、そして涼風が3年間過ごしていた中学で起きていた出来事です。さっき言ったように、3年の修学旅行で柊から告白をされて受けた後、正式に婚約を交わしました。(婚約は嘘だが、それは言わないでおこう。)」
森崎父「そんな事が、柊お嬢様がそんな過去を経験されていただなんて……」
柊「私はあの公園で八幡君に声を掛けてもらっていなければ、ずっと1人のままでした。八幡君があの言葉を掛けてくれなければ、今の私はここに居ないと思っています。だから私はこの2年間ずっと忘れずに想っている事があるんです。友達なんてもう要らないから、八幡君さえ居てくれればそれで良いって。」
八幡「だから今の柊には森崎……お名前を覚えていませんので息子さんとしか言えませんが、見えていないと思います。影すら残さず完全に。」
改めて聞くと、やはり良い気分にはなれないし、娘に何もしてやれなかった自分が本当に恨めしいと思う。それだけに八幡君には感謝しても仕切れない程の大恩がある。
御影「どうかな森崎君、聞いた感想は?」
森崎父「………いや、なんとも言えませんな。若くしてこんな体験をされているなんて。ですが、柊お嬢様の仰る事も充分理解できます。自分の居場所を作ってくれる異性が出来てしまったら興味や好意が生まれるのは至極当然。しかもそれが一時ではなく、継続して今に至るのですから。」
森崎母「私も同じ思いです。もし私がお嬢様の立場であっても、八幡君に惚れていると思います。お嬢様の辛い経験を全て掻き消す程、八幡君に惚れているのでしょう。」
御影「八幡君と柊が過ごした中学の事を知った上で僕から質問するよ。この前の縁談の話、森崎君はどう思うかな?正直に答えてくれていいよ。」
森崎母「社長、お嬢様の事情を知った上でお答えを聞くなんて、性格が悪いと思われますが?」
森崎父「まぁまぁ、社長も分かって聞いているんだ。そういう人だからな。勿論、我々の答えは決まっていますよ。」
森崎父「縁談の件は無かった事にさせて下さい。そのような事情がおありなのでしたら、この話を持ち込む方が野暮というものです。」
森崎「っ!!?」
森崎母「私も同じです。」
森崎「と、父さん!?母さん!?」
御影「分かってくれて何よりだよ。」
森崎「待って下さい!!僕は夜十神さんに良かれと思って「駿、幾らお前がそう思って行動したとしても、柊お嬢様の気持ちは変わらん。」っ……」
森崎父「時に八幡君、君に1つ聞きたい。君と駿は知り合いなのかな?話し合いをする前にこの部屋に入った時、駿が君の名前を言っていたのだが?」
八幡「……難しい質問ですね。顔見知り程度ってところですね、駿さんとは。」
森崎父「ほう……にしてはあまり友好的な関係では無いようだね。」
八幡「俺は特になんとも思ってはいませんが、駿さんの場合は、柊と涼風と一緒に行動している俺が気に食わないのでしょう。現に今もこちらを睨んでますしね。」
森崎「当たり前だ!!お前のような雑草なんかよりも、僕の方が「その態度が嫌われる要因の1つだってまだ気付かないのか?」こ、このっ!!」
森崎母「やめなさい駿!!貴方、八幡君になんて失礼な態度なの!!しかも雑草呼ばわりだなんて……八幡君に謝りなさいっ!!」
森崎父「その通りだ!目の前には社長だって居らっしゃるんだぞ!!その方の前でこんな醜態を晒して……恥ずかしいとは思わないのか!?」
少し興奮してしまっているかな?正論だと分かってはいても、納得出来ないようだね。八幡君よりも娘に言われた方がまだ納得するのかな?
森崎父「申し訳ありません、社長、お嬢様方、八幡君。どうやらウチのバカ息子には再教育が必要なようです。今日のところはこれで失礼させて頂きます。後日改めて粗品と共にお詫び申し上げます。それでは我々は失礼させて頂きます。こら、立つんだ駿!!帰ったら説教だ!!」
森崎母「改めてウチの息子がご迷惑をお掛けしました。特に八幡君、さっきは本当にごめんなさい。」
八幡「大丈夫です、あの程度の悪口なんて大した事ありませんので。」
森崎母「……では、失礼致します。」
御影「宮間、森崎君達がお帰りになるから見送りをよろしくね。」
宮間「畏まりました。」
御影「終わったぁ〜………やっぱり森崎君達は分かってくれたね。にしても、本当にあの2人から生まれた子とは思えないね。」
柊「ホントそうだよね〜。森崎さん達はあんなに良い人なのにね〜。」
けどこれで一件落着だね。きっとあの2人の事だから、駿君にスパルタで教育をするだろうね。
御影「八幡君も悪かったね、こんな事に付き合わせちゃって。」
八幡「いや、気にしてないんで。」
御影「お礼とお詫びに今日は夕食を食べていくといいよ。今日は松茸の天ぷらだからね、是非食していって欲しいんだ!松茸の他にもサツマイモやカボチャ、エビなんかもあるから!」
八幡「………なぁ、今のって元々の献立?」
柊「うん、今日はそうだよ。」
涼風「松茸ですよ八幡さん、焼いても炊き込みでも美味しいですが、今回は天ぷらです。」
八幡「俺の舌が今の内に肥えない事を祈ろう。」