俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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やる気の出し方

 

 

八幡side

 

 

ーーー救護班テントーーー

 

 

八幡「……なぁ、立候補したはいいが、この体育祭の保健委員って要るのか?去年は怪我人はおろか、怪我しそうな事さえ無かったんだが?」

 

涼風「で、ですが用心に用心を重ねるというのは良い事です。ほら、【石橋を叩いて渡る】という諺もあるのですし。あって損はないと思います。」

 

八幡「………まぁ、今頃奴さんは悔しがってるだろうけどな。この委員のせいで。」

 

涼風「奴さん?」

 

八幡「ほら、あそこ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「うぅ〜八幡君〜………」ウルウル

 

 

ほら、目の前の2-F組の席で捨てられた犬のように瞳をうるうるさせながら、こちらを見つめている貴女のお姉様がいるよ?

 

 

涼風「あぁ………お姉様ですね?」

 

八幡「しかも俺が居ないというだけであの有様だ、もう少し我慢できないもんかね?」

 

涼風「仕方ないと思います、お姉様の八幡さんに対する依存度は並大抵のものではありませんから。1週間会えないものなら発狂すると思います。」

 

八幡「怖いからやめろよ………」

 

 

あの様子だと、あの場所で待機するのかどうかも怪しいぞ?その内救護テントまで来るんじゃねぇの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涼風とあれこれ話している内に体育祭が始まった。今年は組分けを行わず、学級別対抗という事になった。つまり、自分達の敵が最低でも9クラスあるというわけだ。だってウチの学校ってA組からJ組まであるだろ?そういうわけだ。だからウチのクラスでもかなり人選に手間取ったらしい。え、俺?知るわけないじゃん。俺が把握してるのは自分が何やるかくらいだよ。

 

 

八幡「………暇だな。」

 

涼風「………ですね。」

 

八幡「この後、徒競走だろ?やる気起きないな。」

 

涼風「私、走るの苦手ですし、運動もあまり……」

 

柊「コラァー!!何憂鬱なこと言ってるのさ!!」

 

2人「っ!!?」

 

柊「何2人して変な空気作り出しちゃってるのさ!?涼風が羨まし……2人の様子が気になったから見に来たら、何でこんな空気になってるのさ!?」

 

涼風「何故言い直したのかは聞かないでおきますが、私は体育祭で良い思い出がありませんので。走るのも投げるのも跳ぶのも苦手なんですから。」

 

八幡「俺はただ単に面倒だから。」

 

柊「あ〜そんなんでいいのかなぁ?本当にいいのかなぁ?やる気なくていいのかなぁ?」

 

八幡「煽るの下手かよ。もう少し練習して「八幡君が頑張らないのなら、今日私と涼風が一生懸命作ってきたお手製お弁当は私と涼風の2人で食べる事になっちゃいそうだなぁ〜。」次の徒競走見てろ、絶対1位獲ってやる。」

 

涼風「私には頑張る理由が無いので、別に「あら、いいの?頑張ったらお義兄様が何かご褒美をくれるかもしれないんだよ?頑張らなくていいの?ご褒美無しだよ?」お義兄様、私頑張って走ります!走り終わったら頭を撫でてください!」

 

柊「あのさ?煽てた私が言うのもアレなんだけどさ、そんな単純でいいの?」

 

八幡「じゃあ柊は俺と弁当食いたくないの?」

 

涼風「ご褒美欲しくないんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「……食べたいし、欲しい!!!

 

 

1番単純なのはどっちだよ………

 

 

放送『次の競技は2年生の徒競走です。2年生は指定の待機場所まで移動して下さい。』

 

 

八幡「どうやら出番のようだな。午前の競技が終わったら超旨弁当が待ってる!」

 

涼風「お義兄様からのご褒美、お義兄様からのご褒美、お義兄様からのご褒美………」

 

柊「なんか私が来たせいでカオスになってるんだけど、この救護テント。」

 

 

ーーー2年徒競走ーーー

 

 

さぁーて、漸く次か………今の所はかなりポイントを稼いでいる。俺達F組はある程度運動神経が良いのが集まってるからな。俺も平均の少し上くらいだと自負している。さっきまでの俺だったらやる気0だったが、今は賭けられている物が違う。柊と涼風お手製の弁当だ。負けるわけにはいかない。幸い俺の組にはあまり早い奴は居ない。上手く行けば1位を獲れる。

 

 

教師「位置について………よぉ〜い………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パァン!

 

 

うおおぉぉぉぉ!!どけえぇぇぇ!!俺はお前等と違って賭けてるものが違うんだぁ!!!走ってればいい感覚のお前らとは違うんじゃあぁぁぁ!!!

 

 

※少し前の八幡も走ってればいい感覚でした。

 

 

放送『先頭はF組、そのまま1位でゴールです!』

 

 

よっしゃあ!!これで俺も弁当を食べれる!!購買でパンを買わずに済む!!見たか柊、涼風!俺だって本気を出せばこんなもんだ!

 

その後、女子の徒競走も始まり、柊はぶっちぎりの1位を獲った。涼風は走るのが苦手だと言っていた割には、速く走れていた。その甲斐もあって1位を獲ってしまった………すっげぇ。

 

 

ーーー救護テントーーー

 

 

涼風「あの、八幡さん……私、一生懸命走って1位を獲りました。えっと……頭を、撫でて……下、さい/////」

 

八幡「そんな顔真っ赤にしながら言うなよ、やり辛いだろ。まぁ柊が煽てたせいもあるからな、ジッとしてろよ?」ナデナデ

 

涼風「ふわぁ〜………」ポォ~

 

柊「と、蕩け切ってる……涼風が人生で1番蕩け切った顔をしてる……八幡君のナデナデ、恐るべし。」

 

 

 

 

 

 


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