俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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修学旅行前のちょい話です。


班、紅茶、そして事件

 

 

八幡side

 

 

体育祭が終わって平和なのも束の間。すぐに次のイベントの修学旅行が待っている。2年生の一大イベントとも言えるこの行事だ。確かに楽しみにしている生徒は多いだろう。現に俺も珍しく楽しみである。その理由は2日目の自由行動にある。クラス男女関係なく自由に行動が出来るのだ。俺からしてみれば、柊と一緒に過ごすにはちょうどいい日なのだ。

 

まぁまだ班決めとかの話は出ていないのだが、クラス内でも暗黙の中で決まっているみたいだ。まぁかく言う俺達も決まっているけどな。俺と柊と涼風の3人は当たり前として、川崎と戸塚も加わった。クラス内のカーストの関係もあるのか、今はこれで落ち着いている。葉山達のグループは7人だが、交渉次第でなんとかなるだろう。どうでもいいけど。

 

 

柊「最近は平和で良いよねぇ〜。特にあの子煩い森崎が絡んで来なくなってくれただけでも、私達の日常は救われるよ〜。」

 

涼風「そうですね、あの叫び声が聞こえないのは確かに快適です。」

 

八幡「一々フルネームを大声で叫ばれなくても済むからな、ホント良かった良かった。」

 

 

森崎もあれから姿を現さなくなり、俺達にも平和が訪れている。この平和が続いてくれればいいと、俺も願っている。

 

 

ーーー放課後ーーー

 

 

八幡「じゃあ俺は部活があるから。」

 

柊「ちぇ〜、しょうがないかぁ〜。」

 

涼風「お姉様、我慢です。私だって本当は八幡さんと一緒の時間を過ごしたい所を我慢しているのですから。」

 

柊「分かってるよ〜……じゃあ頑張ってね。」

 

八幡「あぁ。」

 

 

ーーー奉仕部部室前ーーー

 

 

八幡「………うす。」

 

結衣「あっ、ヒッキー来た!」

 

雪乃「こんにちは、比企谷君。」

 

八幡「おう、なんか依頼でもあったのか?」

 

雪乃「いえ、特にないわ。どうして?」

 

八幡「由比ヶ浜が叫んだから。」

 

結衣「別にいいじゃん!それにヒッキーがいつもより遅いからじゃん。」

 

八幡「悪かったよ、柊と涼風を宥めてたんだよ。」

 

 

毎週月曜になると必ず起きるイベントだ。俺が部活に行こうとすると、間違いなく柊が駄々を捏ねるように不機嫌になる。涼風もさっきみたいに俺に力を貸してくれるのだが、涼風も涼風で雰囲気を隠し切れていないのだ。

 

 

雪乃「そう、それはお疲れ様………どうぞ。」

 

八幡「サンキュ……ん?紅茶の茶葉変えたのか?」

 

雪乃「っ!何故気付いたの?」

 

八幡「いや、香りから違うだろ。」

 

結衣「えぇ〜凄い!!私飲むまで気が付かなかったのに!なんか悔しいしっ!」

 

八幡「淹れ方1つで良し悪しが決まるって言うからな、コーヒーとか紅茶とかって。それにこれ、結構良い茶葉なんじゃねぇの?」

 

雪乃「母さんが珍しく送ってくれたのよ。何でもシンガポール産の紅茶らしいわ。」

 

 

ほぉーん、じゃあトワイニングかもな。安いのから高いのまであるブランドだが、あの色んな種類パッケージで覚えちまったんだよなぁ………まぁあのブランドは、イギリス王室御用達の高級なのだから、俺には縁が無いが。俺は普通の紅茶で充分。

 

 

八幡「にしてもよく手に入ったな。」

 

雪乃「母と姉さんがこれを1度飲んで以降、これを気に入ったらしくて、【Nigh-Ten・Group】に依頼したみたいなのよ。」

 

結衣「あっ、その会社知ってる!ものすっごく外国のものとか売ってるよね!」

 

雪乃「えぇ。それで1箱私にも送ってくれたの。」

 

 

流石はおじさんとおばさんだ、クライアントの心を掴んでる。多分だが、雪ノ下家はこの味を気に入っただろうな。

 

 

八幡「ならすぐに飲むのは勿体無いな、味を楽しみながら飲むか。」

 

雪乃「えぇ、そうした方が良いわよ。こんなの一生に何回飲めるかどうかも分からないのだから。」

 

 

………すいません、もう何度か飲んでます。マリアージュを飲んでしまってます、ただの一市民が。感じても意味のない罪悪感を感じながらトワイニングを飲んでいる俺がいます。

 

しかし、他の目線からあの会社を考えた事なかったな。少しだけ聞いてみるか。

 

 

八幡「なぁ、雪ノ下はその会社の事詳しいのか?」

 

雪乃「いえ、そこまで深くは知らないけれど、世界至る所の名産や名物を売っては買うを商売としている企業よ。それもその会社を立ち上げたのが日本人だからなお驚きよ。けれど、その創設者は人嫌いで有名なのよ。」

 

八幡「?どうしてだ?」

 

雪乃「パーティーやイベントには全くと言っていい程参加しないの。身内だけでしかそういうのは開かないみたいなのよ。」

 

八幡「………成る程な。」

 

 

まぁおじさんの場合、個人的な関わりでやりとりをしたくないってのが本音だろうな。あくまでも客と商人って立場が良いんだろう。

 

 

雪乃「もしかして貴方、【Nigh-Ten・Group】に興味があるのかしら?」

 

八幡「ちょっとだけな。海外の物なんて見る機会ねぇから少し興味湧くしな。」

 

雪乃「貴方のお金で買えるかどうかは知らないけれど、インターネットでも注文を受け付けているそうだから、見てみるといいわ。」

 

結衣「へぇ〜、なんかAma○nみたい!」

 

 

こら、他企業と一緒にするんじゃない!

 

 

pipipi…pipipi…

 

 

八幡「っ!悪い、少し外す。」

 

 

ーーー廊下ーーー

 

 

八幡「もしもし、比企谷です。」

 

宮間『若様、宮間でございます。落ち着いてお聞き下さい。よろしいですかな?』

 

八幡「?はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮間『柊お嬢様と涼風お嬢様が何者かに、誘拐されました。』

 

 

 

 

 

 





まさかの急展開!!

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