俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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中学 ①

 

柊side

 

 

私と八幡君の中学時代、それは良いものではなかった。最初の1年生は皆と仲良く出来て、とても楽しい生活だった。クラスの友達だけでなく、他クラスの友達とも楽しく過ごせた。お昼休みに一緒に話したり、学校帰りに遊んだり、家にお泊まりしたりと、ありふれてはいるけど、充実した毎日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けど、そんな楽しい学校生活は3年生になってから急にガラリと変わった。

 

新学期が始まってから少し経った頃、私は同級生だった男の子から告白をされた。その子は運動も良く出来て、成績も良く、顔も整っていた。だからその男の子を狙っている子は多かった。それと自慢じゃないけど、私も中学では割とモテた方だったと思ってる。月に何回かは告白もされたし、ラブレターも貰った事がある。

 

それでこの男の子からの告白なんだけど、私はその頃誰かと付き合う気なんて全く考えてなかった。だから断った。それからだった、クラスだけでなく学校中の皆から白い目で見られるようになったのは。けどそれを知らない私はいつも通りにしていたんだけど、私の周りに集まってくる友達は1人も居なかった。それどころか皆、私を避けるように過ごしていた。

 

そんな日が続いて数日経った頃、こんな会話を偶然聞いてしまった………

 

 

「ねぇ知ってる?○クラスの夜十神さん、○○君の告白断ったらしいよ〜。」

 

「マジィ〜?○○君相手に断るってどんだけ理想の男のレベル高いのよ〜?マジであり得なくない?」

 

「だよねだよね〜。しかも顔が良いからってチヤホヤされてたのも腹が立ってたんだよね。けどさ、今のアイツって良い気味だよね。学校中でやってるんでしょ?【幽霊ごっこ】だっけ?」

 

「そうそう!夜十神さんに仲良くしたり話しかけたりしたら、ソイツも幽霊になるって遊び!だから夜十神さんに話しかけたらソイツも学校の友達とかに無視される事になるから、話しかけられないよね〜。」

 

「ていうか話しかけたくないよね〜。だってさ、顔は整ってるって言ってもさ、髪は長いし肌白いからもう幽霊じゃん!柊さんって幽霊いたりして〜!」

 

 

そこから先の会話は自分には分からない。その場から走って逃げ出したから。胸がとても痛かった。張り裂けそうだった。涙も止まらなかった。男の子の告白を断っただけでどうして私はこんな目に遭わなきゃならないの!?って何度も思った。もうこの学校に私の味方をしてくれる人なんて誰も居ない……家に帰っても涼風とお父さんやお母さん達がいるけど、とてもその事を話せる気にはなれなかった。

 

 

走り疲れた私は目の前にあった公園のベンチに座って1人で泣いていた。もう何もかもがどうでもよかった。私に話しかけてくれる友達はもういない。その子達も私の事を幽霊扱いするんだから………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時、彼と出会った。

 

 

八幡「お前、どうした?」

 

 

それが私と八幡君の初めての会話と出会いだった。

 

私はどうして自分に話しかけてくるのか全く分からなかった。同じ制服で同じクラスの男の子なのに。私は八幡君の言葉を敢えて無視した。そしたら……

 

 

八幡「……なんだ無視かよ、幾らこの目が気味悪いからって無視はねぇだろう。豆腐メンタル振り絞って話しかけたってのに………まぁいいや、お邪魔虫は消えるか。」

 

 

彼は私を責めるどころか自虐を含めながらその場を去ろうとしていた。私は何か悪口を言われると思っていたのに、それすらもしなかった。

 

 

柊「ま、待って!!」

 

八幡「ん?何?なんか用?」

 

柊「私に話しかけて、平気、なの?」

 

八幡「………はぁ?何言ってんのお前?お前に話しかけちゃいけないルールとか法則でもあんの?」

 

 

その言葉を聞いた瞬間に理解した、八幡君は【幽霊ごっこ】の事を知らない。知らされてもいないんだって。だから私はその事を八幡君にこれまでの事も合わせて説明した。

 

 

八幡「………そうか、そんな事あったんだな。」

 

柊「うん………ねぇ、比企谷君は私に話しかけたらマズいんじゃないの?友達とかに避けられちゃうよ?此処から離れた方がいいんじゃない?」

 

 

久しぶりの会話相手に私は自分から遠ざけた。勿論会話出来たのは嬉しかったけど、私は私のせいで他人が不幸になるのはとても嫌だと考えた。だから私は八幡君を遠ざけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど、八幡君からは予想外の答えが飛んできた。

 

 

八幡「俺は友達いねぇから避けられる事はない。寧ろそんなの必要無いまである。1人の方が周りに迷惑かけなくて済むだろ?内輪揉めもないし、静かに暮らす事が出来る。友達とボッチを選ぶのなら、俺は絶対にボッチを選ぶ。友達なんて居てもいつかは居なくなるんだ、居なくても問題ねぇだろ。」

 

 

………考えた事もなかった。友達なんて居なくてもいいなんて考え方、した事もなかった。だから八幡君は今まで誰ともあまり関わりがなかったんだって。私は今の言葉が胸の中にスーッと浸透していくのが分かった。それと同時にこう思うようにもなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「友達は要らない。比企谷君、ううん………八幡君さえいればそれで良い。」

 

 

 

 

 


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