俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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経験者(?)は語る

 

八幡side

 

 

葉山が挨拶がてらに声を掛けたら、後ろから続くように戸部も入ってきた。しかもなんか困ったような、少し含みのあるような顔をして………何だ?

 

 

雪乃「何か御用かしら?」

 

葉山「ちょっと相談事があって、連れて来たんだけど………」

 

戸部「俺、相談があるんだけど、聞いてもらってもいいべ?」

 

雪乃「……聞いてみない限りには分からないわね。内容を聞かせてはもらえないかしら?」

 

戸部「じ、実は………いややっぱないわ〜。ヒキタニ君にはこういう事話せないでしょ〜。」

 

葉山「頼みに来たのはこっちだろ?」

 

戸部「け、けどよぉ〜………」

 

 

あぁ?なんだコイツ、また喧嘩売ってるのか?別に買う気はないが、あんな言い方されると腹が立つ。

 

 

八幡「……じゃあ俺が居なければいいんだな?なら俺は出てくから、後の事は4人でやってくれ。」

 

結衣「え、ヒッキー!?」

 

雪乃「比企谷君………」

 

八幡「コイツの言い方からして、俺が邪魔みたいだしな。なら邪魔者は居なくなるに限る。その方がやりやすいだろ。」

 

雪乃「………そうね、貴方の言う通りだわ。ではそうしてもらいましょう。」

 

八幡「あぁ、んじゃ色々終わったら適当に呼んでくれ。「待ちなさい、何処へ行くの?」え?」

 

雪乃「出て行くのは彼等の方よ。」

 

葉山/戸部「えっ!?」

 

 

俺もそうだが、葉山と戸部も驚いたような顔をしながら雪ノ下の方を見ていた。

 

 

雪乃「礼儀も知らない、礼節も弁えない、そんな輩の相談をこちらが聞く必要なんてないでしょう。早々にお引き取り頂いて結構よ。」

 

結衣「うん、なんかヤな感じ!戸部っちもさっきのだってヒドイと思うしっ!」

 

 

………沈黙が続いた。

 

 

葉山「……まぁ、俺等が悪いな。戸部、出直そう。俺達で解決すべきだ。」

 

戸部「うぅ〜……いや、もう後には引けないでしょ、コレ!あの、実は俺さ………」

 

 

それから俺達は戸部の依頼したい内容を聞いた。何でも同じクラスの海老名さんに告白したいという。それを聞いた途端、由比ヶ浜の目の色が変わった。

 

 

結衣「マジ!?」

 

八幡「つまり、海老名さんに告白して付き合いたい、と。」

 

戸部「そーそーそんな感じ!!でさ、フラれるとかキツいわけ!」

 

八幡「はぁ………フラれたくないね〜。」

 

結衣「なんかそういうのすっごく良いじゃん!応援するよ!!」

 

八幡「………(俺は柊から告白されてそれを受けたが、アイツはどんな気持ちで告白したんだろうか?当然生半可な気持ちではない筈。むしろ柊に関してはそんな考え方が出来ないと言ってもいい。中学があれだったからな。)」

 

葉山「やっぱり、そう簡単にはいかないかな?」

 

八幡「俺には何とも言えん。」

 

雪乃「悪いけれど、お役に立てなさそうね。」

 

結衣「えぇ〜良いじゃん!手伝ってあげようよ!」

 

雪乃「………」チラッ

 

 

………俺?

 

 

結衣「うぅ〜。」

 

 

なんで俺を見るんだよ?はぁ〜……平塚先生からピンチヒッター的なポジションも受けてるから、此処は少し俺も出張らないとな。

 

 

八幡「……戸部、1つ確認だ。お前はその告白、どうしたいんだ?」

 

戸部「………どういう意味だべ?」

 

八幡「色々あるだろ。必ず告白するとか、無理でも告白するとか、そんなだよ。」

 

戸部「あぁそういう事だべ!やっぱフラれずに告白成功させる事っしょ!」

 

 

………

 

 

八幡「そうか……雪ノ下、由比ヶ浜。」

 

雪乃「?」

 

結衣「ん、何ヒッキー?」

 

八幡「俺はこの依頼、受けるべきではないと主張する。」

 

 

……………当然、静かになるよな。

 

 

結衣「えぇぇ〜!!?」

 

戸部「ど、どうしてだべ!!?」

 

葉山「っ!?」

 

雪乃「………」

 

八幡「(よし、柊には悪いがここは……)戸部、俺は中3の修学旅行の時に柊に告白した。」

 

戸部「お、おぉ!時期重なるべ!」

 

八幡「あぁそうだな。まぁそれはどうでもいい。それと告白する理由もなんでもいい。単純に好きになったからだとする。当然俺はその時、初めての告白だった。するかしないかも考えたし、フラれた時の事も考えた。結果はOKだったから良かったとも言えるだろう。」

 

戸部「う、うん……で、それが何だべ?」

 

結衣「そうだよヒッキー、どういう事?」

 

八幡「………俺は絶対にフラれないようにしようとは考えてないし、絶対に成功してやるとも思ってないし、必ず付き合ってやるとも思ってない。俺が言いたい事分かる?」

 

戸部/結衣「………?」

 

 

マジか………コイツ等どうやって総武高合格したの?雪ノ下は最初の説明で理解してたし、葉山も2回目の説明で理解してたぞ。この2人現文の気持ちを表す問題、絶対に出来ないタイプだ。

 

 

八幡「つまりだ、そん時の俺は柊と付き合いたいとは思った。けどフラれないようにしようとは思ってない。お前のようにフラれないようにするってのは、相手の意思関係なく付き合ってもらうって言ってんのと同じって事だぞ?」

 

戸部「っ!!いや、でも俺は………」

 

八幡「そんなつもりで言ったわけじゃねぇって事くらいは分かる。けど今お前が言った『フラれず告白成功』ってのはそういう事だ。相思相愛なら可能だろうが、そうでないのなら強引、脅迫でもしない限りはそんな事不可能だ。」

 

戸部「お、俺………」

 

八幡「お前の気持ちを否定する気はないが、フラれないようにするって考えはなくした方がいい。成功を前提とした告白よりも、成功も失敗も過程に入れた告白の方が好ましいと俺は思うぞ。フラれたとしても『諦めねぇから!』とか『振り向かせてみせるから!』とかそういう根性あった方が、向こうも振り向いてくれると思うぞ。(多分。)」

 

 

俺、告白してないのに、こんなペラペラと言っていいんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戸部「ヒキタニ君っ!!!」

 

八幡「な、何だよ……」

 

戸部「さっきの依頼、取り消して欲しいっしょ!!変更って可能だべ?」

 

八幡「………それはウチの部長に聞け。」

 

雪乃「………内容は?」

 

戸部「好きな人に告白したいんだけど、上手くやれるかどうか不安だからフォローをして欲しいんだべ。どうだべか?」

 

 

ほう……フォローをする、か。

 

 

雪乃「………どうかしら、比企谷君?」

 

八幡「あぁ、それならいいと思うぞ。奉仕部の理念には反していないと思うぞ。」

 

雪乃「ではその依頼、受けましょう。」

 




葉山が空気に………

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