八幡side
戸部の依頼を受ける事にした俺達。正確な内容はあっちのグループ内で行く所が決まり次第って事になっているから、その辺はまた後日ってところだな。けど、こりゃまた面倒そうな依頼だ。俺と由比ヶ浜は兎も角、雪ノ下は別クラスだからそんなに動けない。それに俺も柊達と見回りたいから、当日にはフォローというか、サポートにも回りたくはない。折角の修学旅行なんだ、俺は満喫したい。
雪乃「それで、貴方はどうするの?この依頼の参加については?」
八幡「ん、俺?できれば参加はしたくはない。こんな面倒な依頼を受けたら、楽しむどころの話じゃなくなる。もしそれで柊達の機嫌が悪くなってみろ、修学旅行が終わったら俺は2人のご機嫌取りをしなけりゃならないんだぞ?回るところが決まったら適当にアドバイスをする。そんなのでいいだろ。」
結衣「えぇ〜そんなのつまんないじゃん!やるんだったらもっと応援してあげようよ!」
八幡「あのね、告白ってのは本来手伝ってあげるようなものじゃねぇのよ?他人の恋愛事にどうして外様同然の奴が関わろうって思えるんだよ?応援は分からなくもないが、手伝うのなら最低限にするべきだと思ってる。」
雪乃「貴方ならどうするの?」
八幡「例えば、初日の清水寺あるだろ?もしおみくじで大吉引いたら高い所に結ぶとか、地主神社にさりげなく行くとか、音羽の滝で延命長寿か学業成就の水を汲んでやるとか。」
結衣「最後のだけおかしくない!?何で恋愛成就じゃないのさ!?」
いやいやそうだろ、恋愛ばっかだったら勘付かれるって。え?柊?柊は行きまくってた。いや、俺も告白されるまではあんま意識してなかったけどよ、関わりあるのって俺だけだったし?可能性はあるかもって思ってたりはしたけどよ。
八幡「そのくらいのアドバイスの方がちょうど良いだろ。下手にフォロー入れまくってたら、返って向こうにも気付かれる。場所によってどうするべきかを教えておくのが1番だろ。」
雪乃「……そうね、1番最悪なのはその行為によって告白されるのが気付かされるって事だものね。比企谷君、私と由比ヶ浜さんの方でもある程度調べておくから、貴方の方でも何か調べておいてくれないかしら?」
八幡「あぁ、分かった。」
それからは特に誰も来る事なく部活が終わり、そのまま帰宅した。だが途中で柊から電話が来た。
八幡「もしもし、柊?」
柊『八幡くぅ〜ん、部活終わった?』
八幡「あぁ、終わった。今家に帰ってるところだ。声が聴きたくなったのか?話し相手か?ただ電話しただけか?」
柊『八幡君とお話をする為に電話をしました♪』
おぉ、俺の何気ない3つ質問の返しを全て返された。しかも悪意を感じさせない声で。100点です。
八幡「そうか。けど特に話題とかないだろ、ただ話してるだけでいいのか?」
柊『うん!私はそれだけでも嬉しいよ♪だって八幡君とお話ししてるんだもん♪好きな人とお話しできてるんだもん♪』
八幡「………そ、そうか。ところでよ、柊は修学旅行で行きたい場所とかあるのか?中学でも行ったけどよ、また行きたい場所とかあるんじゃねぇのか?」
柊『まぁね〜。向こうなんて行く機会がまず無いから、どこも行きたいっていうのが感想なんだよね。それじゃダメ?』
八幡「俺1人ならいいが、今回はダメだな。」
柊『あっはは!八幡君はやっぱり優しいなぁ〜。でもそうだね、私も色々見ながら決めたいから、絶対に行きたいって場所はないかな。』
俺達が自由にできるとしたら、2日目の自由行動くらいだ。この日は俺と柊、涼風はまだ聞いていないから分からないが、多分この3人で回る事になると思う。だが行きたい場所かぁ………そういや俺もあんま考えてなかったな。
柊『八幡君は?何処かないの?』
八幡「いや、俺も今考えてた。そしたら思いの外、よく考えてなかったのが分かった。俺も帰ったら調べてみる。」
柊『どうせなら一緒に調べたいけど、別々の方が行きたい場所も増えるしね!じゃあ私も涼風と一緒に京都について調べておくから!明日、勝負ね〜♪』
何の勝負をするんだか……まぁいいか。
八幡「それ、負けたらどうなるんだ?」
柊『負けた人は………なんと、相手の頭を撫でる!!これでどう!?』
八幡「勝敗の決め方は?」
柊『………』
八幡「……?おい、柊?」
柊『この勝負、八幡君の勝ちです!!勝利した八幡君は明日、私の頭を撫でてもらいます!!』
八幡「は?」
柊『明日、約束ね!』
要するに、『勝敗の決め方分かんないから、とりあえず八幡君の勝ちにしちゃって頭撫でられちゃえっ!!』的な事思ったんだろうな。しかもちゃっかり自分に得があるように仕向けてるし。
八幡「………車の中でいいか?」
柊『もっちろん!!物足りなかったら、学校着いてからも撫でていいからねっ♪』
八幡「調子に乗り過ぎだ。兎も角、ちゃんと調べとけよ?明日になって携帯で京都のサイトとか見てたら、頭を撫でるじゃなくて、掻き回してボサボサにしてやるからな?」
柊『八幡君が直してくれるのならいいよ?』
八幡「遊んでやろうか?」
柊『それも楽しそうっ♪ふふふふっ、じゃあまた明日ね、ばいばーい♪』
八幡「おう、また明日な。」