八幡side
目が覚めて修学旅行の2日目。今日は俺が楽しみにしていた自由行動の日だ。誰にも邪魔されずに行動する事が出来る。俺にとって1日目と最終日はそんなに楽しみでもないが、2日目だけは楽しむと決めていた。俺の柄ではないが、柊と涼風のあんなにワクワクした表情を見てしまえば、誰だってそう思うに違いない。
さて、このまま横になってたらまた寝ちまいそうだから布団は畳むか。その次は「八幡。」………?
材木座「UNOってぇ〜……言ってなぁ〜い。」
………お前違うクラスだろうが、何で居んだよ?
ーーー食堂ーーー
朝食の時刻に近くなり、俺は一足早く食堂に向かった。もう既に席に着いて待っている生徒も居るが、そんなに多くはない。
戸塚「八幡おはよう!早いね。」
八幡「おう、おはようさん。部屋に居てもする事ねぇしな。まぁ此処に来ても同じだが、朝飯の旨そうな匂いを嗅げるしな。」
戸塚「うん、そうだね!」
八幡「んで、他の連中は?」
戸塚「僕がお布団畳んでる時に起きたよ。少し慌てた様子だったなぁ〜。」
早起き苦手か?それとも楽しみ過ぎて昨夜寝付けなかったとかか?どちらにしてもどうでもいいけど。
柊「おっはよぉ〜八幡君、戸塚くんも!!」ダキッ!
涼風「おはようございます。」
沙希「おはよ。」
戸塚「おはよう〜皆!」
八幡「おはようさん。それと柊、朝から抱き着くんじゃありません。」
柊「いいじゃん別に♪」
涼風「全くお姉様は……すみません八幡さん、見つけるなり姉がまたご迷惑を。」
八幡「気にすんな。」
それから程なくして生徒が集まり、朝食を摂る事になった。そして俺の両隣はこの場でも俺に料理を食べさせようとしてくる。柊は性格上仕方ないにして、涼風はこういう場所では人目を気にする性格じゃなかったっけ?何故積極的に食べさせるの?
柊「八幡君、あ〜ん♡」
涼風「八幡さん、あ、あ〜んです///」
やめて。端のテーブルとはいえ、周りからの視線が痛いんです。特に1人の教師と1人の生徒からの視線をビンビンに感じます。俺が悪いんじゃないんだからね!この2人が勝手にやってるんだからね!俺何も悪くない!!
ーーー宿泊部屋ーーー
戸部「いや〜ヒキタニ君さっきの見てたんだけど、やっぱすごかったわ〜!マジでラブラブっしょ!ヒキタニ君マジきてるわー!」
八幡「意味は分からんが、一応彼女とその妹だからな。だがやってくるとは思わなかった。思わぬ羞恥プレイだった………」
戸塚「僕もちょっと恥ずかしかったかな、見てる方が恥ずかしくなるってこういう事なんだね。」
八幡「だな。それと戸部、今日は頑張れよ。後はお前の頑張り次第だからな。」
戸部「ヒキタニ君励ましてくれるん!?けど今はそれだけでも嬉しいべ!」
ーーーホテル・ロビー入口ーーー
「それでは皆さん、ちゃんと節度ある行動を心掛けながら楽しんで下さい。以上で終わります。行動開始です!」
長くなるかと思ったが、意外とすんなり終わった。どうやら先生達も旅行を楽しみたいようだ。まぁそうだよな、先生達も転勤とか無しだったら、3年に1回の行事だしな。さて、柊と涼風を「ヒッキー!」さが……由比ヶ浜?
八幡「何だ?何か用か?」
結衣「えっとさ、今日の自由行動なんだけど、私達と一緒に回らないかな〜って。」
八幡「いや、悪いが俺もう柊達と回るって決めてたから無理だ。」
結衣「うぅ、やっぱそうだよね………じゃあ戸部っちの依頼どうしよっか?」
八幡「俺はもう介入する気はない。昨日だって戸部にアドバイスはしたし、オススメも教えた。これ以上する事はない。」
結衣「えぇ!?ヒッキーもう何もしないの!?」
八幡「俺はもう既にした。お前の言うサポートってのは側であからさまに2人の空気を作る事か?初日の新幹線での座席決めを見たが、あんなのバレバレだぞ。鈍い奴でもすぐに気付きそうなくらいのサポートだぞ。」
結衣「うっ……うっさいし!だって他に思いつかなかったからしょうがないし!」
どうやら自覚はあるようだな。それなら尚の事タチが悪いぞ?
八幡「話はもう終わりか?何もないなら俺は行かせてもらう。」
結衣「あ……ヒッキー………」
八幡「悪い、待たせた。」
涼風「いいえ、気にしていません。由比ヶ浜さんからは依頼の件でお話を?」
八幡「あぁ、違うのもあるけどな。一緒に回ろうだの、依頼はどうするだのと聞いてきた。俺の出来る事はもう何もないってのによ。」
柊「ねぇ八幡君、その依頼の内容って何なの?なんかあのグループが関係しているみたいだけど、面倒な依頼なの?」
八幡「まぁ面倒っちゃ面倒だな。いや、面倒事だな。確信を持って言える。多分、柊がこの依頼を聞いたら………『は?』ってなると思う。」
柊「え?そんなに面倒な依頼なの?」
涼風「よろしければ教えてもらえませんか?私も少し気になります。」
八幡「それは構わないが、条件だ。この事は誰にも言うなよ?言いふらしていい事でもないからな。」
2人「うん、約束。」
そして俺は歩きながら今回の依頼について掻い摘んで説明した。