俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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舞踊

 

 

八幡side

 

 

柊「あ〜むっ、んっ……んっ……うん、美味しっ♪流石は八幡君が調べた名所だね♪さっきの料理もこの餡蜜もとっても美味しいよ〜!」

 

八幡「それは良かった、調べた甲斐があった。」

 

涼風「えぇ、流石八幡さんです。」

 

八幡「やめろって、大した事はしてねぇんだから。それよりも気になってたんだが、さっきの………天之川だったか?奴はお前等に何をしたんだ?森崎みたいに迷惑かけてたんだろうけどよ。」

 

柊「うん………あの人ね、3〜4年生の時に一緒のクラスだったんだけどさ、昼休みに私達が2人で教室で読書をしてたんだけどさ、彼が皆で遊ぼうとしてたんだよね。私達も誘ってきたんだけど、読書がしたいって断ったんだよね。そしたら『読書なら家でも出来るしさ、今は皆で遊ばないか?』って言って強引に手を引っ張ったんだよね。まぁ今日くらいならいいかって感覚でその日はついてったんだけど、それからも彼は私達をよく誘うようになったんだよね。ホントにしつこいくらいに。断っても断っても懲りずに誘って来てたんだよね。」

 

涼風「なので私達も周りの方々に迷惑をかけないように、教室には留まらずに場所を変えて読書をするようにしました。教室の皆さんも彼の行動に疑問を抱いていた方も居たので、無理に誘うのは良くないと言って下さった方もいたそうなのです。」

 

 

その行動をした同級生の奴にはナイスを贈ってやりたい、よく言ったわ。それから天之川、お前は人の気持ちを考えろよ。世界はお前中心じゃねぇんだぞ?迷惑かけてるってのを少しは自覚しろ。

 

 

ーーー街中ーーー

 

 

柊「♪〜」

 

涼風「八幡さん、お次はどちらに行かれましょうか?面白そうなのがまだまだ沢山ありますよ?」

 

八幡「そうだなぁ………「あっ、アレ!」ん?」

 

 

ーーー体験・日本舞踊ーーー

 

 

八幡「日本舞踊?」

 

柊「うん、私達こう見えても踊れるんだよ!しかも資格も持ってるしね!これでも私達、松竹歌舞伎検定1級持ちなんだから!」

 

八幡「マジで?」

 

涼風「舞を舞っていれば、嫌な事があったとしても心を無にして踊れますので。」

 

柊「ねぇねぇ、踊っていいかな?」

 

八幡「それはいいが、人前だぞ?」

 

涼風「お姉様、私はご遠慮させて頂きます。目立ちたくはありませんから。」

 

 

まぁ、涼風は柊とは違って自分から目立つような事はしないしな。人前で踊るような性格でもないしな。まぁ日本舞踊も公衆の面前で踊るような事でもないとは思うが。

 

 

柊「じゃ、私行ってくるね〜!」

 

涼風「お姉様は………八幡さん、客席に向かいましょう。できれば1番前に。」

 

八幡「そうだな。」

 

 

ーーー客席ーーー

 

 

「さぁて、次は誰が踊るんやろな?」

 

「来んのはオバハンとかチビばっかやからな、エラい可愛ぇ姉ちゃんとか来てくれへんかなぁ?」

 

「せやな。」

 

 

コイツ等、下心丸見えじゃねぇか。こんな奴等に柊の姿を見せたくはないが、仕方ないよな………

 

あっ、来た。

 

 

「おっ、メッチャ可愛いやん!」

 

「エラい上玉やんな、おい!!」

 

「お手並み拝見やな。」

 

 

それから程なくして柊が踊り出した。柊が踊るまでは後ろに居る男達の言葉に苛立ちを感じていたが、それも忘れさせるくらいの踊り、いや……舞だった。今まで興味も無かった舞だが、柊の舞を見て純粋に『綺麗』『美しい』と思った。洗練された舞の中に込められた想いが直に伝わっているように感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私だけを見て欲しい。』っと。

 

 

柊「………ふぅ、っと。」

 

涼風「八幡さん、迎えに。」

 

八幡「……っ!あ、あぁ。」

 

 

そして俺は柊を迎えに行く為に最初の受付の所に向かった。

 

 

「あの、是非ウチの門下に来ませんか!?」

 

柊「あの、私そういうのは興味ないので……あっ、八幡君、涼風も!どうだった!?」

 

涼風「相変わらず、お見事でした。」

 

八幡「あぁ、綺麗な舞だった。」

 

柊「ホント!?ありがとぉ〜!じゃあ行こっか!」

 

「あぁ、そんなぁ〜!」

 

 

後ろから何かを惜しむような声が聞こえるが、今の俺達は今日という時間が有限なのだ。修学旅行だから楽しまないと損だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、辛い時間や苦しい時間は長いように、嬉しい時間や楽しい時間は早く過ぎてしまうというものだ。そう、2日目のタイムリミットだ。

 

 

柊「あ〜ぁ、もう終わりかぁ………」

 

八幡「そう言うな、また来れるだろ。その時にまた満喫すればいい。」

 

涼風「そうですわお姉様、今度は私達個人で来れば良いのです。そうすれば、時間を気にせずに楽しむ事ができるのですから。」

 

柊「……そうだね。うん、今度は私達でね!」

 

八幡「じゃ、次に会うのは夕食だな。ないとは思うが、着物で来るなよ?今でさえ2人はかなり目立ってるんだからよ。」

 

涼風「安心して下さい、八幡さん。私がそんな事には絶対にさせませんので。それよりも、八幡さんもそのままの格好で夕食に来ないように気を付けてくださいね?」

 

柊「そうそう、八幡君も気を付けなよ?あっ、もしよかったら今夜着物デートしちゃう?」

 

八幡「悪いが今日の夜は無理だ、分かってるだろ?例の依頼だ。」

 

柊「分かってるよ〜。」

 




皆様、今年最後の投稿です!!

今年もありがとうございました!!
来年からも頑張りますので、よろしくお願いします!!

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