八幡side
ーーー嵐山・竹林ーーー
いよいよ戸部の告白だ。まぁ俺は結果なんて分かり切ってるが、見守る義務ってヤツだ。そしてその隣には雪ノ下と由比ヶ浜、向かい側には葉山も居る。夜で人が少ないからあまり目立たないが、これを昼間にやってたらただの変な奴だよな。しっかしまぁ、戸部の奴………
戸部「………」ガチガチ
超緊張してるじゃねぇかよ………初告白だから仕方ないとは思うが、リラックスしろよ。言っただろうがよ、『告白なんて失敗すると思え。』って。成功を最初から期待する方が、失敗した時のダメージ大きいんだから。
結衣「ねぇ、どう思う?成功するかな?」
雪乃「私は今日の2日目しか彼の行動を見ていないから、それで言わせてもらうけれど、告白が成功する可能性は期待しない方がいいわね。」
結衣「だ、だよね〜……ヒッキー。」
八幡「何だ?何とかしろなんて言われても、俺はする気なんて無いからな?俺達自身の依頼は既に達成してるんだ、後は奴の告白次第だ。」
結衣「で、でもヒッキー旅行中に戸部っちに何もしてないじゃん。」
八幡「したぞ。1日目のホテルで今日の自由行動で行く所のアドバイスをな。それだけでもするのとしないとでは随分違うと思うが?」
結衣「けど……「由比ヶ浜さん、落ち着いて頂戴。そろそろ海老名さんが来る時間よ。」あっ!そ、そうだね。」
雪ノ下、今回ばかりは礼を言う。これ以上ヒートアップしてたら、告白の現場を見守るより面倒な事になってた。てか葉山、何でそんな顔で俺を見る?何もしねぇって言ったろうが。今更そんな顔したとしても手遅れだ。
結衣「っ!来た!!」
「「「っ!」」」
俺達は竹林の道に居る戸部の方に意識を向けた。向こう側には待ってる戸部と、その奥側に海老名さんが居た。
姫菜「戸部っち、話って何かな?」
戸部「あ、あのさ……俺、海老名さんの事が好きです!つ、付き合ってください!」
ほう、ストレートな告白だ………
柊『私は5月頃に八幡君に声を掛けられて、救われました。私は私にとても優しくしてくれる八幡君が好きです!付き合ってください!!』
………思い出す、あの時の事を。けどな戸部、俺のは特殊な環境にあった状況だったから上手く行っただけなんだ。違う未来があるとしたら、俺は柊とは付き合えてない。だから………
姫菜「……ごめんなさい。私、今は誰とも付き合う気がないんだ。だからゴメンね。」
戸部「……そっか、分かったわ。来てくれてありがとだへ、海老名さん。」
姫菜「うん、戸部っちの事は友達として好きだから、これから仲良くして欲しいな。」
戸部「了解っしょ!」
姫菜「うん、じゃあまた明日ね。」
海老名さんはそう言ってから来た方向へと戻って行った。そして戸部もこちらへと戻って来て、俺達の方に顔を向けた。
戸部「ヒキタニ君、雪ノ下さん、結衣………ゴメンッ!折角協力して貰ったのに!失敗したべ!」
八幡「……にしてはスッキリした顔だな?」
戸部「何かさ、途中から気付いたんだ。今の海老名さんはそういう気がねぇって。でも、今日告白したのは3人が協力したのを無碍にしないのと、海老名さんの気持ちを確認する為だべ!!」
………戸部、男だなぁお前は。
八幡「そうか、まぁでもお疲れさん。さっきのお前、カッコ良かったわ。男らしかった。」
戸部「……なんかヒキタニ君から褒められるって新鮮だべ〜!ちょっと気持ち良いっしょ!」
雪乃「お疲れ様、戸部君。ごめんなさいね、あまり協力出来なくて。」
結衣「ゴメンね……」
戸部「いいっていいって!また次に成功させればいいっしょ!それにヒキタニ君から学んだからいいべ、相手の事もちゃんと考えないといけないって!!」
………何だよ、分かってんじゃねぇかよ。ただ騒がしいだけかと思ってたが、次の事も考えられてる。これもまた成長ってヤツだな。
戸部「じゃ、俺先に行くべ!隼人君行くべ!」
葉山「あ、あぁ………」
戸部はスッキリした表情を浮かべ、葉山はホッとしたような表情で山を降りて行った。
八幡「取り敢えずこれで依頼は完了だな、お前等もホテルに戻っとけ。」
結衣「………ねぇヒッキー、ホントにこれで良かったのかな?」
八幡「どういう意味だ?」
結衣「だって、戸部っちはああ言ってたけど、告白には失敗してるんだよ!?ヒッキーは戸部っちに何とも思わないの!?」
八幡「思わない事はないが、アレはアレで俺は良かったと思うぞ。これでアイツも告白に絶対は無いって事が分かっただろ。終わった後のアイツも満足気だったからこれで良いだろ。」
結衣「けど依頼は失敗してるじゃん!!」
は?何言ってるんだコイツは………依頼内容を履き違えてないか?
八幡「由比ヶ浜、俺達が依頼された内容はあくまでもフォロー・サポートだ。内容の中に告白の成功なんて含まれてない。そうだな雪ノ下?」
雪乃「えぇ、最初は告白を成功させたいという依頼だったけれど、比企谷君の説得でフォローという内容に変わったわ。」
八幡「だろ?なのに何故依頼が失敗したという考えになる?まさかお前はこの依頼が告白の成功も含まれている、なんて物凄く壮大な解釈はしてないだろうな?」
結衣「………」
八幡「マジかよ………」
コイツの頭の中はお花畑に桜満開の樹でも咲いてるのか?控えめに言ってもアホ過ぎる。
八幡「由比ヶ浜、依頼の内容を履き違えるな。それとこれは葉山にも言ったがお前にも言っておく。」
結衣「え?」
八幡「俺達は便利屋じゃねぇ。何でもかんでも俺達がソイツの手伝いをしてたら、この部の理念に反する。お前が今回やってたのは、戸部を手助けしている事にはなってるが、戸部の為にはなってない。完全に魚を与えている行動になっているって事だ。」
結衣「………」
八幡「『飢えた人間に魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える。』この部に入る事になった時に、雪ノ下から最初に教わった事だ。自己変革を促させる為に活動をしているという事を忘れるな。」
これで伝わればいいが、コイツの場合は時間が掛かりそうだ。次に何もやらかさなければいいが………
八幡「じゃあ俺も失礼する。お前等も早く帰っとけよ、先生に見つかりでもしたら説明が面倒だし、こんな夜に説教なんてされたくねぇだろ?」
雪乃「比企谷君は?」
八幡「俺は野暮用だ、ついてくるなよ?」
こうしてある意味、1番の面倒事である依頼は無事に完了したのであった。