俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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夜デート

 

 

八幡side

 

 

由比ヶ浜の奴には困ったもんだ。まさか依頼の内容を間違えるなんてな………あれには流石に呆れてしまった。けどまぁ、最後にあれだけ言ったんだ、自覚がなくとも少しくらいまともにはなると………思う。

 

 

八幡「さて、こっちだったな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「あっ、来た来た!おぉ〜い八幡くぅ〜ん、こっちこっち〜♪」

 

 

………どうやらお待ちかねだったようだ。

 

 

八幡「悪い、待たせた。」

 

柊「ううん、いいのいいの!だってこうして来てくれたんだから!さっ、早く行こっ!時間は少ししかないんだから!」

 

八幡「あぁ。」

 

 

ーーー竹林道ーーー

 

 

柊「今の時間じゃ何処も閉まってるから、この竹林を抜けたら帰ろっか。」

 

八幡「俺はこの景色だけでも満足だけどな。京都はまだ2回目なんだ、じっくり回れた方が良いに決まってるしな。それに、此処は柊との思い出の場所でもあるんだ。ゆっくり見ていたいって思うのは自然な事だろ。」

 

柊「……うん、そうだね///」

 

 

柊は俺の方へと近づいて来て、俺の右手を握って来た。振り解く理由もない俺は握ってきた左手を握り返して、そのまま手を繋いで景色を堪能しながら歩いている。

 

 

柊「………依頼は上手くいった?」

 

八幡「あぁ。俺は特に文句はないし、雪ノ下も何も言ってなかったから文句はなかったと思うが、由比ヶ浜がな………」

 

柊「?何かあったの?」

 

八幡「依頼内容を履き違えててな、内容は流石に言えないが拡大解釈をしててな。」

 

柊「わぁ………」ヒキッ

 

 

おぉ、柊が引いてる……どうやら自分が予想してた以上にヤバかったらしい。

 

 

八幡「そんで何故か俺に矛が飛んできてな、内容を履き違えるなって言ってきたってとこだ。あれで分かってくれれば良いんだが………」

 

柊「分からないんじゃないの?だってあの子、見た目と言動で頭悪そうだもん。」

 

八幡「そう言うなって。否定はしないが。」

 

柊「だってそうじゃん。」

 

八幡「お前、由比ヶ浜の事少し嫌いになったか?少し刺々しい言葉遣いになってるが?」

 

柊「だって八幡君に文句言ったんでしょ!?しかも自分が1番頑張ってました的な言い方をしてさっ!!彼女って何様なのかな!?」

 

八幡「ははは………まぁこの話はもうやめようか?折角こうして景色を楽しみながら散歩してるんだからよ。こんな話をしてたら空気も悪くなる。」

 

柊「……そうだね。あっ、あそこに休憩スペースあるから、あそこで座りながら見ようよ。」

 

八幡「あぁ、そうだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「ねぇ、帰ったらどうしよっか?」

 

八幡「家族にお土産渡して、休日は休むか柊と出掛けるか、火曜日から学校に行って、金曜日に学校が終わるから「それでそれで!?」………夜十神家に泊まれるか聞くとか?」

 

柊「それが良いよ!!来週の金曜日は泊まりに来てよ!!お父さんもお母さんも宮間さんもきっと喜ぶからさっ!!」

 

八幡「で、1番喜ぶのは?」

 

柊「……えへへ、私♪」

 

八幡「だろうな。」ナデナデ

 

柊「んっ♪……ふふふっ、八幡君からのナデナデ、なんか久しぶり!嬉しいなぁ………」

 

八幡「確かに久しぶりだな、相変わらずサラサラしてるんだな。お前の髪。」

 

柊「手入れは欠かしていませんから!」

 

八幡「みたいだな………」

 

柊「………」

 

八幡「………」

 

柊「また、此処で………やっちゃう?」

 

八幡「2年待ったんだ、解禁祝いで此処から始めても良いと思わないか?」

 

柊「ふふふっ、そうだね♪じゃあ、八幡君………」

 

八幡「柊………」

 

 

誰もいない……この静かな雰囲気で出来るのは幸せな事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天之川「そこの君っ!!柊に何をしてるんだ!!」

 

 

………誰だ?

 

 

天之川「今すぐ離れろっ!!」

 

 

ガバッ、ドガッ!!

 

 

八幡「うおっ!?」

 

柊「は、八幡君!?」

 

天之川「ダメだ柊、彼は危険だ、近づいてはダメだ!!俺が守るから後ろに下がるんだ!!」

 

 

いっつ………アイツ確か昼間にこの竹林で出くわした、名前は……確か、天之川?

 

 

八幡「お前、人の事を突き飛ばしておいて何なんだ?それにいきなり「君は黙っていてくれ!柊に迫った強姦魔めっ!!」……おい、俺には何の弁明もさせてくれないのか?」

 

天之川「君が柊に無理矢理迫っていたのなんて明白だ!!そもそも君は昼の時も「退いて!!」っ!?ちょ、柊!!彼に近づいたら危険だ!!」

 

柊「八幡君、大丈夫!?怪我はない!?」

 

八幡「あぁ、大丈夫だ。突き飛ばされただけだからな。それよりも………おい、お前いきなり現れて人の事突き飛ばしておいて何なんだ?」

 

天之川「君が彼女に迫っていたからだろう!!昼の時といい今夜といい、いい加減に彼女に付き纏うのはやめるんだ!!」

 

 

コイツ、アレか。涼風の言ってたご都合解釈ってヤツか。こちらの事情も聞かずに自分の中だけで解決してるって事か………面倒な奴だ。そして自分が1番の正義って思い込んでる。

 

 

八幡「付き纏う、か………これを見てもそう思うのか?俺は柊には何もしてないぞ?それでも俺が柊に付き纏ってるって言いたいのか?」

 

天之川「君が脅しているんだ!!そうでなければ彼女が君の元に行くはずがない!!」

 

八幡「………もう話にならないな、俺達はもう行かせてもらう。行くぞ柊。」

 

柊「うん。」

 

天之川「待つんだ!!柊を連れて行かせる訳には「お前いい加減黙れ、しつけぇんだよ。」な、俺は柊を助けようと「八幡君早く行こうよ。」ま、待ってくれ!!ダメだ柊、危険だ!!こっちに来る「嫌っ!!」っ!?」

 

八幡「柊、お前まさか………」

 

柊「八幡君、早く行こ?私の前から凄く嫌な空気を感じる………」

 

 

やっぱりか………柊には既に天之川が見えていない。奴は【幽霊】になったんだ。

 

 

八幡「……天之川、これ以上は柊に近付くな。」

 

天之川「な、何故そうなるんだ!?「○○中学の同級生の誰かに知り合いはいるか?」………いる。だがそれが何だ!?」

 

八幡「ソイツ等に中学の事を聞いてみろ、夜十神柊についてな。そうすれば今のお前がどうして柊から避けられているのか、すぐに分かる。」

 

天之川「なっ、そんな筈は「近寄るなっ!!」っ!!?」

 

八幡「近付くなと言った筈だ。今柊に近付けば、俺も流石に我慢は出来ない。」

 

天之川「………」

 

 

とんだ夜になった………流石にこのままは返せない。ホテルで落ち着くまで宥めないとな。

 

 

 

 

 

 

 


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