俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

82 / 300
2日目の終わり

 

 

八幡side

 

 

3人で平塚先生の部屋から出て、同じ階にある生徒指導用の部屋に向かう途中で涼風と別れた。まだ不安そうな表情を残す涼風に対し柊はぎこちないながらも笑顔で涼風を送り出した。

 

涼風がエレベーターに乗り込んで見えなくなってから、俺達も部屋へと向かった。

 

 

八幡「けど良かったな、一緒にしてくれて。」

 

柊「うん、私も今は八幡君と一緒の方が安心する。涼風もそうだけど、男の子だからかな……」

 

八幡「なんで声掛けたらいいか分からんが、嵐山からずっと一緒だったからな。同じ相手の方が安心感が湧くんじゃないのか?多分。」

 

柊「私は八幡君だからだと思うなぁ。だってそうでなければ、私が他の男の人にこんな事する筈が無いもん。八幡君だけだよ、こんな風に自分の身体を預ける事が出来る男の人は。」

 

 

まぁ曲がりなりにも彼氏だからな。彼女がこんな目に遭ってるのに、知らんふりする彼氏なんている筈がねぇだろ。

 

 

八幡「まっ、今は早く部屋に行って休むとするか。あっ………柊、風呂どうする?もう時間も過ぎてるだろ?大浴場は使えないから部屋のがあったらそこにするか?」

 

柊「うん、私はそれでいいよ。」

 

八幡「分かった………おっ、○○□号室って事は此処だな。じゃあ入るか。」

 

 

俺は部屋の鍵を開けて中へと入る。間取りは俺達学生が止まってる部屋よりも狭いから2人か3人用の部屋だ。まぁ俺達には丁度良いだろう。

 

 

柊「じゃあ……どうしよっか?」

 

八幡「あったかい水が出るなら、風呂かシャワー浴びて来てもいいぞ。俺はその間に布団とか敷いとくからよ。」

 

柊「………」

 

八幡「……ん?どうした?」

 

柊「あの……一緒に入る、のはダメかな?」

 

八幡「っ!!?」

 

 

い、いいい一緒にっ!?アイツ何を言って……いや、今の柊のメンタルからして俺と一緒に居たいと思うのは当然だとしよう!だが………一緒に風呂に入るのはダメだ!!流石に倫理的に考えて不可能だ!!ここは断るしかない!

 

 

八幡「いや、流石にそれは……な?/////」

 

柊「う、うん……だよね。私も流石に裸を見られるのは恥ずかしいから………今のは忘れて?/////」

 

八幡「お、おう………/////」

 

柊「………/////」

 

八幡「………/////」

 

 

ち、沈黙が気まずい………

 

 

柊「じ、じゃあ私お湯が出るかどうか確認するね。八幡君はお風呂かシャワーどっちが良い?」

 

八幡「……俺はどっちでも。柊の好きな方にしろ。俺は文句なんて言わねぇからよ。」

 

柊「……ありがとう、八幡君。」

 

 

………俺も布団敷くか。

 

それからは柊が気を利かせ、風呂を用意してくれた。何とも自分が不甲斐ないと思ってしまう。気を利かせるどころか、柊に利かせてしまうなんてな。けど、柊の表情にも少しずつ余裕が出てきたように感じる。

 

 

柊「八幡君、お風呂先に………」

 

八幡「ん、分かった。俺もその内したら入る………どうした、急に固まって?」

 

柊「………八幡君、今日は一緒の部屋だよ?」

 

八幡「あぁ、知ってる。」

 

柊「なのに、これは何?」

 

 

柊が指差したのは、俺の敷いた布団だった。けど何かあるのか?位置?いや、そんなのはどうでもいいよな?え、何だ?

 

 

柊「私八幡君とくっついて寝たい!だから布団を離したりしないでよ………」

 

八幡「あ、あぁ済まん!うっかりしてた、悪い。」

 

柊「ううん、八幡君も無意識だっただろうし、もう気にしてないから。」

 

八幡「柊のケアの為に2人部屋にしてもらったのに、今のだと意味が無いよな。」

 

 

迂闊だった……俺も少し柊に気を利かせないと。でないと一緒にしてもらった意味が無い!

 

 

柊「八幡君もお風呂に入ってきなよ。多分今は頭が落ち着いてないでしょ?私もそうだけど、あんな事が起きた後だから思考がまだ充分に働かないんだ。私も今は兎に角八幡君と一緒に居たいって大雑把な事しか考えられないから。」

 

八幡「………分かった、俺も少し風呂に浸かってリラックスしてくる。」

 

柊「うん、行ってらっしゃい。」

 

 

思考が充分に働いてない………そうかもしれないな。就寝時間が迫ってるのに、こんな事を思うのもおかしな事だが、今はそうも言ってられないしな。俺も風呂に入って気持ちを落ち着かせよう。

 

 

ーーー入浴後ーーー

 

 

風呂から上がった俺は柊と2人用の椅子に座りながら、外を眺めている。因みに少しだけ窓を開けて。柊は俺の肩に頭を乗せ、俺は後ろから手を回してその頭を撫でている。少し湿り気のある髪は撫でづらくもあるが、まだ乾き切っていないからか、逆にいつもより艶やかに見えている。

 

 

柊「………」

 

八幡「………」

 

 

特に話す事も何も無いので無言の状態が続くが、俺達はこれが苦だと思った事は無い。寧ろ落ち着くと言ってもいい。前からそうだった、特に話す内容が無い時は柊が俺の肩に頭を乗せ、俺がその頭を撫でる。こういう時の柊は決まって身体だけでなく、全ての力を抜いているのだ。

 

 

八幡「………」

 

柊「……ねぇ、八幡君。」

 

八幡「ん?」

 

柊「今回の件、どうなると思う?」

 

八幡「どうなるってのは?」

 

柊「このまま終わると思う?」

 

八幡「………多分ならないと思う。他校の生徒同士で問題を起こしたとなれば、必ずぶつかり合いが起きるだろう。アイツが余程の問題児でなければ話は別だが、そうはならないだろうな。」

 

柊「……そうだよね。」

 

八幡「俺もおじさんとおばさんに連絡はしちまったからな、当然問題にはなるだろう。けど、柊が心配する事じゃない。俺がなんとかする。」

 

柊「八幡君………」

 

八幡「つっても、俺に出来る事なんてたかが知れてるけどな。」

 

柊「………ううん、そう言ってくれるだけでも凄くありがたいし、凄く嬉しい。私、八幡君に守られてるんだなぁって分かる。ありがとう、八幡君。」

 

八幡「………あぁ。」

 

 

それから程なくして就寝時間となったので、俺と柊は布団に入って眠りについた。この時、布団を2つ用意したのだが、5分も経たない内に柊が俺の布団に入ってきたのは気にする事では無いだろう。

 

 

 




お休みなさい八幡、柊。ゆっくり休むんだよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。