俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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真実を知るも………

 

 

天之川side

 

 

俺は修学旅行で小学生の頃に仲の良かった柊と涼風と再会した。けど2人は何処か余所余所しかった。様子がおかしいとは思っていた、だがそれは目の前の男の影響だとすぐに分かった。名前は知らないが、目の特徴的な野暮ったい男だった。2人は八幡と呼んでいたが、そう呼ばせているに違いない。その夜に嵐山を散歩していた俺は、偶然柊を見つけた。だがその隣にはまたもアイツが居た。そしてベンチで座ったかと思ったら、急に柊を抱き寄せて顔を近付けた。

 

俺は我慢の限界だった。まさか無抵抗の柊に迫るとは思っても見なかった。何故か奴を心配する柊が居たが、奴は許されない事をしたんだ。罪に問われるべきだった。だが後ろにいた柊が真っ先に彼の元に駆け寄った。何故あんな事をしたのか分からなかった。それからアイツは俺に『突き飛ばしておいて謝りもしないのか』『自分は何もしてないのに付き纏っていると言えるのか』やらと言い訳を言い始め、口論が話にならないと言ったアイツは柊を連れて行こうとした。

 

当然俺はそれを阻止した。だが柊もそれを邪魔してきた。俺は助けようとしているのに………しかも、俺が柊の手を取ろうとしたら、彼女は突然大声で『嫌っ!!』と叫んでアイツの後ろに隠れた。そしてアイツは俺に『柊に近づくな』と告げて『○○中学の奴に夜十神柊について聞け』と言って去ろうとしたが、俺が1歩前に出ただけで彼は突然怒り出した。柊に近づく事を恐れていたのだろう。流石に俺もこれ以上騒ぎにはしたくなかったから、そこからは何もしなかった。

 

 

だがこれでもっと確信が持てた。アイツは柊を脅している。そして柊もアイツに脅されているんだ!あの拒絶も悟られないようにする為の演技だったに違いない!何をされるか分からないから、あんな事を言ったんだろう。柊、なんて可哀想なんだ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが大丈夫だ、必ず俺が救って見せる!!

 

 

女子「光輝君久しぶり〜!元気だった?」

 

天之川「あぁ、本当に久しぶりだな!俺は元気だったよ、君は?」

 

女子「元気元気!光輝君とこうやって会って話すのも久しぶりかも〜♪」

 

男子1「おいおい俺達も居るんだが?無視ですか?」

 

天之川「忘れてないよ、久しぶりだな。」

 

 

俺は奴に言われた通り、○○中学の友達と再会している。当然ワケを聞く為だ。

 

 

男子1「んで、俺達に話ってなんだよ?」

 

男子2「光輝の為なら何でも答えるぜ。」

 

女子「そーそーっ♪それで、どうしたの?」

 

天之川「あぁ、夜十神柊さんについて聞きたいんだ。教えてくれないか?」

 

『………………』

 

 

………な、何だ?何で皆固まってるんだ?

 

 

男子1「なぁ光輝、それ誰に聞いたんだ?」

 

天之川「え、どうして?」

 

男子2「俺達○○中学じゃあそれは禁句にしてんだ。俺等が3年だった頃の1年や2年もその名前を出す事は禁止にしてんだ。」

 

女子「うん、私達は取り返しのつかない事をしちゃったから。彼女に。」

 

天之川「……一体何があったんだ、教えてくれないか?」

 

男子1「光輝、もしそれを好奇心で聞いてんなら答える気はねぇぞ。俺達だってあの時の1年は人生で1番後悔した1年なんだ、興味だけで聞いてんのならやめてくれ。」

 

天之川「俺は八幡って男の奴に聞けって言われたんだ。」

 

男子2「比企谷にっ!?」

 

天之川「知ってるのか?」

 

女子「知ってるも何も、比企谷君も私達と同じ中学だったから。それに夜十神さんがよく……ううん、いつも側に居たのが比企谷君だったから。」

 

 

ど、どういう事だ?

 

 

天之川「聞かせてくれ!俺はその時の状況を知りたいんだ!」

 

女子「……どうする?」

 

男子1「いや、でもなぁ………」

 

男子2「うぅん………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男子1「分かった、教える。」

 

天之川「っ!本当か!」

 

女子「うん。でも私達は教えるだけだからね?質問とかは受け付けないから。」

 

 

それから彼等は俺に中学で起きた事を説明してくれた。柊が告白されたのを知り、怒りが湧き上がったのかは知らないが、その女子は【幽霊ごっこ】というのを始めて、柊を避けた。それに興味を持った生徒が続々と参加し始めて、彼女は孤立してしまった……とても酷い話だ。だがそれから1ヶ月くらいが経ち、アイツ比企谷が急に柊と親しくなって常に行動するようになったとか。それから少ない数の生徒が謝りに行ったのだが、柊には全く取り合って貰えず、比企谷に頼むも門前払いさせられたとか。

 

 

男子2「そして卒業近くなってから比企谷が俺達との仲を取り戻そうとする気はないのかって夜十神さんに聞いたんだよ。」

 

天之川「あ、あぁ………」

 

男子2「そしたら夜十神さん、特に何も無いかのように淡々と言ったんだ。『頭を下げられようと、泣いて謝られようと、そんなのもう知った事じゃない。勝手に何回も無意味に謝ってればいいって思う』って。」

 

天之川「………」

 

女子「そして私達は卒業。彼女達の進学先は分からないけど、頭良かったから総武高とかに行ってると思う。分かんないけど。これが中学3年の事実だよ。」

 

天之川「そんな事があったのか………」

 

男子2「あぁ、じゃあ俺はもう行くわ。流石に遊ぶ気分になれねぇしな。」

 

女子「うん、私も行くね。」

 

男子1「じゃあな光輝。」

 

天之川「………」

 

 

そんな事があったなんて………確かに彼等も酷い事をしたとは思う。だが今は反省してるみたいだから、それを問い詰めるのは違うな。だがそれ以上に酷いのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

比企谷だ。

 

 

アイツはどんな手段を使ったかは知らないが、柊と仲良くなった。そこまではいい、だがここからだ。その先からは柊を独占していた。謝りに来ていた生徒もいたのにそれを突っぱねたんだ。彼等は柊が取り合ってもらえなかったと言っていたが、裏で比企谷がそうさせていたのだろう。そして自分もそれがさも当然かのように仲裁を取り持たなかった。

 

そして卒業間近のあの質問だ。あれはクラス全員に仲を取り持つ事を無駄だと分からせる為にやった芝居だろう。きっと柊も断腸の思いだったに違いない………本当はもっと仲良くしたかった筈だ。

 

 

だからこそ許せない………柊をあんな風に脅しながら自分に従わせている比企谷が!!

 

 

天之川「俺は絶対に許さないぞ!!」

 

 

 





知ってもこの自分都合解釈………いやはや流石っす。


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