俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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視線の紛らわしに

 

 

八幡side

 

 

平塚先生との話も終わって教室に向かっている俺達3人。だが俺は少しだけクラス内の雰囲気が不安である。いや、俺の杞憂かもしれないが、あの告白の後だろ?葉山ん所のグループがギスギスして、クラスの雰囲気が悪くなってたりしないかって事だ。そして俺はもう決めている、もう葉山関連の依頼は絶対に受けないと。だってアイツが来ると面倒な事しか持って来ないだろ?チェンメがそうだ。お前等で解決しろよって思ったもんだ。告白の件だって元を辿れば、アイツが問題先延ばしにして引っ張ってこなれけばこんな事にはならなかったんだ。いや、別に俺が後悔してるわけじゃねぇんだけどな?

 

 

柊「八幡君、どうかしたの?」

 

八幡「ん?あぁ、クラスの雰囲気大丈夫かなって思ってただけだ。」

 

涼風「告白の依頼の後ですからね。ですがそれは当人同士の問題です、八幡さんは関係ありません。」

 

八幡「俺は気にしない方向で居るんだが、文句を言ってきそうな奴が居るんだよなぁ………」

 

 

その2人は言わなくても分かるだろ?

 

 

柊「葉山君と由比ヶ浜さん、だよね?」

 

八幡「御名答。しかも由比ヶ浜は俺が教室に入った途端に突っかかって来そうな予感がしてならない。揉め事は好きじゃねぇんだよ。」

 

柊「まぁ教室に入ってみないと分からないよ。」

 

 

ーーー2-F組ーーー

 

 

涼風「何かお話をしながら入りましょう。例えば………あっ、そうです、父がまた新しいのを見つけたらしいんです。その話題をしましょう。」

 

柊「オッケー!」

 

八幡「了解。」

 

 

そして俺は教室の扉を開けて、中へと入った。

 

 

柊「八幡君は何だと思う?」

 

八幡「新しいのだろ?それって飲食物なのか?それとも衣類とか、家電とか?」

 

涼風「飲食物ですよ。けれど八幡さんは食べた事は1度も無いと思います。」

 

八幡「なんでそう言えるんだ?」

 

柊「お父さんが『今度八幡君が家に来たら、絶対に食べさせるんだ!』って機嫌良さそうに言ってたのを偶々聞いてたから。」

 

 

おじさん、娘達に盗み聞きされてますよ?いいんですか?情報が筒抜けですよ?

 

けど、やっぱり後ろから視線を感じるな。多分由比ヶ浜だな、俺、知ーらねっ。そんな事よりも………

 

 

八幡「じゃあ………チョコとか?」

 

柊「あっ、少しだけ前進っ!」

 

八幡「じゃあ……ホワイトチョコ?」

 

涼風「それだと変わっていませんね………」

 

八幡「?………チョコビスケット?もしくはチョコクッキーか?」

 

柊/涼風「遠くなった(なりました。)」

 

 

えぇ〜………何だ?

 

 

八幡「………アイス?」

 

涼風「あっ、一気に近づきました!!」

 

柊「良い線来てるよ〜!もう一息!」

 

八幡「アイスでもう一息?ならジュースとかの液体ではないんだな?」

 

柊「おぉ〜………」

 

 

え、何その反応?気になるんだけど………

 

 

涼風「えっと……八幡さんの質問に答えますと、両方に近い感じ、ですね。」

 

八幡「何だそりゃ?アイスみたいでジュースみたい?いやもっと分からんって。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………分からん、降参だ。

 

 

八幡「降参だ、教えてくれ。」

 

柊「ふっふっふ………八幡君もまだまだだね〜?勉強不足だよ?」

 

八幡「個体でも液体でも近い食い物なんて分からん。そんなのあるのかよ。」

 

涼風「ふふふっ、では正解です。正解は………ヴェリーヌという料理でした。」

 

八幡「ヴェリーヌ?」

 

涼風「はい。きっと八幡さんも食べた事はなくとも、画像とかで見た事くらいはあると思いますよ。脚のないガラスの小さめの器に液状、固形の料理を入れた物です。デザートに近いですね。このようなものです。」

 

八幡「………あぁ〜こういうのか。これをヴェリーヌっていうのか。」

 

柊「お父さんがね、欧州の支社で何か探してたら見つけたみたいなんだ。それでこっちに取り寄せて、ウチの社で販売してるんだ。あっ、勿論八幡君の分は家にあるから安心してね?八幡君はタダだから♪」

 

八幡「それっていいのか?俺だけ何も払わずに食えるのはありがたいが、何か礼をした方がいいんじゃないのか?」

 

涼風「むしろそう思われているのはお父様のようでして、『娘を守ってくれた八幡君にはこれじゃ足りないね!けど八幡君はあまり物欲ないし、どうしようかなぁ。』っと、頭を悩ませていましたから。」

 

 

おじさん、俺みたいな人間にそんなに頭を捻らないで下さい。俺なんてそこらで売ってるお菓子とか、マッ缶とかくれれば充分ですから。

 

 

涼風「八幡さんはどんな味が好みですか?」

 

八幡「そう言われても、ヴェリーヌにどんなのがあるのか分からないから一通り教えてくれないか?」

 

涼風「そうですね………先程八幡さんが仰られたチョコは定番ですね。他にもフルーツや飲料系、野菜も使われていて、林檎、梨、蜜柑、苺、メロン、キウイ、葡萄、桃、マンゴーベリー類、紅茶、抹茶、チーズ、牛乳、豆乳、コーヒー、ヨーグルト、お豆腐、アボカド、生クリーム、食材を上げてもキリがない程の種類があるんです。今あげた食材や他にもまだある食材とで、層を作って食べるのもヴェリーヌの特徴ですね。1種類のヴェリーヌはありますが、基本は数種類の層で食べる一品のようです。」

 

八幡「そんなにあるのかよ………俺、もう何があるのか忘れたんだけど。」

 

柊「大丈夫だよ八幡君、私も覚えてないから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





八幡「……あれ、なんか忘れてるような。」

柊「気にしなくてもいいんじゃない?」

八幡「……それもそうだな、忘れるって事はそんな大した内容でもないだろ。」


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