俺、実は彼女がいるんだ………   作:生焼け肉

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2人の邪魔者

 

八幡side

 

 

授業終了の合図である鐘が鳴り、ついに帰る時間となってしまった。俺達にとって1番来て欲しくない時間である。けど早く帰ればアイツにエンカウントする可能性だって低くなる。よし、挨拶が終わったら時間を掛けずに即校門まで行こう。そして車に乗ってさようなら、これで行こう。

 

 

八幡「柊、涼風。HRが終わったらすぐに校門に向かって車に乗り込もう。その方が出会う確率は低くなる。幾ら学校が少しだけ近いからといってすぐに帰れば出会いはしないだろう。」

 

柊「そうだね……うん、わかった。」

 

涼風「分かりました。」

 

 

そしてHRも滞りなく終わって帰りの挨拶も済んだ。そして今は廊下に居る。よし、これで漸く「ヒキタニ君、少しいいかい?」………誰だよこのクソ忙しい時に。

 

 

葉山「少し話があるんだ。」

 

八幡「俺には無い。それと俺達急いでるんだ。悪いがまた今度にしてくれ。」

 

葉山「……今でないとダメなんだ。」

 

八幡「また面倒な事を言うんじゃねぇだろうな?」

 

葉山「………」

 

 

図星、か………

 

 

八幡「修学旅行の時にも言ったよな?あの部活は便利屋じゃねぇってよ。部活でなければ迷惑をかけてもいいなんて理由は何処にもねぇぞ。」

 

葉山「違う、そういうのじゃないんだ。」

 

八幡「じゃあ何だってんだよ。」

 

葉山「……ここじゃ話しにくい。」

 

 

コイツ、俺から時間取る気満々じゃねぇか!あの面倒な依頼を間接的に持ってきただけでなく、まだ何かあるのか?こいつマジでいい加減にしろよ………

 

 

八幡「言ったよな、急いでるって。今の時間を取らせる気満々の一言なんだよ?」

 

葉山「………」

 

八幡「頼むからもう俺の所に面倒な事を持って来るな。言われるのが嫌ならお前で解決しろ。グループのゴタゴタもこれ以上、奉仕部にも持ち込むな。」

 

葉山「………結衣の事なんだ。」

 

八幡「由比ヶ浜?」

 

葉山「最近元気がないから。俺も皆もなんとかしようとはしてるんだけど、あんまり上手くいってなくて………」

 

八幡「………それで?」

 

葉山「君なら何とか出来るんじゃないかと思って、相談しようと思ったんだ。」

 

八幡「………結局時間食っちまった。急いで帰る事もできなかったじゃねぇかよ。いいかよく聞けよ、由比ヶ浜がああなったのは全部アイツの自業自得だ。戸部の依頼を受けたはいいが、どういう訳かアイツは内容を履き違えた。そしてアレだ。言っておくが俺は知らねぇからな、全部アイツが蒔いた種だ。そんな事の責任取りなんてしたくねぇんだよ。」

 

葉山「そんな言い方しなくてもいいんじゃないか?同じ部活の仲間だろ?」

 

八幡「俺はあの部の奴等を仲間だなんて思った事はほんの僅かしかねぇぞ。つまり今は思ってないって事だ。ただ部活が同じなだけの同級生程度だ。」

 

 

それに、次でラストチャンスだしな。

 

 

葉山「ヒキタニ、君は………」

 

八幡「念の為もう1度言っておく。あの部活は便利屋じゃねぇ。俺もそうだ。由比ヶ浜がどうこうなろうと言おうと、俺にはどうでもいい。それが気に食わないからといって何かしようものなら、俺は容赦しないぞ。」

 

葉山「………」

 

八幡「はぁ……結局こうなるのか、何で俺が自主的に行動しようとすると何かが阻むようにやって来るんだよ。マジで勘弁してくれよ。」

 

 

もしかしたら校門前に陣取ってるかもしれない。そうなったら柊は終わりだ。こうなったら………

 

 

ーーー玄関ーーー

 

 

八幡「………」

 

柊「………」

 

涼風「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天之川「………」

 

 

居るぅ〜超居るぅ〜。しかもなんかお友達連れてね?何アイツ?お友達も巻き込むつもりか?どんだけ事を大きくするつもりだよ。俺アイツの事、一生理解出来そうにねぇわ。

 

 

涼風「八幡さん………」

 

八幡「大丈夫だ、策なら考えてある。柊、涼風、お前達は俺が行って奴等の注意を引いている間に車に乗って帰れ。もうこれしか無い。」

 

柊「えっ!?で、でも!」

 

八幡「柊を怖い目に遭わせる訳にはいかない。お前の事だ、あの場所に人影でも見えてるんだろ?」

 

柊「………うん。」

 

八幡「だからこそだ。俺が1人なら奴等だって俺に注意が行く筈だ。その隙を狙え。」

 

涼風「………お姉様、ここは八幡さんの言う通りに致しましょう。」

 

柊「っ……涼風。」

 

涼風「今日はこれ以外に方法が分かりません。私にも思いつきません。とても心苦しいですが、八幡さんに彼等のお相手をお任せするしか………」

 

柊「………」

 

 

柊が俺の方をじっと見てくる。その表情はとても不安そうで、今にも泣き出しそうな顔をしていた。

 

八幡「俺なら大丈夫だ、お前の彼氏を信じろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柊「……分かった、八幡君にお任せする。けど約束して!絶対に無理はしないで………ダメだと思ったらすぐに帰ってきていいから。」

 

八幡「分かった、約束する。まぁ俺が約束をしたとしても、あいつが俺を解放してくれるとは思えないけどな。まぁやるだけやってみる。それじゃ、行ってくる。」

 

柊「八幡君………」

 

涼風「お気をつけて………」

 

 

はぁ………身体を張るなんて事、出来ればしたくはないが、これも柊の為だ。いっちょやるか。

 

 

八幡「………」

 

天之川「っ!!止まれ、比企谷八幡!!!」

 

 

さて、少し付き合ってもらうぞ。

 

 

 

 

 

 




葉山、君マジでさぁ………

天之川、ホント君さぁ………

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