【一発ネタ】無残様はオリ主系の評価に対して会議(パワハラ)したい様です   作:下弦の壱『作者』

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無残様はオリ主系の評価に対して会議(パワハラ)したい様で

──無限城

 

そこは鬼の始祖たる鬼舞辻無惨の根城で有る。

城内は血鬼術によって空間を歪められており、足を運ぶ者すら殆ど居ない為に鬼舞辻無惨とその側近の鳴目以外は簡単に道に迷ってしまうだろう。

そんな場所に、下弦の鬼が全員招集された

その事に下弦の鬼達は動揺を隠せずにいる。それは無論、暴虐邪智を体現したような己の主への恐怖心であった。

 

ベンと、静寂に満たされた城内の拮抗を破る音が鳴り、下弦の鬼は一人残らず音の出処に意識を向ける。

上座に佇まう一人の女、本来ならば鬼の棟梁たる鬼舞辻無惨が居なければならない席。

その異常に気が付いた鬼達の視線がぽつりぽつりと、女へと移り変わって行く。

 

──何だ…この女…?

 

そう疑問に思うと同時に、女の口が開いた。

吐息が漏れ、心臓を素手で掴まれたと錯覚するような感覚を覚える

 

「頭を垂れて蹲え、平伏せよ」

 

その声が、響いた。

僅かに遅れて下弦の鬼達はその身を地へと打ち付ける。

躰を動かしたのは恐怖で、感じるは畏怖。耳が感じた声は  確かに『鬼舞辻無惨』の物だった

緊張感と畏怖感が下限達を支配する。呼吸が覚束ない、汗が溢れる、体を駆け巡る血の細胞一つ一つが震えだす。

 

「申し訳ございません…以前と姿も気配も異なっていらしたので」

「誰が話して良いと言った?貴様の下らぬ意思を言うな、私に聞かれた事にのみ答えよ」

 

一人の鬼が弁明するように口を開き辿々しい言葉を出したが、それが却って無惨の機嫌を損ねたようである。

ヒィと小さく呻きと叫びが混ざった声を出しかけたが、直ぐに口を閉じる。

そうして暫く、完全に沈黙したのを確認すると無惨はようやく口を開いた。

 

「私が問いたいのは一つのみ」

 

体がぎゅうっと縮こまる。

これから無惨は言うことによって自分達の命運が左右されるのだ、緊張するなと言うのが無理な話かもしれない。

たった一人を覗いて、下限の鬼達は負の感情を膨らませながら耳に神経を集中させた。

 

「何故に下弦の鬼はオリ主系の二次創作に低評価をするのか」

 

「つまなかったから、それで終わりでは無い。これから面白くなる始まり」

 

「ここ数年上弦の顔ぶれは変わらない、どんな地雷や文字数制限があろうとも正当な評価を付与してきたのは常に上弦の鬼達だ」

 

「しかし下弦はどうか?何度タグだけで判断した?」

 

鬼舞辻無惨が話しているのは恐らく、二次創作をメインとした小説投稿サイト『ハーメルン』の事だろう。

無惨はこのサイトに平安時代からハマっており、十二鬼月も全員使用している。

 

「(そんな事を俺達に言われても…!)」

 

些か理不尽ではないか、下弦の鬼の一人は不遜にもそう思ってしまった。

軽く流し読みしてつまらなかったから低評価を付けたのだ、それに読んで感じた事を率直に数字で表して何が悪い?

 

「そんな事を俺達に言われても…何だ?」

「(不味い…!思考が読めるのか!?」

「何が不味い、言ってみろ…!」

 

そう無惨は部下の思考を読むことが出来る。

自身の血を分け与えた鬼への『呪い』に似た効果が強く作用している。

無惨はその不遜者を摘み上げて上へ上へと持ち上げる。言ってみろとは言っただ言わせる気は毛頭ない。

 

「お許し下さい!お許し下さいませ!鬼舞辻様、どうかお慈悲を!」

「そもそも、流し読みだから面白い部分を読み飛ばしているのだ」

 

 

グシャアアァ!!

 

 

下弦の陸は謝罪の言葉を受け入れられず、身を無惨に喰われた。

それを見た残りの鬼達はサーっと顔を青ざめさせる。

無惨様はご立腹だ、もしも間違えた受け答えをすれば殺されるだろう、生き残るにはこの問答で無惨様を納得させるか許されるかしかない。

 

「お前は何時も、タグにオリ主が付けば1評価を入れているな?」

 

次のターゲットとなったのは下弦の肆、下弦の中で唯一の女性ではあるが無惨にとっては関係が無いらしい。

次なる問を掛けられた下弦の肆は体を震わせながら声を振り絞る

 

「いいえっ!」

「そして原作こそが最高だとおもっている」

「いいえ!思っておりません!私は中身を加味して評価をしております!…原作好きなのは認めますが…」

「そんなにも原作が好きならば原作だけを読んでいろ、原作に並べぬ二次創作を否定するな。それと私の言うことを否定するのか?」

「あぁ…」

 

 

ドシャアアァ!!

 

 

こうして二人の下弦の鬼が無限城の染みと消えた

そのやり取りを見ていた下弦の参は脂汗を垂らしながら必死に思考する。

 

「(もうダメだ…お終いだ…大量の低評価がバレたら殺される…)」

 

下弦の参は読書家だ、常日頃は著名な作家の著書を読みながら生きてきた

そんな参にとってハーメルンの作品の多くは読むに堪えない物に感じていたのだ。その結果に残った大量の☆1評価のマイページを見れば殺されるに違いない。

 

「(なら…逃げるしか…!)」

 

そう思い付いた下弦の参は無限城内の歪みに歪んだ空間を駆ける。

空に浮いた足場を強く踏み、前へ前へと進む推進力に変える。

 

「(今からでもハーメルンを退会すれば…)」

 

そう思考しながら足を懸命に動かす中、下弦の壱と目が合う。

 

「(愚かだなぁ…)」

 

下限の壱の瞳は確かにそう語っていた。しかし声に出す余裕は無い。

前へ前へ進め、下弦の参!どんなに打ちのめされても守る者が有る

そんな慈しい炭焼の息子の歌を思い浮かべながら死力を尽くす──が

 

「そもそも二次創作の趣味小説と本業の作家様を比べる事が間違っているのだ、それならば書店でプロの本を購入しろ。それに評価は1と9以外にも有るのだぞ?」

「(やられているっ…!?)」

 

何時の間にか自分の体は無くなっていた。

無惨の自分の生首を掴まれ、死ぬのも時間の問題だろう。無惨は心底興味無さそうに其処らへと投げ捨てる。

まだ僅かに意識の残る下弦の参は生を諦め、精々残りの鬼達の死に様を冥土の土産にしようと網膜に力を入れる。その表情は虎もかくやという表情であった。

 

「最早十二鬼月は上弦だけで良いと思っている。正当な評価が出来ぬ下弦は  解体する」

 

遂に無惨は解体を明言にした。事実上の死刑宣告とも言える

しかし、そんな中でも下弦の弐は諦めない。自分の生を繋ぐ為に生きる道を探し続ける

 

「最後に言い残す事はあるか?」

「私は…私はまだお役に立てます…!」

 

下弦の弐は服従の道を選んだ。

自身を生かす事のメリットを売り込み、その場繋ぎになろうとも命を続ける事を選んだのだ。

これでも下弦の弐だ、泥水を舐め死肉を喰らいこの地位に就いたのだ。そんな簡単に生きる事を諦めてたまるか

手を無惨の方へと伸ばし、自身の忠誠心をアピールする

 

「何が出来る?具体的に貴様は何の役に立てる?」

「書きます!貴方様が求める内容を!オリ主の作品を書き、読み専を止めます!」

「それで、何の原作だ?」

「え、あ、『東方Project』か『Fate/』…お好きな方をお選び下さい…」

「守りに入ったな貴様、何故貴様の好きな『五等分の花嫁』にしない?」

「い、いえ!私はその様な作品を知りませんっ!」

「先日、共にアニメイトへ遊びに行ったのを忘れたのか?」

 

下弦の弐は項垂れた。

鬼舞辻様がおっしゃる原作のオリ主嫌いは異常だ、性が男でオリ主の作品の殆どは緑、良くて黄色なのだ

しかしそれも鬼舞辻様の事だ、とんでもない水準の平均評価を要求してくるに違いない

 

「同じ一花推しとして最後の慈悲をやったが…貴様には要らなかったな」

「ち、違います!私はっ!」

「黙れ、全ての決定権は私に有り私の言う事が絶対である。私が正しいと言った事が正しい。『原作︰五等分の花嫁』周辺の原作厨が息巻こうが私の知った事ではない」

「pixivに移れよおおおぉぉぉぉおお!!!お前らああぁぁぁぁぁああ!!」

 

それが下弦の弐、最後の言葉だった。

いまや無限城に生きる下弦の鬼は下弦の壱ただ一人となった。しかしそれでも下弦の壱は表情を決して険しくはしない。

 

「最後に言い残す事は有るか?」

 

それは全く同じ質問、それが上弦の壱に問いかけられた。

 

しかしその言葉を耳にした時──ただただ笑った

 

「そうですねえ…私は夢見心地で御座います」

 

そう下弦の壱が言うと無惨の眉が僅かに揺れた。この瞬間に殺さなかったのは彼の発言が他の部下に無い物であったからに違いない。

城内に居た鳴目もこの惨状を目の当たりにしていたが口をだすことは無い。ただ傍観する様に長い前髪の下に表情を覆い隠していた

 

「オリ主系の小説が大好物なので……やたら高スペックで格好の良いオリ主が大好きなので…」

 

「鬼舞辻様もオリ主が好きでいてくれてありがとう。私の気持ちを代弁してくれてありがとう。幸せでしたぁ…」

 

諸手を天に掲げながら下弦の壱はそう独白する、無惨には彼が本心でそう思い感じていると判っている。

その証拠に彼のマイページに有るお気に入り登録済の小説の殆どがオリ主系ではないか。

 

確かにオリジナル主人公という事は原作を愛する人にとっては考え難い存在かもしれない。中には他作品の能力を積んで転生し、原作を悪い意味で破壊し尽くす作品も有る。

しかしそれが全てではない。原作で報われなかったキャラを救済したり、原作から乖離した展開を楽しめたり…無論それは文章力の上に成り立つ物では有るのだが、決して一見で決めつけて良い物ではない。

 

「良い、気に入った」

 

故に無惨は下弦の壱に託す

 

「へ?ぶぅ…!ぐぁあ…!」

「私のクロムブックだ、今までの会話が記録されている」

 

下弦の壱の顔投げられたのは一つのノートパソコン、その画面には『お話下さい』という文が表示されている。

音声入力で有るが、顔に重量の有るパソコンを放られた下弦の壱は悶え苦しむ

 

「ブルートゥースのキーボードに高感度のマウスもやろう…そして執筆環境を良くするために足りない物が有れば言え」

「え…?」

「この会議に適当な地の文を付けて投稿しろ、そしてバーが赤く染まれば…貴様はそのモチベーションを糧にオリ主系を書くのだ」

 

 

 

 

「貴様にとっては簡単だろう?下弦の壱─────『作者』よ

 

 

 

 

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