目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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甘き闇渦巻く花街に暁を
104.日常は終わり、新たな物語が幕を開ける


 時は流れて一ヶ月。炎柱邸にて、炎の呼吸と、日の呼吸の訓練、および、炭治郎と禰豆子の戦闘訓練を続け、時には煉獄さんの任務に一緒に出向いて鬼を狩る生活の日々を過ごしていると、突然の来訪者に見舞われた。

 

「よぉ、煉獄。ちょっと今いいか?」

 

「ん?宇髄ではないか!久しいな!」

 

「おう。」

 

 それは、宇髄天元。雷の呼吸から派生した呼吸……音の呼吸を使う音柱。

 無限列車があったあの日から四ヶ月経った今日、彼が姿を現すということは、物語が進むという啓示だろう。

 

「どうかしたのか?」

 

「ああ。ちと頼み事をな。ところで、アイツ……竈門優緋はどうしてんだ?」

 

「優緋か?それなら先程訓練を終わらせたところゆえ、呼べばくるぞ!」

 

「そうか。なら呼んでくれ。」

 

「む?つまり、主な用事は優緋にあると言うことか!」

 

「いやお前にもあるっつの。」

 

「優緋!こっちに来てくれ!宇髄は君に用事があるようだ!」

 

 なんて考えていると、煉獄さんに名前を呼ばれる。

 

 ─────……原作では、アオイちゃんたちを攫う人攫いのような状態のところに出会した炭治郎が、なにをしているんだって宇髄さんに声をかけて、そこから物語が展開していく形だったけど、こっちの世界じゃ、宇髄さんがここに足を運ぶ形になるのか。まぁ、柱の継子になってる女隊士が、この世界じゃカナヲだけじゃないからだろうけど。

 

 しかも、名指しで呼ばれたし。力を認められてるってことなんだろうな。

 

「お、来たな。」

 

「まぁ、呼ばれましたから。えっと……」

 

「ああ、そういや柱合会議の時はあんなことになってたからな。自己紹介しとくか。俺は宇髄天元。音柱をやってる。」

 

「ご丁寧にありがとうございます。私は竈門優緋。見ての通り、炎柱、煉獄杏寿郎さんの継子をさせていただいてます。柱合会議の時は、なんというか、お騒がせしてすみませんでした。」

 

「気にすんな。まぁ、最初は俺もお前みたいな隊員は派手に反対だったが、下弦の伍、下弦の壱の討滅の話、さらには、上弦の参の撃退と、一般隊士の救援……いろんな話を聞いて、考えを改めさせてもらった。派手に歓迎するぜ。鬼の兄妹は……まぁ、そこはちゃんと見極めさせてもらうが。」

 

「炭治郎たちのことは、重々承知しています。ですが、検討していただけるだけでも喜ばしく思います。」

 

 軽い自己紹介。音柱の宇髄天元という言葉に、一瞬だけ存じ上げておりますと言いかけてしまったけど、なんとか我慢して、炭治郎たちのことは見極めさせてもらうという言葉に対しての感謝を述べる。

 宇髄さんは、そんな私を見てキョトンとした表情を見せたが、すぐにそれ笑みへと変わり、大きな手を頭に乗せられたかと思えば、わしゃわしゃと思いきり頭を撫でられた。

 

「おわ!?」

 

「地味に緊張してんじゃねぇよ硬っ苦しい。気を楽にしろよ。」

 

「だからって頭を勢いよく撫でる必要ないですよね!?」

 

「お前が緊張してるからだろ。」

 

 訴えるように睨みつけるが、宇髄さんは気にしていないのか、笑ってる。

 あ、でも、手櫛を入れてちゃんと髪を整えてくれた。やっぱりお嫁さんが三人いる男は違う……。

 

「……ところで宇髄!用事とはなんだろうか?」

 

「ああ。実は今、俺が追ってる鬼がいるんだが、そいつをもう少し詳しく調べるために女隊員の手が必要でな。で、十二鬼月二体も派手にぶっ潰してるコイツを借りに来たってわけだ。雑魚鬼ならこいつでも十分対処できるだろうし、仮に十二鬼月だったとしても、コイツの力と俺の力がありゃ派手にやり合えるだろ?」

 

「ふむ、確かにな!」

 

「だからお前に許可をもらいに来たんだ。継子は柱の許可がないと連れて行けないしな。」

 

「なるほど!」

 

「……まぁ、確かに私は十二鬼月殺ってますけど、役に立つかどうか………」

 

「いや地味に謙遜してんじゃねぇよ。十二鬼月二体もぶっ潰してる奴が役にたたねぇわけないだろ。」

 

「いてっ」

 

 軽くデコピンされました。地味に痛い。でも宇髄さんも痛そうにしてる。すみません。私、石頭なんです……。

 

「まぁ、そう言うわけだから、こいつ借りていいか?煉獄。」

 

「…………。」

 

 デコピンされたところをさすりながら、宇髄さんにもダメージが入ってしまったことに内心で謝罪をしていると、痛みがもう引いたらしい宇髄さんが、煉獄さんに私を自分の任務に同行させて構わないか問いかける。

 煉獄さんは、その質問に対して無言だ。やっぱり、継子が別の柱の手伝いに行くというのは、よく検討しないといけないのだろうか?

 

「なんか別の任務が入ってるなら他を当たるが……」

 

「いや、優緋に今のところ急ぎの任務はない!なので、連れて行くことは構わないのだが……」

 

「なんだよ……」

 

「……どこに行くのかだけ聞いてもいいだろうか?」

 

 無言で首を傾げていると、ようやく煉獄さんが無言を破る。どうやら、行き先が気になるようだ。

 まぁ、そうだよな……。継子がどこに向かうのか、預かっている身としては、知る必要があるよな……。

 

「あー……花街だ。」

 

「花街に向かうのか?それは……何というか、少々送り出しにくい場所だな!妙なことをさせるわけではないよな?」

 

 花街と聞いて、煉獄さんの目つきが変わる。それは、鬼を追い詰める時に見せる、鋭く、どこか殺意にも似た感情が混ざっている目だ。

 匂いもどこか敵意というか……警戒……かな?ピリピリした匂いがする。

 その表情を向けられた宇髄さんが目を見開いて固まる。だが、溜息と一緒にその表情はいつもの……と、いうにはどこか焦りがあるかな?

 忍にこんな表情させるって……煉獄さん、宇髄さんになにしたんだ……。

 

「……させねぇよ。戦力に加えるだけだ。」

 

 少しだけ表情が引き攣るのを感じていると、宇髄さんが煉獄さんに妙なことはさせない。戦力に加えるだけと告げる。

 すると、先程まで煉獄さんから感じていたピリピリとした匂いは霧散し、いつもの匂いを纏う、笑顔の彼の姿に戻る。

 

「ならばいい!優緋。宇髄の戦い方も、いい勉強になるかもしれない。だから、存分に暴れてくるといい!炎の呼吸も、もう一つの呼吸も扱える今の君ならば、いつも通りにやれば問題なく勝てるだろう!だが、上弦にぶつかった場合は、まだ力及ばない可能性がある。もし、宇髄が探している鬼が上弦であったなら、その時は必ず宇髄の力を頼るんだ!君一人で背負うことだけはするな!」

 

 その様子に少しだけホッとしながら、私は煉獄さんの指示に静かに頷く。

 煉獄さんは、満足そうに頷き返してくれたあと、私の頭を優しく撫でてきた。

 

「じゃあ、竈門優緋を借りるぞ。」

 

「ああ。そうだ宇髄!優緋は少々一人で無茶をしようとする様子があるため、時には気にかけてやってはくれないだろうか?」

 

「そんくらいするさ。柱の継子を一時的とはいえ預かるんだ。ちゃんと無事に返す。」

 

「うむ!そうしてくれ!もし、何かあれば報告もしてほしい!あと、こちらも手が空き次第合流するつもりでいるから、そこも覚えておいてくれ!」

 

「わかったわかった。ったく……相変わらず派手に元気な奴だぜ煉獄は……。」

 

 頭を撫でながら宇髄さんと話す煉獄さん。二人の間に挟まれてる私は、頭上で行われている会話を黙って聞くしかできなかった。

 まぁ、口を挟める立場じゃないもんね。

 ……にしても、なんか、こうして見ると新鮮だな。だって、あの物語にはなかったやり取りだし。

 改めて煉獄さんが生きているという事実を認識し、反芻する出来事に、少しだけ胸がぽかぽかする。

 だって、漫画を読んでいた時、こんなもしもを想像していたから。

 

「そんじゃ行くぞ。」

 

「はい。あ、炭治郎たちも連れて行きたいのですが……」

 

「ん?ああ……。ちゃんと面倒見ろよ。」

 

「わかってますよ。宇髄さんの手は煩わせません。」

 

 そんなことを考えながら、宇髄さんの許可をもらい、私は炭治郎たちを迎えに行く。

 

 ……とうとう始まった遊郭編。私は、被害を最小限に抑えることができるだろうか?

 

 

 

 

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