目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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112.堕姫との戦闘。持久戦を乗り越えろ!

 考えをある程度まとめた私は、こちらを見据えてくる堕姫ちゃんに対して警戒を怠ることなく、次の行動に移す。

 

「ちょっと失礼しますよっと。」

 

「え?きゃ!?」

 

「な!?」

 

 それは、背後にいる鯉夏さんを、ひとまず安全な場所へと連れて行くと言うもの。

 本当は、他の吉原の人々も避難させなくてはならないのだけど、狭い室内にいる中で、一番危ないのは鯉夏さんだ。

 ある程度力をつけてるとは言え、上弦の陸であり、遠距離攻撃にも近距離攻撃にも長けている堕姫ちゃん相手に、誰かを守り抜きながら戦うのは難しい。

 猗窩座の時は大丈夫だったじゃないかと思われるかもしれないけど、あれは煉獄さんという強力な主力アタッカーがいたからできたことであって、私一人でぶつかった場合は、確実に広範囲に被害が及んでいた。

 周りからは柱に匹敵するって言われてるけど、正直なところ、筋力も体力も全部劣るわけだから、厳しいと言うものである。

 あーあ……自分が男だったらよかったのに……。これまで何度も考えてきたものが脳裏を過ぎる。

 女から男になったら、しばらくは違和感とか絶対あると思うけど、この身軽な体にも大分慣れてきたし、きっと、男という体にも慣れていたんだろさ。

 

 内心で愚痴りながら、鯉夏さんを片腕で抱き抱えて部屋から窓の外へと離脱する。

 すぐに堕姫が追って来ようとしていたけど、地面に着地すると同時に、炎の呼吸を利用して、壱ノ型である不知火を使う要領と全く同じ要領で地面を蹴り上げる。

 鯉夏さんに負担がかからないように、軽く加減したけど、堕姫を撒くことくらいはできたようだ。

 

「えーっと確か……ああ、鯉夏さんでしたね。番付に載ってました。」

 

「え、ええ……」

 

「驚かせてしまって申し訳ありません。貴女の命を守るためには、あれが最適なものでして。まぁ、それはそれとして……悠長にしてる場合ではないので、手短に伝えます。この花街から出来るだけ離れるか、安全な場所に身を隠してください。先程貴女を襲った彼女は鬼と呼ばれる存在で、人間を喰らうことで生き続けている者たちです。特に彼女は、美しい人を中心に狙う者らしいので、きっと、吉原内にいたら、また襲われてしまうでしょう。」

 

「!!」

 

 とりあえず離れた位置にたどり着いた私は、鯉夏さんにこの場からすぐに離れて、安全を確保するように指示を出す。

 彼女を襲った存在が、どういった存在であるかを伝えながら。

 鯉夏さんは、一瞬目を見開いて驚いていた。でも、私が真剣に伝えているから、全て真実であることが理解できたのか、小さく頷くだけで返事を返してきた。

 そのことに少しだけ安心する。これで、彼女はなんとか無事に返してあげることができそうだ。

 

「貴女に懐いていた子供達や、貴女と共に過ごしていた客人たちは、必ず私たちが守り抜きます。だから、安心して安全の確保をしてください。」

 

 そこまで伝えた私は、あらかじめ一日目に集めておいた隠の人に声をかける。

 すると、どこからともなく隠は姿を現し、鯉夏さんを連れて移動を始めた。

 

「あ、あの!!」

 

「?」

 

 それじゃあ私は戻るとしますか……踵を返して花街に目を向けたら、鯉夏さんから声をかけられる。

 足を止めて振り向いてみれば、彼女はどことなく心配そうな表情をしていた。

 

「……大丈夫ですよ。死なないように、いくつか手は打ちますから。」

 

 ─────……だから、安心してこの場から離れてください。

 

 なるべく不安にさせないように、穏やかな声音でそう伝えれば、鯉夏さんは目を丸くしたあと、穏やかな笑みを浮かべたのち、隠の人の護衛を受けながらここから離脱した。

 それを確認した私は、すぐに地面を蹴り飛ばす。確実に堕姫ちゃんが近づいているから、鯉夏さんに追い付かないように止めないとね。

 

 そう思いながら花街に戻れば、こちらにかなりのスピードで飛ばされてくる血鬼術の匂いに気づいた。

 

 “炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり”

 

 匂いの近づく速さからして、十分間に合いそうだったので、炎の呼吸の肆ノ型を使って迎撃する。

 自身を中心にして渦巻く炎のように前方広範囲を薙ぎ払うこれは、前の方を守るための強力な障壁にもなるからね。

 

 足を止めて放ったそれは、堕姫ちゃんから放たれた無数の帯を一瞬にして斬り裂いた。

 ハラハラと帯がその場を舞う中、堕姫ちゃんは、花街の屋根の上から私の姿を見下ろしている。

 

「ふぅん。逃げたわけじゃないんだ。鯉夏はどこ?逃したの?」

 

「そりゃ人の安全を守るのが鬼殺隊ですから。」

 

「そう。まぁいいわ。鯉夏のことが喰えなかったのは残念だけど、柱にも届きそうなほどの力を持っていて、なおかつ綺麗な顔立ちをしてるアンタだけでも私の糧にしてあげる。光栄でしょう?私の糧になれるって。だから大人しくしてくれないかしら?アンタほどの人間、殺そうと思えばいつだって殺せるのよ。痛い思いはしたくないでしょう?だから、苦しまないように、痛くないようにアンタのことは吸収してあげるから。」

 

「……断る……って言ったら?」

 

「痛めつけたあと、じっくり味わおうかしらね。」

 

「あっそ。まぁ、何にせよ、私は鬼に喰われるわけにはいかないから、全力で抵抗するよ。」

 

「ふぅん?だったら抵抗してみなさいよ。どうせ無意味だろうけど!!」

 

 再び帯がこちらに飛ばされる。先程よりかは明らかに早い。となると、こっちの方が効率はいいかな。

 

 “炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天”

 

 炎の呼吸は、大威力と広範囲に長けた技が多く、その分硬直時間があったり、下手をしたら隙を与えてしまうことになる。でも、そんな炎の呼吸の中で、“昇り炎天”だけは、素早い斬りあげ攻撃となるため、咄嗟の迎撃に向いている。

 まぁ、広範囲の攻撃だけはどうにもならないわけだけど、今堕姫ちゃんが使ってきたのはこれでも迎撃できる範囲のものだった。

 にしても、やっぱり上弦一人を相手にするのは厳しいな……。早すぎるでしょ……攻撃も鋭いし。

 

「ちょっと攻めてみるか……」

 

 “炎の呼吸 壱ノ型 不知火”

 

 ずっと防衛に徹していては、いずれ隙を突かれて手痛い一撃を受けそうだと判断した私は、炎の壱を使い、一気に攻めこむ。

 

「!?」

 

 一気に距離を詰められたからか、堕姫ちゃんが咄嗟にその場から回避行動を取った。

 同時に帯も飛ばして来たな……流石。

 でも、残念ながらこっちも、それなりに対処方法はあるんだよね。

 

 一瞬だけ“透き通る世界”に入り帯の軌道を確認した私は、炎の呼吸から日の呼吸に自身の呼吸を切り替える。

 炎と日の両方を使うにあたり、攻撃を入れ替えることができないかと練習した甲斐があった。いやぁ……二つの呼吸が使えるのって便利だよね。“透き通る世界”も使えば、咄嗟に呼吸を変えることもできるから。

 

 “日の呼吸 玖ノ型 輝輝恩光”

 

 刀を両腕で握り、体ごと渦巻くように回転しながら跳躍、または前方への突進を行う型。水の呼吸のねじれ渦や、花の呼吸の渦桃に類似する技。

 多分、ねじれ渦はこれが元になったんだろうな……なんて思いながら、帯を斬り裂く。

 

「……アンタ……いったい何なわけ?刀の軌道が、明らかに変わってるんだけど?」

 

 ひらひらと帯が舞い落ちる中、堕姫ちゃんから強い警戒心を感じ取れた。真っ直ぐと彼女を見据えれば、堕姫ちゃんはすぐに身構える。

 

「別に。ただ、ちょっとした知識と二種類の呼吸を使って戦えるだけの一般隊士だよ。階級は……まぁ、そこそこ高いけどね。」

 

 そんな堕姫ちゃんに向かって、私は笑みを浮かべながら、自分は知識が周りより少しだけ多く、二つの呼吸を切り替えながら戦うことができるだけだと返して、日の呼吸よりスタミナが減りにくい、炎の呼吸に再び戻すのだった。

 

 

 

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