目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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116.上弦の陸、真なる姿

 彼女から離れた位置にいる私の元へと静かに宇髄さんがやって来る。

 鎖付きの双刀の柄……明らかに私が持ってる日輪刀と比べてかなりのデカさがあり、重さもありそうなそれを、片手だけで持ちながら。

 頚を斬られた堕姫ちゃんはと言うと、防御をしたはずなのに頚を斬られてしまったせいか、どこか唖然としているようだった。

 

「優緋。二種類の呼吸を合わせることで囮にするとは、派手にやるじゃねーか。」

 

「ありがとうございます。まぁ、切り替えまくるんで、疲労が蓄積されやすいし、まだ精進しなくてはならなさそうですけどね。」

 

「それ以上強くなんのかよ。柱越える気か?」

 

「並ぶ程度にはしたいですかね。」

 

「もう並んでそうだけどな。」

 

 唖然としている様子の堕姫ちゃんを横目に見ながらも、やってきた宇髄さんと言葉を交わす。

 なんとか囮作戦がカタチになってくれてよかったと、少しだけ安堵の息を吐きながら。

 

「っ!!よくもアタシの頚を斬ったわね!?絶対にタダじゃおかないわよ!?」

 

 もう少し切り替え早くできないかな……と少しだけ考えていると、堕姫ちゃんが怒鳴り声をあげる。

 すぐに視線をそちらに向けてみれば、両手で自身の頭を持っている頚無しの体と、両手に抱えられている逆さまの堕姫ちゃんの頭があった。

 

「頚斬られたのにまだギャアギャア言ってんのか。弱い方の鬼にもう用はねぇよ。」

 

「アタシ弱くないもん!!上弦ノ陸だもん!!あの方にちゃんと数字もらったもん!!アタシは凄いんだから!!」

 

「弱いだろうが。強いってんなら、囮攻撃くらい見抜けっての。」

 

 なんなんだこのやりとり……と苦笑いを溢す。宇髄さんに、先に普通の鬼じゃないと告げておいたから、これだけじゃ終わらないって警戒心を持つだろうと思っていたけど、かなり会話が変わっている。

 まぁ、原作以上にカオスなやりとりになっているとだけは言えるな。

 

 さて、いつ頃妓夫太郎さんが出てくるか……苦笑いを警戒へと移行して、自身の嗅覚に集中する。

 その瞬間、先程以上の刺激臭が嗅覚を突き抜けた。

 

「わぁああああああ!!ほんとにアタシは上弦の陸よ!!数字だってちゃんとあるでしょう!?弱くないことくらいわかるでしょ!?なんで弱いって言ってくるのよバカァアアアアア!!」

 

 同時に辺りに響くのは大声でなく堕姫ちゃんの声。原作の時とは違い、まだ禰豆子たちが参戦していなかった分、火だるまになることがなかった綺麗な顔にはまる両目からは大粒の涙が零れ落ち、地面にシミを作っている。

 

「頚斬られたぁ!!頚斬られちゃったああ!!お兄ちゃああん!!」

 

「!!宇髄さん!!」

 

「ああ!!」

 

 嗅覚に突き刺さるかのような、強力な鬼特有の匂いに気づき、宇髄さんに声をかける。

 すぐに彼は私の声に反応を示し、未だに泣き叫ぶ堕姫ちゃんと距離を詰め、日輪刀を振被る。

 しかし、向こうの方が一足先に行動を取っていたようで、彼の攻撃は空を切り、堕姫ちゃんと、彼女の側に現れた存在にその刃が届くことはなかった。

 

「泣いてたってしょうがねぇからなああ。頚くらい自分でくっつけろよなぁ。おめぇは本当に頭がたりねぇなあ。」

 

 離れた距離に移動した彼女の傍らには、別の鬼が姿を現していた。

 上弦の陸……その片割れであるもう一人……堕姫の兄である妓夫太郎は、未だに嗚咽を漏らす彼女の頚を治しながら、呆れた声音で言葉を紡ぐ。

 

「優緋!!」

 

 そんな中、宇髄さんが私の名前を呼んだ。すかさずその声を合図にして走り出した私は、原作通りであるならば、放たれるであろう毒の血鎌の斬撃を打ち消すために、透き通る世界へと一瞬だけ入り込む。

 それにより妓夫太郎さんの動きを見た私は、宇髄さんの動きに合わせて、自身の刀を思い切り振るった。

 握っていた刀から、確かな手応えを教える衝撃が伝わる。私の体にも、宇髄さんの体にも、血鎌による裂傷は発生しなかった。

 

「へぇ……やるなぁあ。攻撃を止めたなぁあ。殺す気で斬ったけどなあ。どっちも無傷かよ。」

 

 透き通る世界を未完成ながらにも使えるようになっていてよかったと思いながら、妓夫太郎さんを見据える。

 彼は、先程の攻撃を無傷で防ぎ切った私と宇髄さんを交互に見た後、視線を宇髄さんの方に固定する。

 

「お前、いいなぁあ。その顔、いいなぁあ。肌もいいなぁ。シミも痣も傷もねぇんだなあ。肉付きもいいなぁあ。俺は太れねぇんだよなぁ。上背もあるなぁあ。縦寸が六尺は優に超えてるなぁあ。女にも嘸かし持て囃されるんだろうなぁあ。」

 

 女にも持て囃されると言う言葉を紡いだ後、私の方に視線を向ける妓夫太郎さん。あれ?これってもしかしなくても、本当の性別バレてたりする?

 いや、まぁ、流石にバレるか。堕姫ちゃんもなんか気づいてるっぽかったし。

 

「妬ましいなああ。妬ましいなああ。死んでくれねぇかなぁあ。そりやあもう苦しい死に方でなぁあ、生きたまま生皮剥がれたり、腹を掻っ捌かれたり、それからなぁ……」

 

 言ってることえぐいなと軽く引く。それって拷問では?腹を掻っ捌かれたら丈夫な人でもすぐに死にそうだけど。

 

「お兄ちゃん!!コイツらのこと早く殺してよ!!アタシの邪魔をしてる鬱陶しいネズミも絶対に!!アタシ一生懸命やってるのに!!凄く頑張ってたのよ一人で……!!それなのにねぇ!!皆で邪魔してアタシをいじめたの!!よってたかっていじめたのよォ!!」

 

 そんな中堕姫ちゃんが泣きながら妓夫太郎さんに私たちを殺してと怒鳴りつける。

 すると、妓夫太郎さんの殺気が膨れ上がり、私たちはそれを向けられる。

 

「そうだなあ。そうだなあ。そりゃあ許せねぇなぁ。俺の可愛い妹が、足りねぇ頭で一生懸命やってるのをいじめるような奴らは皆殺しだ。」

 

「……優緋。わかってると思うが、全般的に俺の支援に回れ。上弦の参とやり合った時、煉獄にしていたようにな。わかったか?」

 

「わかりました。」

 

「うっし。構えろ。」

 

 宇髄さんの言葉に従うように、日輪刀を握り直す。鬼滅の世界に来て、二回目の上弦の鬼戦……宇髄さんの腕がダメにならないように、そして、一人でも多くの人を守るために、最善の動きをしてみせる。

 

「取り立てるぜ、俺はなぁ。やられた分は必ず取り立てる。死ぬ時グルグル巡らせろ。俺の名は妓夫太郎だからなああ。」

 

 

 




 主人公を宇髄さんの隣で戦わせまくりたいけど、久々すぎて描写が書けなさそうな気配を察知。
 と言うわけで、久しぶりにこちらの話を再開しましたが、随分と長くエタらせてしまいましたね……なかなか展開が思いつかず、かなり時間がかかってしまいました。
 これからちょくちょく話を追加していくつもりですが、期待に添えるかどうか……。
 少しでも楽しんでいただけるように努力はいたしますが、見ての通りぐだぐだになりそうです。申し訳ありません。
 過度の期待はどこかへ投げて、ゆるりと生暖かく見守っていただければと思います。

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