目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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117.日焔(にちえん)の爆音

 素早い動きで放たれた二本の鎌。私と宇髄さんはその両方の軌道を手にしていた日輪刀で弾き飛ばす。

 

「宇髄さん!!」

 

「ああ!!」

 

 でも、それはすぐにこちら側へと飛んでくる。ブーメランみたく、私たちを襲うように。

 原作では屋内戦闘になっていたため、人間を容赦なく巻き込む形になっていたけど、なんとかそれを屋外戦闘に持ち込むことができたため、関係ない人を巻き込むことはない。

 だからと言って鎌を放っておけば、取り返しのつかないことになる。

 

「優緋!!」

 

「はい!!」

 

 宇髄さんの呼び声に返事を返し、刀の刃を鎌にぶち当てる。守る必要があるのは自身のみ。ある程度であれば普通に対処できる隊士/柱のと言う現状は、戦闘状況に軽く余裕を持たしてくれるため、加減することなく力を発揮することができる。

 バキィンッと言った音を立て、戻ってきた鎌が折れたのを確認した私は、宇髄さんの動きに合わせて、目の前にいる妓夫太郎さんと堕姫ちゃんの頚を狙う。

 だが、向こうも簡単に食らってくれるはずもなく、驚異的な反射神経により、こちらの攻撃を躱していく。

 

「合わせろ!!」

 

「了解!!」

 

 すると、宇髄さんから合わせろと言う一言がかかった。すぐに彼に合わせるように行動を取れば、堕姫ちゃんと妓夫太郎さんの二人を防戦へと押し込むカタチになっていく。

 

 “血鬼術 飛び血鎌!!”

 

 しかし、やはり上弦の陸。簡単に防戦を強いられてはくれず、反撃のカタチで血鬼術を放ってくる。

 薄い刃のような血の斬撃は、複数に折り重なっており、原作で宇髄さんが言っていた通り、人を庇いながら全てを捌くことは難易度が高すぎるものだった。

 でも、今の私たちは原作とは違う状況だ。人気の少ない場所まで誘導したおかげで、庇う必要性のある一般人は見当たらない。

 この場にある匂いは、私と宇髄さんと上弦の陸。少し離れた位置に、炭治郎と禰豆子二人の匂い。そして、確実に近づいてきている善逸と伊之助の匂いのみ。

 遊郭のメイン広場の方にいる人たちは、次々と街を離れている。宇髄さんが使う火薬の爆発……それを説得する糧に使い、彼の奥さんたちが避難行動を取らせているのだろう。

 

 “炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり”

 

 嗅覚を利用し、屋内ではまず使いづらいと思われる広範囲の薙ぎ払い技である炎の呼吸の肆ノ型を使い、大半の斬撃を消し飛ばす。

 残りの斬撃は、私の技の出だしを見極めていたらしい宇髄さんの手により全て消滅させられたため、血鎌の攻撃も、猛毒ももらうことはなかった。

 

「やるじゃねぇか優緋。」

 

「まぁ、支援は得意ですからね。だから、背中は任せてください。宇髄さんが上弦の陸と戦うことに集中できるように、邪魔な障害は焼き払います。」

 

「焼き払うなんて派手なこと言ってくれるな。じゃあ、背中は預けるぜ、優緋!」

 

 宇髄さんの言葉に返事を返し、彼が向き合う上弦の陸兄妹に視線を向ける。

 二人は忌々しいと言わんばかりの表情を見せて、私たちを見据えていた。

 

「ちぃっ……!!二人もいるのは面倒くせぇなァ!!」

 

「本当に鬱陶しいわねコイツら!!死んでよ!!ねぇ!!アタシたちの邪魔すんな!!」

 

「そう言われても無理なものは無理。これ以上被害を拡大化されたくないからね。」

 

「そう言うこった。ようやく巡ってきた機会を、俺たちが逃すわけねぇよ。」

 

 おそらく、これまで二人は一対二の状況下で戦うことが多かったはずだ。最初は堕姫ちゃん一人だけで行動を取り、やってきた鬼殺隊と交戦し、頃合いを見て妓夫太郎さんが合流する。

 二人で一人の上弦の陸と言うカラクリは、初見で見抜くことが難しい。

 さらに言うと、妓夫太郎さんの猛毒の血鎌は回避するのがかなり困難で、わずかに擦りでもしたらアウトと言った高性能っぷり……柱が一人で挑んでも、不利になるのは目に見えている。

 二人の頚を同時に斬らなくてはならないと言うのも、かなり厄介な性質と言えるしね。

 

「優緋。コイツを持っとけ。」

 

「ん?」

 

 そんなことを思っていると、宇髄さんが私の腰にあるベルトに何かを引っ掛けた。

 よく見るとそれは小さな巾着袋で、中身を見えやすくするため、わずかに開かれた袋の口から、丸い何かが見えていた。

 いや、これ、何かじゃないな。どう見ても爆薬丸だ。宇髄さんが使ってるあれだ。

 

「優緋なら十分活用できるはずだ。使い方は今から見せる。ちゃんと盗めよ、こっちのやり方を。」

 

「……了解。」

 

 私、あなたの継子になった覚えはないんですけどと一瞬思ったが、利用できるものは利用しようと、宇髄さんの指示に素直に従う。

 それを確認した宇髄さんは、すかさず妓夫太郎さんたちに向かって攻撃するために地面を蹴り上げた。

 やり方を盗むため、なるべく近くで見ようと思い彼に合わせて地面を蹴り、鎖で繋がってる日輪刀を巧みに操り、猛攻を仕掛ける音柱の戦い方をしかと目に焼き付ける。

 少しでも彼が戦いやすいように、露払いを行いながら。

 

 宇髄さんは斬撃を繰り出しながら、時に爆薬丸を織り交ぜている。斬撃を放つ合間に、手にしていた爆薬丸を宙に投げ、相手への攻撃の合間に摩擦を利用し、爆発させて、攻撃と目眩しを両立している。

 時には自身の斬撃ではなく、相手の攻撃に合わせることで、爆発を誘発してダメージを稼ぎ、息つく暇を与えないように、自身が放つ攻撃の軌道上へ誘導したりと、様々な扱い方をしているようだ。

 宇髄さんの戦い方を見て、ある程度やり方を認識する。彼のようなリーチある武器じゃないから、目測を誤って自分がダメージを受けるリスクは高いけど、まぁ、なんとかなりそうかな。

 

 そんなことを考えながら、宇髄さんの攻撃に合わせるように、自身も斬撃を放ちながら、たまに爆薬丸を織り交ぜる。

 刀の先の方であれば、なんとか自身がダメージを受けることはなさそうだ。

 使う頻度は少なめに。時に意表を突くようにして放つと効率もよさそうかな。

 

「その調子だ優緋!!上手く使いこなしてくれるじゃねぇか!!」

 

「そちらの技術を盗んでるだけですよ!!」

 

「そりゃそうだが、そうすぐ盗まれると、地味に複雑だわ!!」

 

「褒め言葉として受け取っておきます!!」

 

 宇髄さんと軽口を叩きながら、上弦の陸兄妹との戦闘を続行する。基本的には宇髄さんの攻撃に合わせて、時折自身が前に出て、一瞬の休息時間を互いに作る。

 そんな中、妓夫太郎さんの攻撃に合わせて、堕姫ちゃんが帯の刃を展開した様子が見えた。

 すかさず宇髄さんと同時に攻撃を放てば、頭上から鈍い音が聞こえてきた。

 よく見ると宇髄さんが堕姫ちゃんの腹部に容赦なく蹴りを叩き込んでおり、妓夫太郎さんの鎌を双刀で受け止めている姿を見ることができた。

 一瞬だけ脳裏に浮かんだ原作の景色……それと全く同じ構図がその場にある。

 

「俺の妹を蹴んじゃねえよなあ。」

 

「この糞野郎!!」

 

 妓夫太郎さんが武器を振るい、堕姫ちゃんが罵倒を宇髄さんに浴びせる。しかし、宇髄さんはそんな二人の様子に動じることなく、爆薬丸を複数放つ構えを見せた。

 一瞬だけ私の方へと視線を向けて。

 

 その視線に含まれた意味をすぐに理解できた私は、宇髄さんが爆薬丸を投げるタイミングに合わせて、腰巾着に入っていた爆薬丸を投げる。

 宇髄さんが投げた爆薬丸……それをブラインド代わりに使い、多めの爆薬丸を投げられていることを悟られないように。

 その瞬間、辺りに複数の爆発音が響き渡る。わずかに堕姫ちゃんの悲鳴が聞こえたため、彼女の頚は原作通りに斬れたのだろう。

 それならばと私は、妓夫太郎さんの頚目掛けて刃を振るう。辺りに広がる爆発による煙を煙幕として利用し、距離を詰めて斬撃を放つ。

 しかし、その攻撃はあと一歩のところで届かず、妓夫太郎さんの頚を掠めるだけに終わった。

 

「………すみません、あと一歩のところで躱されて、彼の頚を斬ることができませんでした。せっかく宇髄さんが彼女の方を斬ってくれたのに、不甲斐ないです。」

 

「問題ねぇよ。優緋のおかげで俺にも余力ができてる。今のところ攻撃も食らってねぇし、次を狙うぞ次。反省会はそのあとだ。」

 

 宇髄さんと背中合わせになって立ちながら、頚が斬れなかったことを謝罪すれば、余力があるから次を狙えると告げられる。

 反省会はあとと言う言葉に、宇髄さんが完勝する気満々であることを理解した私は、少しだけ苦笑いをこぼす。

 でも、すぐに頭を切り替えては、完勝を実現させるため、宇髄さんとの連携を上げてやろうと刀を構えた。

 

「うううう!!また頚斬られたぁ!!糞野郎!!糞野郎!!絶対許さない!!悔しい!!悔しい!!なんでアタシばっかり斬られるの!!」

 

 そんな中、堕姫ちゃんが宇髄さんに対する恨みつらみを吐き出しながら、慟哭するように叫び散らす。

 対する妓夫太郎さんは、私と宇髄さんの会話と、堕姫ちゃんの様子を無言で見据えたのち、訝しげな表情を見せていた。

 

 

 

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