目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
屋根の上から叫び声が聞こえ、私は一瞬だけその方角を見る。
そこには禰豆子の血鬼術を食い、火だるまになって動きが鈍くなっている堕姫ちゃんの頚を斬り飛ばす伊之助と善逸の姿があった。
炭治郎は、禰豆子の爆血を食らわないようにしているのか、彼女から伸びていた帯を日の呼吸を使用して切り裂いているような状態だった。
─────・・・・・・原作では飢餓状態になるまで炭治郎を守ろうと頑張った禰豆子が鬼としての性質を大きく出した時に堕姫ちゃんへと爆血を食らわせていたが、ここでは伊之助達が頚を斬るための一つの手助けとしてあれを食らわせたか。
帯の動きもかなり鈍っていたことから、鬼舞辻の細胞が私を見てトラウマモードに陥っていたことが予想できるし、そこに堕姫ちゃんのトラウマが重なるとは・・・・・・鬼側にいる彼女ではあるが、少しだけ申し訳ないことをした。
とは言え、手を緩めるわけにもいかない。悲鳴をあげて動けなくなっていた堕姫ちゃんの頚を斬ったあと、伊之助がその頚を持ってすったかたーと走り出しているのが見えた。
となると、妓夫太郎さんが動くはず・・・・・・。
そう思っていると、妓夫太郎さんがその場で血鬼術を使用した。
円斬旋回・飛び血鎌・・・・・・だけど、数が異常なまでにあり、その光景と原作にあった結末の光景が一瞬重なる。
─────・・・・・・意図的にそれを使用するとかありか!?
自身に向かってきた血鎌を灼骨炎陽を使用することによりなんとか打ち払うが、明らかに全ては防ぎきれない。
軌道は見えているため躱すことはできるが、回避をしたら間違いなく彼は・・・・・・!!
「優緋!!危ねぇ!!」
どうするべきかと一瞬過ぎる疑問。
しかし、それは宇髄さんの声と、自身を包むような彼の匂いにより霧散する。
宇髄さんに抱きしめられた状態で、妓夫太郎さんから勢いよく距離が離される。
同時に妓夫太郎さんの匂いが勢いよく伊之助達の方に移動するのがわかった。
「炭治郎!!禰豆子!!善逸!!伊之助!!逃げろおおおおおお!!」
原作の展開が脳裏を過り、同時に最悪な結末を脳裏に描く。
もし、煉獄さんを助けたことが原因となり、引き換えに別の誰かが命を落とすことになったら・・・・・・。
それが善逸や伊之助、私が収まってしまったことにより発生したイレギュラーである炭治郎や禰豆子だったら・・・・・・。
ぐるぐると巡る悪夢のような光景に息を呑み、急いで彼に追いつけるようにと炎の呼吸を使用しようと力を入れる。
だが、私が炎の呼吸である不知火を使用する前に、妓夫太郎さんの腕から鮮血が飛ぶ。
「え・・・・・・?」
驚いて小さく言葉を漏らす。
同時にその場で放たれたのは、自分の型とは比べ物にならない威力を放つ、炎の呼吸の弐ノ型、昇り炎天だった。
勢いよく振り上げられた昇り炎天。妓夫太郎さんは、腕を斬られたこともあり、警戒を強くしていたのか、咄嗟に体をのけぞらせることにより、頚への直撃を免れていた。
「躱されてしまったか・・・・・・!!だが、最悪の事態はどうやら免れたようだな!」
雲に隠れた月が顔を出し、暗闇を一気に照らしていく。
それにより見えたものは、炎を思わせる髪と羽織を靡かせながら、口元に笑みを浮かべている一人の剣士・・・・・・
「れん・・・・・・ごくさん・・・・・・?」
私に炎の呼吸を教えてくれた炎柱、煉獄杏寿郎その人だった。
☽❀☾
・・・・・・時は少しだけ遡り、優緋たちが上弦の陸と交戦し始めた頃のこと。
柱である以上、一夜にして何度も任務をこなすことが当たり前である煉獄は、いつものように鬼を狩る。
しかし、ここ最近は鬼を狩り、安全を確保した上で、彼はある場所へと何度も視線を向けていた。
それは、自身の継子として引き取り、呼吸を教えながら共に過ごしている一人の少女・・・・・・竈門優緋が音柱たる宇髄天元と共に足を運んだ花街がある方角だった。
─────・・・・・・いざという時は宇髄を頼れと言っておいたため、しっかりとその言いつけは守っているとは思うが、やはり少し心配だな。
ここ最近は、ずっと己の隣に並び、自身が教えた炎の呼吸を使いこなしながら鬼を狩っていた少女の姿を思い出しながら、煉獄は小さく溜め息を吐く。
上弦の参と衝突すると言う不測の事態に見舞われながらも、誰一人として傷つけさせることなく撃退する実力を持ち合わせている彼女の力は、側にいた自身が一番知っている。
だが、それであっても煉獄は、優緋のことを心配していた。脳裏に過ぎるのは、彼女や宇髄が戻ってこないと言う最悪の事態。
二人に限ってそれはないと、頭の中ではわかっていると言うのに、煉獄の思考は悪い方向へと少なからず偏っていた。
彼らの実力を否定しているような思考に、自己嫌悪に軽く苛まれる。
─────・・・・・・いかんな。集中力が切れかけている。今はやるべきことをやらなくては。
ぐるぐると回る思考回路。それを振り払うように煉獄は気合いを入れ直す。
同時に新たな鬼の出現を知らせる自身の鎹鴉である要の声を聞き、その足に力を加えるのだった。
・・・・・・あれから、煉獄は立て続けに発生する鬼の出現を物ともせず、次々とその頚を切り落としていた。
しかし、いくら炎柱であろうとも、休憩を挟むことなくこなすと言うのはいささか無理があり、夕餉ついでに体を休めることを考える。
鬼を狩り、安全を確保したことを確認した彼は、鬼を討伐する際に足を運んでいた場所に座れる場所がないかを探し、それを見つけるなり腰をかけた。
途中で寄った藤の花の家紋の屋敷で受け取った握り飯を取り出し、少なからず空腹を訴えていた腹を満たすために齧り付き、飛び続けていた要にも鴉用の食事を与えながら。
─────・・・・・・うまいことには違いないが、やはり何か違うな。
折角作ってもらった握り飯。もちろん、それはしっかりとした塩味が効いており、美味しいことに変わりはない。
しかし、煉獄はそれを食べながらも、どこか物足りなさを感じていた。
─────・・・・・・やはり、優緋が一緒にいるのといないのとでは、全然違うな。
数日程離れただけであるにも関わらず、どこかで優緋のことを考えてしまう煉獄は、参ったと言わんばかりに苦笑いをこぼし、握り飯を口にする。
いつもならば、休憩中の自分のすぐ隣には優緋がおり、彼女と何かしらの談笑をし、彼女が連れて歩いている鬼となってしまった二人の子供と軽く遊び、楽しげに笑っている二人を見守る優緋の姿を視界に入れながら、穏やかな時間をすごしていた。
だが、今の彼の隣に彼女はおらず、休憩中の姉に無邪気な笑顔を見せながら甘えている彼女の家族もいない。
静寂のみが存在するこの時間に、煉獄はどことなく寂しさを抱いていた。
─────・・・・・・最初のうちは、鬼を連れた鬼狩りなどと思っていた。何かがあってからでは遅いと、即刻厳しい処罰をとも思っていた。
─────・・・・・・だが、いざ、共に任務をこなし、人を食らわぬ鬼と共に、多くの人を守り抜く姿は、仲間として認めるには十分すぎる程の力だった。
─────・・・・・・その上、突如現れた上弦の鬼に怯むどころか、真っ直ぐとその刃を向け、恐ろしいまでの力を持つ者に、小柄な体をしていながらも、勇敢に立ち向かっていった。
─────・・・・・・それだけの力を見て、鬼狩りとして認めないなどと言えるものではなかったし、事実、あれだけの力を持ち合わせている存在に、俺は強く尊敬の念を抱いた。
─────・・・・・・同時に、未だ荒削りな部分がある姿を見て、是非とも育ててみたいと思った。胡蝶と少々取り合いになってしまったが。
広がる夜空を見上げながら、煉獄はこの数ヶ月の出来事を思い返す。
蟲柱と名高い胡蝶しのぶと取り合いになってしまう程の剣士。なんとしても自身の継子へと思い、彼女の提案に乗る形で、優緋にお試しとして自身の継子を経験してもらった。
それにより彼女が下した選択は、自身の体に合っているからと言う理由から、
自身が尊敬し、同時に悔しいと思ってしまう程の強き剣士が、自身の元に来ると言う選択肢を手に取ってくれた時、煉獄はこれまでにない程の歓喜を抱いた。
自身よりも一歩先に行っているような、だけど未熟さが目立つような強き剣士を育てることができる機会は、自身の強さも引き出してくれると思っていたがために。
─────・・・・・・確か、元は水の呼吸と、日の呼吸を身につけていたと言っていたな。その上、水の呼吸の師事をしてくれたのは、冨岡の師でもあった鱗滝殿だったと言っていたか。
そこまで考え、煉獄は少しだけ思考を止める。
─────・・・・・・うむ!鱗滝殿と冨岡には申し訳ないことをしてしまったな!
よくよく考えてみれば、自分は彼らの弟子を奪ってしまったような状態にあることを思い出し、煉獄は心の中で謝罪する。
いや、これに関しては後日にでも冨岡には直接の謝罪を行い、鱗滝殿には手紙を送るべきか・・・・・・と少しだけ頭を悩ませながら。
しかし、だからと言って、彼は水の呼吸を使う彼らに、優緋と言う剣士を返すと言う選択肢は浮かべなかった。
彼女のような剣士を育てることに確かな楽しさを感じ、最後まで面倒を見たいと望んでいるがために。
─────・・・・・・彼女には助けられてばかりだったな。猗窩座との戦いも、父上との和解も、彼女が背中を押してくれたからこそ、強く踏み込むことができた。
鬼狩りとなり、間もない少女に後押しされることに情けなさを覚えないわけではない。剣士としての悔しさもある。
だが、それ以上に煉獄は、優緋に感謝の念を抱いていた。優緋と言う剣士に巡り会えたからこそ、自身は今もこうして大地に立ち、刀を握ることができるのだから。
─────・・・・・・全く・・・・・・一生をかけてでも彼女には礼をしなくてはならないな!
優緋と言う剣士がいなければ、猗窩座との戦いに敗れていたかもしれない可能性を脳裏に描き、煉獄は苦笑いをこぼす。
それ程までに、竈門優緋と言う自身の継子は、とても大きな存在になっていた。
「・・・・・・さっきから、優緋のことばかり考えているな。」
そこまで考えた煉獄は、現在の自身が竈門優緋と言う剣士のことばかり考えていることに気づき、再び苦笑いをこぼす。
つい最近までは、一人で任務をこなすことが当たり前であったはずなのに、今の彼には、優緋が側にいるというのが当たり前になっていた。
この数日、何度優緋の名を呼び、宇髄と共に任務についていることを思い出すという日を繰り返してきただろう・・・・・・そう思いながら、誰もいない自身の隣へと視線を向ける。
─────・・・・・・一人で行動を取るのが寂しいと思うようになってしまうとは・・・・・・よもやよもやだ。
“どうかしましたか?煉獄さん?”・・・・・・いつもならば、しばらく見つめていれば返ってくる言葉。
しかし、今はその言葉を紡ぐ大切な継子の姿はなく、ただ、緩やかな風が吹き抜けるのみ。
その景色をしばらく見つめた煉獄は、休憩を終えるために立ち上がる。
自身の主人が立ち上がる姿を見ていた要は、そんな彼の心境を少しだけ感じ取りながらも、星が瞬く夜空へと漆黒の翼を羽ばたかせた。
・・・・・・あれから時は流れ、休憩によりしっかりと疲労を回復させた煉獄は、再び沢山の鬼を滅殺していた。
そして、指令がほとんど入らなくなり、今日の任務はこれくらいだろうかと考え始めた頃、それは姿を現した。
「!?杏寿郎様!アチラヲ!!」
それに真っ先に気づいたのは、煉獄の鎹鴉である要で、彼は煉獄の肩に乗りながら、ある方角へと視線を向ける。
それに従うようにして、煉獄が同じ方角へと目を向けてみれば、そこにはここ数ヶ月で等に見慣れてしまった鎹鴉の姿だった。
「優緋の鎹鴉・・・・・・!?確か、天王寺と呼ばれていたか!」
自身の視界に入り込んだものが、先程まで考えていた少女の鴉であることに気づき、煉獄は思わず声を張り上げる。
すると、彼の声に気づいていたらしい鎹鴉・・・・・・天王寺松衛門は、すかさず煉獄の前に姿を見せる。
「炎柱!!南方!!花街ニテ優緋ト音柱ガ上弦ノ陸ト交戦中!!直チニ急行シ、救援ヲ!!
優緋ガカナリ無茶ヲシテイル!!音柱ヲ頼ッテハイルガ 相手ニナッテイル鬼ガ厄介ナ猛毒ヲ持チ合ワセテイルセイデ、何度モ呼吸ヲ切リ替エテ戦ッテイル!!」
「!?」
天王寺から告げられた言葉に、煉獄は思わず目を見開く。
何度も呼吸を切り替えて戦っている・・・・・・その言葉を聞いた瞬間、彼の脳裏にはある日の優緋との会話が過った。
─────・・・・・・複数の呼吸を使えるからと言って、強くなれるわけではありません。
─────・・・・・・確かに、複数の呼吸を切り替えながら戦えば、急に太刀筋が変わるし、慣れてきたところで別の呼吸を叩き込むことができると十分すぎる牽制にもなる。
─────・・・・・・この性質から、鬼に対する不意打ちにも使えますが、その分気をつけなくてはならないことも沢山あるんです。
─────・・・・・・最も気をつけなくてはならないことは、やはり、体力の消費と疲労の蓄積ですね。
─────・・・・・・私は
─────・・・・・・結果、私は頚を狙える機会に限度があり、どうしても誰かの力が必要になる。
─────・・・・・・きっと、十二鬼月とぶつかる時は、必ず柱の人がいなくては厳しいことになるでしょうね。この方法は、どうも主軸で戦うより、援護に向いているようですから。
─────・・・・・・どれくらいの時間、これを使って頚を狙えるのか、まだ私は見極めることができていません。
─────・・・・・・そのため、あまりにも戦闘が長引けば、私の体力が維持できなくなり、そのまま戦闘すら困難な状況に陥ると思います。
─────・・・・・・
どことなく困ったような、だけど、確かな弱さを見せていた優緋の姿が脳裏を過り、煉獄は嫌な汗が流れることを感じ取る。
「天王寺・・・・・・優緋の様子は・・・・・・?」
「マダヤレルト言ッテルガ、明ラカニ疲労ノ色ガ強クナッテイル!!優緋自身モ疲労ガ蓄積サレテルコトノ自覚アリ!!可能性トシテ上ゲルナラバ、持ッテアト半刻ダ!!」
持ってあと半刻と聞き、煉獄は思わず歯を強く噛み締める。
このままでは優緋も、優緋と共に任務に赴いた宇髄や、優緋の家族たちまでもが危険だとわかったために。
「天王寺!!優緋は花街に宇髄といるんだな!?」
「アア!!音柱ノ鎹鴉ガ交戦シテイル場所デ旋回シテイル!!花街ハコッチダ!!」
煉獄の言葉を聞き、天王寺は花街がある方角へと視線を向ける。
それを聞いた煉獄は、すかさず足に力を入れ、炎の呼吸を使用する。
優緋も使った壱ノ型、不知火。それを使用する要領で足に力を入れ、強く地面を蹴り上げると同時に、彼はかなりの距離を移動する。
今いる場所から花街まではかなりの距離が存在しているが、それでも早く、自身の能力を酷使してでも上弦と交戦する大切な少女の元へと駆けつけるように、暗闇の中を駆け抜けた。
なんとなく思ったのですが、皆さんはキメ学時空の優緋はどんな立場で想像しますか?
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