目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
走って走って走り続けて、たどり着いた花街。
本来ならば花街は夜に賑わいを持つ場所のはずだが、現在、その賑やかさは全くと言っていい程になく、花街からさらに奥の方で、爆発音が響き渡る。
「・・・・・・一般人は一人もいないようだな。」
ほとんど人の気配がない花街を見て、煉獄は一つ溜め息を吐く。一般人がいないのであれば、鬼とどれだけ戦うことになろうとも、被害だけは最小に抑えることができると思いながら。
しかし、すぐに視線を爆発音がする方へと向けては、街明かりに照らされている夜空へと目を向ける。
しばらくの間、目を凝らしていると、上空をきらりと輝く物が旋回しているのが映り込む。
それは、明らかに音柱である宇髄の鎹鴉で、どこで彼らが交戦しているのかすぐにわかる目印となっていた。
─────・・・・・・なるほど・・・・・・優緋の鎹鴉に救援を呼びに行かせ、宇髄の鎹鴉に位置を把握できる導役を任せたのか!
非常に助かると考えながら、煉獄は自身の鎹鴉へと視線を向ける。
彼に視線を向けられた鎹鴉、要は、煉獄の視線に小さく頷き暗闇が広がる夜空へと漆黒の翼を羽ばたかせた。
向かう場所は宇髄の鎹鴉である虹丸の元。自身の主人であり、炎柱である煉獄の到着を知らせるために。
真っ直ぐと虹丸の元へと向かう要を見送り、煉獄は足に力を加える。同時に炎の呼吸を行い、不知火を使用する要領で地面を蹴り上げれば、一気にその景色は変わっていく。
時折虹丸の方角を確認するように視線を動かし、素早く花街を走り抜けていると、自身が向かっている方角から建物が倒壊するような音が轟いた。
「炭治郎!!禰豆子!!善逸!!伊之助!!逃げろおおおおおお!!」
「!?」
同時に聞こえてきたのは、自身の継子である優緋の悲痛な声音。
驚いて声の方へと目を向けてみれば、そこには焦燥を表情に浮かべる彼女の姿があり、その視線を辿るように向けた屋根の上には、鬼の頚を持ち屋根を走り抜ける猪頭の剣士と、その剣士に一撃を食らわさんとしている一人の鬼の姿がある。
まるで、どこかゆっくりとした時の中で動く景色を視界に入れた煉獄は、すかさず自身の刀を構え、自身の呼吸を使用する。
“炎の呼吸 壱ノ型 不知火!!”
大地を力強く蹴り飛ばし、一瞬にして鬼との距離を詰めた煉獄は、勢いのままに刀を振り抜く。
振り抜いた刃は、容赦なく鬼の両腕をその場で斬り飛ばし、現れた煉獄に目を見開く鬼は、弱点である頚を晒していた。
“炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天!!”
その機会を煉獄が見逃すはずもなく、不知火に繋げるように刀を振り上げ頚を狙う。
だが、相手の鬼は驚異的な反射速度でその体を仰け反らし、刃の直撃を躱す。
自身の頚に、一筋の傷を受けながら。
「躱されてしまったか・・・・・・!!だが、最悪の事態はどうやら免れたようだな!」
頚を斬ることができなかったことに、少なからず悔しさを抱く。
だが、自身の継子である少女の大切な友人を守ることはできたため、口元に笑みを浮かべる。
「れん・・・・・・ごくさん・・・・・・?」
わずかに聞こえてきた少女の声。辺りの雲が静かに晴れ、満月が大地を照らす中、静かに声の方へと視線を向ける煉獄。
そこには、驚きと戸惑いを抱きながらも、確かな安堵を表情に浮かべる優緋の姿があった。
☽❀☾
原作の通り、堕姫ちゃんの頚を持って逃げようとしていた伊之助を狙い、その凶刃を振るおうとした妓夫太郎さんを止めるために、大きな体力を削ることになろうとも、炎の呼吸を使用した状態で“透き通る世界”を使用する思考が霧散していく。
炎を連想させる髪と羽織を靡かせながら、伊之助と妓夫太郎さんの間に佇む煉獄さんは、頼もしい笑みを浮かべ、私の方へと視線を向けた。
「すまない!かなり遅れてしまった!これまでよく持ち堪えたな、優緋!」
明るい笑顔を見せながら、言葉を紡ぐ煉獄さんの姿に、一瞬だけ自身の視界が歪む。
伊之助が無事でよかった・・・・・・誰も攻撃を食らわなくてよかった・・・・・・溢れ出る安堵に泣きそうになりながら、私は小さく頷き返した。
「ギ、ギョロギョロ目ん玉!?」
「れんごくさん・・・・・・どうして・・・・・・?」
突如現れた煉獄さんに、伊之助と炭治郎が驚いたような声を漏らす。
禰豆子と善逸の二人からも、驚いた感情を抱いている時の匂いがして、四人全員がまさかの乱入者に困惑しているのがわかった。
「優緋の鎹鴉が俺の元に来たからな。すぐに救援として足を運ばせてもらった!ちょうど近隣で任務をこなしていたしな!」
自分がどうしてこの場にいるのかを笑顔で伝えたのち、煉獄さんはぐるりと辺りを見渡す。
しかし、すぐに複数の攻撃が自身や伊之助たちを全て巻き込もうとしていることに彼は気づき、その場で素早く刀を振い、向かってきた攻撃を打ち払う。
「どわ!?」
だが、全てを打ち払うように振るった刀をすり抜けるようにして帯の攻撃が伊之助に伸び、彼に攻撃を仕掛けたことにより、折角斬っていた堕姫の頚が奪還されてしまう。
天王寺から聞いたのか、無数に存在する猛毒の血鎌を優先的に排除していたせいか、帯の攻撃の防御が一部間に合わなかったようだ。
「次から次へとやってきやがるなあ・・・・・・!!」
「なんなのよ今日は!!こんなに柱が来るなんて聞いてないわよ!!」
再び頚を堕姫ちゃんが取り戻し、妓夫太郎さんの無数の血鎌と彼女が放つ無数の帯が辺りを覆い尽くすかのように放たれる。
それを確認した私たちは、すぐに呼吸を使用することにより隙間なく埋め尽くしてくる攻撃の全てを捌き切る。
炭治郎にヒノカミ神楽を教えておいたことや、煉獄さんの訓練に参加させていたことが功をなしたのか、この場にいる全員が、攻撃を食らうことなく状況を維持することができた。
「頚を斬っても死なぬ鬼がいるとはな!よもやよもやだ!」
「正確には、二体の頚を胴体から離した状態にしなければ回復されまくるって話ですよ。」
「煉獄が合流するたあド派手に運がいいぜ!!優緋!!気を引き締めろよ!?」
「ええ、わかってます。炭治郎!!禰豆子!!善逸!!伊之助!!アンタたちも気を引き締めなよ!!」
「わかった!!」
「う!!」
「了解!!」
「命令すんじゃねぇ!!つか、ギョロギョロ目ん玉いつの間にここにきやがったんだ!?」
「つい先刻だな!」
伊之助の質問に答えながらも、煉獄さんは私と宇髄さんがいる場所へと移動してくる。
それに倣うようにして、炭治郎と禰豆子、さらに言うと伊之助と善逸もそれが当たり前であるかのようにしてこちらの方へと移動してきた。
「「カルガモか・・・・・・?」」
思わず宇髄さんと一緒になってツッコミを入れてしまった。ここまで違和感なくピヨピヨと煉獄さんのあとを追って来るとは思いもよらなかった。
「ん?どうかしたのか?」
「「・・・・・・いや・・・別に。」」
そんな私と宇髄さんのツッコミに疑問を抱いたらしい煉獄さんが、私たちに質問を投げてきたが、すぐになんでもないと二人で返し、互いに互いの顔を見合わせる。
煉獄さんの背後をついていくのが当たり前な真・かまぼこ隊・・・・・・可愛らしいけど、彼らにとって煉獄さんは親鳥なのだろうか。
「煉獄が合流したことで炎師弟が揃ったんだ。ここは、俺がこいつらを率いて女鬼の頚を狙い、こっちで煉獄と優緋が男鬼の頚を狙うのがいいかもな。
ただ、煉獄にゃすまねぇと思ってるが、優緋にはかなり体力を消耗させちまった。
問題は今んとこねぇが、あっちの頚、頼めるか?」
そんなことを思っていると、宇髄さんがすかさず煉獄さんにこれからの戦闘態勢の説明をする。
彼の言葉を聞いた煉獄さんは、一度だけ私の方に視線を向けては、小さく頷き返した。
「うむ!任せておけ!竈門少年と竈門少女には、俺がこれまでそれなりに戦闘の訓練をつけておいた。
無茶をさせることはできないが、実力はそれなりに伸ばしてある。是非とも、宇髄の戦術に組み込んでもらいたい!」
「ああ。無茶させねぇ程度に使わせてもらう。行くぞお前ら!!」
「はい!!」
「むん!!」
「わかりました・・・・・・!!」
「だーかーらー!!どいつもこいつも俺に指図すんじゃねぇって言ってるだろーがぁ!!」
宇髄さんの言葉を聞き、彼に続くようにして地面を蹴り上げ、堕姫ちゃんと妓夫太郎さんの方へと走り出す炭治郎たち。
その背中を見送った私と煉獄さんは、その場で少しの深呼吸を行い、互いの目に宿る暖色の瞳を見合わせる。
そして、小さく頷き合ったのち、炎の呼吸特有の呼吸を行った。
“炎の呼吸 壱ノ型 不知火!!”
同時に使用した炎の呼吸の壱ノ型により、走り出していた宇髄さんたちを追い越した私と煉獄さんは、ただ真っ直ぐと妓夫太郎さんに狙いを定める。
本気で使った炎の呼吸・・・・・・きっと、私の首元にはもう一つのアザが浮かび上がり、存在感を放っているのだろう。
そんなことを思いながら、勢いよく堕姫ちゃんと妓夫太郎さんに距離を詰め、分離させるように袈裟斬り・・・・・・ではなく、不知火の勢いに任せた強蹴を、煉獄さんと一緒になって妓夫太郎さんの体に叩き込む。
私と煉獄さんの強蹴を食らった妓夫太郎さんはそのまま勢いよくこちらが蹴り飛ばした方角へとその身を飛ばし、だるま落としの要領で下を抜き取られた堕姫ちゃんが対空した状態でその場に留まる。
「お兄ちゃ・・・・・・ギャアアッ!!」
刀ではなく強蹴が飛んできたことにより、一瞬の怯みを見せた堕姫ちゃんの両足を斬り飛ばすように刀を振えば、それに続くような形で煉獄さんが彼女の両腕に刀を食い込ませる。
わずかな遅延により、攻撃の出出しを遅らせれば、あとは不知火を使えば妓夫太郎さんの元へと一気に詰め寄ることができる。
まとめて頚を斬るのであれば、側にいさせたままの方がいい・・・・・・そっちの方がどちらかと言うと現実的だろう。
しかし、この二人には厄介な連携がある。帯と血鎌、その両方を使用することにより、四方八方から攻撃の雨を降らせ、着実にこちらの体力を奪ってくる。
何より厄介なのは妓夫太郎さんの猛毒の血鎌だ。堕姫ちゃんの使う帯に関しては、宇髄さんが混ざらなくても、かまぼこ隊こと炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助の四人だけで十分凌ぐことができる。
だが、ここに血鎌が混ざったらそうもいかない。猛毒だけは絶対に食らわせてはならない。
それならば、私と煉獄さんと宇髄さんで、柱二人と柱級一人で一気に終わらせてしまえばいい・・・・・・と言う考えも一瞬過ったが、残念ながらそれは最初の方で除外した。
・・・・・・私の体力が持たないのだ。宇髄さんと煉獄さん、対峙している堕姫ちゃんと妓夫太郎さん・・・・・・その全ての動きを“透き通る世界”で把握しながら、柱である二人に動きを合わせると言うのは、今の私では難しいのである。
─────・・・・・・少しばかり、呼吸を切り替えすぎたかな。
これは大きな反省点だと少しだけ考えながら、私は煉獄さんの隣に並ぶ。
多分、切り替えをもう少し控えながら、どちらかの呼吸に偏らせて使っていれば、自身の疲労をここまで蓄積させることなく体力を維持することができただろう。
それこそ、除外してしまった案を通し、一気に終わらせることができるほどに。
だけど、炎と日では火力が違い、“透き通る世界”を維持することができる時間も全くと言っていい程に違って来る。
─────・・・・・・日の呼吸と同様に、炎の呼吸も何回も履修する必要があるかな。できることならば、どちらの呼吸でも同じくらいの“透き通る世界”が使えるようになっておきたい。
そんなことを思いながら、私は妓夫太郎さんとの距離を詰め、“透き通る世界”に入らなくても把握できるようになっていた煉獄さんの動きに合わせて自身の刀を振り抜く。
大砲の弾のごとき勢いで建物に突っ込み、そのまま倒壊させていた妓夫太郎さんは、私と煉獄さんの姿を見ては、その鋭い目を大きく見開いていた。
なんとなく思ったのですが、皆さんはキメ学時空の優緋はどんな立場で想像しますか?
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