目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
煉獄さんに教えてもらったことにより、使えるようになった炎の呼吸の奥義、玖ノ型である煉獄。
炎の呼吸を使用する際にも浮かび上がるようになったアザを出している時のみに使えると言う制約がある上、煉獄さんに比べて力劣るそれを放ち、妓夫太郎さんを助けようと動いていた堕姫ちゃんを斬りつける。
力が劣るとは言え、私が使える全ての型の中で、最も火力があるそれは、上弦の鬼と呼ばれている存在にも十分通用するものへとなっていたらしい。
堕姫ちゃんの体を大きく抉り斬り、同時に頚も斬り飛ばすこともできた。
絶望と敗北を色濃く見せる綺麗な顔や、彼女たちの過去を考えると、申し訳なさがないわけではない。
でも、奪いすぎた数多の命は、奪われた時点で回帰することなく消えて行く。
例え、
来世こそは、奪われるだけの絶望の生ではなく、穏やかで幸福な生涯を送れますように・・・・・・そんな祈りを浮かべながら、地面に倒れ込む堕姫ちゃんと妓夫太郎さんの体を見る。
原作では、このタイミングで最後の最後に発生する円斬旋回があったが、“透き通る世界”で見た感じ、どうやら発生する前兆はないようだった。
そのことに少しだけ安堵する。同時にその場でフラつき、膝から崩れ落ちる。
「優緋!?」
しかし、私が倒れる前に煉獄さんが支えてくれたおかげで、完全に倒れることはなかった。
伸ばされた逞しい腕に掴まり立ちをしながらも、倒れ込むのを防ぐことはできたが、刀は手元から滑り落ちた。
カランと無機質な音が響く中、少しのめまいを感じていると、煉獄さんから心配する匂いを感じ取る。
「・・・・・・すみません。呼吸を何度も切り替えながら戦った疲労が積み重なっていたにも関わらず、アザを出した本気の状態でのみ使える煉獄を使ったものですから、少しばかり体に負担がきてしまったみたいです。
駄目ですね・・・・・・。一つの戦闘で日の呼吸と炎の呼吸・・・・・・その両方を使い分けながらどちらでもアザを出したら、体力があまり持たない。」
自身の状態に表情を歪めながら、煉獄さんに謝罪をして顔を見上げると、彼は左右に緩く首を振り、私の頭を優しく撫でながら笑ってきた。
「謝らなくていい。上弦の鬼・・・・・・さらに言うと、二人で一つと言う異例の鬼との戦闘になっていたんだ。
これだけの傷で終わらせることができたと言うのは、褒めこそさえすれど、怒ることはないさ。」
煉獄さんの大きな手のひらが頭から頬へと移動して、堕姫ちゃんと一人で対峙していた時の切り傷の側を優しく触れられる。
傷の痛みを引き起こさないよう、気を遣っているような優しい手つき。本来ならば、この手の温もりは、無限列車の戦いの果てに失っていたのかと思うと、少しだけ泣きそうになる。
でも、確かに感じ取ることができる頼もしい温もりは、煉獄杏寿郎と言う存在がちゃんと今を生きる一人の人間として生き残り、こうして側にいてくれているのだと言う現実を伝えてくれているのだから、泣く必要なんてどこにもない。
そんなことを思いながら、私は頬に触れている優しい温もりを感じるように目を閉じて、すり・・・・・・と静かにその手に擦り寄る。
急な行動に煉獄さんは驚いたようで、それに応じた感情の匂いを感じ取ることができた。
「傷に指が触れてしまうところだったぞ優緋!汚れが入り込んで化膿したりしたらどうするんだ?」
「・・・・・・ごめんなさい。煉獄さんが来てくれたことに安心してしまって・・・・・・」
「む・・・・・・う、うむ・・・・・・そ、そうか!」
傷を心配してくれる煉獄さんに対して、素直な気持ちを口にしていると、不自然に彼の言葉が軽く途切れた。
不思議に思いながら視線を向けると、どことなく彼は顔を赤くしているようだった。
「あーあ・・・・・・随分と派手にやったなぁ・・・・・・。つか、煉獄と優緋が合わさったらここまですげーのか・・・・・・」
顔赤い・・・・・・?と少しだけ首を傾げていると、宇髄さんたちが私たちの元に歩み寄ってくる。
すぐに視線を向けてみると、宇髄さんは、私と煉獄さんが斬りつけた堕姫ちゃんと妓夫太郎さんの体を見比べながら、ポリポリと頬を掻いていた。
「つか優緋。お前、よく玖ノ型まで使えるようになったな?」
「煉獄さんに比べたらかなり威力は落ちますけどね。」
「それでもここまでやれたら十分だっつの。つか、なんで俺と一緒に並んでいた時は本気出してなかったんだよ。」
「体力の温存のため・・・・・・ですかね。二つの呼吸を使い分けるのはかなり大変で、本気で使ってる呼吸から、もう一つの呼吸の本気に切り替えるのはかなり体力が失われちゃうんです。」
「なるほどなぁ・・・・・・」
私の説明を聞き、本気を出さなかったことに対する疑問に納得したような様子を見せる宇髄さん。
現在の私の状態を見て、最初から本気を出せなかった理由もわかってくれたのか、それ以上の言及はなかった。
「・・・・・・む?竈門少年と竈門少女の姿が見えんが、どこに行ったんだ?」
「言われてみれば・・・・・・」
まぁ、こんだけ疲労を思い切り出していたら納得もするかと考えていると、不意に、煉獄さんが炭治郎と禰豆子がいないことに対して疑問を浮かべる。
そう言えば、なんか二人の匂いが離れてるな・・・・・・と思いながらキョロキョロしてみると、宇髄さんの後方・・・・・・しかも、かなり離れた位置にあった妓夫太郎さんの腕・・・・・・間違いなく、煉獄さんが吹っ飛ばしていたそれに近寄り、採血の短剣をブッ刺していた。
あ、茶々丸が出てきてそれ持って行った・・・・・・。体力を削りまくった私の代わりに、採血してくれたんだな・・・・・・。
「あ?おーい、お前ら、何やってんだ?」
「ねえちゃんのおてつだいです!」
「う!!」
あとでお礼を言わないと・・・・・・と小さく笑っていると、宇髄さんに話しかけられた二人が何をしていたのかを答えた。
嘘が下手くそな炭治郎だけど、今回のそれは真実だったおかげで、変な顔はしていない。
「ふぅん?まぁ、なんでもいいが、そろそろいつもの箱ん中に入っとけよ。もう直日の出だし、お前らがいなくなっちまったら優緋が泣くぞ。」
「はい!わかりました!」
「むん!」
宇髄さんの指示を聞き、てってけてってけと箱がある方角へと走り出す炭治郎と禰豆子。
彼らが向かっている方角からは伊之助と善逸が走ってきており、その手に背負い箱を抱えていた。
「さてと・・・・・・よく頑張ったじゃねーか優緋。俺も派手に助かったぜ。しっかし、悪かったな・・・・・・。顔に傷なんか作らせちまってよ。」
善逸たちにもお礼を言わないといけないな・・・・・・なんて、苦笑いをこぼしていると、宇髄さんが私の頭を撫でながら、今回の戦闘に関しての感謝と謝罪を述べてきた。
煉獄さんとはまた違った大きさと温もりがある優しい手を大人しく受け入れた私は、すぐに首を左右に振る。
「これくらいどうってことありませんよ。だって、私よりも大きな怪我をしながら戦ってくれた二人もいますから。」
自分の怪我は軽度なものだと口にしながら、私は宇髄さんの背後にいるかまぼこ隊に視線を向ける。
炭治郎と禰豆子が仲良く箱の中に潜り込むのを見守っている伊之助と、気絶から復活した善逸は、私以上に沢山の切り傷を負っていた。
かなり深いものもあるのか、出血が止まっていない。大量出血程にはならないかもしれないが、傷痕は残ってしまいそうだ。
「だから、私よりも善逸たちを褒めてあげてください。彼らもまた、とても頑張った子たちですからね。
・・・・・・そうですね。どうせなら何か美味しいものでも奢ってあげてください。あの子たちはそれに喜んでくれるはずですから。」
それならば、私よりも頑張った善逸たちを褒めてあげてほしい・・・・・・そう宇髄さんに伝えると、彼は目を丸くする。
しかし、すぐに深く溜め息を吐き、私の頭をぐしゃぐしゃにするように撫でてきた。
「おわ!?」
「確かにあいつらも頑張っていたし、それは否定しねーがなぁ。一番派手に頑張ったのは優緋だろうが。毎回毎回地味に謙遜すんじゃねーよ。」
「ちょお!?髪の毛ぐしゃぐしゃになっちゃいますって!!」
炎柱邸別邸でもされた気がする!!とデジャヴを感じながら宇髄さんにストップをかけると、彼は私の髪をぐしゃぐゃに撫でるのをやめ、小さく笑い声を漏らして手櫛を入れてきた。
「まぁ、さっきも言ったが、もしもこの傷が残ったりしたらいつでも俺んところに来ていいからな。
折角綺麗な顔してんのに、それを傷もんにしちまった責任はいくらでも取ってやるからよ。」
「・・・・・・まぁ、傷が残った時はそうさせてもらいますね。」
「なんなら、そんなの関係なしに嫁に来てもいいけどな。優緋なら大歓迎だ。」
「もう・・・・・・冗談を言うのはやめてくれませんか?」
「冗談ねぇ・・・・・・俺は別にそんなつもりはねーんだが・・・・・・」
またまた〜・・・・・・と流そうとしたところで、彼の匂いから確かに冗談混じりではあるが本気であることもわかってしまったため、思わず無言になる。
え?この人、なんでちょっと本気になってんの?・・・・・・と少しだけ混乱していると、私の頭の上から宇髄さんの手が払い除けられる。
肌と肌がぶつかり合う乾いたような音に目を丸くした私は、宇髄さんの手を払った手の持ち主であろう煉獄さんへと視線を向ける。
「宇髄!俺の継子を誑かすのはやめてもらえないだろうか!そもそも君は、すでに妻が三人もいるだろう!」
彼の表情は少しの苛立ちを含んだ真顔になっており、私の鋭い嗅覚は、彼の感情の中に、あまり嗅ぎ慣れない匂いがあることを知らせてくる。
どこか軽く苛立っているような、それでいて慌てているかのような、それだけは絶対にさせたりはしないと言う強い感情が、嗅ぎ取れる匂いに混ざっている。
「・・・・・・へぇ・・・・・・。そう来たか。」
何があったの煉獄さん・・・・・・と驚いていると、宇髄さんはどこか面白いものを見たと言わんばかりの反応を見せる。
視線を宇髄さんへと向けてみれば、彼は口元にどことなく不敵な笑みを浮かべており、感じ取れる匂いには楽しさとちょっとした闘争心が混ざっていた。
「なんであの時攻撃しなかったのよ!?アタシより柱を食ってるならもう少しやれたでしょ!?」
「こっちはお前と違って柱と柱に並ぶような女を二人相手にしてたんだぞ!?」
「だったら毒を浴びせればいいだけの話じゃない!!なんのための猛毒よ!!」
「毒を食らわせるように何度も狙った!!」
「はァ!?あれで狙ったとか言ってんの!?ふざけんのも大概にしなさいよ!!」
「「「!?」」」
・・・・・・煉獄さんと宇髄さんが無言で睨み合う。しかし、それは不意に聞こえてきた言い争う声により破かれ、私たちはすぐに声の方へと視線を向ける。
ここからそれなりに離れた位置・・・・・・そこに転がる二つの鬼の頭が、消えながらも怒鳴り声をあげている。
「アイツら・・・・・・まだ生きてやがったのか・・・・・・?」
「だが、灰へとなりつつあるのも確認ができるな。もしかしたら十二鬼月は、消滅するまで時間がかかるのやもしれん。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「!?待て待て待て待て!!何してんだ優緋!?」
「いくら消滅途中とは言え、反撃されないとは限らない!!戻ってきなさい!!」
宇髄さんと煉獄さんが、十二鬼月と称されている鬼と通常の鬼の消滅時間の違いに言及する中、多少なりとも歩けるようになった私は、ゆっくりと妓夫太郎さんたちの元へと歩み寄る。
背後から煉獄さんと宇髄さんが焦りを浮かべて声をかけてくるが、それに返事をすることなく、静かに足を進め続けた。
妓夫太郎さんたちから敵意の匂いはほとんどない。あるのは、自分たちがやられてしまったことの焦りと悲しみ、そして、深い絶望だ。
「そもそもお前は雑魚とはぐれ鬼と最初はやりあってただろうが!!それに比べて俺は柱と柱級の女だぞ!?そっちが先に雑魚共を始末すりゃ毒を食らわせる機会だって作り上げることができた!!」
「だったらそういうふうに操作すればよかっただけじゃないアタシを!!それなのに何もしなかった!!」
「うるせぇんだよ!!仮にも上弦だって名乗るんならなぁ!!雑魚くらい一人で倒せ馬鹿!!」
妓夫太郎さんのその言葉を聞き、私はフラフラになりながらも地面を蹴り上げる。
呼吸を使える程の体力はなくても、軽く走ることはできるから。
─────・・・・・・それ以上は言ってはいけない。
例え、どれだけこの結末が虚しく、とても悲しくて辛いものであろうとも。
「っ・・・・・・アンタみたいに醜い奴が・・・・・・!!アタシの兄妹なわけないわ!!アンタなんかとはきっと血も繋がってないわよ!!だって全然似てないもの!!」
だって、君たちの間には・・・・・・
「この役立たず!!強いことしか取り柄が無いくせに!!それ以外何も無いくせに!!負けたアンタにはもう何の価値もない!!醜いだけの出来損ないよ!!」
「ふざけんじゃねぇぞ!!お前一人だったらとっくに死んでる!!どれだけ俺に助けられた!?
出来損ないはお前だろうが・・・・・・っ・・・・・・弱くて何の取り柄もねぇ・・・・・・!!
お前みたいな奴を今まで庇ってきたことが心底悔やまれるぜ・・・・・・!!お前さえいなけりゃなぁ!!」
「・・・・・・それ以上、思っても無いことを言うのはやめなよ。」
「「!!?」」
・・・・・・兄妹を愛する確かな想いと、強く結びつける絆があるのだから。
なんとなく思ったのですが、皆さんはキメ学時空の優緋はどんな立場で想像しますか?
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