目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

128 / 175
128.炎柱邸の新たな日常

 炭吉さんから遺伝した記憶を見た日から二週間。

 まさか、杏寿郎さんの羽織を羽織ったまま眠ってしまうと言う恥ずかしい出来事を引き起こしながらも穏やかに過ごすここでの生活に、新たな日常が加わるようになっていた。

 

「お邪魔しまーす!」

 

「邪魔するぜギョロギョロ目ん玉!!」

 

 それは、善逸と伊之助の来訪だ。

 本来、柱は一般隊士に比べて激務をこなすのが当たり前。そのため、継子にしか訓練をつけないのだが、任務についていっては杏寿郎さんと一緒になって鬼を切り伏せていく私と言う存在が側にいるせいか、彼の体力は有り余っている状態が常に維持されていると言う理由から、継子と言う枠組みにはいない二人にも、杏寿郎さんが訓練をつけるようになったのである。

 

 それはまぁ、いいことだ。二人には最終決戦でそれぞれ厄介な相手と戦うことになる。

 可能であれば、猗窩座との戦闘を出来る限り短縮して、他のメンバーの救援に行きたいところではあるが、日の呼吸と“透き通る世界”の両方を縁壱さん並みにしなくては難しいかもしれない。

 まぁ、だからと言って諦めるつもりは毛頭もないが。だって柱のみんなにも、メインキャラにも死んでほしくないし・・・・・・。

 だから、二人が強くなってくれるのはこちらも助かるため、杏寿郎さんの訓練を受けてもらうことには賛成だった。

 

「我妻!!少しばかり踏み込みが浅いぞ!!嘴平は少々攻撃が荒々しいな!どちらも悪くはないが、もう少し練度を上げるぞ!!」

 

「ひぃ〜〜!!優緋ちゃんに負担ばっかかけたくないって言ったのは俺だよ!?俺だけどさあ!?この人めちゃくちゃ本気で切り掛かってくるんだけど!!何で木刀なのに地面抉れてんのおぉ!?」

 

「だああ!!くそっ!!何で一本も取れねーんだよちくしょー!!」

 

「これくらいで根を上げるとはまだまだだな!!次々いくぞ!!」

 

「ぎゃあああ!?ちょっと待ってちょっと待って煉獄さん!!その不知火ヤバい!!ヤバいってえええ!!」

 

「いっでぇ!?何だこれ!!腕がいてぇ!!」

 

「・・・・・・全力だな杏寿郎さん。」

 

 しかし、それはそれとして、訓練風景はなかなかにカオスというか地獄絵図だった。

 私の場合、炎柱の継子として引き取られた時点で痣を出せるようになっていた上、“透き通る世界”も多少使えるようになっている状態だったため、一通り必要なものは身につけていた分普通に追いつけていたが、この二人の場合、常中等を身につけてそこまで期間が経っているわけじゃない。

 身につけているレベルが違うせいか、私以上に吹っ飛ばされていた。だと言うのに、杏寿郎さんは手を緩めないタイプの指導者であるため、容赦なく打ち込み稽古を行なっている。

 壱ノ型である不知火以外は使っていない様子から、多少難易度を下げているようだが、無双ゲームのモブ兵士のごとく、一撃一撃で怯まされて吹っ飛ばされていた。

 

「おーおー・・・・・・煉獄のヤツ、派手にやってんなぁ。」

 

「あ、宇髄さん。」

 

「よ。暇だったからちょいと様子見にきた。」

 

 ここまで彼らと差があるのか・・・・・・と軽く遠い目をしていると、いつの間にか宇髄さんが私の側にやって来ていた。

 実を言うとこの人、遊郭の一件からちょくちょく私の様子を見にくるようになったのだ。

 何でも、柱合会議でぶっ倒れ、無限列車の一件でぶっ倒れ、遊郭の一件で倒れかけると、瀕死のオンパレードだったことから、お前、無茶しすぎだから放っておけねぇの、とのことらしい。

 別に無茶をした覚えは・・・・・・と様子を見にくるようになった当初に口にして、なかなかに痛いデコピンをくらいまくったものである。

 

 それからと言うもの、たまに杏寿郎さんの任務に着いて行こうとしたら、お前はこっちで嫁たちと大人しくしとけと音柱邸に放り込まれると言う出来事まで追加されていたりする。

 どうやら、天王寺と要が虹丸にどれくらい私が連続で杏寿郎さんの任務に同行しているのかをリークするようになったらしい。

 天王寺と要に虹丸(正確には宇髄さんのだけど)の匂いがする時に限って宇髄さんが現れては音柱邸に連行することがわかったため把握することができた。

 

「我妻と嘴平のヤツ、毎日頑張ってんな。」

 

「ええ。どうも、私が柱と一緒とはいえ、上弦と二度も対峙しては負担を引き受ける姿に我慢ならなくなったみたいです。

 まぁ、呼吸の使い方の練度上げにもなりますし、訓練を受けることに関しては反対しないのですがね・・・・・・」

 

 宇髄さんと話しながら視線を杏寿郎さんたちに向けると、ちょうど善逸と伊之助の二人が杏寿郎さんに思い切り吹っ飛ばされた光景が映り込んだ。

 どちらも悲鳴を上げながら、地面を転がる姿にも、かなり慣れてしまったものである。

 

「・・・・・・見ての通り、毎回二人揃って吹っ飛ばされてます。」

 

「だな。ったく・・・・・・煉獄の攻撃でここまで吹っ飛ばされるってどうなんだよ・・・・・・。体幹が地味に弱すぎじゃねぇか?」

 

「杏寿郎さんの火力はかなりのものですからね。仕方ないと思いますよ?」

 

 善逸と伊之助の何度目かわからない吹っ飛ばされシーンを見ながら、杏寿郎さんの力をまともに受けるとこうなるのは仕方ないと口にしながら肩をすくめる。

 それに耐えている私って何なんだ・・・・・・ともちろん思わなくもないが、まぁ、私の場合、原作の記憶というチートがあるからと割り切っておこう。

 ・・・・・・それでもやっぱりおかしな能力値だけどね?私の身体能力。

 

「む?宇髄ではないか!いつからそこにいたんだ?」

 

 なんて考えていると、一旦休憩を挟もうと考えたらしい杏寿郎さんがこちら側に振り返り、宇髄さんに声をかけた。

 杏寿郎さんの声を聞いた宇髄さんは、片手だけあげて挨拶を返し、縁側に座り込んでいた私の隣に腰を下ろした。

 

「今日は日中は休もうと思ってよ。必要な作業を終えてこっちの方に足を運んだんだ。優緋にこれも渡したかったしな。」

 

 そう言って宇髄さんは、自身の腰に下げていた複数の巾着袋のうちの一つを私に手渡してきた。

 受け取ればそれは爆薬丸で、藤の花の香りがする。

 

「あ、作ってみたんですね。藤の花の毒を混ぜた火薬丸。」

 

 嗅覚で感じ取れた藤の花の香りから、これに何が混ざっているのかすぐに判断することができた私は、すぐに宇髄さんに話しかける。

 宇髄さんはすぐに頷き、口元に笑みを浮かべた。

 

「おうよ!爆薬丸の中に藤の花の毒を仕込んだらどうかって言われた時は目をひん剥いたけどよ、胡蝶と一緒に調節しながら試しに作ってみたら、最高に派手な仕上がりになったぜ。

 上弦の鬼にはどれだけ通用するかはわからねぇが、雑魚鬼程度には効果覿面だ。

 まぁ、余程のことがなけりゃ、雑魚鬼に苦戦することはねぇと思うが、雑魚ではあるが、人を相当食って頑丈になってやがる鬼でも動きをかなり封じれる。

 流石に胡蝶が使う鬼を殺すくらいの猛毒にはできなかったが、かなり戦闘も楽になるはずだぜ。」

 

 笑顔でよく思いついたなと言って頭を撫でてくる宇髄さんに、私は笑顔を見せる。

 そう、このアイデアは私が出したものだったのである。爆発と毒を両立するのは確かに難しいかもしれないが、もし、両立することができるのであれば、毒を浴びせる爆薬が作れるのではないかと、何となく思ったことだ。

 ある程度したら解毒されてしまうとはいえ、上弦の鬼にも通用していた藤の花の毒・・・・・・もし、これらが両立できたとしたら、相手の回復を阻害しながら狩ることもできるのではないかと。

 

 最初、宇髄さんはかなり驚いていたが、「派手に面白ぇ考えじゃねぇか!」とかなりウキウキした様子でしのぶさんに話を持って行ってくれた。

 どうやらしのぶさんもこの案は面白いと思ってくれたらしく、彼女もなかなかノリノリで協力したようで、その話を休養するために足を運んでいた蝶屋敷のカナヲから教えられた。

 

 何でも、もし、この試みが成功したら、しのぶさんのように攻撃力に不安が残る隊士でも鬼を狩るために十分な力を身につけることができるから、怪我人も被害者も少なくすることができるかもしれないと思ったそうだ。

 私や宇髄さんのように、自ら起爆することはできなくても、鬼側の攻撃で爆発させることくらいは狙えるから、便利な道具になりそうである。

 

「ほらよ。煉獄にも渡しておくぜ。とりあえず、まずは柱と優緋で使ってみて、効能を確かめ、十分な結果を残すことができたら、順次高位の隊士にも支給するってよ。」

 

「そうか!では、ありがたく使わせてもらうとしよう!」

 

 そんなことを思っていると、宇髄さんが杏寿郎さんにも同じ巾着袋を手渡した。

 宇髄さんから手渡された巾着袋を受け取った杏寿郎さんは、すぐに腰に取り付けようとするが、それは私がやんわりと止める。

 

「杏寿郎さん。今は任務中ではありませんし、巾着袋は外していても大丈夫だと思いますよ。

 それに、杏寿郎さんは現在、善逸と伊之助に訓練をつけている最中です。

 これまでの動きを見るに、変に二人の攻撃が巾着袋を掠めたりしたら、大惨事になりかねませんから。」

 

「む!?言われてみればそうだな・・・・・・。よし、これは一旦優緋に預けておいて構わないだろうか?」

 

「ええ。大丈夫ですよ。お預かりしておきますね。」

 

 杏寿郎さんから巾着袋を受け取り、自身の側に置けば、彼は宇髄さんとは反対側に腰を下ろして来た。

 ・・・・・・柱に左右固められるって相当の圧なんだが、気のせいだろうか?

 どっちもガタイがかなりいいし、微妙に狭い。

 

「兄上。優緋さん。お茶をお持ちしました。宇髄さんの鎹鴉が厨の方に来ていたので、宇髄さんのお茶も淹れておきましたよ。」

 

「おお!ありがとう、千寿郎!ちょうど休憩をしていたところだ!」

 

「俺のまでわざわざわりぃな、煉獄弟。」

 

「ありがとう、千寿郎君。」

 

 何で柱に挟まれてんだろ・・・・・・と少しだけ遠い目をしていると、千寿郎君が縁側にお茶が入った湯呑みをおぼんに乗せたまま足を運んできた。

 よく見ると、芋羊羹と思わしきお茶菓子もある。今日のおやつは芋羊羹なんだ、なんてことを思いながらも、運ばれて来たお茶と芋羊羹を受け取れば、千寿郎君は笑顔を私に見せてきた後、ダウンしている様子の善逸たちにもお茶が入ったことを告げている。

 ・・・・・・あ、伊之助が真っ先に芋羊羹に食いついた。相変わらずいっぱい食べるなあの子。

 

「今日は任務まで暇だし、俺もいっちょあいつらを扱くとするか。」

 

 伊之助に自分の芋羊羹を取られまいと奮闘している善逸と、善逸の芋羊羹も狙っている伊之助の攻防に、苦笑い半分、微笑ましい半分で眼差しを向けていると、宇髄さんがぽつりと呟く。

 視線を彼に向けてみれば、その表情には楽しさとちょっとした好奇心が混ざった笑みが浮かんでいた。

 

「二人を鍛えるのは構いませんが、物を壊さないでくださいよ?」

 

「わかってるって。煉獄も構わねぇか?」

 

「ああ!いつもは俺が二人に訓練をつけているからな!たまには別の人間との訓練を経験させてもいいかもしれん!」

 

「うっし。つーわけで、休憩終わったら今度はこの俺が訓練の相手をしてやるぜ。俺も甘くねぇからしっかりついてこいよ?」

 

「はぁ!?煉獄さんだけでもかなり厳しいのに宇髄さんまで訓練に参加するんですか!?」

 

「おっしゃあ!!今すぐやろうぜ祭りの神!!この山の王、伊之助様が相手になってやる!!」

 

「いや、訓練。これ訓練だから。決闘じゃないから。変な方向でやる気を出すんじゃない。」

 

 なぜかおかしな方向にやる気を出した伊之助に注意しながらも、私は手にしていた湯呑みのお茶に口をつける。

 賑やかだけど穏やかな時間・・・・・・さて、いつまでこれが続くのやら・・・・・・。

なんとなく思ったのですが、皆さんはキメ学時空の優緋はどんな立場で想像しますか?

  • キメ学高等部(しのぶと同級生)
  • キメ学教師陣営
  • キメ学OB(ベーカリーのお手伝い)
  • キメ学OB(社会人として生活中)
  • 煉獄杏寿郎の恋人or嫁(教師陣営)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。