目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
獪岳と一緒に行動を取ると言う珍事件が起こってしまう中、鬼殺隊として鬼を滅殺することに身を投じ、だいぶ時間が経った。
この時間内で、私と獪岳は普通に言葉を交わしながら過ごすようになっており、それなりに関係性を築くことができた。
合間合間で話をしていたが、どうやら獪岳は、一年足らずで柱から一目置かれるようになった私の能力を半信半疑に思っていたようで、本当にこんな細い女が柱から目をかけられるような奴なのか?と疑問を浮かべていたらしい。
でも、今回、一緒に任務をこなし、次々と鬼を斬る様子から、あの話は本当だったんだな、と実力を認識することができたようだ。
それからと言うもの、獪岳は普通に私に話しかけてくるようになった。
咄嗟に炎の呼吸から日の呼吸に太刀筋が変わった時は、「お前水の呼吸がもう一つの呼吸じゃねーのかよ!?」とツッコまれたが、水の呼吸があまり威力を出せないことを任務中に出会した鬼に放ち、威力が炎や日に比べてかなり少ないことを見せた上で、炎は杏寿郎さんに教えてもらったことや、日の呼吸はなぜか自分の家に神楽と言うカタチで伝わっており、幼い頃から親に教えてもらっていたことを教えれば、納得と疑問を浮かべながらも把握してくれた。
「ん。ちょうど休憩時間に食べようと思っておむすび作ってきたから、獪岳にもあげるよ。
任務の基準が私の方になってるせいで、いつも以上にお腹が減ってるんじゃない?」
「ああ。もらう。」
そんなやり取りをしながらも、私と獪岳は一時的な休息に入る。
天王寺と獪岳の鎹鴉は、すぐ近くの枝に止まり、何やら話しているようだが、善逸のように耳がいいわけではないため、その会話はわからない。
「!・・・・・・うまい・・・・・・。」
「口に合ったようで何よりだよ。普段の癖で、かなりの量を作っちゃったから、好きなだけ食べていいよ。私は、そこまで大食いじゃないんでね。」
「それは助かるけどよ。なんでそんなに握り飯作ってきたんだ?」
「仕方ないだろ。炎柱殿や音柱殿が思った以上に食べる人らなんだから。」
「本当に柱の任務に連れまわされてんだな、お前。」
「最近は休息を多めに取らされてるけどね。」
「は?なんのために・・・・・・」
「いざという時の対抗手段。柱の支援役として。」
「・・・・・・マジか。」
さらっと口にした自分の立場を獪岳に教えると、獪岳は目を丸くして驚いた。
しかし、すぐに考え込むような様子を見せながら、おにぎりをもさもさと食べ進める。
「・・・・・・なぁ、優緋。ちょっといいか?」
「ん?」
不意に、獪岳が真剣な声音で私に話しかけてきた。
どうかしたのかと思いながら、獪岳に視線を向けてみると、彼は真っ直ぐと私を見つめていた。
「任務中、可能な限りでいいから俺の動きを見てくれ。そんで、できれば俺に何が足りないのかを指摘してくれ。できるか?」
静かに口を開いた獪岳から告げられたのは、自分の動きを見たあとで、至らないところを指摘してほしいと言うお願いだった。
まさか、そんなことを言われるとは思わず、軽く目を丸くする。しかし、すぐに頭を切り替えては、静かに口を開いた。
「確かに、それくらいならできるけど、急にどうしたの?」
この問いかけは目的がわからないから口にしたわけじゃない。何が目的でそんなことを言ってきたのかなんて、考えなくてもわかることだった。
獪岳は壱ノ型が使えない。だからこそ、実力が柱に並ぶレベルと言われている私に、使えない理由を探ってほしいのだろう。
だからこれは答え合わせ。同時に、彼はどこを目指したくて、それを達成するためのやる気を見せるかを確かめるためのものだ。
そして、彼自身が抱えているデメリットを・・・・・・コンプレックスを、私に教えてくれるかどうかを探るためのものだ。
「俺は、雷の呼吸を、元鳴柱である桑島慈悟郎って人から学んだんだ。そんで、血反吐を吐く思いで雷の呼吸を身につけるために、努力を積み重ねて、しっかりと型を身につけた。
・・・・・・だが、俺は、壱ノ型である霹靂一閃だけが使えねぇんだ。一緒に先生に学んでたカスとは逆にな。」
目を伏せながら、苛立ちや悔しさを抱きながら、自身のことを教えてくれた獪岳。
私は、彼の話に耳を傾けながら無言を貫く。
「対する優緋は、水の呼吸だけじゃなく、炎柱から教えられた炎の呼吸も、家に伝わっていたっつーもう一つの呼吸も身につけることができた上、鬼に対してしっかりとその力を発揮できるようになるまでになってる。
柱に目をかけられて、一目置かれて、柱に並ぶ実力すらものにしている。
なぁ、どうやったら俺は、優緋みたいになれる?どうやったら俺は、壱ノ型を使えるようになる?どうやったら俺は、優緋みたいに、教えられたことをしっかりと身につけることができるようになるんだ?」
真剣に、だけど貪欲に、力を身につけたいと願っている獪岳の話を聞き、少しの間見つめ返す。
だけど、すぐに頷き返したのち、口元に笑みを浮かべた。
「わかった。じゃあ、任務中、獪岳の動きを見ておくよ。柱の人たち程的確な助言はできないかもしれないけど、それでも構わないならね。」
「!ああ!それで構わねぇ!少しでも何か気づいたことがあったら教えてくれ!」
私の言葉を聞き、獪岳は的確なアドバイスじゃなくてもいいからと頷いた。
その様子に再び頷き返した私は、手元にあるおむすびが入った弁当箱を獪岳に差し出す。
「まだ食べる?」
「あ?まぁ、もらえるならもらっとくが、お前はいいのかよ?」
「三つでお腹いっぱいなんだよ。」
「・・・・・・それでよく動けるな?」
「言いたいことは分からなくもない。」
くだらない会話を交わしながらも、私と獪岳は休憩時間を過ごす。
さて、休憩が終わったら次々任務が入ってくるだろうし、獪岳の能力をしっかりと把握させてもらいますかね。
☽❀☾
・・・・・・休憩も終わり、獪岳と一緒に行う合同任務。
休憩が終わった瞬間、予想通り次々と任務が入るようになり、獪岳が「殺す気かよクソ鴉!!」と吠える場面や、任務先で出会す鬼にある程度ダメージを与えたあと獪岳に任せる場面があったりと様々な行動を取りながら、任務の完遂を進めたおかげで、獪岳の情報はある程度把握することができた。
「で?最後まで何も言ってこなかったが、何もわからなかったとか言わねぇよな?」
炎柱邸や音柱邸には距離的に帰れないと思い、近場の藤の花の家紋の屋敷に足を運ぶと、獪岳から不満げな声音で何も言わなかったことを指摘される。
その言葉に何度か瞬きを返した私は、すぐに肩をすくめて見せた。
「わかったことはあるよ。ただ、これは君の気持ちの問題でもあるから、どうしたもんかと思っていただけさ。」
「俺の、気持ちの問題?」
私が告げた言葉に、獪岳が首を傾げる。
その言葉に素直に頷いた私は、任務中に把握することができた獪岳の感情と、それに連動した彼の筋肉の動きを思い出す。
・・・・・・任務中、獪岳が戦いやすいようにとある程度鬼の動きを制限するために行なった、藤の花の毒が混ぜてある爆薬丸によるサポート。
あの毒は、十二鬼月に並ぶレベルの鬼以外にはかなりの効能を発揮することがわかったため、積極的に使用して、獪岳がやりやすいようにと隙を作った。
その度に獪岳は遠雷や、他の雷の呼吸の技術を使って、鬼の頚を切り飛ばすことができていた。
しかし、一向に壱ノ型だけは使おうとしないため、何回か壱ノ型を放つように指示を出した。
同時に“透き通る世界”を使用して、獪岳の体を見ることにより、彼の体内で起こってることを調べてみたところ、彼は、壱ノ型を使おうとするたびに体の筋肉を強張らせていたのだ。
その上、鼓動の速さや表情に浮かぶ一瞬の硬直、その際に感じた匂いから、彼は、明確な恐怖心や焦り、緊張が、ぐちゃぐちゃに渦巻き、筋肉を強張らせていることがわかった。
その様子と、原作の生きるためならどんなこともすると言う彼の生存本能から、彼は体が動く前に頭の方が動いているのではないかと言う疑問が浮かんだ。
そして、同じように遠距離から近距離に向かい、そのまま一閃する遠雷を多用することができる様子から、一つの答えを得ることができた。
もちろん、これは個人的に思ったことだし、この答えが違う可能性も大いにある。
だが、今の私には、それしか思い浮かべることができなかった。
「個人的に思ったことでもいいかな?」
「ああ。何でもいい。少しでも把握できるなら、それでいいんだ。」
念の為の確認として、個人的に思ったことがあると伝えると、獪岳はそれでも構わないと言ってきた。
それを聞いた私は、静かに頷いたあと口を開く。
「獪岳が壱ノ型を使えない理由・・・・・・それって、もしかしなくても、納刀した状態で鬼に近寄ることが怖いからじゃないかな?」
ゆっくりとした声音で、獪岳が壱ノ型を使えない理由として考えられることを告げる。
私の言葉を聞いた獪岳は、目を見開いて固まった。
☽❀☾
優緋から告げられた指摘に、獪岳は思わず言葉を失う。
まさか、真正面から鬼が怖いからではないかと言われるとは思わず、そのまま固まってしまった。
─────・・・・・・俺が、鬼を怖がってるだと・・・・・・?
何を言ってるんだこの女はと、混乱しながらまっすぐと見据える。
そんなことはない。鬼が怖いはずがない。そんなことを思いながら、「どういうことだ?」と小さく呟いた。
「獪岳の動きを見ていてわかったけど、どうも君の体は、納刀をしたまま距離を詰める壱ノ型を使おうとする度に、その筋肉をガチガチに硬直させて、近づこうとする君のことを止めているみたいなんだ。こことかここがね。」
そう言って目の前の女剣士は、獪岳の肩や脚、腰に軽く触れる。
急に異性から触られるとは思わずに、獪岳は少しだけ体を強張らせる。
しかし、すぐに彼女が優しく力を抜いてと声をかけてきたため、無意識のうちに力を抜いていた。
「同時に、獪岳からは恐怖と焦りと緊張の匂いがした。ここからは、私の勝手な推測になるけど、獪岳ってこれまで、自身に危険が及んだ時とか、危機回避のために、自分の方に利益が生まれるように立ち回っていたんじゃないかな?」
「!」
肩の力を抜き、話を聞くために耳を傾ける中、獪岳は目を見開く。
まるで、自身の過去を見抜かれたような錯覚に陥り、驚いて顔を上げる。
「・・・・・・その様子から、どうやら当たっていたみたいだね。話せる範囲でいい。何をやってきたか少しだけ教えてもらえるかな?話したくないなら話さなくてもいい。
ただ、これだけは言わせてもらうよ。例え、アンタがどんなことをしていても、私はアンタに向き合ってあげる。
話してほしいと言ったのはこっちだからね。それくらいの責任はちゃんと取るさ。」
穏やかに笑いながら、頭を優しく撫でてくる優緋に、獪岳は何度か瞬きを繰り返す。
しかし、すぐに静かに頷いたのち、小さく口を開いた。
獪岳は話した。幼い頃、孤児だった自分を拾ってくれた人間がいたことを。
その人間がいた場所で過ごす中、そこの金を盗んだことにより、自身と同じく孤児になっていた子どもたちから責められ、過ごしていた場所を追い出されたことを。
追い出された先で、人喰いの鬼に出会ってしまい、喰われそうになったところ、自身がここに来る前にいた場所には、自分よりも喰いごたえのある子どもや大人がいることを伝えたことを。
協力するから見逃してほしいと命乞いをして、藤の花の匂いがする香を消し、鬼をそこに向かわせたことを。
そして、自分はそこから離れ、泥水を啜ることになろうとも生き抜き、その先で“育手”である元鳴柱、桑島慈悟郎に出会ったのだと話した。
獪岳に話すように促していた優緋は、少しの間無言になったのち、「そっか。」と小さく呟いた。
その声音はあまりにも優しく、穏やかで、獪岳は驚いて顔を上げる。そこには、優しい笑みを浮かべたまま、話を聞いている優緋の姿があった。
なんとなく思ったのですが、皆さんはキメ学時空の優緋はどんな立場で想像しますか?
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