目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 途中で一時的に獪岳視点へと変わります。



134.黒雷、光に連れ出され

 獪岳に挑発的に自分の任務についてこられるかと言う話をしてから数日。

 あの約束の通り、私は獪岳と一緒に行動を取り、鬼殺隊としての仕事をこなしていた。

 時には獪岳を庇うように戦ったり、時には獪岳だけにまずはやらせてみて、厳しいようであれば私があとを受け継いだり、時には獪岳に悪いところの指摘をしたりして、忙しくも穏やかな生活を送った。

 

 ・・・・・・幸いなことに、原作の獪岳のように、鬼殺隊としての任務中に、上弦の壱である黒死牟と接触すると言う事象は起こっていない。

 怪しい廃村への任務などもあったのに、彼とあたることがなかった。

 もしや、私が獪岳と行動を取り、様々な任務に連れ回しているからだろうか?

 長くその場に留まることなく、次々場所を移動している上、獪岳に同行者がいると言う状況が一つのバタフライエフェクトとなり、原作通りの接触が、発生しなくなったのかもしれない。

 

「相変わらずお前、能力が高過ぎるだろ・・・・・・」

 

「正直に言っていい?私自身もまさかここまで実力を持ち合わせているとは思わなかった。」

 

「そうかよ。まぁ、お前も元々は一般人で、炭焼きで生計を立てながら家族と暮らしていたって話だったもんな。

 そんな自分が、まさか、鬼狩りの方に才能があるなんて、誰だって思うはずがねぇよ。」

 

 今日の任務が終了し、天王寺たちの案内のもと、藤の花の家紋がある屋敷へと向かう道を歩く私と獪岳。

 初めて会ったあの日に比べて、私と獪岳は完全に良き友人関係になっているとわかってしまう程に、穏やかな時間が流れている。

 最近の獪岳は、どことなく憑き物が落ちたような雰囲気を纏うようになっていた。

 

「はぁ・・・・・・お前の実力を見てると、善逸の野郎を散々罵倒していた自分が馬鹿馬鹿しくなってきたぜ。

 善逸より型が多く使えるから自分には誰よりも才能があるだなんて思っていたが、そんなことはなかった。

 ・・・・・・優緋の方が、俺なんかよりもずっと多くの才能を持ってて、その力をしっかりと発揮できてる・・・・・・俺なんかじゃ、お前の足元に到底及ばねぇよ。」

 

 ・・・・・・どうやら、獪岳は私と行動を取り続けた結果、色々と考える時間を得ることになったようだ。

 それにより出てきた答えが、これまでの自分の行動の馬鹿馬鹿しさと、世の中には自分よりも遥かに高い実力を持ち合わせている人間がいると言う現実だったらしい。

 ずっと、自身の才能に固執していた彼が、私と言うイレギュラーと出会ったことにより、他人の才能をしっかりと認めて、自身を見つめ直すきっかけを得ることになるとは・・・・・・まさかの効果に少しだけ驚く。

 

「・・・・・・まぁ、そうだね。鬼から柱と同等の力を持ち合わせている鬼狩りだと認識されるくらいに、私には実力があると自負してるよ。

 実際、行く先々で接触した鬼も、私を見た瞬間柱だと誤認していたしね。」

 

「確かにな。」

 

 しかし、それは表情に出すことなく、自身の実力に関してはかなりのものであると口にして、脳裏にこの数日で出会した鬼を思い浮かべる。

 顔を合わす度に告げられた、柱と言う言葉。柱ではないと訂正するが、行く先々の鬼が告げられていたため、最終的に訂正するのがめんどくさくなったのは仕方ないと思いたい。

 

「十二鬼月や鬼舞辻無惨からは、どんな風に見られているかはわからない。ただ、称号持ちや鬼の王以外の鬼から柱と誤解されまくるってことは、実力が周りから秀でているってことなんだろうね。

 でも、私自身は、この実力は全て、周りから支えられているからこそ発揮することができると思ってるよ。」

 

「周りから支えられているからこそ、発揮することができる実力・・・・・・」

 

 獪岳の言葉に、私は静かに頷く。

 義勇や鱗滝さん、錆兎や真菰がいたからこそ、鬼殺隊の最終選別を乗り越えることができた。

 蝶屋敷のみんながいてくれたからこそ、鬼殺隊として必要な技術の一つである常中の練度を上げることができた。

 杏寿郎さんがいてくれたからこそ、私は、これまで以上に力を身につけることができるようになった。

 宇髄さんがいてくれたからこそ、新たな道具の開発も行えて、鬼を狩りやすくなった。

 善逸や伊之助がいてくれたからこそ、堕姫ちゃんたちとの戦闘に余裕を持って対処することができた。

 炭治郎と禰豆子がいてくれたからこそ、私は、これまで走り続けることができた。

 そして何より、縁壱さんがいてくれたからこそ、鬼舞辻を倒すための手立てを会得し、解決するための糸口を把握することができた。

 

「人は一人だけでは大した力を持ち合わせていないものさ。これまでの道のりの中で、巡りに巡って出会ってきた人に背中を押され、心を支えられ、様々なことを教えられて来たからこそ、沢山の力を発揮することができる。

 確かに、世の中には一人で何もかもできる人もいるんだろうけど、そんなことができる人なんて、何万人の一とか、そんなごく僅かな存在だけだ。

 だから人は支え合い、互いに足りないところを補えるような仲間と共に道を歩く。

 支えられているからこそ、強大な力を発揮することができるってもんだよ。」

 

 そこまで言葉を口にした私は、口元に小さく笑みを浮かべる。

 ここ数日、獪岳と私は一緒に行動を取ってきた。基本的には私がリードして、獪岳の成長に繋がるヒントを与える流れではあったけど、それでも、この数日の間、私は、獪岳が一緒にいるからと考えて戦えていた。

 

「今回の数日間の任務でも、私は獪岳に支えられていた。」

 

「!?」

 

 私の言葉に目を見開き、獪岳が視線を向けてくる。彼が纏う匂いは、明らかに動揺と困惑のものだった。

 きっと、彼自身は自分は何もしていないと思っていたのだろう。事実、獪岳は私が弱らせた鬼の頚を斬ることがほとんどで、自分から何かしていたわけじゃない。

 ・・・・・・でも、それは最初のうちだけだった。獪岳自身は気づいていないけど、鬼と対峙する私の姿を見たことにより、少しずつ戦い方を学んでいたらしい彼は、積極的に鬼の動きを抑える行動を取れるようになっていた。

 獪岳が持ち合わせているあらゆる事象を想定した上で、正確に自身が生存できる道を選び取る本能を上手く使い、直感的に鬼の四肢を狙い、斬撃を放つことで動きを鈍らせ、その上で遠雷を放つと言う行動だって取れるようになっていた。

 

 ・・・・・・そして何より、彼は、私の支援を無意識のうちに行うようになっていた。

 私が鬼と対峙する中、度々私が攻撃を放つ前に、隙間を埋めるかのような攻撃を獪岳は放っていたのである。

 おかげで私も鬼の頚を狙いやすくなり、獪岳の動きも明確に向上し始めていた。

 

「君は気づいてなかったみたいだけど、鬼との戦闘中、私の攻撃の隙間を埋めるように、鬼を攻撃して、その動きを抑えてくれていただろう?

 無意識の行動だったのかもしれないけど、私の攻撃の隙をしっかりと打ち消してくれていた。

 それを見て思ったよ。ああ、獪岳の力に支えられている・・・・・・助けられているってね。」

 

「俺が・・・・・・優緋の攻撃の隙を埋めていた・・・・・・?」

 

 信じられないと言わんばかりの様子を見せる獪岳に、私はすぐに頷き返す。

 その通りだと、彼にしっかりと伝わるように。

 

「おかげで、この数日間は炭治郎たちに無茶をさせることなく、私の負担も軽くすることができた。

 これも全部、この数日間、獪岳がしっかりと協力してくれたおかげだよ。」

 

 小さく笑いながら、獪岳が力を貸してくれたおかげで、自分の負担がかなり減っていたことを教える。

 私の言葉を聞いた獪岳は、自身の腰に携えている日輪刀の鞘を握りしめ、静かにその視線を落とした。

 

「誰かを助けることができる力を、君はしっかりと持ち合わせているよ。

 まぁ、会って数日しか経ってないだけの人間に、あれこれ言われて嬉しいかはわからないけどね。

 ただ、これだけは君に伝えられる。本心から溢れる言葉としてね。」

 

 そこまで言葉を区切り、獪岳を静かに見つめていると、彼は私の視線に気付いたのか、ゆるゆると顔を上げた。

 そんな彼を見つめながら、私は静かに口を開く。心からの感謝を届けるために。

 

「ありがとう、獪岳。この数日間、君が一緒に行動を取ってくれたおかげで、遥かに楽に任務に当たることができた。

 君の力は頼もしいよ。人を守り抜ける確かな強さを持ち合わせており、私のことを助けてくれるんだから。」

 

 君の心に、少しでも光を届けるために。

 

 

 

 

 

 

           ☽❀☾

 

 

 

 

 

 side Kaigaku.

 

 

 

 

「俺が・・・・・・優緋の助けになっていた・・・・・・?」

 

 口元に笑みを浮かべながら、俺には確かな力があると口にしてきた、つい数日前に出会し、一緒に行動を取るようになった女剣士、竈門優緋が口にした言葉を繰り返すように言葉を紡げば、優緋は綺麗な笑顔を見せながら、その場で静かに頷いた。

 珍しさを覚える紅色の瞳には、これまで出会ってきた奴らの中で、誰よりも優しく、そして、素直な光が宿っている。

 これまで見てき連中のような、嫌悪や恐怖、蔑みや哀れみの目ではなく、強い感謝と穏やかな温もりが揺らめいていた。

 

「そう。獪岳は私の助けになってくれていた。君が私の攻撃の隙を埋めてくれたおかげで、十分すぎる程の安全が確立されていたよ。

 単体で鬼を狩るために何もかも行いながら動くよりも、遥かに負担も少なかった。やっぱ、誰かに支えてもらいながら戦うと、任務の難易度は遥かに優しくなるね。」

 

 “炎柱殿や音柱殿も、こんな感じだったのだろうか”、と穏やかな声音で言葉を口にする優緋。

 そういえばこいつは、柱側から十二鬼月と戦闘をすることになった場合、柱の支援に回れるようにと、炎柱や音柱から、定期的に休まされているのだと言っていた。

 

 ・・・・・・これまで俺は、ずっと自分に才能があると思ってた。カスよりも多く雷の呼吸の型が使える俺の方が、雷の呼吸の継承者に相応しいと思っていた。

 だけど、優緋と会って、優緋の実力を見て、それは自惚だとわかった。俺なんかよりも遥かに才能を持ち合わせている人間が、この世には存在しているのだとわかった。

 その証拠に、目の前にいる優緋は、柱から信頼され、信用され、その背中を預けられているのだと、戦力に完全に加えられている話や、目の当たりにしたその力から感じ取ることができた。

 

 そんな優緋ですら、一人で全てをこなせるわけじゃない。才能に溢れている優緋ですら一人でできないことを、俺ができるはずがない。

 これまでならば、俺ならできるなんて思っていたかもしれないが、目の前にいる複数の呼吸を完璧に扱って見せる上、俺ですら見ることができないような動きで一瞬にして鬼を斬り捨てるような剣士ですらできないことを、俺ならできるなんて言えるはずがないし、それを言えるような実力を持ち合わせていると自惚れるつもりはないし、傲岸不遜になるつもりもない。

 だけど・・・・・・

 

 ─────・・・・・・誰よりも多くの才能を持ち合わせていて、やろうと思えば柱の埋め合わせだってできるような女を、俺は、助けることができたのか。

 

 優緋から告げられた言葉に、どこか満たされるような感覚に陥る。

 

 ─────・・・・・・俺は、優緋の力になっていた。優緋から助かるとすら言われた。これまで、誰からも認められていなかった俺を、こいつは認めて、肯定してくれた。

 

 ─────・・・・・・優緋のような、才覚も力もあるような女から、俺は認められたのか。

 

 真っ直ぐとした眼差しで紡がれた言葉に嘘はなく、俺の力は才能のある奴が認めてくれるような力であるのだと言う言葉は、現実は、何よりも嬉しく、同時に、これまでの荒んだ気持ちを潤してくれるものだった。

 

「・・・・・・優緋。」

 

「ん?」

 

 無意識のうちに、俺は優緋の名前を呼ぶ。

 毛先が赤くなっていく不思議な髪を揺らしながら、宝石のような紅色の瞳が、俺の方へと向けられる。

 これまでの俺ならば、こんな言葉が出てこなかっただろう。これまでの俺ならば、きっと、こんなことは告げることもなかった。

 

「・・・・・・仕方ねぇから、これからも俺がお前の隙を埋めてやるよ。そうすりゃ、優緋は楽になるんだろ?

 まぁ、お前、見た感じ呼吸を切り替える時にかなり負担を感じてるようだったもんな。

 本来なら、一つの呼吸を使用して、鬼をやれるなら十分すぎるはずだってのに、二つの呼吸を状況に合わせて使い分けてんだ。

 柱の奴らも、お前は定期的に休めって言ってくんのも納得するっつの。

 だから、これからは咄嗟の切り替えをする前に、俺がお前の隙を埋めて鬼を抑え込んでやる。

 切り替えて戦うなんてことは、十二鬼月とぶつかる時だけにして、普段はどっちかに絞っとけ。

 ・・・・・・お前がいれば、俺も、大した怪我をすることはねぇし、十分すぎるくらい動けるしな。」

 

 ・・・・・・少しでも誰かの助けになれるなら、こいつの助けになれるなら、助けることくらいしてやりてぇなんて、思うことはなかっただろう。

 

 俺の言葉を聞き、優緋は一瞬、驚いたように目を丸くする。

 だが、すぐにその表情は穏やかな笑みに塗り潰され、俺の目の前には、優緋の片手が差し伸べられた。

 

「すごく助かるよ、獪岳。じゃあ、折角の申し出だし、お言葉に甘えさせてもらおうかな。

 これからも一緒に行動を取ってくれる?たまに善逸を含めた同期とか、柱の人が合流してくると思うけど。」

 

「・・・・・・カスが合流すんのは気に食わねぇが、仕方ねぇな。ああ。これからも一緒に行動してやるよ。だから、俺が、壱ノ型を使うための訓練にも付き合えよ。」

 

「もちろんだよ。それでお礼になるなら、いくらでも協力するさ。」

 

「・・・・・・その言葉、忘れんなよ。」

 

 “ちゃんと、俺のことを見てろよな”・・・・・・そんな本音を乗せながら、差し出された手を握り返す。

 握り返した優緋の手は、俺の手よりも一回り小さくて、だけど、頼もしさと温かさを感じられる、優しくて強い剣士の手だった。

 

 

なんとなく思ったのですが、皆さんはキメ学時空の優緋はどんな立場で想像しますか?

  • キメ学高等部(しのぶと同級生)
  • キメ学教師陣営
  • キメ学OB(ベーカリーのお手伝い)
  • キメ学OB(社会人として生活中)
  • 煉獄杏寿郎の恋人or嫁(教師陣営)
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