目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
とりあえず、鎹鴉に案内されながら辿り着いた藤の花の家紋の屋敷。
宇髄さんと善逸のペアと合流することにより、賑やかになってしまった屋敷への道のりだったが、今回の邂逅で多少なりとも二人の関係が落ち着けばいいと思いながら、屋敷の中へと足を運んだ。
今回の屋敷の中にいたのは穏やかな老夫婦。鬼殺隊である私たちを暖かく迎え入れてくれた夫婦は、私たち全員に視線を向けた。
「ようこそおいでくださいました。どうぞ、こちらへ。今、お風呂の湯を沸かしているところですので、準備ができるまで、お食事でもどうぞ。」
「ありがとうございます。」
「・・・・・・ありがとよ。」
「え・・・・・・あの獪岳がお礼言ってる・・・・・・」
「あ゛?」
「獪岳。睨みつけないの。善逸も余計なことを口にしない。」
「・・・・・・お前はそいつらの姉ちゃんか?」
すぐに喧嘩腰になる獪岳と、獪岳に対して余計なことを口走ることがある善逸に注意しながら過ごしていると、宇髄さんから二人の姉のようだとツッコまれてしまった。
好きでこうなったわけじゃないんだが?と少しだけ宇髄さんを睨みつけたくなりながらも、老夫婦の奥様の後ろをついて行けば、夕飯が用意された広間へと案内された。
穏やかに笑いながら、どうぞと言ってくる奥様に、もう一度お礼を口にして、お膳が用意されている場所に移動すれば、私の隣に獪岳が陣取るように座ってくる。
「・・・・・・まさか、優緋が我妻や嘴平、煉獄以外の隊士と行動を取ってるとは思わなかったぜ。」
すると、向かい側の席に腰を下ろした宇髄さんが、私が獪岳と行動を取っていることに関して改めて言及してきた。
それを聞いた私は、獪岳と一緒に行動を取ることになった経緯を彼に話す。
天王寺に言われ、合同任務に当たったところ、同じく自身の鎹鴉により案内されてきた獪岳と合流することになり、そのまま行動を取るようになったこと。
行動を取るようになってから、獪岳の動きを観察してみたところ、獪岳は雷の呼吸である壱ノ型をイマイチ扱いきれていないことに気づいたこと。
獪岳自身は壱ノ型の練度を上げたいと思っている様子があるのだが、どうも伸ばすために足りないものがあるようで、それを一緒に探そうと提案したこと。
それにより、獪岳と合同任務以降も一緒に行動を取るようになったこと。
おかげで少しずつ彼が何を苦手にしているのかを把握することができたことなど、さまざまな話を宇髄さんにした。
「・・・・・・なるほどな。んで、獪岳に足りねーものはなんだったんだ?」
「これに関しては、彼の気持ち次第だと判断しました。どうも、納刀したまま鬼に近寄ることによりあらゆる可能性、考えられる事象に思考が回ってしまい、体が追いつけていないようで。」
「へぇ・・・・・・。んじゃ、今は体が気持ちに追いつけるように、優緋が軽く支援してやってるってわけか。」
彼は鬼に対して恐怖を抱いている・・・・・・その言葉を出すことなく行なった説明だったが、どうやら宇髄さんは、その感情をすぐに読み取ってしまったらしい。
だが、それを口にすることなく、私が獪岳を支援することで、少しずつ気持ちと体の足並みを揃えようとしているのかと聞いてきたため、私は静かに頷き返した。
「本当は、一般隊士である私が引き取るべきではないとわかっているのですが、どうしても獪岳のことは放っておけませんし、だからと言って、柱の方に彼をお願いしては負担を強いてしまうと思い、私なりに向き合っているところなんです。
勝手なことをしていると言うのはわかっているのですが・・・・・・。」
現在の私の気持ちを宇髄さんに伝えれば、彼は少しだけ考え込むような様子を見せる。
そのあと、私と獪岳、それと善逸へと視線を向けては、静かに口を開いた。
「まぁ、優緋が問題ねーってんなら、俺も反対するつもりはねーけどよ。
なんせ、今や優緋は、俺たち柱の中でも、仮に柱が欠けちまうようなことになったとしても、その後釜に入れてもいいって派手に話題になってるしな。
だが、あんま負担を抱え込むんじゃねーぞ。いざという時は、多少なりとも俺や煉獄も協力するからよ。」
どうやら宇髄さんは、私が獪岳を連れて任務に当たることに関して反対するつもりはないようだ。
それどころか、私が負担を強く感じるような状況になった場合は、自分たちも協力すると言ってくれた。
「ありがとうございます、宇髄さん。その時はお願いしますね。」
「おうよ。派手に任せろ。煉獄と同じで、優緋や我妻、嘴平をついでに鍛えることにより、俺も前以上に動けるようになったしな。
それに、最近のこいつと嘴平は、なかなかいい線いくようになってくれたおかげで、俺も煉獄も余裕を以って任務に当たれてるから、体力もありありよ。」
「そうだったんですか?善逸、ちゃんと力をつけられてるみたいだね。」
「当たり前だよ優緋ちゃん!俺、もう優緋ちゃんばかりが頑張らないでいいように、宇髄さんや煉獄さんにしっかり鍛えてもらってるんだから!だから、いつでも頼っていいからね?」
デレデレと鼻の下を伸ばしながら、強くなってるんだと言う言葉に、当然だと返してくる善逸。
いつでも自分を頼ってくれ・・・・・・と言う言葉は有り難いけど、うーん・・・・・・
「ありがとう、善逸。そう言ってくれて。でも、まずキミは弐ノ型から先の型の練度上げと、周りの状況から自身が動くための道筋を見つけて、そこを的確に撃ち抜くくらいの力を身につけないと、私に置いてけぼりにされるばかりだと思うよ?」
「え゛!?」
「はっ!フラれてやんの。」
「うるさいぞ獪岳!!」
少しだけ考えたのち、申し出はありがたいけど、まずは弐ノ型から先をしっかり鍛えようかと善逸に伝える。
私からそんなことを言われるとは思わなかったのか、ショックを受けたような様子を見せる彼に、一部始終を見ていた獪岳が揶揄うように話しかけた。
獪岳から軽くとは言え、馬鹿にされたからか、善逸はすかさず彼に食ってかかったが、獪岳はそんな善逸のことなど気にしていないのか、出されている夕飯を食べ進める。
「・・・・・・獪岳。ほっぺたにお米ついてる。」
「あ?どこだ?」
「そこじゃなくてこっち。・・・・・・はい、取れた。」
「ん。ありがとよ。」
そんな中見えた、ほっぺたについてしまったお米が気になり、静かにそれを取ってあげれば、獪岳はいつものようにお礼を言っては、自身の善にある天ぷらの盛り合わせに視線を向ける。
「芋の天ぷら、好きだったろ。」
「ん?食べていいの?」
「ああ。その代わり海老の天ぷらくれ。」
「ん。いいよ。」
そして、天ぷらが乗る器を私の方に差し出しては、芋の天ぷらと海老の天ぷらを交換して欲しいと言ってきた。
海老の天ぷらはかなり大きく、少しだけ私には多かったため、芋の天ぷらと交換してもらえるのはありがたい。
「はぁ!?何優緋ちゃんといちゃついてんだよ獪岳!!」
そんなことを思っていると、善逸から待ったが入る。
すぐに獪岳と一緒に善逸へと視線を向けてみれば、彼からは嫉妬の匂いを感じ取ることができた。
「あ?いつものことだよな?」
「ん?ああ、確かにいつもしてるよね。」
「い、いつものこと〜〜〜〜〜〜!!?」
ムキィ!!とカンカンに怒りながら、獪岳にずるいと子どものように告げる善逸。
獪岳はそんな善逸を気にしていないのか、私の器に入っていた海老の天ぷらをひょいっと箸で摘んで待ちあげては、自分の器をこちらに近づける。
そこから芋の天ぷらを摘み上げた私は、自身の器を戻したのち、芋の天ぷらに齧り付いた。
うん。甘くて美味しいさつまいも。芋の天ぷらは、優緋になる前から好きだったんだよね。
「ったく、ガキンチョが三人も集まったら賑やかなもんだな。まぁ、どっちかっつーと優緋はガキンチョってよりは、手のかかる弟の面倒を見る姉ちゃんって感じだが。」
「こう見えて六人の弟と妹に囲まれて育ったもので。」
「いや、お前も兄弟沢山いたのかよ。俺にもいたけどよ。」
もちろん知っていますとも、なんてことは口にすることなく、出されていた夕飯を食べ進める。
程なくして食べ終えた私は、手を合わせてごちそうさまと小さく呟いた。
「湯浴みの準備が整いましたよ。」
同時に、屋敷の老夫婦の奥様から、風呂の準備が整ったことを伝えられる。
「お?ちょうどよかったじゃねーか。優緋。一番風呂浴びてこいよ。」
「え?いいんですか?」
それを聞いた宇髄さんが、私に先に風呂に入るように言ってきた。
驚いて構わないのかと問いかければ、
「おうよ。俺たちはまだ飯食ってる途中だし、ついでに獪岳から色々話を聞いてみっから、時間がかかるしな。」
獪岳から話を聞いてみると言う言葉に、私は一瞬だけ目を丸くしてしまうが、少しでも獪岳の気が休まる場所ができるならばと、静かにその言葉に頷き返した。
私が頷いたことを確認した宇髄さんは、未だに獪岳に突っかかる善逸と、そんな善逸を無視する獪岳を止めるために動く。
「あ、優緋ちゃん、ちょっと待って!」
炭治郎と禰豆子も連れて行こうと考えながら、屋敷の廊下を歩いていると、背後から善逸に話しかけられた。
すぐに足を止めて、善逸の方へと目を向けてみれば、彼は私に近寄ってきては、口元に安心したような笑みを浮かべた。
「・・・・・・ありがとう、優緋ちゃん。獪岳と向き合ってくれて。」
「え?」
急に告げられたお礼の言葉に驚いていると、善逸は静かに話し始めた。
獪岳は昔からどこか幸せを受け止めるための心に穴が空いていたことや、それをなんとか埋めようとしても、自分ではそれができなかったことを。
一度だけ先に鬼殺隊に入っていた獪岳に、鬼殺隊になってから会いに行ったところ、結局彼と自分は向き合うことができぬまま、別れることになってしまったことを。
「でも、今の獪岳は、ちゃんと幸せを受け止めるための器ができているような・・・・・・そんな音が聞こえてくるんだ。
それって、優緋ちゃんが獪岳をちゃんと見てくれたってことでしょ?だから、お礼を言いたかったんだ。
・・・・・・本当は、自分の兄貴分には自分で向き合わなきゃいけないんだろうけど、近い位置にいた俺じゃ、どうにもできなかったから。」
感謝を述べた理由を告げてきた善逸に、私は何度か瞬きを繰り返したのち、一つその場で溜め息を吐く。
同時に善逸の頭に手を伸ばし、そのまま緩やかに撫で付けた。
「・・・・・・それなら、今から少しずつ向き合えばいい。今の獪岳なら、善逸とも少しくらいは話してくれると思うからね。」
「!・・・・・・うん!」
彼と向き合うのであれば、今からでも遅くはないと善逸に告げれば、彼は一瞬驚いたように目を丸くした後、明るい笑顔を見せながら頷いた。
その笑顔を見た私は、彼から前向きな匂いがするのを感じ取りながらも、静かにその場から立ち去っていく。
少しでも二つの雷の距離が、埋まってくれるようにと願いながら。
なんとなく思ったのですが、皆さんはキメ学時空の優緋はどんな立場で想像しますか?
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