目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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179.いつか光が満ちるまで

 蜜璃ちゃんと共に過ごし、私と獪岳の刀が折れてしまったことをお館様に報告したところ、しばらくの間、待機するようにと命じる手紙がすぐに届いた。

 

 とりあえず、待機命令を出された以上、任務をこなすこともできないため、杏寿郎さんと槇寿郎さんから許可を得て炎柱邸に獪岳を連れて帰った。

 最初、獪岳は柱の屋敷と言うことに対してガチガチに固まっていたが、数日もすればそれにも慣れ、炎柱邸でいつも私がしている柱の掃除や家事などを一緒に手伝ってくれるようになった。

 

「いつも、優緋は炎柱邸の家事を手伝ってんのか?」

 

「そうだよ。確かに、杏寿郎さんから炎の呼吸の訓練をつけられることもあるけど、基本的にはお手伝い。

 まぁ、杏寿郎さんの弟である千寿郎君に、それは自分がやるからって言われたりするけど、柱の人に技術を教えてもらっている上、屋敷に住まわせてもらったりしているわけだから、何もしないでゆっくり過ごすって言うのは、正直言って性に合わないんだよね。」

 

「ふぅん・・・・・・。まぁ、優緋の性格からして、世話になってんのに何もしねーってのは確かに苦手そうだもんな。世話焼きってのもあるんだろうけどよ。」

 

「世話焼きな性格かぁ・・・・・・確かに否定できないね。多分、家で沢山の弟と妹に囲まれていたからかな?

 いつの間にか、手伝うことが当たり前になっちゃったよ。」

 

「そっか。まぁ、別にいいんじゃねーの?家事も料理もこなせるようになるし。」

 

「そうだね。いい花嫁修行にもなってるよ。私をもらってくれる人、いるかわかんないけど。」

 

「・・・・・・普通に優緋なら貰い手見つかるだろ。できれば俺がもらいてーくらいだし・・・・・・

 

「ん?何か言った?」

 

「べ、別に何も言ってねーよ!!」

 

「???」

 

 獪岳が何やら呟いたような気がして首を傾げるが、すぐに洗濯物をその場に干していく。

 雨が降る前兆の匂いはないし、遠くからもしないから、今日は快晴みたいだね。

 まぁ、風の吹き方によってはいつの間にか流れてくることもあるけど。

 

「ん〜・・・・・・!今日もいい天気!雨の匂いもしないから、午前中は全然問題なさそうだなぁ。」

 

「・・・・・・優緋の鼻って便利だな?」

 

「本当にね。まぁ、だから血の臭いとか鬼の臭いも強く感じとっちゃうんだけどさ・・・・・・」

 

「それを聞くと不便な気もしてきた・・・・・・。」

 

「でしょ?ヤバいよ、鬼の臭いって。特に、人をめちゃくちゃ食ってる鬼とか、ドブなんじゃないかって感じの臭いだし、腐臭とかもついてるし。」

 

 やれやれと首を振りながら、鼻が良くてもいいことばかりじゃないことを獪岳に教えて肩を落とせば、彼は私を労うように優しく頭を撫でてくる。

 

 ・・・・・・彼と行動を長くしているからか、時折こんな風に獪岳は頭を撫でてくれるようになった。

 最初のうちはおっかなびっくりで、私がキョトンとしながら獪岳を見つめたら、焦ってその手を引っ込めてしまったが、すぐにもっと撫でてと笑顔で言えば、恐る恐るながら撫で直してくれたのである。

 それからと言うもの、獪岳はこっちが肩を落としたり、ぼーっとしていたりすると、頭を撫でてくるようになった。

 今では頭を撫でることに慣れてきたのか、度々そうしてくるため、距離が近くなったようで嬉しくなっている私である。

 

「そう言えば、しばらく待機するように言われたが、いつまで待機してりゃいいんだ?」

 

 不意に、獪岳が自分たちの待機命令はいつまで続くのだろうかと疑問の声を口にする。

 言われてみれば確かに、と少しだけ思ったが、蜜璃ちゃんが、私と獪岳も含めて刀鍛冶の里に向かうための許可を仰ぐ内容の手紙を送ってみると言っていたため、許可が出るまで待機する形だろう。

 

「こればかりは私にもちょっとわからないけど、蜜璃ちゃん曰く、刀鍛冶の里へは許可がないと向かったら駄目だって話だから、その結論が出るまでじゃないかな?」

 

「・・・・・・まぁ、そうなるよな。」

 

 とりあえず、今わかることを口にすれば、獪岳は小さく呟くように言葉を紡いだのち、私の方に視線を向ける。

 ん?と言うように首を傾げれば、獪岳派少しだけ考え込んでから口を開いた。

 

「なぁ、優緋。」

 

「どしたの、獪岳?」

 

「・・・・・・たまには、息抜きにちょっと出かけねーか?確かに訓練も必要だが、折角休みもらってんだし、少しくらい出ても問題はねーだろ。

 俺のとこにも、お館様・・・・・・だっけ?その人から手紙が来たけど、そこに、少し長めの休暇と思って、息抜きをして来てもいいって書いてあったし。」

 

「あ〜・・・・・・確かに私の手紙にも書かれてたね。」

 

 獪岳の言葉を聞き、私は自身にも届いた待機命令を指示する手紙と、そこに含まれていたもう一つの手紙を思い出す。

 

 “獪岳のことは、私の耳にも入っていてね。他の子どもたちと上手く人間関係が築けていないから心配していたところだったんだ。”

 “でも、優緋がそんな獪岳を見つけ出してくれたおかげで、最近の獪岳はかなり落ち着いていると鎹鴉からも聞いてるよ。”

 “だから、優緋にはこれからも獪岳に少しずつ歩み寄ってほしいんだ。必ず訪れるであろう鬼舞辻との決着には、沢山の手が必要になる。”

 “そのためには獪岳を含め、多くの子どもたちが手を取り合わなくてはならない。向こう側に隙を与えるわけにはいかない。”

 “優緋に迷惑をかけてしまうことには申し訳なく思っているが、獪岳の心を開くことができた優緋の力が必要なんだ。”

 “もう少しだけ、君の力を貸してほしい。少しでも獪岳が、周りと助け合えるように、馴染めるようにしてほしいんだ。”

 “優緋と獪岳は少しだけ長めのお休みになるから、二人で息抜きをしておいで。”

 “これまでの二人の頑張りへの感謝も込めて、少しだけ多めにお小遣いを入れておいたから。”

 

 その手紙と一緒に添えられていたのは、明らかに普段より多めに入っているお給金だったのだ。

 一体どれだけ入れたんだあの人は・・・・・・と少しだけ呆れてしまったが、折角のご厚意だからと受け取り、大事にしまっていたわけだが・・・・・・。

 

「・・・・・・そうだね。お館様から息抜きをしておいでって私の手紙にも書かれていたし、少しだけ出かけようか。」

 

「!ああ・・・・・・!準備を済ませたら町に行こうぜ。あまり、ゆっくり回ったことないんだよな。」

 

「それいいね。私もあまり近場の町には行ったことないし、夕方になるまでには屋敷に戻らないといけないけど、今から行けば、それなりに満喫できそうだし。」

 

「そうだな。」

 

 獪岳の提案を承諾すれば、彼は隠しきれない程の喜びの表情を見せる。

 匂いからは喜び以外にも弾けるような楽の匂いもして、本気で楽しみにしているのがわかった。

 そうと決まればすぐに準備をしよう・・・・・・獪岳と話し合い、どんな風に町を回るか少しだけプランを練って、私たちはそれぞれ与えられている部屋へと向かう。

 炎柱邸でお世話になるに当たり、私と獪岳はそれぞれ必要な衣服を置かせてもらっているため、私服(着物だけど)も持ち合わせているのである。

 

 

 

 

 

          ☽❀☾

 

 

 

 

 

 そそくさとお出かけ準備を済ませ、槇寿郎さんと千寿郎君に炭治郎と禰豆子を任せた私は、炎柱邸の正門に向かった。

 そこにはすでに獪岳が立っており、私の方を見るなり、少しだけ目を見開いた。

 

「早いね、獪岳。」

 

「ま、まぁ、俺は優緋と違って、槇寿郎さんと千寿郎に頼まねーといけねーことはなかったからな・・・・・・。」

 

「確かに。待たせちゃってごめんね。」

 

「別に・・・・・・全然待ってねーよ。」

 

 何やら顔を軽く赤ながらも、言葉を交わしてくれる獪岳に、少しだけ私は瞬きを繰り返す。

 これはもしや、女性に慣れていないせいで軽く照れてしまってるとかそう言った感じだろうか?

 

「顔、赤いよ?」

 

「うっせ!赤くなってねーよ!!」

 

 少しだけ揶揄うように声をかければ、彼は顔を真っ赤にしたまま赤くないと言い返して来た。

 いや、説得力皆無なんだがと一瞬返しそうになったが、あまりちょっかいをかけ過ぎても良くないので、小さく笑い声を漏らしながら、「そう言うことにしておくよ」と短く答える。

 私の言葉に羞恥を感じているのか、獪岳は顔を赤くしたままだが、言及してくることはないと判断したのか、すぐに彼は視線を逸らす。

 しかし、すぐに私の足元を見るなり、静かにこちらへと手を差し伸べて来た。

 

「・・・・・・着物と下駄で歩きづらいだろ。転けられても困るし、手、掴んでろ。」

 

 ぶっきらぼうだけど私を気遣うその言葉に、一瞬だけ私はキョトンとしてしまう。

 でも、すぐにそのお言葉に甘えて、私は獪岳の手に自身の手を静かに重ねた。

 

「手、繋いでくれるんだね。」

 

「当たり前だろ。怪我されてもめんどくせーだけだからな。それに、いつもの格好と履きもんじゃねーから歩く速さも遅くなるだろ。」

 

 “置いていくわけにもいかないから”・・・・・・と、彼が手を繋ごうと考えたのであろう理由をなんとなく察しながらも、「そっか」と短く、だけど、気遣ってくれたその優しさに確かな感謝と喜びを伝えるように呟けば、獪岳は恥ずかしいそうにしながらも、私の手を引いてゆっくりと歩き始めた。

 

「速過ぎたら言えよ。合わせてやるから。」

 

「ふふ、ありがとう、獪岳。その時はちゃんと声をかけるよ。」

 

「・・・・・・ああ。」

 

 素っ気ないようで、確かに私のことを気にかけてくれていることがわかるような穏やかな声音による短い返事。

 ここまで彼が私に心を開き、気にしてくれるようになるとは思わなかったけど、しっかりと感じ取れる自分に向けられた優しさは、素直に嬉しいと思えるものだ。

 最初のうちは、この子が間違った道に入らないように、側で見守るためだけに近づいただけだったけど、ここまで互いに程よく距離を詰めることができたのは嬉しい誤算かもしれない。

 

 まぁ、役割が終わったからと言って、もはやこの子を放っておくと言う選択肢は私の中にはないけどね。

 ここまで仲良くなったんだから、獪岳もかまぼこ隊に巻き込んでやると言うのが私の本音である。

 

 原作では叶わなかった、肩を並べる双雷・・・・・・最後まで向き合うことができなかった二つの雷が、しっかりと向き合った未来を見守ることができると言うのであれば、いくらでも自身の考えに則り、この子を光の方へと引っ張っていこう。

 

「町に出たらまずはどこに行こうか?」

 

「隠をやってる女から聞いたが、餡蜜が美味い甘味処があるらしいぜ。」

 

「え?そんな場所あるんだ。」

 

「ああ。行ってみるか?」

 

「それは是非とも行ってみたいね。」

 

「なら、まずはそこに行ってみようぜ。空いてたらすぐに食えるだろうし。」

 

「賛成。」

 

 そんなことを思いながら、私は獪岳と町に向かう。

 光の中を歩けるように、獪岳が少しでも満たされるように、その心の穴が塞がるようにと願いながら。

 

 

 

最近の傾向から、話が獪岳VS煉獄さんの流れになりそうなのでここで一つアンケート。最終的な√は・・・

  • これまで通り煉獄さん√へ
  • 獪岳が巻き返す獪岳√へ
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