目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 side Another.



141.炎柱が見たものは

 刀が折れてしまったため、待機するように命じられた、自身の継子たる竈門優緋・・・・・・そして、そんな優緋とともに行動を取るようになり、顔を合わせることが増えた雷の呼吸の使い手たる青年、獪岳を炎柱邸に迎え入れ、待機中はここで過ごしていいと告げた炎柱たる青年、煉獄杏寿郎は、その日、何度か瞬きを繰り返す状況を目の当たりにしてしまった。

 

 それは、夕涼みをしていた優緋と、同じく夕涼みを楽しんでいる様子の獪岳が、縁側に座って話している姿だ。

 一緒に過ごしている優緋と獪岳の姿は、側から見たらとても微笑ましいもので、その平穏を守るためにも鬼を狩ることにより一層励もうと考えてしまうほどに。

 

 しかし、その日の煉獄は、それよりも先に、その脳裏に疑問を浮かべることとなってしまった。

 なぜなら、獪岳と穏やかに話している様子の優緋のいつもの束られている髪で、ゆらゆらと揺れる美しい髪飾りを見てしまったがために。

 

「あ、杏寿郎さん!お帰りなさい。すみません、お出迎えもしないで・・・・・・。」

 

 はて、優緋はこのような髪飾りを持っていただろうか?そのような疑問を浮かべながら、その場で固まっていた煉獄。

 だが、それに気づいたらしい優緋が、すぐに姿勢を正して謝罪の言葉を紡ぎ始めたため、煉獄の意識は現実に引き戻される。

 

「大丈夫だ!これまで優緋と獪岳は、柱に回されるような任務にも向かっていたのだから、今のうちに休息を取ることも大事だからな!」

 

 すぐに煉獄は、出迎えをしなかったことに関して言及してきた優緋に、これまでの任務のことも考えて、今はしっかりと休んでほしいことを口にして、気にしなくていいと告げる。

 そんな煉獄の言葉を聞き、優緋の隣にいた獪岳が目を丸くする。そして、すぐ隣にいた優緋に、半目に開いた眼差しをむけていた。

 

「・・・・・・おい、優緋。柱に回されるような任務にも付き合わされていたなんて聞いてねーぞ。」

 

「ごめん。黙ってた。」

 

「何で黙ってんだよ。」

 

「いやぁ・・・・・・獪岳に負担をかけたくなかったもんだから・・・・・・」

 

「変なとこで遠慮すんな馬鹿!!俺に負担がかからねーようにじゃねぇよ!!こっちはそっちの負担を減らすために一緒に行動を取ってんだぞ!?」

 

「おわ!?ご、ごめんってばぁ!!」

 

「次は絶対に教えろよ!?わかったか!?」

 

「わかった!!わかったから!!」

 

 “・・・・・・うむ、仲がいいな!”、と、目の前で行われているやりとりに、煉獄は素直な感想を抱く。

 しかし、少しだけモヤモヤとした複雑な気持ちが自身の中で渦巻き、「ん?」と疑問に首を傾げた。

 

「そ、そうだ!杏寿郎さんのお夕飯をすぐに用意して来ますね!杏寿郎さんはゆっくりと汗を流して来てください!」

 

「おいこら優緋!!逃げんじゃねぇ!!」

 

 ドタバタと慌ててこの場から立ち去る優緋と、それに対して怒鳴る獪岳。

 夜であるにも関わらず、賑やかな継子を見て、“元気があるな!”と少しだけ笑いたくなったが、煉獄は彼女を見送ったのち、獪岳へと視線を向けた。

 

「獪岳!今日はどのように過ごしていたんだ?優緋は無茶をしたりしていなかっただろうか!」

 

 彼が口にしたのは、今日一日の優緋のことに関しての質問だった。

 どうも動いてなくては落ち着かない性分と思わしき性格を彼女がしていることを把握していたため、自身が知らないところで無茶をしたりしていないか気になったのである。

 

「ああ・・・・・・優緋なら今日は、朝のうちは屋敷の手伝いをしていましたよ。俺も一緒にいたので無茶はしてません。

 昼からは、お館様からのご厚意もあり、二人で近町に出かけて息抜きをしていました。」

 

 煉獄の問いかけに、獪岳はすぐに今日の優緋に関しての話をする。

 屋敷の手伝いに関しては少しばかり思うところがあったが、しっかりと息抜きもしていたことを知り、煉獄は安堵の息を吐く。

 手伝いをしたことは納得できるかと問われたら微妙なところではあるが、ちゃんと休むべき時は休んでいるのだと、抱いていた心配を払拭した。

 

「そうか!ちゃんと息抜きをすることができていたのであれば何よりだ!」

 

 獪岳の話からして、髪飾りは町にある雑貨屋で買ったのだろうと考える。

 立場上、一般の女性たちのように、おしゃれなどができる暇が少ないため、今回のように、女性らしくオシャレをできる機会ができたことは、いい気分転換になるだろうと。

 

「髪飾りもよく似合っていたな!甘露寺もよく、オシャレをすると気分転換になると言っていたため、優緋にもそのような機会ができたことは喜ばしいことだ!」

 

「ああ、あれ。俺が優緋にあげたんですよ。町に出た時、じっと見つめていたんで。」

 

 ピシリ・・・・・・と、煉獄は目を見開いて固まる。

 優緋がつけていた髪飾り・・・・・・それをまさか、獪岳が渡していた物だとは思わずに。

 

「獪岳が、あの髪飾りを渡していたのか。」

 

「ええ。優緋が欲しいと思ってるのはわかってたし、俺も優緋なら似合うと思ったんで。」

 

 獪岳から告げられた言葉に、煉獄は小さく「そうか・・・・・・」と呟き、無言で優緋が立ち去っていった方角へと目を向ける。

 モヤモヤ、モヤモヤと、自身の胸中を渦巻く気持ちに、少しだけ口を噤んだ。

 

 そんな煉獄の姿を獪岳は無言で見つめる。

 しかし、すぐにその沈黙は破られた。

 

「・・・・・・煉獄さんは、優緋のことをどう思っているんですか?」

 

「!?」

 

 静かに告げられた問いかけに、煉獄は弾かれたように獪岳の方へと視線を向ける。

 そこにいる獪岳は、煉獄に真剣な眼差しを向けており、答えが紡がれるのを待っている様子を見せていた。

 

「・・・・・・急に、どうしてそんな質問をして来たんだ?」

 

 そのような問いかけをされるとは思わず、煉獄は少しだけ戸惑いを抱きながらも、獪岳の質問の意図を聞く。

 内心では、質問に質問で返すなど・・・・・・と本来ならば無作法とも言える行動に複雑な感情を抱いてしまっているが、煉獄には、彼の問いかけの意味が全くと言っていい程にわからなかった。

 

「・・・・・・別に、ただ気になっただけですよ。優緋をどんな風に思っているのかで、俺の行動が変わるんで。」

 

 質問の意図を答えられた煉獄。

 しかし、行動が変わってくると言うのはどう言う意味であるのかわからず、再び首を傾げてしまう。

 だが、意図を答えられた以上、彼の質問に答えないわけにもいかないと思い、煉獄は少しだけ考え込むような仕草を見せる。

 

 自分は優緋に対してどのような思いを抱いているのか・・・・・・少しだけ思案した煉獄は、静かに口を開いた。

 

「そうだな・・・・・・優緋は大切な継子であり恩人だ。無限列車で共に戦い、下弦の壱と交戦した後、上弦の参が乱入してきてな。

 どちらもそれなりに疲労していたのだが、優緋が共に刀を振るってくれたおかげで、俺は前線に立ち続けていると言っても過言ではない。

 だから、あの時、俺を支えてくれた優緋を、今度は俺が助けられたらと思っている。優緋には、たくさんの恩があるからな。」

 

 自身が思い浮かべた感情をすぐに獪岳に伝えれば、獪岳は少しだけ煉獄を見つめた後、静かに視線を逸らした。

 しばらくの間沈黙し、程なくして口を開く。

 

「そうですか。それが聞けて安心しました。」

 

「安心?」

 

「ええ。」

 

 告げられた安心したと言う言葉に、煉獄は首を傾げる。

 そんな彼に告げるように、獪岳は静かに言葉を紡ぐ。

 

「煉獄さんは、優緋に対して恩義や親愛、師弟愛はあっても、恋愛感情は持ち合わせていない・・・・・・それがわかって安心したんですよ。

 ・・・・・・アンタが優緋に対して恋愛感情を持ち合わせていたら、めんどくせーとしか言えなかったからな。」

 

 これまでの丁寧な口調から一変し、本来の口調で吐き捨てるように言葉を紡いだ獪岳に、煉獄は思わず目を見開く。

 獪岳が、優緋や竈門兄妹、善逸や伊之助に対しては敬語など使うことなく、優緋からは手間のかかる仲間であり友人のような扱いを受けながらも、優緋以外の年下剣士たちとは衝突しながらも面倒見の良さを見せていることを知っていたが、まさか、年上であり、柱でもある自分に対して、そのような口調を使ってくるとは思わなかったために。

 

「アンタにその気がないなら、遠慮なく優緋と過ごすことができる。こっちと同じ感情や、似たような感情を持っていたとしたら、流石に大まかには動けなかったしな。

 アンタが俺と同じ感情を、優緋に向けてなくて安心したぜ。」

 

「!?」

 

 獪岳が紡いだ言葉の意味を把握し、煉獄はその場で固まる。

 そう、獪岳は、優緋と共に過ごしていくうちに、彼女に心から惹かれるようになり、彼女に対して本心からの恋情を向けていたのだ。

 それをハッキリと告げられて、煉獄は思わず無言になる。普段の彼ならば、優緋に対して想いを寄せる獪岳に、何かしら声をかけていたかもしれないのに、今の煉獄には、何を口にすればいいのかわからなくなっていた。

 

「・・・・・・そうか。獪岳は、優緋を好いているのだな。」

 

「ああ。優緋だけだったんだ。ひねくれた俺を認めてくれたのは。頼りになるって言ってくれたのは。

 優緋だけが、俺のことをしっかりと見てくれるし、側にいてくれる。これまで、誰とも一緒に過ごすことができなかった俺に寄り添ってくれる。

 だから俺は優緋が好きになった。優緋の特別になりたいと思ったんだ。

 その考えを抱く中、こっちの想いを伝える中でもっとも邪魔になりそうなのはアンタだと思っていた。

 まぁ、善逸の馬鹿も何かしらある度に優緋に結婚してくれだなんだと言ってるが、あの馬鹿は優緋の妹にも何かしらちょっかいを出してるし、優緋から相手にされないことは目に見えてる。」

 

 静かに、落ち着いた声音で告げられる言葉に、煉獄はただ無言だけを返す。

 “それならば応援しなくてはな!”・・・・・・脳裏にはその言葉が過っているが、それが音となり、煉獄の口から紡がれることはなかった。

 

「優緋に対して、アンタが恋愛感情を抱いてないんなら、俺は遠慮なく優緋と一緒に過ごせる。

 優緋の特別になれるようにと行動を取ることも楽になる。アンタに気を遣わなくていいからな。

 ・・・・・・俺が、一番楽に呼吸できるのは、優緋の側だけなんだ。邪魔者がいなくてよかったぜ。」

 

 そこまで紡ぎ、獪岳は煉獄を真っ直ぐと見据える。

 まさか、獪岳からそのような感情を向けられていたとは思わなかった煉獄は、無言だけしか返せなかった。

 

「杏寿郎さん。夕餉の準備ができまし・・・・・・ん?」

 

 そんな中、テクテクと優緋が廊下を歩いてくる。

 しかし、自分がもともといた場所に戻ってみれば、何やら獪岳と煉獄が真剣な話し合いをしているような場面に直面してしまったせいか、彼女は少しだけ混乱したような様子で二人を見比べていた。

 

「えっと・・・・・・大切なお話中だったかな?」

 

「いや、話なら終わったから気にすんな。お前はもう部屋に戻って眠っとけよ。

 折角ゆっくり休めんだ。男なら多少は無茶できるが、女は何かしら不調をきたしやすいんだし、しっかりと休息くらい取ってろ。」

 

「何その言い方〜?私、甲の剣士なんだが〜?」

 

「位は関係ねーっての。つか休めマジで。柱が対処するような鬼だった奴を知っていながら、いつも通り負担掻っ攫っていきやがって。

 ぶっ倒れたら弟と妹と善逸の馬鹿がうるせーぞ。嘴平は知らねーがな。」

 

 じとりと半目で睨みつけながら、甲の剣士だから無茶の範疇には入らないことを口にする優緋。

 しかし、獪岳の口から、炭治郎と禰豆子のことを告げられた瞬間、その表情は引き攣ったものへと変化する。

 

「おおう・・・・・・善逸ならともかく、私の弟と妹のことは言わないでくれ・・・・・・。

 前、無茶した後しばらく外出禁止ですって言わんばかりにくっつかれたことあるんだから。」

 

「だったら余計に無茶できねーだろ。あとのことは俺に任せていいから、お前はさっさと寝ろ。」

 

「はいはいっと。なんかお母さんみたいなこと言ってるなこの子。」

 

「誰が母親だ!!」

 

 お母さんみたいと言う言葉に、思わず怒鳴り返した獪岳。

 その姿を見て優緋はケラケラと笑い声を漏らしながらも、穏やかな笑みを口元に浮かべた。

 

「冗談だってば。じゃ、お言葉に甘えて今日はゆっくり休ませてもらうよ。おやすみ、獪岳。杏寿郎さんも、おやすみなさい。」

 

「ああ。おやすみ、優緋。」

 

「うむ!しっかり休むんだぞ、優緋!おやすみ。」

 

 優緋から告げられた就寝の挨拶に、獪岳と煉獄は挨拶を返す。

 その言葉に笑顔を見せた優緋は、そのまま自身に割り当てられている部屋へと向かうために廊下を立ち去った。

 

「・・・・・・片付けとかは俺がやるんで、食べ終わったらすぐに湯浴みに向かってください。」

 

「・・・・・・ああ。そうさせてもらおう。」

 

 彼女が立ち去り、姿が見えなくなると同時に戻ってきた静寂。

 獪岳と煉獄の間に微妙な空気が流れる中、二人は行動に移すのだった。

 

 

 

 

最近の傾向から、話が獪岳VS煉獄さんの流れになりそうなのでここで一つアンケート。最終的な√は・・・

  • これまで通り煉獄さん√へ
  • 獪岳が巻き返す獪岳√へ
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