目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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上弦襲来、刀鍛治の里の攻防
142.新たな物語の幕開け


 獪岳と二人して刀を台無しにしてしまった日からしばらく経った頃、それは唐突に始まった。

 

「はじめまして。優緋さん。獪岳さん。」

 

「お館様より、刀鍛冶の隠れ里へと向かっていいと言う許可が出たので、お迎えにあがりました。」

 

 夕涼みを獪岳と行っていた時に帰還した杏寿郎さんの夕飯の準備を済ませて戻ってみたら、何やら妙に空気感が張り詰めるようになった師と友人の姿に、度々疑問を抱きながらも過ごしていたある日、突如炎柱邸の正門が叩かれた。

 誰が来たのか確かめるために、門の方へと向かってみれば、そこには二人の隠の姿。

 次いで告げられた言葉により、何が起こったかすぐに把握した私は、なるほどと言うように頷いた。

 

「獪岳。刀鍛冶の里に向かえるみたいだから着替えるよ。」

 

「あ?随分と唐突だな。」

 

「そりゃそうでしょ。上の人に許可を取るのって、そんなもんだしさ。」

 

「まぁ、それはわかるけどよ。」

 

 すぐに獪岳にそのことを伝えれば、彼はかなり驚いたような様子を見せた。

 まさか、こんな風にいきなり行くことになるとは思わなかったのだろう。まぁ、何かしらの前置きの知らせがあると考えていたのだとしたら、その驚きも無理はない。

 

「普通、前置きに何か知らせとか入るんじゃねーのか?」

 

「刀鍛冶の里は、秘匿されている場所ですので、念には念を重ねる必要がありまして。」

 

「突然の知らせになってしまい申し訳ありません。複雑な事情が重なり過ぎているため、このような形でお伝えするしかなかったので。」

 

「ふぅん・・・・・・?まぁ、刀をさっさと回収することができるならいいが・・・・・・」

 

 “とは言え、やっぱ唐突過ぎんだろ”・・・・・・と軽く文句を言ってる獪岳の姿に思わず苦笑いをこぼしてしまう。

 しかし、日輪刀は私たち鬼殺隊の命と言っても過言ではないアイテムだ。

 鬼側にそれが漏洩してしまうとなると、鬼殺隊側が強制的に敗北させられてしまい、今以上に鬼が蔓延る世界になってしまうのは目に見えているため、秘匿に秘匿を重ねるのもやむなしだと言えるだろう。

 ・・・・・・・・・まぁ、それ、結局鬼側にバレてんだけど。

 

「少しだけお待ちください。すぐに準備をしてきます。」

 

 そんなことを思いながら、私は隠の人に一言声をかける。隠の人はすぐに頷き、その場で待機し始めた。

 それを確認した私は、獪岳と共に炎柱邸にある各自の部屋へと移動する。

 私たち鬼殺隊にとって、一番動きやすい格好をするために。

 

 

 

 

 

          ☽❀☾

 

 

 

 

 

 しばらくして、鬼殺隊の隊服に着替えた私と獪岳は、先程の隠の人たちと合流する。

 炎柱邸の正門の前に待っていた二人は、私たちに一度頭を下げて、これからのことを説明し始めた。

 

「今から向かう刀鍛冶の里は、鬼殺隊の要である日輪刀を作成する刀鍛冶の者たちが暮らし、刀を作っている場所です。」

 

「よって、鬼側にそこが知られてしまってはならないため、秘匿事項が多くあります。」

 

「我々、案内役として派遣された隠も、その秘匿義務を持ち合わせており、事情によって名乗ることはできません。ご了承の程をお願いします。」

 

 そこまで口にした隠の人は、どこからともなく目隠しと耳栓を取り出して、私と獪岳に差し出す。

 

「・・・・・・何だこれ?」

 

 まさかの事態に困惑したのか、獪岳が疑問の声を上げた。

 なるほど。原作を知っているからこそ、これから向かう場所がどれだけ重要で秘匿されているかわかっている私の代わりに、獪岳が炭治郎の台詞を口にする流れになるのか。

 ・・・・・・なんて、呑気に考えながら目隠しと耳栓を見つめていれば、隠の人が言葉を紡いだ。

 

「目隠しと耳栓です。刀鍛冶の者たちが住まう里は、先程も説明したように、厳重に秘匿されている隠れ里です。

 そのため、鬼殺隊に身を置く者でさえも、その場所を把握することは許可されません。」

 

「隠の我々が派遣されたのもこれらによる秘匿性が関係しています。鬼に襲撃されてしまう可能性を一つでも潰すために、我々が案内役として送り込まれました。」

 

「里の場所は誰も知りません。無論、我々も把握していません。一定の場所まで移動したあと、次の隠に鬼殺隊の剣士様は引き渡され、それを繰り返していくことにより、刀鍛冶の里へと辿り着く流れとなります。」

 

「道順も常に変更され、我々隠は次の隠が待っている場所まで鎹鴉に案内されます。そして、次の隠も鎹鴉に案内されながら、途中までの道のりを移動します。」

 

「鎹鴉も頻繁に変わり、道順も度々変わることにより、秘匿性を強めていると言うことです。」

 

 淡々と事務的に行われる説明を、私と獪岳は頭に入れていく。

 確か、原作から抜粋するに、お館様が過ごしている本丸は、これ以上に複雑な隠し方をされてるんだっけ?

 そう考えると、鬼殺隊って頭がいい人もかなりいるな。て言うか、お館様の本丸をこれ以上に複雑な方法で隠すってどんな方法だよ。

 

「説明は以上です。目隠しと耳栓を装着させていただきます。」

 

「同時に、優緋さんと炭治郎さんには鼻栓もしてもらいます。お二人は鼻がよく効くとのことですから。」

 

「ああ、わかりました。炭治郎。禰豆子。ちょっと扉を開けるよ。」

 

「う!」

 

「わかったよ、姉ちゃん!」

 

 炭治郎と禰豆子に一言声をかけ、背負い箱の扉を静かに開け、二人に日が当たらないようにと自身の羽織を被せる。

 ・・・・・・炭治郎はすでに日の光を克服してるから、こんなことはしなくていいんだけど、まぁ、念には念をってことで。

 

「失礼します。炭治郎さん。少し呼吸が難しくなりますが、鼻に栓をさせてくださいね。」

 

「わかりました!どうぞ!」

 

 炭治郎の言葉を聞き、隠の人は彼の鼻の穴に鼻栓をしっかりと差し込んだ。

 かなりの勢いだったが、炭治郎は気にしていないのか、平然としている。

 あ、禰豆子が笑った・・・・・・。まぁ、ちょっと面白いもんね、絵面が。

 

「では、続いて優緋さんにも鼻栓をさせていただきます。」

 

「わかりました。あ、獪岳。絵面がヤバいことなるからさっさと耳栓と目隠し済ませて。」

 

「それくらいわかってるっつの。」

 

「では、獪岳さん。こちらに。」

 

「ああ。」

 

 私の言葉を聞き、獪岳を運ぶことになっているらしい隠の人が、彼に耳栓と目隠しを施す。

 そして、彼の前にしゃがみ込んでは、その体を軽々と背負った。

 

「・・・・・・背負われんの違和感しかねー・・・・・・・・・」

 

「それは仕方ない。」

 

 すでに耳栓をされているため、こちらの言葉は聞こえていないだろうが、彼の呟きに仕方ないと返しながら、隠の人と向き直る。

 私と向き直った隠の人は、炭治郎にした時と同じ要領で私の鼻に栓をして、目隠しと耳栓も取り付けた。

 何も見えないし、何も聞こえないし、もちろん匂いもわからないが、ふわりと体が浮く感覚を覚える。

 どうやら私も隠の人に背負われたらしい。

 

 ・・・・・・・・・・・・原作では禰豆子だけだったけど、こっちだと炭治郎も箱の中にいるから、隠の人にかかる負担が絶対に原作以上だよな。

 なんだかものすごく申し訳なくなってきた・・・・・・。留守番させた方が良かったかな・・・・・・?

 

 そうこう考えているうちに、私の体には吹き抜ける風が当たり始める。

 ああ・・・・・・移動が開始されたんだと少しだけ思考しながらも、私は内心で隠の人に謝罪の言葉を告げるのだった。

 

 

 

 

 

           ☽❀☾

 

 

 

 

 

 ・・・・・・あれから再び時が経った。

 何人の隠の人にバケツリレースタイルで運ばれたかわからないが、受け渡されるたびにお疲れ様ですとありがとうございます、それとよろしくお願いしますを口にしながら過ごした。

 

 あと、どれくらいの受け渡しがあるのだろうか?と疑問を抱きながら過ごしていたところ、ようやく私の足が地面につく。

 

「それでは、全て外しますね。」

 

 同時に私に付けられていた耳栓と目隠しが外された。一瞬の眩しさに視界が暗くなり、しばらくの間景色がはっきりと見えにくかったが、鼻につけられていた栓も外して瞬きを繰り返せば、原作の中で見てきた景色が広がっていた。

 

「すごい・・・・・・昔ながらの街並みがずっと続いてるような、歴史を感じる街並み・・・・・・。

 それに、この匂い・・・・・・温泉があるようですね。」

 

「ええ。ありますよ。」

 

 温泉街をさらに複雑にしたような街並みに素直に驚いていると、隠の人が笑顔で頷く。

 ここまで連れてきてくれた人は、最初に会った人とは違う人だった。

 

「ここまでありがとうございます。かなり大変だったでしょう?いくら、小さな子どもと同じ身体状態に移行しているとはいえ、木箱の中には二人分の重さも加わって、3人弱の重さがあったと思いますし、私も、体は大きい方ですから。」

 

「いいえ。確かに、優緋さんは女性の割には体つきや身長が大き目ではありますが、重さはあまり感じませんでした。

 むしろ、ご兄弟の重さが加わってようやく強めに重さを感じるほどでしたよ。ちゃんとお食事は取れていますか?」

 

「一応はしっかり食べてるはずですが・・・・・・まぁ、炎柱様や音柱様、獪岳から、それだけで足りるのかと驚かれていた記憶はあります。」

 

「おそらくそれの影響でしょうね。我々隠とは違い、優緋さんは刀を振るい、鬼を滅殺する剣士の身。しっかりと食事を摂り、精力をつけておかなくては優緋さんが危ないですよ?」

 

「あはは・・・・・・そうですね・・・・・・。気をつけます。」

 

 隠の人から母親が口にするようなお叱りを受けてしまい、思わず苦笑いをこぼしてしまう。

 とは言え、私は竈門優緋として過ごす前から少食で、その体質は、竈門優緋となってからもずっと続いている状態だ。

 どれだけしっかり食べないとと言われても、食べ過ぎたら逆にお腹を壊しそうで食べれないのだが・・・・・・。

 

「・・・・・・あれ?獪岳は?」

 

 そんなことを思いながら、ふと、獪岳がいないことに気がつき、首を傾げながら獪岳はどこにいるのか問いかけた。

 

「ああ・・・・・・獪岳さんは、もう直いらっしゃいますよ。同じ道のりは使わないようにと言う話があるため、同時に許可を出された場合、移動するための道のりがすぐに分かれる仕組みになっているので、合流までの時間が空いてしまうのですよ。」

 

「なるほど。」

 

 どうやら、獪岳は私とはまた別のルートで移動してきているようだ。

 合流する時間に少しだけ差があるとの話だが、そう言うことならば仕方ない。

 

「じゃあ、私は獪岳を待ってから移動しますね。」

 

「わかりました。では、私はこれで。」

 

「はい。お疲れ様でした。」

 

 私の挨拶を聞いた隠の人は、笑顔を見せて頭を下げる。

 そして、私の元から姿を消した。

 

 しばらくの間、隠の人が姿を消した方角を見つめ、視線を別の方角へと移動させると、背後から別の気配が近づいてきた。

 視線をすぐにその方角へと向ければ、そこには獪岳を背負った隠の人が姿を現した。

 同時に、私の姿を見るなり、その隠は驚いた様子を見せたが、すぐに頭を下げた。

 

「耳栓と目隠しを外しますね。」

 

 そして、背負っていた獪岳を下に下ろした後、彼の目隠しと耳栓を外した。

 

「ん?優緋。」

 

「やっほー獪岳。どうやら、私とは違う道のりでこっちに連れてこられたみたいだね。」

 

「そうなのか?まぁ、隠の連中の話から聞くに、別々の道になるのは当然かもな。」

 

 一緒に隠の人から話を聞いていたためか、すぐに獪岳は別々の道のりで移動した原因を察したらしく、納得した様子を見せる。

 

「ここ、どうやら温泉があるみたいだよ。刀がどれくらいでできるかわからないけど、待ってる間に浸からせてもらうのもいいかもね。温泉は、普通のお風呂とは違い、薬効がある時もあるしさ。」

 

「そうだな。許可もらったら浸からせてもらうか。」

 

 やっぱ獪岳って察しいいよな・・・・・・なんてことを考えながらも、この里の特徴を伝えれば、獪岳も私の提案に頷いた。

 その姿に小さく笑った私は、獪岳を連れてきた隠の人に視線を向ける。

 

「獪岳のことを連れてきてくださってありがとうございます。」

 

「・・・・・・ありがとよ、案内してくれて。」

 

「これも我々の仕事ですから。そうそう・・・・・・あちらを左へ曲がった先に里長の家がありますので、一番に挨拶をしてくださいね。」

 

 私と獪岳から感謝の言葉を口にすると、隠の人は笑顔で言葉を返してきたのち、刀鍛冶の里の長に挨拶をするように言ってきた。

 その言葉に頷き返せば、隠の人は一礼してこの場から立ち去る。

 

「・・・・・・さてと、行きますか。」

 

「ああ。」

 

 それを見送った私と獪岳は、踵を返して教えられた方角へと歩き出す。

 刀鍛冶の里の攻防は、刻一刻と迫っている。

 

 

 

最近の傾向から、話が獪岳VS煉獄さんの流れになりそうなのでここで一つアンケート。最終的な√は・・・

  • これまで通り煉獄さん√へ
  • 獪岳が巻き返す獪岳√へ
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