目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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144.不死川玄弥

 温泉から戻ってきたらしい蜜璃ちゃんは私たちの元に駆け寄り、涙声で何があったのかを話してきた。

 私たちより先に、刀鍛冶の里についた彼女は、鉄珍殿に挨拶を済ませ、そのあと自身の刀を彼に預けたのち、里にある温泉にゆっくりと浸かって疲れを癒したあと、いい気分で坂道を下っていたところ、同じ鬼殺隊の男の子が温泉へと向かうための坂道を上ってきていたようだ。

 

 最初は、私と獪岳が到着したのかと思っていたようだが、明らかに風貌が違うため、別の鬼殺隊が来たのだと考え、挨拶をしようと声をかけたらしい。

 しかし、坂道を上がってきた鬼殺隊の少年は、蜜璃ちゃんの姿など視界に入っていなかったのか、真っ直ぐと坂道を上がっていたのだとか。

 

 同じ鬼殺隊に属する隊士同士、仲良くなろうと思っていた蜜璃ちゃんは、その後も数回声をかけたらしいが、全て反応はなく、名前もわからない隊士の背中を見送ることしかできなかったようだ。

 

「折角同じ機会に同じ場所で出会った縁なのに挨拶を無視されたの〜〜!!なんで無視されちゃったの〜〜!?酷いと思わない!?酷いと思わない!?私、柱なのに〜〜〜〜!!」

 

 わーん!!と私に抱きつきながら、挨拶を無視されてしまったことに対するショックを話す蜜璃ちゃんの姿に、私と獪岳と炭治郎はその場で顔を見合わせて困惑する。

 挨拶を無視されてしまった・・・・・・確かにそれは酷いことではあるけど、正直言って、その隊士・・・・・・まぁ、玄弥なんだけど。

 思春期にはあまりにも刺激が強過ぎる胸元バルンバルンなお嬢さんの姿をしっかりと見ることができるかと言われたら微妙なところではある。

 私は女だし、炭治郎に関しては、我が家の湯浴み事情のことからある程度問題はないが、それ以外の男性に、この子はかなりアレと言いますか・・・・・・。

 

「お風呂上がりのいい気分がもう台無し!!なんであの子に無視されちゃったの〜〜!!」

 

 蜜璃ちゃんに同情をしたらいいのか、それとも思春期真っ只中な玄弥に同情したらいいのかわからない状況に、苦笑いをこぼす。

 とは言え、このままではお風呂に入れないため、すぐにその場で思案する。

 

「・・・・・・そう言や、俺と優緋を案内してくれた奴が夕餉を用意しておくとか言ってましたよ。」

 

「確か、松茸ご飯もあるって話だったね。先に食事ができる部屋に向かってみたらどうかな?」

 

「え─────っ!!!ほんとォ!?」

 

 そんな中、獪岳が夕餉の話を出し、蜜璃ちゃんに伝え始める。

 それに合わせて何が出るのかを彼女に話せば、わんわん泣いていた姿から一転、キラキラと明るい笑顔を見せながら、蜜璃ちゃんは泣き止んだ。

 

「じゃあ、先に言ってるわね!あ、坂の一番上に女湯があったから、優緋ちゃんと禰豆子ちゃんはそっちに行ったらいいわよ!」

 

「坂の一番上か。教えてくれてありがとう。早速向かってみるよ。」

 

「うん!」

 

 笑顔で女湯の場所を教えてくれた蜜璃ちゃんに、笑顔でお礼を口にすれば、彼女はルンルンと言う効果音が付きそうな様子で坂道を下り始めた。

 よく聞いてみると、原作の中でも口にしていたらしい歌を口ずさんでいるのがわかる。

 なんとか機嫌が治ったかな?その背中を見送りながら考えた。

 

「・・・・・・なんか、嵐みてーな人だな。」

 

「まぁ、かなり勢いがあるお嬢さんでは有るよね。」

 

 あまりの変わり身の早さに、呆気に取られながら、嵐のような人だと感想を漏らし、私達は坂道を上がっていく。

 そう言えば、玄弥・・・・・・蜜璃ちゃんを無視した挙句、泣かせちゃっていたけど、伊黒さんにどやされないといいな・・・・・・。

 

 

 

 

 

          ☽❀☾

 

 

 

 

 ・・・・・・蜜璃ちゃんと別れ、坂道を登り始めると、男湯と記された看板が姿を見せる。

 どうやら、獪岳と炭治郎が浸かれる場所にたどり着いたようだ。となると、ここで一旦二人とはお別れだね。

 

「じゃあ、俺と炭治郎はこっちに行くから、お前は禰豆子と一緒に上に向かえよ。」

 

「うん。炭治郎のことをよろしくね。」

 

 獪岳に炭治郎をお願いすることを告げれば、彼は小さく頷き、炭治郎を連れて行こうとする。

 

「いって!?」

 

 しかし、不意に獪岳が何やらダメージを食らったような声を漏らす。

 驚いて獪岳に視線を向けてみると、彼は額を抑えていた。

 炭治郎はと言うと、獪岳の足元に視線を向け、静かにその場でしゃがみこんだ。

 

「なんだろう、これ?前歯かな?」

 

 獪岳の足元にしゃがみ込んだ炭治郎は、一本の歯を手に取って、首を傾げながら言葉を紡ぐ。

 確かにそれは、尖った前歯だった。となると、この場に玄弥がいるな。

 

「あ?誰かあそこにいるな。」

 

 不意に、獪岳が近場にあった温泉の方に視線を向けながら、人影があることを口にする。

 すぐに視線をその方角へと向けてみれば、そこには蝶屋敷でも感じた匂いの持ち主である玄弥の姿があった。

 

「あ、玄弥。」

 

「あ?うお!?優緋!!てめ、なんでそんなとこにいるんだよ!?こっち見んな!!」

 

 すかさずその人物の名前を口にすれば、呼ばれた本人、不死川玄弥は顔を真っ赤にして湯船の中に体を一気に沈める。

 男性の裸は、正直言って炭治郎ので見慣れているのだが、まぁ、血縁かそれ以外の異性かで考えれば、その反応も頷けるだろう。

 

「なんだ?優緋の知り合いか?」

 

「うん。同じ最終選別に参加していた不死川玄弥。蜜璃ちゃんが話しかけていた男の子は多分、彼だと思う。」

 

「ふぅん?なるほどな。」

 

 玄弥の反応に対して冷静に分析すれば、話を聞いていた獪岳が、どことなく興味のなさがわかってしまう声音で言葉を紡ぎ、炭治郎を連れて温泉の方へと足を進める。

 

「おい、お前。そっちが吹っ飛ばしやがった前歯が俺に当たったんだが?」

 

「は?誰だよお前・・・・・・」

 

「獪岳って言って、鬼殺隊の中で私たちの先達の一人だよ。雷の呼吸を使ってる人。

 私と彼の刀、両方とも鬼との戦闘中に折っちゃってね。互いに刀ができるまで、これまでの疲れを癒そうとしていたってこと。

 それで、私と禰豆子はこの上にある女湯に向かおうとしていたんだけど、さっき、獪岳のおでこに君が飛ばした前歯がぶつかっちゃったみたいでね。」

 

 そこまで説明をした私は、静かに炭治郎の名前を呼ぶ。

 炭治郎はすぐにその場で頷き、先程手に取った前歯を玄弥に見せた。

 

「初めまして、玄弥。俺は竈門炭治郎。優緋姉ちゃんの弟で、見ての通り鬼になっちゃってる存在。

 さっき、獪岳にこれが当たったみたいでさ。どうしたらいいかわからなかったんだ。」

 

 玄弥の元に歩み寄り、困惑した表情のまま玄弥に視線を向けた炭治郎が、静かに吹っ飛んできた前歯を見せれば、玄弥は一瞬驚いたような表情を見せ、見せられた前歯を手に取る。

 そして、勢いよく遠くの方へとそれを投げ捨て、深い溜め息を一つ吐き出した。

 

「いちいち見せなくていいだろ。まぁ、飛ばしちまったのは俺だし・・・・・・悪かった・・・・・・。」

 

「ああ、まぁ、別にいいけどよ。次からはせめて人がいねーとこに飛ばせよ不死川。」

 

「そうする・・・・・・。つか、優緋!!お前はさっさと女湯行けよ!!いつまでそこにいんだ!!」

 

「うん?ああ、素っ裸だからか。じゃあ、私はこれで。獪岳。炭治郎。玄弥にあんまり迷惑かけないようにね。」

 

「うん!気をつけるよ姉ちゃん!」

 

「優緋も禰豆子とゆっくりしろよ。まぁ、のぼせねー程度にな。」

 

「うん。」

 

 獪岳と炭治郎の二人と言葉を交わしたのち、坂道の上を目指すために足を進める。

 

「むん!」

 

「ん?禰豆子。どうしたの?」

 

「う!」

 

「一緒に歩きたかったの?」

 

「む〜!」

 

「そっか。それなら、日の光ももうないし、一緒に歩こうか。」

 

「ん!」

 

 すると、その途中で箱の中に入っていた禰豆子が箱から出て、一緒に歩きたいことを私に伝えてきた。

 それならと、箱の外に出た禰豆子に手を差し出せば、彼女は私の手をそっと握り、にこにこと笑顔を見せながら隣を歩き始めた。

 その姿を見て小さく笑いながら、私は坂道の上を目指して歩く。

 

 刀鍛冶の里での戦いと、そこにたどり着くまでの流れを脳裏に浮かべながら。

 

 ─────・・・・・・刀鍛冶の里にたどり着いたあとは比較的平和な流れだったけど、無一郎君が出てくるところから、少しずつ大変になって行くんだよね。

 

 ─────・・・・・・原作では、無一郎君の行動に色々とキレた小鉄君が、炭治郎に縁壱さんにそっくりなカラクリによる厳しい訓練をつけ、炭治郎は透き通る世界を身につけるための糸口を見つけ、カラクリを壊すことで縁壱さんの刀を手に入れる。

 

 ─────・・・・・・それにより炭治郎は新たな刀を手に入れ、さらには煉獄さんの刀の鍔を取り付けることで黒刀を使い始めるんだよな。

 

 ─────・・・・・・私と言うイレギュラーと、獪岳と言うイレギュラーが参戦することは完全に決まってしまっているこの場所では、そこら辺がどうなるかわからない。

 

 ─────・・・・・・まさか、自分が思うように行動を取った結果、この話に別の介入者が発生することになるとはね。

 

 どうしたもんかと考えながら歩みを進めれば、男湯とは違い、しっかりとした脱衣所や壁が作られている場所にたどり着く。

 そこには女湯の文字が記されており、ここが蜜璃ちゃんの言っていた場所かと脳裏に浮かべる。

 

「男湯のような野晒しじゃなくてよかったね。」

 

「う!」

 

「浴衣や手拭いも用意してあるし、これならゆっくりと浸かれそうだ。それじゃあ、入ろうか禰豆子。」

 

「ん〜!」

 

 それを確認した私は、禰豆子に静かに声をかけて、温泉に入ろうと告げる。

 禰豆子は笑顔で頷いた後、脱衣所となっている場所に足を運んだ。

 

 ─────・・・・・・とりあえず、カラクリによる訓練は獪岳にもさせておこうかな。

 

 “獪岳の強化にしっかりと繋がるだろうし”・・・・・・原作とは全く違う世界線になっているこの世界をどうやって明るい方へと向かわせていけばいいのか思案しながら、私も脱衣所に足を運ぶ。

 さて、明日から忙しくなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

最近の傾向から、話が獪岳VS煉獄さんの流れになりそうなのでここで一つアンケート。最終的な√は・・・

  • これまで通り煉獄さん√へ
  • 獪岳が巻き返す獪岳√へ
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