目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
蜜璃ちゃんと話をして、改めて不死川兄弟の確執を認識し、どうすれば二人がすれ違うことなく無限城での決戦に臨むことができるだろうかと考えながらの夕餉も終わりを迎え、私たちはそろって大広間から離れる。
いつのまにか禰豆子と打ち解けた蜜璃ちゃんと、そんな彼女と手を繋ぐ程に心を許している禰豆子が前を歩き、私と獪岳、それと、私と手を繋いでいる炭治郎は、その後ろを歩いていた。
「そう言や、優緋は炭治郎と禰豆子を人間に戻すために鬼舞辻を追って鬼殺隊に入ったって言ってたが、甘露寺さんはなんで鬼殺隊に?やっぱ、鬼に身内を殺されたから、敵討のためとか?」
そんな中、不意に獪岳が蜜璃ちゃんに鬼殺隊に入った理由を問いかけ始める。
・・・・・・原作を知っているからこそ、あえて触れないようにしていたんだけど、なんで獪岳が聞いちゃうの・・・・・・・・・。
「え!?私が鬼殺隊に入った理由!?えー・・・・・・どうしよう、聞いちゃう?ちょっと恥ずかしいな〜〜・・・・・・」
「・・・・・・は?」
そりゃそんな反応になる、と素で声を漏らした獪岳の様子に内心でツッコむ。
鬼殺隊に入る人間は、基本的に鬼に対する憎悪を抱いていたり、鬼に対する怒りを抱いている人間が多い。
そんな中、口にされた恥ずかしいと言う言葉は、あまりにも予想外過ぎるどころか、疑問にしか思えない言葉だ。
溜息が出そうになってしまったが、なんとか堪えながら、私はその言葉の続きを覚悟する。
蜜璃ちゃんが言葉を紡いだのは、それとほぼ同時だった。
「あのね・・・・・・そ、添い遂げる殿方を見つけるためなの!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「ほら、やっぱり自分より強い人がいいでしょ?女の子なら守ってほしいもの!わかる?この気持ち。
男の子には難しいかな?優緋ちゃんはわかるかな?ほら、柱の人は強いでしょ?でもなかなか会えないからね。自分も柱にならないとね。だから、私すごい頑張ったのよ!」
つらつらと出てくる蜜璃ちゃんが鬼殺隊になり、柱にまで上り詰めた理由に、獪岳は唖然としたまま耳を傾ける。
しかし、程なくして私の方へと無言で視線を向けたのち、マジで言ってんのかこの柱と言わんばかりに指を差した。
人に指を差したらいけませんと指摘するべきなのだろうが、こればかりは私も頭を抱えたくなる程の真実だったため、指摘より先に肯定の方が表に出てしまった。
それを見て獪岳は再び蜜璃ちゃんに視線を向ける。しばらくの間、彼は、完全に思考を止めてしまっていた。
☽❀☾
「甘露寺様。」
衝撃の鬼殺隊入隊理由を蜜璃ちゃんが語り、獪岳を思考停止にまで追い詰めてしまうと言うトラブルに見舞われる中、廊下に響いたのは穏やかな女性の声だった。
すぐに視線を声の方へと向けてみれば、そこには隠の女性が一人いて、蜜璃ちゃんを真っ直ぐと見つめている。
「間もなく刀が研ぎ終わるそうです。最後の調整のため、工房の方へ来ていただきたく・・・・・・」
「あら〜・・・・・・もう行かなきゃいけないみたい。私ね。優緋ちゃんと獪岳君より先にここに来てたの。
柱と一般の隊士だと、刀鍛冶の里に向かうための許可が出る速さが違うみたいでね。
柱は一般隊士よりも優先してお館様から許可を出してもらえるのだけど、それ以外は里長の鉄珍様や、里の上層の方々との話し合いも必要になるから時間がかかっちゃったみたいね。
もうちょっと、優緋ちゃんや獪岳君とお話ししたかったけど、先にここから発つことになっちゃった。」
蜜璃ちゃんが、私たちと自分に許可が出された時間の差を冷静に分析する中、確かにそれは辻褄が合うと思って頷き返す。
「できればお見送りをしたいところだけど、話からすると、深夜になっちゃうかな?」
「そうね。多分深夜になるわ。だから、優緋ちゃんと獪岳はゆっくり休んで、刀ができるまでの時間を過ごしてちょうだい。」
蜜璃ちゃんの言葉に小さく頷き返せば、彼女は明るい笑顔を見せる。
「私たちの立場上、今度また生きて会えるかわからないけど、お互いに頑張りましょうね。
優緋ちゃんは上弦の鬼と二度に渡って戦い、生き残った。これはすごい経験よ。
実際に体感して得たものは、これ以上ないほど価値がある。五年分。十年分の修行に匹敵する。
そんな優緋ちゃんと巡り会えた獪岳君も、少しずつ大きな経験を重ねているから、これからもっと強くなれるはずよ。」
蜜璃ちゃんから告げられた言葉に、私と獪岳は互いに目を丸くして顔を見合わせる。
しばらくの間見つめ合い、何度か瞬きを繰り返し、すぐに小さく笑って頷き合った。
「そう言ってくれてありがとう、蜜璃ちゃん。とは言え、私が上弦と戦うことができたのは、宇髄さんや、杏寿郎さんがいてくれたからこそだから、もっと私は頑張るよ。
大切な家族を取り戻すため・・・・・・鬼舞辻を打破するためにね。」
「俺はまだ、優緋みたいに上弦の鬼とぶつかったことはないですけど、これからも優緋の側で学べることは学んで、少しでも優緋が無茶をしないように頑張ります。
その過程で強くなれば、俺もきっと、鬼舞辻無惨を打破するための力になれるはずですから。」
私と獪岳の返答を聞き、蜜璃ちゃんは一瞬キョトンとした表情を見せる。
しかし、すぐにその頬を軽く赤らめ、私と獪岳に視線を向けた。
「二人ともやる気満々ね!私も二人を応援するわ!」
少しだけもじもじしながらも、笑顔で私たちの頑張りを応援すると口にしては、少しだけ考え込むような様子を見せ、私たち二人に手招きをする。
不思議に思って獪岳と一緒に近寄ってみれば、彼女はヒソヒソ話をするように、静かに口を開いた。
「ちょっと面白い話を聞いたのだけど、この里には強くなるための秘密の武器があるみたいよ?
滞在期間が長いみたいだし、二人で探してみてもいいかもしれないわよ。」
そして、私と獪岳にこの里にある物に対してのことを教えたのち、明るく笑って私たちから離れる。
「それじゃあ、私は行くわね!じゃあね!」
私たちに笑顔で挨拶をするなり、走り出す蜜璃ちゃんの背中を見送り、私と獪岳は少しの間無言になる。
しばらくして顔を見合わせたのち、私たちもこの場から立ち去るのだった。
☽❀☾
「・・・・・・里の中にある強くなれる武器ってなんの話だ?」
「うーん・・・・・・ちょっと手がかりが少なくて、すぐには見当がつかないかな。」
「だよな・・・・・・」
あれから私と獪岳は、一つの部屋に集まり言葉を交わしていた。
使っている部屋は、私にあてがわれている部屋で、獪岳の部屋は隣にある。
寝る前に明日の予定を決めておこうと考えて、そこで話し合おうとしていたが、やはり、獪岳は武器のことが気になるようだ。
「明日探してみる?」
「そうだな・・・・・・。かなり気になる話だし、もし、本当に強くなれるなら、どんな武器か見てみたいよな。」
ふむ・・・・・・流れ的に探す感じになりそうである。まぁ、探しに行かなくては無一郎君とのエンカウントもできないし、ここは原作通りに行ったほうが良さそうだ。
「じゃあ、明日二人で探してみようか。どんな武器があるのか私も気になるしね。」
そんなことを思いながら、明日は宝探しにしてもいいかもしれないことを伝える。
獪岳もそれに同意するのか、小さく頷き、そうと決まればと言わんばかりに立ち上がる。
おそらく、自身にあてがわれた部屋へと向かうのだろう。明日は早起きになりそうだから。
「そう言えば、獪岳はどうして鬼殺隊に?」
不意に、私は一つの疑問を思い浮かべる。
獪岳が蜜璃ちゃんに聞いていた、鬼殺隊に入った理由・・・・・・それと全く同じ疑問だった。
原作の中では、わずかに出てくるだけで、最後は敵として善逸の前に立ちはだかる鬼となって敗北することとなっていた獪岳・・・・・・そんな彼が鬼殺隊に入った理由はなんだったのか、少しだけ気になってしまった。
「・・・・・・俺が鬼殺隊に入った理由か。」
私の問いかけを聞いて、獪岳は少しだけ考え込むような様子を見せる。
しかし、すぐに彼は私に視線を向け、緩く口を開いた。
「鬼殺隊になって、柱になれば、俺が誰よりも優れてることを証明できると思ったから・・・・・・だな。
壱ノ型しか使えねーカスと、壱ノ型だけが使えねー俺・・・・・・二人揃って後継者だとかほざきやがったジジイを見返したかったんだ。
確かに雷の呼吸は壱ノ型が主軸で、その基礎から弐ノ型以降に派生する呼吸だし、壱ノ型が使えねーことは致命的だった。
だが、それでも柱に・・・・・・鳴柱になれば、壱ノ型がなくても、壱ノ型以外が使える俺が善逸より優れていると証明することができて、ジジイの二人揃って後継者なんてふざけた意見を潰すことができる・・・・・・そう思ったんだ。」
獪岳が出した答えは、彼らしい物だった。
誰よりも人に認められたいと望んでいた彼だからこそ、抱いた答えだと言えるだろう。
ある意味で予想通りだった。彼ならこう答えるだろう・・・・・・そんなことを思っていたから。
「だが、今は違う。確かに前は認められたい一心で、俺は鬼殺隊に入ったが、今の俺は、別の理由を持って刀を振ってる。」
「別の理由?」
しかし、その後に続いた言葉は予想外のものだった。
誰よりも認められたいと望んでいたはずの獪岳が、別の理由を持っているなど思いもよらなかった。
まさかの返答に驚き、思わず別の理由と言う言葉を復唱していると、獪岳はしっかりと頷き、再び口を開く。
「今の俺は、優緋のために刀を振ってるんだ。俺自身もかなり驚いてる。」
「!!」
“優緋のため”・・・・・・告げられた言葉に目を見開いていると彼は私を真っ直ぐと見据え、真剣な表情をその場で浮かべる。
彼の瞳には、力強い光が宿っており、本気でそう思っていることも、匂いを通じて把握する。
「鬼殺隊に入った理由は認められるため・・・・・・確かにそれは間違いない。だが、刀を振るう理由は違う。
俺は、お前の隣にいたいんだ。お前より弱い俺が言える言葉じゃねーのはわかってる。
だが、お前の隣は俺がいい。お前を守れるのは俺がいい。お前を・・・・・・優緋を支えていくのは俺がいいって思ってんだ。
そのためだったら、いくらでも俺は力をつけるために立ち回る。優緋が少しでも楽ができるように・・・・・・優緋が、早く家族を取り戻せるように。そして・・・・・・いつかは、その隣にずっと・・・・・・」
そこまで口にした獪岳は少しだけ黙り込み、さっさとこの部屋から離れていく。
「明日は里中を探し回るんだろ?お前も早く寝ろよ。おやすみ。」
そして、私に挨拶を口にしたのち、足早に自身があてがわれた部屋へと立ち去っていく。
ちらりと見えた彼の耳や頬ら赤みがさしており、照れているような匂いがした。
その背中を見つめながら、私はポカンと呆気に取られる。
顔に熱が溜まっているような感覚は、気のせいだと思いたい・・・・・・。
最近の傾向から、話が獪岳VS煉獄さんの流れになりそうなのでここで一つアンケート。最終的な√は・・・
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これまで通り煉獄さん√へ
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獪岳が巻き返す獪岳√へ