目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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147.心からの思い

 獪岳から言われた言葉に少しだけ混乱しながらも就寝し、迎えることとなった翌朝。

 いつものように髪を纏め、昨夜、夕餉を食べた部屋に向かえば、ほぼ同時に獪岳も姿を現した。

 

「あ、おはよう、獪岳。」

 

「ああ。おはよう、優緋。」

 

 いつものように挨拶を交わすが、少しだけぎこちない声音となる。

 “お前のために刀を振るう”・・・・・・その言葉は、少しだけ獪岳を意識してしまう要因となってしまっていた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 互いに無言のまま、すでに用意されている朝餉の前に座り込む。

 昨日まで沢山話している様子があった私と獪岳の二人が、無言になっていることが気になるのか、朝餉を用意してくれた里の人は、少しだけオロオロしているようだった。

 

「え、えっと・・・・・・では、私はこれで。ごゆっくり。」

 

 しばらくの間、気まずい無言の空間が広がり、とうとう里の人が困惑したまま、部屋を立ち去っていった。

 その姿に申し訳ないと思いながら、背中を見送っていると、「優緋」、と短く名前を呼ばれる。

 少しだけドキッとしながらも、獪岳の方へと視線を向ければ、彼は真っ直ぐと私の姿を見つめながら、静かに口を開いた。

 

「昨日、急にあんなこと言われてかなり困惑してんだろ?まぁ、俺自身もいきなり言った自覚はあるし、それに関しては悪かった。

 だが、俺が昨日言ったことは全部本心だ。嘘偽りのない本音だ。」

 

 サラッと告げられた言葉に、少しだけ顔が熱くなる。

 まさか、訂正するつもりはないと言われるとは思いもよらず、恥ずかしさや緊張で、自身の鼓動が早くなった気がした。

 

「だから、これからも俺を頼ってほしいし、その隣に立たせてほしいんだ。お前から見て、俺が弱いことは間違いねーし、その自覚もあるが、それならそれで、強くなるためにいろいろ教えてほしい。

 優緋の話から、優緋の力になるにはまだまだ時間はかかるかもしれねーが、それでも、優緋には俺のことを見ていてほしいし、教えてほしいんだ。

 俺は、力をつけるためならば努力する。ジジイに教えてもらっていた時からそうしてきたから慣れてる。」

 

 “だから、優緋の隣でこれからも学ばさせてくれ”・・・・・・そう告げてくる獪岳の匂いは真剣で真っ直ぐな思いを感じ取れるものだった。

 ほんの少し・・・・・・善逸が禰豆子に、宇髄さんの奥さんたちが宇髄さんに、そして、今はすでにいなくなってしまっている母さんが、かつて、父さんに向けていた、ある匂いを感じ取れたが、それに気づかないフリをして、私は静かに頷いた。

 

「・・・・・・今日、探そうと思ってる強くなるための武器が見つからなくても、獪岳に学べる機会を与えることはこれからも続けるよ。だから、必ず鬼舞辻無惨を倒そうね。一緒に。」

 

「ああ。だが、まずは十二鬼月が先だろ?」

 

「それはそう。私が、宇髄さんや杏寿郎さん、善逸や伊之助、炭治郎や禰豆子と一緒に戦った十二鬼月は上弦の陸・・・・・・それはつまり、上弦にはまだ、伍、肆、参、弐、壱の五体がいることになる。

 そんな五体の鬼とも戦うことになるのは間違いないだろうし、しっかりと力をつけないとね。」

 

「そうだな。」

 

 少しだけ違う空気を持ちながらも、いつも通り言葉を交わした私と獪岳は、少しだけ見つめ合ったあと、静かに口元に笑みを浮かべる。

 そして、目の前に出されている食事に手をつけ、今日のためのエネルギーを補充するのだった。

 

 

 

 

           ☽❀☾

 

 

 

 

 朝餉を食べ終え、二人して刀鍛冶の里の中を歩く。

 鬼滅の刃は大正時代の初期が舞台だからか、気温はそこまで高くはなく、割と涼しいと感じてしまう。

 そういえば、何月か聞いてなかったな・・・・・・。令和の世を生きていた人間だけど、別の意味で季節感が曖昧過ぎて、今が何月なのか・・・・・・。

 

「甘露寺さんが言ってた武器って何なんだ?」

 

「うーん・・・・・・見当もつかないかな。場合によっては、ただの噂話だっただけって可能性もあるだろうし。」

 

「だよな。だが、火のないところに煙は立たねーって話だし・・・何かしら噂になる原因はどっかにあるだろ。」

 

「そうだね。確かにそれは間違いない。」

 

 まぁ、実際、候補となり得るものは記憶として持ち合わせているんだけどね。

 多分、絡繰縁壱さんか、その中に入っていた刀が答えなんだろう。

 にしても、絡繰縁壱さん・・・・・・ヒノカミ神楽こと日の呼吸を再現するには、腕二本じゃ足りないから六本にされたって話だけど、そう考えると、マジで日の呼吸ってえげつない技なんだな・・・・・・。

 あれ、縁壱さんの身体能力を表現するなら腕六本じゃないとダメだったって話だっけ?

 

 ─────・・・・・・まぁ、何にせよ、縁壱さんはやっぱり原作キャラ最強なんだよなぁ・・・・・・。

 

 そんな彼を目標にして刀を振ってるけど、一体どこまで追いつけるようになるのか・・・・・・。

 まぁ、おかげで寿命のカウントダウンが始まっちゃったんだけどさ。

 

 ─────・・・・・・やっと、獪岳は生きるための希望を得たんだから、できることならば彼には痣のことは黙っていた方がいいか。

 

 そんなことを思いながら、私は獪岳のことを考える。

 痣者になることで起こり得る身体能力の変化・・・・・・同時に発動するデメリット・・・・・・別のベクトルで生きることを信条としている獪岳には、このことを告げるわけにもいかない。

 なぜなら、痣者の話をしたら、獪岳は鬼化する道を選んでしまうかもしれないから。

 

 ・・・・・・できることならば、彼にもしっかりと生き残り、未来へと子孫を残し、自身の寿命を全うしてもらいたい。

 私の場合は、もう、仕方ないけれど、生きることを大切にしている獪岳には、どうか、長生きをしてほしいものだ。

 

 自身が持ち合わせている知識から、痣者の特徴を思い浮かべながら、獪岳にバレないように小さく笑う。

 きっと、その笑みは見る人によっては、嘲笑と自虐の笑みにしか見えないだろう。

 

「・・・・・・にしても、わかっていたことではあるけど、温泉が近くにあると硫黄が混ざった温泉の匂いが結構強くなって、嗅覚がバカになりそうだな。」

 

「あー・・・・・・確かに、温泉って嗅覚が鋭くなくても匂いを感じることあるもんな。

 優緋の場合、鼻が良く効くから相当くるんじゃねーか?」

 

「うん。炭治郎も多分、ちょっとしんどいと思う。この子も私と同じで、鼻がいいからね。

 禰豆子はそこまで嗅覚は強くないから、あまり辛くはないと思うけど。」

 

「姉弟揃ってご苦労なこって・・・・・・。そういや、善逸はどうなんだ?アイツは耳がいいが・・・・・・」

 

「強力な鬼だとかなり恐怖を感じる音がするみたいだね。ただ、十二鬼月になってくると、逆に音が静か過ぎて明らかにやばいって言ってたかな。」

 

「へぇ・・・・・・アイツも苦労してんのか。俺にはよくわからねー感覚だが。」

 

 まぁ、そうだろうな・・・・・・なんて苦笑いをこぼしたくなりながらも、少しだけ私は匂いを感じ取る。

 鬼の匂いはまだしない。まぁ、朝方だから来ようにも来れないか・・・・・・と思いながらも、私は自身の腰にある巾着袋に触れる。

 ・・・・・・刀鍛冶の里で、真っ先に犠牲になるのは誰だったかな。宇髄さんからもらったこの爆薬丸・・・・・・できることなら、犠牲になる人たちの身を守るために分けておきたいところなんだけど。

 

「あ?・・・・・・なぁ、優緋。なんか聞こえてこねーか?」

 

「うん?・・・・・・ああ、確かに聞こえるね。あっちの方かな?」

 

 どうしたもんかと思いながら歩いていると、進行方向から何やら怒鳴り声が聞こえてきた。

 原作の知識から、ああ、ここら辺から彼の声が聞こえてくるのかと思いながらも、獪岳と一緒に声の方へと向かってみれば、そこには原作通り、無一郎君に対して色々と言ってる小鉄君の姿があった。

 

「・・・・・・ガキが・・・・・・二人?」

 

「・・・・・・片方は霞柱殿だね。一度、炭治郎と禰豆子のことで柱合会議に呼び出し喰らった時に見たことがある。」

 

「お前、かなり命の危険があったんじゃねーか・・・・・・?」

 

「実際、炭治郎たちを処分しろとか、責任も含めて私に対する罵詈雑言、果てには命を奪えとまで言われた記憶があるよ。

 まぁ、炭治郎と禰豆子の二人が滅多刺しにされても人の肉を食らうどころか、むしろ滅多刺しにしたあと自分の腕から血を垂れ流した風柱殿を心配した挙句、私に治療してと頼んでくる姿を見せた上、私自身、下弦の鬼の頚を斬っていたことや、鬼舞辻と遭遇していることから、処分されることはなかったけど。」

 

「どんだけだよ・・・・・・」

 

 獪岳から呆れの匂いがする。

 まぁ、話を聞いているだけだと明らかに情報過多どころか、カオスでしかないし、当然の反応だろう。

 

「どっか行けよ!!何があっても鍵は渡さない!!使い方だって絶対に教えねぇからな!!」

 

 歩みを進めながら獪岳と話していると、小鉄君が無一郎君を怒鳴りつけた。

 無一郎君は、しばらくの間、無言で小鉄君を見つめていたが、程なくしてわずかに手を動かす様子を見せる。

 それを見た私は、すかさずその場で炎の呼吸を使い、壱ノ型である不知火の足運びを利用して、二人の間に体を滑り込ませた。

 

「ちょいと待ちなよ。それ以上はいけない。相手は一般の子供なんだよ?」

 

「「!!?」」

 

「え・・・・・・?」

 

 すぐ側と背後から驚いた匂いを感じる中、無一郎君の手刀を片手で止めれば、彼は濁りを持った青の瞳をこれでもかと言うくらいに見開く。

 一瞬のハイライトと、湖の水面に映り込むかのような自身の姿を視界に映しながら、静かに無一郎君を見つめていると、彼は何度か瞬きをしたのち、再び光を失った瞳を見せる。

 

「・・・・・・びっくりした。煉獄さんも里にいたのかと思ったよ。えっと・・・君は確か、柱合会議にいた竈門・・・・・・優緋・・・・・・だっけ?」

 

 紡がれた言葉に、今度は私が思わず目を丸くする。

 柱合会議の時、本人ですらすぐに忘れてしまうからと自負していたと言うのに、まさか、私のことを覚えているとは思いもよらなかった。

 

「・・・会議の時、すぐに忘れるからとか言ってた気がするけど・・・・・・・・・」

 

「ああ・・・・・・確かに言ったね。言ったけど、君は、宇髄さんや煉獄さんと一緒に、上弦の鬼を倒したんでしょ?

 それに、その前には下弦の鬼を一人で倒していたし、色んな隊士から聞いてるから覚えてた。

 柱と同等の任務をこなせているとも聞いてるし、流石に覚えておかないとって。」

 

 無一郎君は、そこまで言葉を紡いだのち、静かに私の背中にある箱に視線を向ける。

 少しの間、じっと箱を見つめた彼は、その場で無言になり、小さく首を傾げた。

 

「・・・・・・てことは、その箱に入ってるのが、君の家族・・・・・・ってことになるのかな。

 鬼を連れて鬼狩りになるなんて、変わってるよね。お館様や煉獄さん、宇髄さん・・・・・・他にも、何人もの人から、君の鬼には手を出すなって言われてるし、一応、記憶しておいたけど。」

 

 ・・・・・・これもまた、私がイレギュラーに動いたからだろうか?

 しっかりと炭治郎と禰豆子のことまで把握されていた。ここまで記憶されているとは思いもよらなかったが、まぁ、原作のように殴られないだけマシだろうか・・・・・・。

 

「・・・・・・そこまで覚えてもらえてるのは助かるね。じゃあ、このまま少し、話を聞かせてほしいんだけど・・・・・・」

 

 “君らは、何を言い争っていたのかな?”・・・・・・穏やかに紡いだ問いかけに、辺りはしんと静まり返る。

 さて、どうやって小鉄君にダメージを入らなくしながら、この天才剣士様に意見を告げようか・・・・・・。

 

 

 

最近の傾向から、話が獪岳VS煉獄さんの流れになりそうなのでここで一つアンケート。最終的な√は・・・

  • これまで通り煉獄さん√へ
  • 獪岳が巻き返す獪岳√へ
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