目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
鍵により動き始め、刀を構えた絡繰。
その絡繰は、無一郎君へと無機質な目を向けながら、六つの腕を動かし始める。
空を切る六つの刃。しかし、無一郎君はそれに怯むことなど見せることなく、次々と斬撃を受けていく。
本来ならば、連続して響くはずもない刃同士の衝突音。
リズムゲーどころじゃない連打音は、かなりの迫力があった。
「・・・・・・すごいな。」
「ええ、そうでしょう。俺の先祖が作った、戦闘用絡繰人形、縁壱零式です。」
何度もぶつかり合う刃の音を聞きながら、素直に感想を口にしていると、小鉄君は少しだけ誇らしげに絡繰が何かを教えてくれた。
この絡繰の元になっている縁壱さんは、戦国の世を80年も生き抜いた最強の剣士。
少なくとも、300年以上は前の時代に存在していた人を模した絡繰が、あの人のスペックを可能な限り再現された絡繰が、そんな時代に作り上げられていたのだから、とんでもない話である。
「・・・・・・なぁ、優緋。あの人形、腕が六本ねぇか?」
「ん?ああ、確かにあるね。」
そんなことを思っていると、獪岳が複数の腕があることに対して疑問を口にする。
そのことに素直に同意すれば、側にいた小鉄君の声が聞こえてきた。
「あれは、あの人形の原型となった実在した剣士の技術が、腕を六本にしなくては再現することができなかったから、と父から聞いています。」
「はぁ?どんだけだよ・・・・・・」
話を聞いていた獪岳が、表情を歪めながら小鉄君の言葉にツッコミを入れる。
それには同意せざるを得ないと苦笑いをこぼしたくなるが、縁壱さんのことを知っている人間からすると、インパクトには欠けている。
なんせ、彼は小鉄君の父親や先祖の言葉に納得せざるを得ない実力を持ち合わせていた剣士なのだから。
「相当な剣士さんだったんだろうね。」
「ええ。俺もそう思います。まぁ、戦国時代の人だって話だし、詳しくはわからないんですけど。」
「戦国時代って、300年前からあんのかよ、この絡繰。」
獪岳から困惑の匂いがする。まぁ、300年も前の絡繰となれば、そんな風に思ってしまっても仕方ないだろう。
「ですが、戦国の世辺りにあったとして、本来ならば技術が上回っているはずの今の世では追いつけない技術が使われているみたいで、壊れてしまったら直せない・・・・・・。
親父が急に死んじゃって、兄弟もいないし、俺がちゃんとやらなきゃいけないのに、刀にも絡繰にも才能がないから・・・・・・」
「・・・・・・ごめん。」
「いいんです・・・・・・。確かに辛いし、悲しいですけど、あなたや、柱の人が言ってることも、重要だとわかっているし、優先順位があるのも、本当はわかっていたので。」
小鉄君から悲しみの匂いがして、そのことに罪悪感を抱く。
合理的に考えて、現実的に考えて、一番やらなくてはいけないことを提示したのは自分自身だが、それは、別の人の思いを踏み躙る物だ。
だけど、あのままではどのような状況に陥るかはわからなかった。原作の炭治郎のように、素直な感情のままを出すことが、私にはできなかったから。
「・・・・・・やっぱ、柱って奴はすげぇよな。年はお前の弟たちと変わらなそうだってのに、かなりの技術も持ち合わせてるんだからよ。」
小鉄君の様子に、長く言葉を紡ぐことができない中、獪岳が呟いた。
その言葉に同意しようと口を開く。しかし、それより先に、辺りに甲高い声が響き渡ったため、言葉を口にする前に口を閉ざした。
「ソリャア当然ヨ!!アノ子ハ“日ノ呼吸”ノ使イ手ノ子孫ダカラネ!アノ子ハ天才ナノヨ!!アンタ達トハ次元ガ違ウノヨ!!ホホホホ!!」
く、釘宮さんボイスだったのか、と目の前にいる鎹鴉・・・・・・銀子だったっけ?
無一郎君の鎹鴉である雌の鴉に軽く引きながらも、視線を彼女に戻す。
「“日の呼吸”・・・・・・鬼殺の剣の礎となり、あらゆる呼吸へと派生した始まりの呼吸だね。」
「ソノ通リヨ!!無一郎ハ始マリノ呼吸ヲ使用シテイタ剣士ノ子孫ナノ!!アンタ達トハ何倍モ才覚ガ違・・・・・・」
「才覚に関しては優緋もじゃねぇか?水の呼吸を最初に身につけて、最終的に炎の呼吸も身につけて、家になぜか伝わってた別の呼吸もしっかり身につけて、そんで、音柱が使ってる爆薬丸も使い熟してんだろ?」
「・・・・・・確かに使ってるけど、獪岳。それは今は言うべき言葉じゃない。」
「は?」
「・・・・・・何ヨ一般隊士ノ癖ニ生意気ナコト言ッテ!!黙ンナサイヨ!!目ン玉ホジクルワヨ!!」
「いってぇ!?何しやがんだこの鴉!!」
「あーあ・・・・・・・・・」
銀子の襲撃を受けて、痛い目に遭ってる獪岳に引き攣った表情を浮かべながらも、私は無一郎君に視線を向ける。
同時に行う全集中の日の呼吸・・・・・・それにより痣が浮かんだ私は、そのまま“透き通る世界”を使用する。
無一郎君の動きは、それはもう隙がないの一言に尽きる。
一部、まだまだ追いつけていない部分や、無駄な力が入ってるような場所もあるようではあるが、それでも、彼の技術力は驚かされる物ばかりだ。
やはり、柱レベルだと、絡繰でできた戦闘人形の猛攻も、ある程度は余裕を持って受け切ることができるらしい。
─────・・・・・・炭治郎自身も、“透き通る世界”に行き着くための匂いの変化を把握したからなぁ・・・・・・。いや、あれは、極限状態にまで行って、若干臨死体験もしながらのヤバい状態だったけどね・・・・・・?
人は極限状態に行けば、なりを潜めていた能力を開花することがあるのは確かだが、それでも終わりの手前に行くのだけはいただけない。
そんなことを思っていると、辺りにバキンッという鈍い音が響き渡る。しばらくの間、刀同士の打ち合いを繰り広げていた無一郎君が、縁壱零式の甲冑に攻撃を当てていたのだ。
「・・・・・・。」
「鎧がぶっ壊れた!?」
「っ・・・・・・!!」
「あ、おい!!」
短時間で攻撃を当てることに成功した無一郎君の姿を見て、無言のままでいると、小鉄君の匂いが遠ざかっていくことに気がつく。
視線を小鉄君の方へと一度向けた私は、少しだけ考え込んだ後、獪岳へと向き直った。
「獪岳。あの子のところに行ってあげて。」
「は?何で俺が・・・・・・」
「あの子にかけるべき言葉・・・・・・これまで努力をしてきて技術を身につけようとしていた獪岳ならわかるからだよ。私はほら、合理的な判断から彼に冷たくしてしまった側だからさ。」
「!・・・・・・わかった。」
私の言葉を聞き、獪岳はすぐに小鉄君を追うために踵を返して走り出す。
彼の匂いが遠ざかる中、無一郎君を見つめていると、肩に軽く重さが加わる。
「アンタノ呼吸、随分ト鍛エ上ゲラレテイルワネ。」
「そりゃあ、炎柱殿に鍛えてもらってるからね。これくらいこなせなくて、炎柱の継子や甲の剣士なんてできるわけないだろ。」
「ソレモソウネ。アンタノ努力ハ私モ認メテアゲテイイワヨ!」
どうやら、私の方に銀子が乗ってきていたようで、彼女は上から目線な評価を私に下してくる。
無一郎君が珍しく記憶してくれている人間と言うだけあって、彼女にもそれなりに認めてもらっているようだ。
まぁ、それでも上から目線はちょっと鼻につくけどね。
「・・・・・・何ヲ考エテイルカワカラナイケド、アンタノ合理性ハ鬼殺隊ナラバアッテモ当然ヨ。
確カニ刀鍛冶ハ必要ナ存在デハアルケド、ダカラッテ柱ノ邪魔ヲシテイイ理由ニハナラナイモノ。
柱ハ命ヲ預カッテンノ!命ヲ守ルタメニ前線ニ出テンノ!前線ニ出テイル人間ノ【力】ガ強クナケレバ、守レルモンモ守レナクナルノ!
私達ハソレダケ戦ウ【力】ガ必要ナノヨ!ソウシナイト大将首何テ獲レルハズガナイデショッ!!」
何でこの子、こんな性格になっちゃったんだろう・・・・・・と考え込んでいると、銀子から私の合理性・・・・・・必要な優先順位のためならば、残酷な判断をしてしまうことも必要であると告げられる。
彼女なりの励ましか、それとも、基準として正しい選択をしているが故の言葉か、私の判断を否定するつもりはないらしい。
「・・・・・・私は・・・・・・間違っていないだろうか・・・・・・。」
「シケタ面シテンジャナイワヨ!!アンタノ判断ダッテ正シイワヨ!!刀鍛冶デアッテモ柱ト甲ヲ邪魔シテイイハズナイデショッ!!」
そんな銀子の言葉に、少しだけ弱音を漏らしていると、すぐにしけたツラをするなと叱咤されてしまった。
私が口にした言葉、優先順位は正しい物・・・・・・彼女はそう思っているようだ。
だけど私は、本当にこれで良かったのだろうかと言う疑問を拭い切ることができず、ただただ黙り込むことしかできなかった。
最近の傾向から、話が獪岳VS煉獄さんの流れになりそうなのでここで一つアンケート。最終的な√は・・・
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これまで通り煉獄さん√へ
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獪岳が巻き返す獪岳√へ