目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

151 / 175
151.呼吸を極めるために

 獪岳を小鉄君の元へと向かわせ、訓練用の絡繰がある場所に残った私は、離れた位置から無一郎君の訓練を見つめていた。

 

 六つもある腕から繰り出される攻撃は、相変わらず凄まじく、打ち込みを重ねるたびに、無一郎君の動きは良くなって行き、これが剣の天才か・・・・・・と少しだけ考える。

 

「時透君っていくつなんだろ・・・・・・」

 

「無一郎ハ十四歳ヨ。刀ヲ握ッテ二ヶ月デ柱二マデ上リ詰メタ天才ナノヨ!!」

 

「柱って二ヶ月でなれるもんなの?」

 

「ソウネ。一応、柱二ナルタメノ条件ガアルカラ、ヤロウト思エバ可能ナ範囲ヨ。

 マァ、相当頑張ラナイト無理ダケドネ。ナンセ柱ハ、位ヲ甲二シタ上デ、鬼ヲ五十体以上滅殺スルカ、十二鬼月ヲ滅殺シナクチャイケナイモノ。

 デモ、位ハヒタスラ鬼ヲ狩リ続ケレバ普通ニ上ゲレルシ、僅カナ休憩ヲ挟ンダ後、夜ガ明ケルマデ滅殺スレバ、十分可能ナ範囲ヨ。

 トハ言エ、甲ノ剣士ニナリ、条件ヲ満タシタトシテモ、柱ノ空席ガナケレバ、柱二腰ヲ据エルコトハ出来ナイワ。」

 

「へぇ・・・・・・。じゃあ、時透君が柱になった時は、空席があったんだ。」

 

「エエ。マァ、サッキモ言ッタ通リ、柱ハ甲ノ剣士ガ鬼ヲ五十体滅殺スルカ、十二鬼月を滅殺スルカニヨッテ候補トシテ選抜サレルカラ、中ニハ十二鬼月二匹敵シナイ実力者ガ腰ヲ据エルコトモアルワ。

 ダカラ、入レ替ワリハ度々アッタリスルノヨ。モウ少シ昇格基準ヲ厳シクシタラ良イノニ。」

 

 “アンタモソウ思ウデショ?”と聞いてくる銀子に、確かにと思わず同意してしまう。

 確かに、柱と呼ばれる立場になるのだとしたら、かなりの数の鬼を滅殺しなくてはならない。

 累がやられたことにより、パワハラ会議で下弦の鬼は消されてしまったけど、あれがなければ、下弦の鬼とも衝突する可能性が出てくる。

 

 それに、杏寿郎さん曰く、柱になれば見回りをする範囲が広がるとのことだし、上弦の鬼と衝突する可能性だってぐんと上がる。

 上弦の陸ですらかなり苦戦するような対象だったのだから、更に上の鬼と衝突したら、どれくらい苦戦することか・・・・・・

 

 そんなことを思いながら、無一郎君の訓練を見つめていると、バキリッと大きな音が辺りに響き渡った。

 よく見ると、無一郎君が絡繰人形の腕を破壊しており、その場に立ち尽くしていた。

 

「あらま・・・・・・」

 

「流石無一郎ネ!」

 

 綺麗なまでに折れてしまった一本の腕。

 思わずな間抜けな声を漏らしていると、無一郎君が私の方へと視線を向けて来た。

 

「ちょうどいいや。優緋。俺の刀、折れちゃったみたいだから、これ処分しといて。」

 

「え?」

 

 そう言って無一郎君は、先程まで手にしていた折れてしまった方の刀を鞘に納めて私の方へと投げて来た。

 すかさず投げられたそれをキャッチすれば、無一郎君は地面に落っこちた絡繰人形の腕を手に取った。

 

「これ、貰って行こ。」

 

「持ってくの?」

 

「だって刀折れちゃったし。今日も任務があるから、手ぶらで移動するわけにはいかないでしょ?」

 

「まぁ、それはそうだけど、持って行って良いのかな、それ。」

 

「別に良いんじゃない?刀くらいいくらでも作れると思うし。」

 

 そう言って無一郎君は、拾い上げた腕を持って、そのままこの場から立ち去ってしまった。

 彼が向かう方向は、間違いなく獪岳達がいる方角。となると、原作通り、小鉄君とすれ違うことになりそうだ。

 

 そんなことを思いながら、私は目の前にある絡繰人形に歩み寄る。

 かなり尺寸がありそうだし、何より歯車やら何やらのせいで、かなりの重量がありそうだが、呼吸を使いながら持ち上げてみれば、しっかりと持ち上げることができた。

 

 とりあえず人形を起こし、その場に立たせた私は、視界に入り込む絡繰を見つめる。

 日の呼吸を使い、透き通る世界に入ってみれば、絡繰であっても中を見ることはできるようだ。

 見た感じ、歯車が欠けたりしているようには見えないけど・・・・・・絡繰には詳しくないからなぁ・・・・・・。

 

 うーん・・・・・・と小さく唸りながら、絡繰人形を眺めていると、背後から小鉄君の気配を感じ取る。

 

「あ・・・・・・」

 

 その場に立っている絡繰人形を見て、小鉄君が小さく声を漏らした。

 そんな彼に視線を向けた私は、すぐにその場から静かに離れる。

 

「時透君が倒しちゃっていたから、一応起こしといた。」

 

「え・・・・・・ひ、一人でですか?」

 

「うん。呼吸を極めていれば、これくらいの絡繰なら一人でも起き上がらせることができるからね。」

 

 一人で絡繰を起こしたことを伝えれば、小鉄君はしばらくの間無言になり、絡繰人形に近寄った。

 それを見ながら、再び透き通る世界を使用する。・・・・・・やっぱり、中は完全に壊れているようには見えない。

 念のため、絡繰人形の周りを歩くと、欠けているものはどこにもないように見えた。

 歯車が外れている様子もないようで、かなり丈夫な作りをしていることがわかる。

 

 ・・・・・・絡繰人形の中に納められている刀の存在感がかなりあるな。

 でも、今重要なのは、絡繰が動くか否かか。

 

「おい!小鉄!!先々走ってんじゃねぇよ!!」

 

 なんて考えていると、小鉄君を追いかけて来たらしい獪岳が姿を現す。

 どうやら、彼に小鉄君に喝を入れてもらう作戦は成功したようだ。まぁ、おかげで彼の訓練ルートが確定してしまったわけだが・・・・・・。

 

「絡繰は・・・・・・」

 

「・・・・・・一応、優緋さんが起こしてくれました。ただ、動くかどうか・・・・・・」

 

 不安そうに言葉を紡ぐ小鉄君に、獪岳は渋い表情を見せる。

 

「・・・・・・中にある絡繰の心臓部は壊れてないみたいだよ。」

 

「は?何でそんなのがわかるんだよ。」

 

「・・・・・・視えたから、としか。」

 

「はぁ?絡繰をバラしてねーのに何で中身がわかるんだよ。」

 

「それは、とりあえず呼吸を鍛え続けるしかないかな。」

 

「?意味わかんねー・・・・・・」

 

 獪岳の言葉は尤もだ。

 バラしてもないのに何で中身がわかるんだ→視えるからなんて、はぁ?以外の何物でもない。

 まぁ、呼吸を極めれば、自ずと行き着く高みであるとは言え、その道のりは短くもなければ楽でもない。

 何度も何度も呼吸と型を繰り返し、夜中の間ぶっ通しで呼吸を続けるのだから、楽であるはずがない。

 

「とりあえず、少しだけ弄ってみなよ。きっと動くはずだからさ。」

 

 そんなことを思いながら、私は小鉄君に声をかける。

 絡繰人形の心臓部は壊れていないから、きっと動かすことができると。

 

 小鉄君は、少しだけ戸惑いの匂いをまといながらも、絡繰人形へと近寄る。

 そして、少しの間、絡繰人形を弄りまわした瞬間、中に仕込まれていた歯車が無機質な音を立てながら動き、再び刀を構えた。

 

「う、動いた・・・・・・!?優緋が言ってたことはマジだったのかよ!?」

 

「な、なんで・・・・・・優緋さん・・・・・・まだ動かせるってどうしてわかったんですか!?」

 

 絡繰人形が動いたことに、獪岳と小鉄君が混乱しながら聞いてくる。

 中が見えていたし、そもそも動くことを知っていた・・・・・・なんて言えるはずもなく、私はその場で肩を竦ませる。

 

「そうだね・・・・・・まぁ、呼吸を極めれば辿り着く境地があるから、そこに行き着けば何となくわかるようになるって感じ?

 ・・・・・・って、言っても、意味がわからないか。何て説明したら良いんだろ?ちょっと難しいな・・・・・・」

 

 原作に記されている説明は、最終回まで見たからこそようやく縁壱さんの言葉の意味を把握することができると言っても過言ではない。

 何より、私がいる場所は、痣者になると言う強制的に短命カウントダウンを発生させる必要がある技術だ。

 生きることに固執している獪岳に、教えることは躊躇われるからなぁ・・・・・・。

 

「・・・・・・つまり、呼吸を極めたらいいってわけだな。」

 

「え?あー・・・・・・まぁ、確かにそうではあるけど・・・・・・」

 

 “あまりお勧めはしない”・・・・・・と一瞬でできそうになった言葉を飲み込む。

 そんな私のことなど気にすることなく、獪岳は小鉄君に視線を向けた。

 

「小鉄。少しだけ絡繰を使わせてもらっていいか?」

 

 獪岳の言葉に、小鉄君は驚いた人間がまとう匂いを一瞬だけ揺らがす。

 しかし、すぐにそれは闘争心にも似た感情の匂いへと変わり、獪岳のことを真っ直ぐと見据えた。

 

「・・・・・・そうですね。是非使ってください。これで修行して、あの澄ました顔の糞ガキよりも絶対に強くなってくださいね・・・・・・!!全力で協力しますので!!!

 

「・・・・・・・・・は・・・・・・?」

 

 そして、子供と言うにはあまりにもドスの効いた声音で、獪岳に修行して強くなれと告げる。

 明らかに様子がおかしい小鉄君に、獪岳は戸惑いの様子を見せた。

 

「獪岳さん、強くなってください。そして奴にこう言うんです。その程度か?ゴミカスが。髪長すぎなんだよ切れ昆布頭。チビ。不細工の短足。切腹しろ恥知らずって!!」

 

「はぁ!?おま、いきなり何言ってんだ!?柱相手に言えるわけねーだろ!?」

 

「打首獄門の方がいいですかね?」

 

「余計に駄目だわバカ!!急にどうしたんだお前!?」

 

 まさかの事態に獪岳がパニックを起こす。

 そんな獪岳を見ながら、小鉄君は怒りのままに拳を握った。

 

「優緋さんも確かに強引でしたけどね!!ちゃんと謝罪してくれてるんですよ罪悪感を感じてるのがはっきり分かるくらいに!!

 対してあのチビは何なんですか!!謝罪の一言もなく澄ました顔で!!刀が折れたからこれ貰っていくだぁ!?ふざけんのも大概にしろってんですよ!!

 しかも何なんですかあの糞鴉!!人を見下しやがって!!あんな奴焼き鳥にしちまえって話なんですよ!!」

 

 絶好調なまでの毒舌を口にする小鉄君に、私と獪岳は軽く引く。

 原作で知っているとはいえ、ここまで変わり身が早いとは・・・・・・

 

「いいですか!?ぜーっっったいにあの澄ました顔の糞ガキをコテンパンにやってくださいよ!!それができるくらいに強くなれるように協力しますから!!」

 

 ぎゃんっと吠えるように獪岳に詰め寄る小鉄君の姿にドン引きしながら、私は内心で合掌をする。

 南無・・・・・・獪岳・・・・・・。

 

 

最近の傾向から、話が獪岳VS煉獄さんの流れになりそうなのでここで一つアンケート。最終的な√は・・・

  • これまで通り煉獄さん√へ
  • 獪岳が巻き返す獪岳√へ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。