目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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160. 失われた記憶と赫灼の言葉

 獪岳と玄弥から、夜の見回りに関して一緒にしようと言われ、それならと、二人にお手伝いをお願いした私は、刀鍛冶の里の中を歩き、ある人を探していた。

 

 誰を探しているのかと言うと、無一郎君である。

 彼は柱で、見回りに協力してくれたらすごく心強い能力値を持ち合わせている。

 そのため、今回の協力を仰ぎたいところだが、何分、夜の見回りをしようとしているのは、私が嫌な予感があるから見て回りたいと言う、ふわっとした考えの元だ。

 

 実際は、原作の知識があるからだが、それを明かすわけにはいかない以上、無一郎君と、彼の鎹鴉である銀子が協力してくれるかはわからない。

 

「あ、優緋。」

 

「時透君。こんにちは。」

 

「アラ、アンタ一人デ歩イテイタノネ。一緒ニイタ一般隊士達ハドウシタノヨ?」

 

 そんなことを思っていると、自身が脳裏に浮かべていた無一郎君と銀子の二人が姿を現した。

 噂をしていたわけじゃないが、噂をすればなんとやら・・・・・・。考えていた本人が登場するとは、何と言うタイミング。

 

「獪岳と玄弥なら、夜回りのための準備をしてるよ。私もそれをするため、ウロウロしていたんだ。」

 

「え、夜回り?」

 

「何デソンナモノシヨウトシテンノヨ?」

 

 とりあえず、銀子の質問に答えれば、無一郎君と揃って夜回りをしようとしていることに対して疑問を向けて来る。

 まぁ、気になるわな・・・・・・と苦笑いをしたくなりながら、私は静かに頷き返す。

 

「刀鍛冶の里は、隠や鬼殺隊と連携して厳重に秘匿されている場所ではあるけど、絶対に安全であるとは言い切れない。

 もし、その秘匿性を破ることが出来るような鬼がいたら?鬼舞辻が、秘匿性を破れる情報網を持ち合わせていたとしたら?

 もしもの話ではあるけど、無しと言い切ることも出来るわけじゃない。刀鍛冶の里は、鬼殺隊が持ち合わせている日輪刀を作り上げる鍛冶達が暮らしている場所であるため、秘匿性を破られてしまったら、生命線を失うことにもなる。

 可能性が低いとしても、可能性があるのだとしたら、それを守るためにやれることはしないといけないでしょ。」

 

「・・・・・・何でそんな風に言えるわけ?里の見回りなんて、君達の仕事じゃないだろ。

 爆薬丸の時だってそう。絶対とは言い切れないとしても、幾つもの可能性を考えて、防衛技術の強化を図ろうとしたり、必要性が低いこともこなそうとしてるよね?

 どうしてそこまで人のために動こうとするの?自分がやるべきことだけをやっていけばいいのに。」

 

 もしもを想定して行動をする私に、無一郎君が疑問をぶつけて来る。

 彼の表情には理解不能と言わんばかりのものが浮かんでおり、匂いからも、意味がわからないと困惑と懸念が混ざった感情を向けてきていることがわかった。

 

「世の中は善因善果、悪因悪果の繰り返しだ。善いことを繰り返せば、それは巡り巡って自分の元に同じくらい善い物として返ってくるし、悪いことを繰り返していれば、巡り巡って同じくらい悪い物が返ってくる。

 善い行いにより繋いだ縁と繋いだ想いが自分に返ってくるなら、善い行いを多くしていきたいでしょ?

 だから私は、“もしも”と言うふわっとした可能性だとしても、善い方向へと転んでいく物を選んでいきたいんだよ。」

 

 そんな彼を見ながら、私は自分がやった方がいいと判断した物をこなしていることを無一郎君に伝える。

 すると、無一郎君は目を丸くして、小さく声を漏らした。

 

「・・・・・・今、何て言ったの?」

 

「ん?」

 

 問われた言葉に困惑しながら、無一郎君に目を向けてみると、涼しげな色合いをしている瞳に不思議な光を宿しながら、彼は私を見つめていた。

 そのことに何度か瞬きを繰り返した私は、あ・・・・・・とあることを思い出した。

 素で思っていることを口にしてはいたが、この言葉は、原作でも炭治郎が口にしていた言葉だった。

 まぁ、私みたいにごちゃごちゃと四字熟語を混ぜた話し方はしてなかったが、巡り巡って自分のためになると言う言葉は、確かに原作のあの子も言っていた言葉だ。

 

「・・・・・・何って、世の中は善因善果、悪因悪果の繰り返し。善いことを繰り返し行なっていけば、それは巡り巡って同じくらい善い物として返ってくるし、悪いことを繰り返し行なっていけば、それは巡り巡って同じくらい悪い物として返ってくるんだから、善いことが返ってくるように、善いことを繰り返しているって話だけど・・・・・・。

 だって、人は誰しも一人で全てをこなせるわけじゃない。必ずどこかで限界が来るんだ。

 だからこそ人は互いに支え合い、背中を押し合い、一緒に走って物事をこなしていくようにできてるんだよ。」

 

 それならと、私は自分がこれまで抱いていた考えをぶつけるようにして言葉を紡ぐ。

 少しでも無一郎君の中にある温もりを目覚めさせられるようにと願いながら。

 

「もちろん、世の中には一人で物事をこなす人もいるし、それを成功させる人だっている。だけどそんなの一握りかそれ以下の人数のみだ。

 人は必ずしも完璧であり続けられない。必ず欠点を抱えており、その欠点を補うために、自身の欠点となるものを得意としている人に支えてもらい、相手が欠点としている物を、自身が補い支えていく。

 だからこそ、自分が持ち合わせている力を、少しでも多くの人を助けるために使っていくんだよ。

 それにより返ってくる因果は、善い物として人生を走り抜けるための力として、自分を助けてくれるからね。」

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

 最後まで言葉を紡ぐと、無一郎君が無言で私を見つめてくる。

 柱の人に、こんなこと言うのは失礼だっただろうか・・・・・・と少しだけ気まずくなりながらも、「じゃあ、私は準備があるから」とこの場から立ち去ろうと踵を返す。

 本当は、無一郎君にも協力を乞うつもりだったが、一緒に見回りをしてほしいと言えるような空気ではなくなってしまった・・・・・・。

 

「・・・・・・何だか、その話、前にどこかで聞いた覚えがあるよ。どこで聞いたのかまでは、覚えてないんだけど。」

 

「え?」

 

 玉壺ってどこら辺に出てくるんだっけ・・・・・・なんて考えながら、この場から離れようとしていると、ポツリと無一郎君が呟く。

 思わず足を止めて、無一郎君に目を向けてみると、彼は考え込むような様子を見せながら、何度も首を傾げていた。

 

「どこで聞いたんだろ・・・・・・。鬼殺隊に入ってから・・・・・・?それとも、それより前・・・・・・?誰から聞いたんだっけ・・・・・・?お館様・・・・・・?じゃない気もするし・・・・・・。」

 

 ・・・・・・うん・・・・・・なんか逆に悩ませてしまったようである。

 かなり申し訳ない状態にしてしまった。

 

「ねぇ、優緋。誰から聞いた話だと思う?」

 

「え!?私に聞くの!?」

 

「だって、この場にいるの優緋だけだし。銀子は多分、知らないと思うから。」

 

「ええ・・・・・・?」

 

 まさかの問いかけに困惑する。

 いや、確かにこの場にいるのは私だけだし、銀子もその話は知らないし、無一郎君の考えている通り、その話は彼が鬼殺隊に入る前に聞いた話だから答えとしては合ってるけどさ。

 いや、合ってないわ。私は原作を知ってるからこそ誰がその話をしたのか知ってるけど、今を生きてる私は知ってるはずねーわ。

 

「うーん・・・・・・誰から聞いた話だと思うって言われても・・・・・・私が知るはずないし・・・・・・」

 

「だよね。優緋も知らないよね。」

 

 いや、だよねってわかった上で聞いてたんかい!!と言う内心のツッコミは口にすることなく、苦笑いをこぼす。

 わかってんなら聞いてこないでよ・・・・・・。

 

「でも、確かに似たような話を聞いたような気はするんだ。聞いたような・・・・・・気はするんだけど・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・。」

 

 首を傾げながら、どこで聞いたのか考え込む無一郎君。私は、何度か瞬きをしながらその姿を見つめた。

 

「・・・・・・よくわからないけど、何か大事なことな気がする。小さい時の記憶があまりないから、すぐに答えは出ないけど。」

 

「小さい時の、記憶がない・・・・・・」

 

「うん。」

 

 呟くように口にした言葉に、時透君は静かに頷き、口を開く。

 自分は鬼殺隊に入る以前の記憶があやふやとなっていること。鬼殺隊に入る前、鬼に襲われたことは覚えていること。それにより家族を失った記憶はうっすらとあることなど、原作の彼が経験した、過去の話を教えてくれた。

 

「まぁ、基本的にはお館様や、あまね様から聞いた話だから、俺自身が覚えてることはほとんどないんだけど、記憶がなくても、刀は持てるから、鬼殺隊で鬼を狩ってるんだけど。」

 

「そうだったんだ・・・・・・って、私にそんな話して良かったわけ?」

 

「え?だって隠す必要ないし。それに、なんか優緋には話してもいいかなって。」

 

「な、なるほど・・・・・・?」

 

 まさか、無一郎君からシレッと自身の過去の話をされるとは思わず、少しだけ困惑してしまう。

 なんで私に話そうと思ったのやら・・・・・・まぁ、それは彼のみぞ知るってことなんだろうけど。

 

「優緋と話してると、何かを思い出しそうな気がする・・・・・・。」

 

「私を失った記憶を取り戻すための鍵にしないでよ・・・・・・」

 

 サラッと告げられた言葉に、呆れを含めた声音でツッコミを入れる。

 いや、マジで私を記憶の鍵にしないでくれ・・・・・・。原作を知ってるから答えを知ってるけど、それを君に告げるわけにはいかないんだから。

 

「・・・・・・とりあえず、私はもしもがあったらいけないから、念のために里の中を見回るよ。時透君はどうする?」

 

「俺?うーん・・・・・・俺はとりあえず鉄穴森さんのとこに行かないといけないからそっちに行くよ。

 刀ができたって聞いたから、最終調整しないといけないし。」

 

「なるほどね。鉄穴森さんか・・・・・・見回りついでに探そうか?」

 

「だったら、俺も一緒に行くよ。優緋がいると、何か思い出せそうだから。」

 

「・・・・・・お好きなように。」

 

 逃げられなさそうな気配を感じ、好きにしてくださいと無一郎君に告げる。

 まさか、こんな感じで彼まで見回りに加わるとは思わなかったんだけど・・・・・・。

 

 

 

 

最近の傾向から、話が獪岳VS煉獄さんの流れになりそうなのでここで一つアンケート。最終的な√は・・・

  • これまで通り煉獄さん√へ
  • 獪岳が巻き返す獪岳√へ
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