目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
爆発が起きると同時に現れた、上弦の伍の位を与えられた鬼。
まさか、自身が上弦の鬼と対峙することになるとは思わず固まっていると、目の前の鬼はあべこべになっている口元に笑みを浮かべ、獪岳の方を見据える。
その視線に射抜かれた獪岳は、恐怖からくる寒気に顔を青くした。
早くこの場から逃げ出したい・・・・・・そんな感情を抱きながら。
「ヒョヒョッ!何やら恐怖に駆られているご様子!ええ、ええ!当然でございましょうとも!我が美しき芸術の果ての集大成たるこの体に!恐れ慄きながらも見惚れてしまうのも無理はないと言うもの!
ああ、失礼。お初にお目にかかります。私は玉壺と申す者。見ての通り、鬼にございます。」
そんな獪岳のことなど気にしていないのか、目の前の鬼・・・・・・玉壺は、友好的にも見える態度で自身の素性を明かす。
いきなり名乗られるなどとは思わず、一瞬獪岳は困惑するが、すぐに自身が背後に庇っている鍛冶の男に視線を向けた。
「っ・・・・・・行け!!」
「!?は、はい!!」
獪岳から声をかけられ、固まっていた鍛冶の男はすぐに反応して走り出す。しかし、そんな鍛冶の男を見て、玉壺はすぐに行動に移した。
それは、紛れもなく鍛冶の男を攻撃するためのもので、咄嗟に気付いた獪岳は、刀を構えて勢いよく振り抜いた。
“雷の呼吸 弐ノ型 稲玉”!!
自身を中心にして、半円を描くように放たれる高速の五連撃。
目の前で放たれたそれを見て、玉壺は余裕を崩すことなくその場で回避する。
すかさず獪岳は自身の腰にあった巾着袋に手を突っ込み、いくつかの爆薬丸を手にしては、思い切り玉壺へと投げつけた。
一瞬にして起爆する複数の爆薬丸。一発一発の威力はそこまで高くないが、複数の爆薬丸が連鎖することにより、大きくなった爆発は、まるで、轟く雷鳴のような爆音を響かせて、爆風を辺りに巻き起こす。
「うわぁ!?」
「そのまま行け!!里の連中に声をかけろ!!」
吹き荒れる爆風を浴びながらもなんとか踏ん張る獪岳は、爆風に抗うことができず吹き飛ばされる鍛冶の男に、今やるべきことを口早に告げ、自身の鎹鴉へと視線を向けた。
「鴉!!応援を呼んできてくれ!!」
「カァーッ!!任サレタ!!」
視界に入り込んだ鎹鴉に、必要な指示を飛ばす獪岳。彼の鎹鴉は、誰かのために刀を抜いた付き添って来た隊士に涙を浮かべそうになりながらも、一番近い位置にいる玄弥の元へと向かうようにして夜空を飛翔した。
「ヒョッヒョッ!!爆発を使って風を起こし、鍛冶の人間を逃すとは見事な手腕!!ですが、残念ですなぁ?その爆薬で、私の玉体は傷つけられませんぞ?」
自身の鎹鴉が飛び去ったのを見送り、嫌な汗を流し、焦りを浮かべながらも、刀を握り直すと、楽しげで自信に溢れたような、自慢するような声が辺りに響く。
同時に収まった爆風が、風の切れ間と同時に土煙を攫うと、先程、鍛冶の男を狙っていた鬼、玉壺が無傷のままで自身の様子を伺っている姿が視界に映る。
「ハッ・・・・・・!!やっぱり、優緋みてーに上手くいくわけねーか・・・・・・!!」
余裕の表情を浮かべながら、話しかけてくる玉壺の姿に、獪岳は口元に笑みを浮かべながら言い返す。
しかし、自身の背中を嫌な汗が伝っていることに彼は気づいており、肝が冷えるような錯覚を覚えていた。
─────・・・・・・上弦の鬼ってのは、こんなにも気味が悪くて、同時に悪寒がするような嫌な気配があるのかよ・・・・・・!!
脳裏に浮かぶは、一人の女性隊士。
自分より後に鬼殺隊の世界へと足を踏み入れたにも関わらず、柱にも劣らぬ力を宿し、鬼殺隊に参加して間もない内に、下弦の鬼を二人も屠り、後に現れた上弦の参を退け、炎柱や音柱、認めたくもない自身の弟弟子や同期達と共に、上弦の陸に引導を渡す功績を残した、竈門優緋と言う存在の姿だった。
─────・・・・・・何がお前の支えになるだよ。お前の背中を守るだよ。上弦の伍を前にして、ビビってるくせに・・・・・・!!
大口を叩きながらも、上弦の鬼に対して恐怖心が強く出てしまう自身に、内心で呆れながら、怒鳴りながら、獪岳は刀を握る。
─────・・・・・・俺には無理だ。勝てるはずがねぇ・・・・・・!!
初めて上弦の鬼を目の当たりにし、本能的に自分ではどうにもならない相手であると感じ取る。
しかし、そんな感情とは裏腹に、獪岳の手は、刀を握る力を強くして、真っ直ぐと玉壺を見据えていた。
「いやはやしかし、残念ですなぁ・・・・・・。折角の機会でしたので、殺す前に一つ、私の作品を鑑賞していただこうかと思っていたのですが、観客が一人減ってしまわれた。
ですが、それもまたよし。我が芸術を多くの方々に鑑賞していただく方が好みではありますが、時には特別な客のみを招待すると言うのも一興でしょう!」
そんな獪岳のことなど気にせず、玉壺は自身の芸術が何たるかを語り、獪岳へと視線を向ける。
ゾッとするような寒気を感じ取り、獪岳は逃げたいと言う考えを脳裏に過らせる。
だが、すぐに彼は一度目を閉じた後、その場で呼吸を繰り返した。
─────・・・・・・そうだ。優緋でも上弦は一人だと厳しいって言うくらいだ。何も、一人でやらなくてもいい!!
同時に過った考えに、獪岳は力強く目を開けたのち、足に力を加えた。
一度だけ、自身の鎹鴉が向かった方角へと目を向けて、地面を強く蹴り上げる。
「観客が欲しいなら追ってきやがれ!!」
「ヒョッ!?何たる早さか!?だがまだまだですなぁ!!」
勢いよく走り出した獪岳に、玉壺は一瞬だけ驚いた様子を見せる。
だが、目の前にいる隊士が、そこまで強い力を持ち合わせていない剣士であることはすでに把握していたため、すぐに追いつけると考える。
それは間違いない認識だった。正解と言える認識だった。
しかし、それは、これまでの獪岳ならばと言う事態へと、すでに変わっていた。
─────・・・・・・善逸みてぇな霹靂一閃を使用するには、まだまだ俺は力が足りない。だが、霹靂一閃のコツは、優緋に教えてもらった!!
シィイイイッと独特な音を立てながら、獪岳は再び足に力を入れる。
自身のすぐ近くまで、玉壺の魔の手が迫る中、彼は地面を蹴り上げた。
ドゥッと砂煙を上げながら、一陣の閃光が突き抜ける。
同時に玉壺の手は空を切り、玉壺は思わず固まってしまう。
「・・・・・・は?」
彼の視線が向く先に、かなり離れた距離にいる獪岳の姿が移動する。
まさかの事態に混乱した玉壺は、一時的に思考が停止した。
「そんなになんか見せたけりゃ、俺を捕まえてみろよ!!足には多少なりとも自信があるんだぜ?」
遠くから声をかけてくる獪岳に、玉壺は一時カッとなる。しかし、すぐに冷静さを取り戻し、先の方へと走り抜けた鬼狩りの人間を真っ直ぐと見据えた。
「どうやら、少々私はそちらを見誤っていたようだ。このようなどんでん返しも、またよし。
いいでしょう。少しばかりこちらを驚かせてくれたお客人の遊戯に、軽く付き合ってあげましょうかねぇ・・・・・・!!」
言葉を終わらせると同時に、玉壺は自身の壺の中へと潜り込み、一瞬にして獪岳の足元に現れた壺から姿を現し、襲いかかる。
しかし、獪岳は、優緋と言う存在と巡り会ったことにより、自身が強くなるきっかけを得ていた。
それが功をなしたのか、彼は玉壺の瞬間移動に驚くことはなく、玉壺が姿を現すと同時に、再び霹靂一閃の基礎となる筋肉の使い方をして、その場から勢いよく離れていた。
自身の足元に、鬼の気配がある・・・・・・それを感じ取ることができたために。
「ぬ!?まただと!?」
連続で距離を取られるとは思わなかったのか、玉壺の表情に焦りが一瞬浮かび上がる。
それを見た獪岳は、前を見て走り出した。
─────・・・・・・一人で戦えるとは思えない・・・!!だったら・・・!!
─────・・・・・・鬼殺隊の誰かが合流して、手を組めるまであれを引きつけてやる!!
生きることが全てであり、生きていればいつか必ず自身が勝ち星を会得することができる・・・・・・そのような考えだった獪岳が、初めて、自身の力を使って、戦うことを選んだ瞬間だった。
最近の傾向から、話が獪岳VS煉獄さんの流れになりそうなのでここで一つアンケート。最終的な√は・・・
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これまで通り煉獄さん√へ
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獪岳が巻き返す獪岳√へ