目覚めたらまさかの竈門一家の一人で禰豆子となぜか炭治郎が鬼化していた件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
錆兎から衝撃的な宣言をされた数日後、私は、彼の提案通りに刀を使った稽古という名の手合わせをしていた。
今、私が全般的に使用しているのはヒノカミ神楽の方。
錆兎が使ってくる水の呼吸に合わせて、ヒノカミ神楽を使用し、彼の技を相殺する、または押し勝つという行動を繰り返す。
……のだが…………。
「!! 錆兎、止まって!!」
「!!」
「ハァ……ハァ……チッ……やっぱりまだ……!!」
真菰が錆兎に制止の声をかけ、錆兎がそれに止まったのを確認した私はその場に座り込む。
……真菰が止めてくれなかったら、確実に体力の限界を超えてぶっ倒れていた。
「……前、もう一つの呼吸は体力をかなり消耗すると聞いていたが………。」
「うん……ここまで早いとは思わなかったね……。」
「ああ。確かに、攻撃の威力は水の呼吸と桁違いだった。だが、こうまで体力の減りが激しいとなると、確かに、あまり連発はできないな。」
「だから雑魚鬼相手には……水の呼吸で……強い鬼相手には……このヒノカミ神楽を使おうって考えたんだよ。まぁ、今の私の体力じゃ……短期決戦に持っていかないといけないけどな……。」
ヒノカミ神楽のデメリットを説明して舌打ちを溢す。
狭霧山の空気が多少薄いのも関係あるかもしれないが、そうであっても、ヒノカミ神楽はスタミナを持っていかれる。
水の呼吸なら、まだなんとかなるけど、私の予想では、水の呼吸では十二鬼月相手には敵わないと予想してる。
これは、原作を知っているのもあるが、手鬼を斬った時の感触からの判断も含まれている。
手鬼は、一応斬れないこともなかった、水の呼吸で。
でも、斬り裂いた時、硬いものを斬ったような感触しかしなかった。
岩ほど……ではなかったかもしれないけど、ぶっとい大木を斬ったような、そんな感触だった。
五十人喰った鬼でもこれくらいの硬さがある……それが確認できたことが、多少の気負いに混ざっていた。
男だったら、こんな不安を感じることはなかったかもしれないけど、私は女としてここに生まれた。
女の筋力は、特異体質でない限り、必ず限界が来るだろう。
男よりずっと少ない数値しかつかないだろう。
だから、ヒノカミ神楽……日の呼吸を身につけなくてはいけない。
いずれ訪れる分岐点……そして、決戦で負けないためにも。
だのに……今の私は、限界が早く訪れてしまう。
こんなんじゃ、救済なんて夢のまた夢だ。
「……少し休憩するか。」
「え?」
頭を悩ませていると、錆兎が急に休憩を入れると言ってきた。
思わず驚いて声を漏らす。
「今の優緋、なんだかとっても苦しそうで、どことなく不安そうに見えるから、一旦は休もう? 悩みがあるなら、私と錆兎が聞くよ?」
「話したくないのなら話さなくてもいい。だが、俺としては……いや、俺たちとしては、少しくらい悩みを聞いてやることくらいはしたいと思っている。」
「解決はできなくても話を聞くことくらいできるから。言葉にするだけでも気分はすっきりすることあると思うよ。だから、話せそうだったら、話してほしいな?」
……どうやら、私の兄弟子と姉弟子には、悩んでいることがバレてしまったようだ。
だから気を使わせてしまった。
でも、それが少しだけありがたく思う。
けど……相談できるような内容じゃない……よな。
すでに命を落としてしまってる二人に、生きてる人を助けたいなんて。
そもそも、鬼狩りが生きてる人らを助けるのは当然のことなのに、それってどうなんだ?
原作キャラ、なんて言葉を使うわけにもいかないし。
「……ありがとう。お言葉に甘えて休ませてもらうよ。でも、何に悩んでるのかは、ちょっと話せないな。」
「そうか……。」
「優緋がそっちを選ぶなら、私も錆兎もしつこく聞かないよ。でも、辛いと思ったらいつでも頼ってね? 私と錆兎は、確かに死んじゃってるけど、優緋のお友達だから。」
「………」
「錆兎。不満そうな顔しないでよ……。」
「ふはっ!! わかりやすいくらいに表情をしかめてるな。」
不満そうな顔を見せる錆兎を見て、思わず笑い声をあげる。
それに釣られたのか、真菰も小さく笑い始めた。
「ってうわ!? 休憩じゃないのか!? なんで斬りかかってきたんだよ!?」
「なんか腹が立った。」
が、それがムカついたらしい錆兎が斬りかかってこられて、笑い声は途切れてしまう。
不満最高潮の表情をしている錆兎はかなり怖かった。